20 AM)

2009年10月11日(日)に放送された『NHKスペシャル|原発解体~世界の現場は警告する~』を文字に起こした。長いので3回に分けた。文字おこしの1回目は、解体作業が進む原発「ふげん」の中の現場と、同じく解体作業が進む「東海原発」の状況だ。日本の初期、昭和60あたりまでに建てられた原発は、全て解体しやすい構造になっていない。この問題に、労働者、技術者が直面し、苦しんでいる状況が描かれている。



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以下、文字おこし。

(動画スタート)

福井県敦賀市にある原子力発電所「ふげん」。

26 AM)

去年から解体が行なわれています。

原発は内部が汚染されているため放置すると安全上問題があり、管理コストがかかるとして国はすべて解体する方針です。解体は放射線物質を絶対に外に漏らさずにすすめるとしています。本当に周囲に影響を与えず安全に解体できるのか。私たちは取材を始めました。

「ふげん」の内部です。

今も健康に影響をあたえるほどの放射線が出ている場所があります。

「こちらは制御棒駆動装置の上部です」

02 AM)

まず持たされたのが放射線の測定器です。

47 AM)

どれだけ被ばくしているか、常に確認できるようにしておくためです。

ふげん地下二階。解体を行うのは放射線による被曝を防ぐための特別な教育を受けた作業員たちでした。

字幕「現場責任者 井上辰也さん」

26 AM)

現場責任者の井上辰也さん。今回の作業は安全に解体できることを実証することが目的だといいます。

「手足もと良いか。」

「手足もとよし。手足元よし。手足元よし」

05 AM)

「本日もご安全に」

「ご安全に」

57 AM)

汚染区域に入る前、作業員はゴム手袋を2重に付けていました。テープで入念に固めるのは汚染物質が手に付くと口や鼻を触って体内に入るおそれがあるためです。

59 AM)

マスクを着けなくてはなりません。放射性物質は仮に顔についても洗い流すことが出来ますが、吸い込むと健康被害につながるおそれがあるからです。

解体が進む「ふげん」の構造です。

09 AM)

「ふげん」は原子炉内で核分裂をおこし、その時に出る莫大な熱を使ってタービンを回し発電します。

02 AM)

その際、原子炉では極めて高い放射能を持つ核のゴミが出ます。原発は運転を終えても原子炉を中心に配管やタービンなど広い範囲に汚染が残ります。

50 AM)

解体は危険な核燃料を抜いたあと汚染の比較的少ないところから始めます。

42 AM)
そして最も強い放射線が出る原子炉は最後です。

10 AM)

解体で出る放射性廃棄物は特別な容器に入れ、地下に埋めるなどして、処分されることになります。

42 AM)
32 AM)

私たちが取材したのは原子炉とタービンの間にある主蒸気管室です。

46 AM)

比較的汚染レベルが高い場所でカメラが入るのは今回が初めてです。

他の区域へ汚染を広げないためのシート。

24 AM)

その先に主蒸気管室がありました。

56 AM)
28 AM)

一般の建物と異なり、眼に見えない放射性物質が残っているおそれがあります。

20 AM)

「ここ足場いるやろ」

「手で切らなあかんやろ」

配管が複雑に入り組んだ空間で作業は行われていました。

この日、汚染の可能性が高い機器の解体にとりかかろうとしていました。原発を緊急に止めるときに使われる大型のバルブの解体です。

02 AM)

バルブは原子炉から流れる蒸気を止めるときに使われます。

38 AM)

内部には放射性物質を含んだ蒸気がたまります。解体は弁を抜き取る作業から始まりました。

51 AM)

「つこてもええけど防具付けなあかんで」

「これで上は取れるんすわ」

16 AM)

弁を引きぬいたあと、そこから放射性物質が見つかりました。

その直後事務所に戻った井上さん。緊急に対策を話し合いました。

15 AM)

「汚染の方は」

「測りました。ダメです」

「いくつぐらい?」

31 AM)

「6キロ」

「おお、すごいな」

見つかった6キロという数値は平均的な汚染レベルの6倍。吸い込むと健康に影響を及ぼす恐れがあります。

22 AM)

作業員は急遽、放射性物質が付着しにくい特別な防護服を着ることになりました。

01 AM)

「測ってみないとわからない時もあるんですか?」

「そうですね。バラつきもあるので、そりゃもうとってみないとわからないというのはありますね。正確な値というのは」

取材をはじめて1ヶ月。この日新たな問題が持ち上がりました。

42 AM)

「入らんのよ、うまいこと。うまいこといかんのよ」

「また変な細工してあるわ」

井上さんたちが切ろうとしていた太い配管。周りには、配管を支える鉄骨が張り巡らされていました。そのため電動ノコギリを使うスペースが無いというのです。

19 AM)

かわりにとったのが、高温のガスでとかして切断する方法でした。

15 AM)

しかし、この方法は危険を伴います。高温のガスで切断するとヒュームと呼ばれる気体が発生。

31 AM)

ヒュームには配管の中に残った放射性廃棄物が含まれることがあり吸い込むと危険なのです。

03 AM)

「出来れば溶断は避けたいんですか」

「ああ、出来ればですね、小さい配管はバンドソー(電動ノコギリ)のほうが楽なので、火花も飛び散らないし、溶断するとヒュームといって金属の蒸気が出て体に良くない」

特別なマスクを着けることになりました。

39 AM)

