27 PM)

15日政府は、福島原発事故とチェルノブイリ原発事故との比較を発表した。

チェルノブイリ事故との比較 - 東日本大震災への対応 -首相官邸ホームページ-

チェルノブイリと同じレベル7と発表したことで国民に広がる動揺を抑える狙いがある。発表に名を連ねているのは、長瀧重信(長崎大学名誉教授)と佐々木康人((社)日本アイソトープ協会 常務理事)の2人。どちらも東京大学卒の東電お抱えの御用学者だ。長瀧重信は3月の段階で「スリーマイル・チェルノブイリを遥かに超えて異常が続いている」と発言していた。


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人間としての良心を持ち、正義とは何かを考えたことがある私たちは、例え研究者ではなくても、主婦でもニートでも、間違っていることを見抜き「おかしい」と声をあげられることをまずお伝えする。なにより大切なのは、気持ちだ。僕たちは、素晴らしい物を読んだときは感動して「これはいいよ」と声をあげ、間違っていることには怒る権利がある。そんなことはみんな知っている。

では、政府の発表を読んでいく。

発表が簡潔すぎるうさんくささ

まずはその発表の短さだ。こんな一枚の紙っぺらで、チェルノブイリ事故との比較を論じて安心させようとすることに大きな不快感をもつのは筆者だけではないだろう。政府はもうどうかしてるよ。

hikaku

たった、これだけだ。

では順番に、各章のうさんくささを説明していく。

発表、序文のうさんくささ

35 PM)

『チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これらの国際機関の発表と福島原発事故を比較する。 』

チェルノブイリ事故の資料は、20年目に発表した資料と、25年目に発表した資料だ。一方、福島原発事故の資料は、現在進行形の、まだ全体像が明るみになっていない状況での数字だ。

・チェルノブイリの資料…20年以上、研究した資料

・福島原発事故の数字…まだ事故が続く中の、研究していない数字

賢明な人なら、この2つを比較することは、おかしいと気づくだろう。学者としての良心を疑う。

次に進もう。

『1.原発内で被ばくした方』の比較のうさんくささ

30 PM)

『1.原発内で被ばくした方

*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。

*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、足の皮膚障害が1名。』

原発内で被ばくした作業員についての比較だ。

チェルノブイリでは3週間以内に多くの作業員の被ばくが認められ3週間以内に28名が無くなっているとしている。だがこれもあくまで20年以上経過して発表されたことだ。事故後に長い時間をかけて、認める認めないという議論が行なわれて、認められた結果だ。

また、その後、現在までになくなった19名が放射線被曝との関係は認められない、としているが、これは科学的に放射線被ばくとの関係を認めることが非常に困難である、という結果からこの数字が出ている。

被ばくによる健康被害は、科学の力でも実証できない

認められず苦しんでいる被ばく者がいることに気づかなくてはいけない。

以下のエントリーを参考に。IAEAのチェルノブイリ事故、調査結果について言及している。

IAEA勧告への日本政府の答え「人体にまだ影響がないからOK」が酷い。その酷さをわかりやすく:ざまあみやがれい!

被ばくと健康被害の科学的な因果関係は認めることが難しい。

つまり、今後数十年、被ばくした福島原発の作業員に健康被害が出たとしても、科学的な根拠が見つけられないため、政府は被ばく者認定をしないことを示している。

『2.事故後、清掃作業に従事した方』の被ばくの実態の比較のうさんくささ

19 PM)

『2.事故後、清掃作業に従事した方

*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。

*福島では、この部分はまだ該当者なし。 』

1でも先述したように、被ばくによる健康被害は科学的に実証することが難しい。そのため、20年以上をかけた研究発表では、健康に影響がなかった、としている実態がある。

『ウクライナ犠牲150万か チェルノブイリ原発事故

【モスクワ24日共同】23日のタス通信によると、1986年に旧ソ連ウクライナ共和国で起きたチェルノブイリ原発事故の被害者でつくるウクライナの「チェルノブイリ身体障害者同盟」は、事故に関連する同国内の死者が150万人以上に上ったとの調査結果をまとめた。事故発生から19周年となる今月26日を前に公表した。 調査によると、事故で被ばくした人はウクライナ国内で約350万人で、うち120万人が子供だという。ロシア政府によると、同事故による隣国ロシアでの被ばく者は145万人に上っている。2005/04/24 12:49 【共同通信】http://www.47news.jp/CN/200504/CN2005042401003588.html

