白雲行

一瞬を切り取るような歌を唄って行けたらいいな

ふきのとうアルバム・レビュー

微かに灯る希望

ダルセーニョ 表

田舎の少年にとっての大学進学というのは、
ただ単に進学する、というだけではなく、
家を出て、故郷を離れ、
一人暮らしを始めるという、
人生における大きな転機となる場合が多い。

僕の場合もそうで、
18歳の僕は三流大学へ進学するために
静岡の田舎からノコノコと上京して来た。

もちろん大きな夢や希望も
無かったわけではないが
まさに、ノコノコとこんな処まで出てきちまって
俺は本当に大丈夫なのだろうか、
のちの長渕剛の唄の歌詞ではないが、
そんな不安にも駆られた。続きを読む

風は優しい想い出の中

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田舎住まいの少年にとって、
憧れのシンガーのコンサートは貴重だった。
何しろ音楽の公演自体が、
ただでさえ少ない上に、あったとしても、
その多くは演歌系のリサイタルだったりした。

だからフォークやロックの人たちが
地元の公会堂に来るなどと言ったら
それはもう大騒ぎ、
だったかどうかは忘れてしまったが 笑
案外チケットは買えたのだろう、
思い返せば高校生の頃、
ふきのとうのコンサートへ二回も行っている。

そんな憧れのコンサート、
会場で聴くことが出来なくても
その雰囲気を的確に伝えてくれたのが
ライブ盤というレコードだった。

ふきのとうに
「風をあつめて」というライブアルバムがある。
1979年のコンサートツアーの模様を瑞々しく収めている。続きを読む

辿り着いた場所

人生 春 横断 表

フォークデュオ「ふきのとう」が
1979年に発表したアルバム「人生・春・横断」

7枚目のオリジナルアルバムにして、ついに辿り着いた、
これが彼らの追い求めて来た音楽世界だったのか?

このアルバムは世間から極めて高い評価を受け、
セールス的にも成功したと記憶している。
今、このアルバムを聴き直しても、
「ふきのとう」というデュオの到達点という感がある。

しっかりとした厚いアレンジが施されているのに、
何故かシンプルで、透明感に貫かれ、全体に何処か寂しい。

だからこそ「ふきのとう」というデュオの集大成、
彼らが目指して、切磋琢磨して、たどり着いた場所、
それが、「人生・春・横断」なんだろう。

個人的には、きれいすぎるというか、
まとまりすぎているというか、完成されすぎているというか、
贅沢すぎるほどの悩みだが、
荒削りだった頃の「ふきのとう」の方が好きだたりする 笑

そんな僕の戯言はともかくとして
「人生・春・横断」というアルバムは
山木康世、細坪元佳という
「ふきのとう」の二人が生み出した
珠玉のトータル・アルバムだと、やっぱり思います。続きを読む

雨の香りに包まれて

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ジメジメとした鬱陶しい雨が
コンクリート打ちっぱなしのフォークソング部の部室を
一層淋しげに薄暗く染める。

ふきのとう6枚目のオリジナルアルバム
「思い出通り雨」を聴くと、高校生の頃、
一番長い時間を過ごした、あの部室の風景を想い出す。

これはたぶん僕の高校生時代、
一番たくさん、繰り返し繰り返し、
レコード盤が擦り切れるほどに聴いたアルバムだ。
そして僕が「ふきのとう」というフォークデュオを
意識して聴いた初めてのアルバムでもある。続きを読む

綴れ織りの季節

風来坊 表

アルバム「風来坊」は「ふきのとう」5枚目のアルバムにして、
初めてのゴールド・ディスクなんだそうだ。

そう、売れるということは大切だ。
この作品が売れたことにより、次の作品発売が確実になる。
ゴールドというくらいだから、おそらく次の次の
そのまた次くらいまでは安心だったはずだ。

その安心感は作品に良い結果をもたらす。
作品制作に無用なプレッシャーも、よけいな制約もなくなり、
より自由に自分たちの音楽を制作できるようになる。

そういう意味でも、作品自体の雰囲気からしても
このアルバム「風来坊」は
「ふきのとう」の岐路に立つ作品だと僕は思っている。
これ以降の「ふきのとう」には、
いい意味でこの作品のような重苦しさはない。

アルバム「風来坊」全体を覆う空気感は
重く垂れこめた墨雲のように、何処かセンチメンタルだ。
流れゆく季節を綴れ織るように、
繊細なメロディと研ぎ澄まされた言葉が刻まれている。

風の音を聞きながら、雨の香りに包まれて、
灰色に敷き詰められた空を見上げる。
「風来坊」はそんな気配のするアルバムだ。続きを読む
書いている人
鈴村清志朗

サラリーマンですが
週末には
酒場でギター弾きながら、
唄を歌っているオジサンです。
自称サラリーマンシンガーソングライター
って奴です。
柄にもなく本も読みます。
オジサンですが気は若いです。
気は若いですが
体力がついて行きません。

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