作業員とは別に放射線を管理する専門の人がいます。ヒュームに含まれる放射性廃棄物を10分ごとに測定していました。

基準を上回った場合作業員を退出させることもあるといいます。

24 AM)

放射能という眼に見えない壁に阻まれ、予定していた工程は1ヶ月以上遅れました。

54 AM)

「僕らが想定した作業時間。でこういう加工で作業すると実際5時間もつやろうと思っていたのが4時間しか体力が持たないと。そういう読み違いがあったと思います。」

19 AM)

「実際に半面(マスク)をしながら作業をするのが、きついというのがわかったと思います。そこの読みも甘かったと思います」

放射性物質を絶対に外に漏らさず解体しようという現場。安全を確保しながら解体することの難しさが取材で明らかになってきました。

54 AM)

国は原発の解体についてどのように考えてきたのか。これは日本の原子力政策をまとめた原子力長期計画です。

37 AM)

昭和31年にできた最初の計画の中に解体についての記述はありませんでした。将来起こりうる解体を考慮せずに原発は作られてきたのか。専門家は原発は事故や地震に備えて頑丈に作ることが第一に求められ、解体に対する対策はいわば後回しになってきたといいます。

「原子力研究バックエンド推進センター 榎戸裕二さん」

33 AM)

「解体をとくに考慮した設計は採用されていなかったのが実態です」

「設計思想においては原発の健全性や安全性の確保を主に考慮しておりまして」

58 AM)

「解体については将来の技術開発において対応できる」

「今後技術開発をすることによって」

「十分な技術が確保できるという考え方のもとでやっておりまして」

「近い将来の課題とは考えておらなかったと」

国が解体しやすい原発の研究を始めたのは昭和60年代。

37 AM)

しかし、今も国は、解体を考慮した設計を建設の際の条件にはしておりません。

日本に最初の原発ができたのは昭和41年。

56 AM)

その後電力需要の伸びと共に次々と建設され現在57基に登ります。

28 AM)

しかし、解体を前提に作られていないため現場に思わぬ問題が起きていることが取材でみえてきました。

「茨城 東海村」

05 AM)
25 AM)

11年前に運転を停止した東海発電所です。最も難しい原子炉の解体に向けられた準備が進められています。

東海発電所の構造です。

53 AM)

5年かけて配管やタービンなどを解体してきました。現在は原子炉周辺の機器の撤去を進めています。

20 AM)

原子炉は強い放射線を出しているため今も人が入ることができません。

そこで原子炉の解体に国内で初めてロボットを導入することにしました。コンピューターを使ってロボットの遠隔操作が行なわれています。

35 AM)

ロボットを使うには、原子炉内部の詳しい構造と正確な寸法を入力しなくてはなりません。そのためには建設当時の詳細な図面が必要でした。しかし、ここで壁にぶつかりました。

08 AM)

必要な図面が見つからないのです。

36 AM)

「今このリストにないものが」

「それを探してもらえると嬉しいのですけども」

東海発電所の建設は40年以上前。保管義務のない書類も少なくないのです。

21 AM)

「ああ違うな」

「ありましたありました」

「これかな」

図面が見つかっても古くなったり汚れたりして数字などが良く見えないものもあります。

18 AM)

「このへんが切り貼りした?」

「こういう所ですね」

00 AM)

「今のように電子データーをそのままPDFにしたんじゃなくて、昔の青いコピーを写真にとってるんですね」

これまでに集めた原子炉の図面は合わせて1500枚。それでもロボットを操作するにはまだ不十分だといいます。

「85番」

「あそこはね見えないんだよね確かに」

「この辺、字なんかも読めないわけですね」

09 AM)

「図面を中心にコントラストを当ててしまうとこちらの字が見えないということもあるんで」

字幕「日本原子力発電 松本松治 副社長」

04 AM)

「やはり40年前、に作られたもんですから、今のこの解体を想定しながらそれがうまくいくように、図面を整備しておかなくてはいけないという考え方はその時点はなかったんだろうと思うんですね。」

48 AM)

「で今は原子力発電所をつくるとなると、それこそそういった図面をきっちり残しておく工夫がドンドンされていかなければいけないと思っています」

必要な情報を入手できないか。

「あ、おはようございます」

解体プロジェクトの担当者が原子炉を作った当時の技術者を訪ねました。今のままでは解体が遅れかねないため話を聞こうと考えたのです。

今年71歳になる林勝さんです。

40 AM)

建設が始まった昭和35年から完成まで現場で工事を担当していました。

08 AM)

「事前準備でいろんなコトを調べとかないと解体の時に思わぬことが起こるということが前提で考えておりますから」

20 AM)

「これは基本的にですね、解体を考慮しない建設工程で作ってますから、」

41 AM)

「非常に解体の方の逆工程を想定するというのは難しいかもしれませんね」

解体を考慮せずに建てられた古い原発。建設に携わった技術者から話を聞けるうちに方法を見極めることができるのか。解体は時間との戦いになっています。東海発電所の原子炉の解体は2年後に迫っています。

(続く)

原発解体~世界の現場は警告する~|NHKスペシャル(文字おこし)(2)

原発解体~世界の現場は警告する~|NHKスペシャル(文字おこし)(3)最終回

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