higuchi左の写真は原発の内部で働いている労働者。何もこぼれていない床を雑巾がけしています。なぜか……それは、床に付着した放射性物質を拭う必要があるからです。

撮影した写真家の樋口健二氏は、以下のように語っています。

『僕のこの写真がスクープになったんですよね。撮っちゃいけないところで撮ったんですよ。誓約書を破って撮った写真です。そうしなきゃね、マスコミなんてみんな記者クラブで、「はい、ここ撮ってください」って言われたところを一人が行って代表撮影するだけ。これじゃあね、何も写せるわけないじゃないですか。』

樋口氏の講演は、今回の原発事故よりから、原発内で作業する多くの労働者が被ばくしていることを伝えている。その人数はなんと……40万人……。樋口氏の講演から、鋭い言葉を紹介いたします。

樋口氏は、30数年、原発のみを取材してきたジャーナリスト・写真家だ。(参考:wikipedia「樋口健二」)今はもうずいぶんお年をめしているようだ。福島原発事故が関心を集める今、表に出てこないのは、体調がわるいからか。はたまた他の理由があるのか。

以下、2005年7月2日 大阪市立生涯学習センターにて樋口氏が行った講演の文字おこししたブログのリンクと、印象的なフレーズを引用します。

【1】みんな原発はコンピューターで動いていると思ってしまった

『原発は全国の労働者を必要としていますから。何百万という人間が原発には必要なんですから。この話をしないから、みんな原発はコンピュータで動いているという認識を持ってしまったんですよ。』/p>

『僕に言わせると、いちばん悪かったのはジャーナリズムです。』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(1)巨大原子力産業がマスコミをコントロールしている - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【2】マスコミは、40年以上前、原発が安全クリーンだと大合唱

『1966年7月25日のことです、東海原発第一号炉に火が入ったのが。』

『このときのマスコミは恥ずかしいよね、私もマスコミの一員として。新聞はどんなことを書いてると思います? 次代を担うとかね、安全でクリーンだとか、みんな書きまくってたんだよね。その裏で被曝はすぐに始まってるんですよね。』

『今、40万人の人が、被曝してるんですよ。これをほったらかしにしている国民も含めて、この国は何だろう? これで文明国家と言えるのかと、』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(2)40万人もの労働者が被曝した - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【3】原発の数は25基? いえ53基。ドイツはあっさり全部やめた

『今、原発は53基あります。1995年時点で53基です。…(略)…学生に原発はいくつあるかときくと、大概は15基か、多くて25基くらいかなと返事が返ってくる』

『ドイツなんかすごいですよ、あっさり原発をやめたんですから。そのドイツの人たちが私に賞をくれた』

『電力会社が原発を動かしてるわけじゃない。どこの国でも財閥がやってるんですよ。』

『そのいちばんの問題が第5福竜丸ですよ。報道されたのはあの一隻だけだったでしょ。ところが、実際は1000隻近くの被曝船があった』

『被曝マグロは日本に持ってきて全部埋めたんですよ。知らなかったでしょう。みんなアメリカの力で抑えた』

『僕なんかなんと言われてたか。「異端なカメラマン」なんて言われてたんですよ。異端だって。真実を追究してたのに。』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(3)第5福竜丸以外にも1000隻近く被曝 - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【4】原発は、財閥と大企業と暴力団が支えている

『原発というのは電力会社、その下に元請けがあって、これが日本の経済を根底から支えている東芝であり、日立であり、三菱重工、住友です。』

『 原発労働者の日当も言っておきますね。約7万円です。今でも。7万円というのは原発が労働者一人当たりに払う額です。それをピンはねしてみんなで食い物にしてるんです。』

『 下請けがあり、孫請けがあり、ひ孫請けがあり、人出し業がある。この大阪にも人出し業の親方がたくさんいます。親方が原発に労働者を送れば、労働者一人につき3万円が下りてきます。これを親方が2万円ピンはねするんです。労働者には1万円しか渡してないんです。』

『この親方連中の中に、暴力団がだいぶ入り込んでますね。』

『かつて、京都府の綾部市で暴力団が高校生のアルバイトを原発労働に使ってたってたんです。』

『一人は16歳、あとの二人は17歳。なんで入れたと思いますか?』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(4)16歳の少年も原発で働いていた - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【5】ボロ雑巾で床を乾拭きする、それが放射能の除洗作業

『下請け労働者の作業内容も言って、本題に入っておしまいとします。それは、放射能の除洗作業です。ボロ雑巾で何もない床を拭くだけなんですよ。』

『放射能の除洗、パイプの補修、パイプの掃除をやるとき、この作業服を毎日捨てたら何万円もするから、毎日、大型洗濯機で洗うんですって。』

『この原発のヘドロは放射能ヘドロですよ。これをかい出しては核廃棄物処理運搬です。』

『2003年までの資料しか国は出してきませんが、総労働者数が156万人を突破しました。原発に関わった労働者が四分の一、五分の一と見積もっても、40万人からの被曝者がいるんだって、この国には。』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(5)労働者が手作業で放射能を拭き取る - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【6】

この章は、心がえぐられる。引用するところがない。引用しようとすると、全文引用しなくてはいけない。だからリンク先をじっくり読むことをおすすめします。

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(6)隠された被曝労働 - Liberal Utopia 持続可能な世界

【7】皆頭がパー。労働者を殺して平和を買い、何も考えず生きている。

『被曝の暗黒部分ってのは皆さんの想像以上。何も考えなかったら、この国は良い国だね。社会問題考えなかったら、僕は良い国だと思うよ。頭パーで生きてたら。だってニートとかいって、働かないで85万人生きてるんだよ。』

『被曝を本当に問題にしたら青くなるよ。「人を殺すのだけは止めましょう」って。それでもエネルギーが欲しいんですかって。自分達だけ平和を買って、労働者を潰して、殺して、今だってそうして動いてるんですよ、実際は。』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(7)田中角栄と柏崎刈羽原発 - Liberal Utopia 持続可能な世界へ

【8】オレが死んでも、写真と文章が残る。これからも貫いていきたい。

『今、どこも閉塞してるでしょう。これを打開するにはどうしたらいいですか? 今の価値観全部捨てましょうよ。そこから立ち直ってくるんだよ。』

『俺は死んだって何も残らないけど、写真と文章は残るから。それしかないんだよね、後は何もないよ。死ぬまでのたうち回っていこう。そういう生き方を、これからも貫いていきたいとつくづく思っています。』

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(8)質疑応答よりとっておきの裏話を - Liberal Utopia 持続可能な世界へ