November 08, 2004

カゼ

風邪を引いた。熱はないし頭痛もない、喉が痛いだけだけど風邪と認識してしまったならそれはもう立派な風邪、身体は重く感じて心もガタガタ。季節の寒さなのに心が寒いと感じてしまったりね。あぁいやだいやだ、つらいつらい。

「もしもし?」
「はいはい」
「風邪で寝込んでるってきいたけど?」
「あ・・・」

街角で急に話し掛けられたその人物は僕の恋人である『カナ』であった。彼女はバイト先で知り合った娘であり可愛く愛しい。がっ・・・少々真面目すぎるところが僕は苦手だ。いや、好きなんだけどね。

「サボり?」
「いや・・・風邪は引いてるよ、そう・・・今起きたばっかりだ」
「その割には髭も剃れてるし顔色もいいのね」
「あぁ・・・薄いんだよ、きっと、今日は」

彼女は付き合って三ヶ月。僕の顔も見飽きてまた好きになる頃である。いや、後半部は僕の希望だけれども見飽きるほどには会ってるっていうことで・・・つまりは言い逃れができないということでもある。

「今からカジの家行こうと思ってたの」
「なんで?」
「ばか!寝込んでるっていうから見舞いに行こうとしてたんだよ!」
「ご・・・ごめんなさい」

怒っているので謝ってはみたけれどすこぶる可愛い。よく僕がこんな可愛い彼女を作れたものだなと思う。・・・あっダメ男が好きなタイプってやつかな。うん、それだ。ラッキーだ。

「もういいよ・・・」
「いや、ごめんって!あっ荷物持つよ」

むくれながらもカナはついてくる。そして家につき僕等は荷物をおろし、座布団に座り、彼女のご機嫌をとることを始める。まずはお茶をいれることからだ。

「本当に心配してたんだからねー」
「ごめんごめん」

風邪ぐらいで大げさな事だよなぁ。はい、お茶のできあがり。

「薄いしー」
「早く入れすぎなんだよ」
「なによーあたしが悪いの?」
「僕が悪いです」

すっかり尻に敷かれているという表現にあう僕だけれど居心地がいいのだからしょうがない。そして僕等はいつしか抱き合いベットの中へ潜りこみお互いを重ねていく。

「・・・幸せ?」
「・・・うん」

何回も同じような時間を過ごしているけれど、何回も同じ言葉を交換しているけれど僕らのこの時間が永遠に止まれといつも思うけれどそれでも僕たちは今幸せなのです。

「じゃあ・・・またね!」
「またな」

次の日の朝、彼女は笑顔で帰っていく。僕はハニカミ空気を吸い込む。あぁ・・・もう風邪治ったなぁ・・・。

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