情報元:痛いニュース(ノ∀`) : 「チェルノブイリ周辺の被曝住民、健康に影響なし」「福島はもっと低いので放射線の影響なし」…首相官邸が発表 - ライブドアブログ

研究には時間がかかるため福島でまだ該当者がいないのは当たり前だ。そして、時間をかけても政府は、該当者を、残念ながら認めないだろう。

『3.周辺住民』の被ばくの実態の比較のうさんくささ

34 PM)

『3.周辺住民

*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10〜20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに 15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。

*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。』

問題の箇所だ。チェルノブイリでは、子供たちが6000人手術をして現在までに15名が亡くなっているそうだ。これを長瀧重信氏と佐々木康人氏は例外としている。

28 AM)6000人が小児甲状腺癌で手術をしていることを例外とみなすことを皆さんはどのように考えるだろうか。6000人の子供たちが喉を切る手術をすることを例外とみなすのはいかがか。これを聞いて、お子さんを持つよの親御さんたちはどのような気分になるだろうか。

 

次に進もう。

締めの文『各論を具体的に検証』ができていない胡散臭さ

46 PM)

『一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。

繰り返すが、日本の福島原発事故は現在進行形だ。比較するチェルノブイリ事故資料は20年以上の研究結果だ。しかも、被ばくによる健康被害は、科学的には実証されないという結果が出てしまっている。このことを踏まえると、

「各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。」

と、みなした彼等の判断こそが、曖昧なものであることが明らかだ。

そんな曖昧な判断を下した御用学者は以下の2人だ。

東大出身の御用学者2人のうさんくささ

39 PM)

『長瀧重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前 放射線医学総合研究所 理事長) 』

この2人は東京大学出身の、原子力推進側の御用学者だ。東京大学という最高学府で学んだ研究者はみな、上記のような素人にもわかる曖昧な根拠で、政府に加担しているのはいかがだろうか。

以上、大雑把ではあるが、政府の発表のうさんくささについて論じた。

世界に冠たる京都大学の反権力・研究者集団よ、たちあがれ。

京大の偉大な研究者たちの科学的な検証をおりまぜた猛反論に期待する。これは研究者の良心の戦いだ。道徳的正義心を持つあなたたちこそが、今後の日本の未来を作り出すと期待する。たちあがれ京大諸君。

追記.2011.4/17.20:26)

長瀧重信氏の過去の発言に、興味深いものがあったので引用する。

原爆被爆者に白血病やがんが多いということは疫学的調査で認められています.しかし、チェルノブイリ事故では子供の甲状腺がん以外に、白血病やその他のがんが増えたということは証明されていません.証明されていないものは否定できるのかと言うと、それはできません.科学的に証明されたということはできるけれども、証明されなかったということは無いということではありません.ここをよく理解しないといけません.例えば、チェルノブイリの事故で白血病が増えたということは認められないという結論が20年後に出ました.しかし、白血病が増えないとは言っていません.裁判では、ある被爆者の病気が被曝の影響であることを完全に否定できないから認めるという可能性があるのです.

カフェ・デ・サイエンス(第27回)レポート

科学的に白血病が増えたとは認められないという結論は、白血病が増えないとは言っていない、と長瀧氏は主張する。つまり、福島原発事故から10年後、科学的には解明できない白血病が増えるおそれがある。

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