04 PM)

昨日NHKの教育番組ETVでドキュメンタリー「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~」が放送された。その中で、筆者のブログで報じた事実、原子力安全委員会は20ミリシーベルトを認めていない、ことが伝えられた。その後検索でこのブログの記事にたどり着いてリツイートが繰り返されていた。

だが、その記事の、もう一つの重要な事実が報じられていない。それは文部科学省が設定した20ミリシーベルトには、食品や水からの内部被ばく線量が含まれていないという事実だ。


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その記事はこちら。

原子力安全委員会「20ミリシーベルト認めてない」文科省「食品からの被ばくは入っていない」(文字おこし)

だが、このエントリーで述べた、もう一つの重要な事実が報じられていない。それは文部科学省が設定した20ミリシーベルトには、食品や水からの内部被ばくの線量が含まれていないという事実だ。

文部科学省が認めた箇所を上記のエントリーから引用する。

内部被ばく上限の数値に、食品からの被ばくが考慮されていない事が判明

次は、内部被ばくの計算に食品からの被ばくは入っているかについて。

奥から1番目の男の表情に注目だ。

ーーーーー

45 PM)

文部科学省「吸い込んだとして、それが、えー、まあいいや、吸い込んだ人にどれだけの被ばくを与えるか。何シーベルトになるのか計算をして、で全体の外部被ばくと内部被ばく、あわせたうちの訳2パーセント、平均でですね。程度になると…」

(と、20ミリシーベルトについての文部科学省の官僚の説明が続いているところに……)

15 PM)

質問「食品は入ってますか?」

(という参加者の市民の質問が差し込まれた。すると……。)

09 PM)

文部科学省「食品は…」

(マイクを持つ男が、すかさず奥の男をみる。奥の男が目で何かを伝える。)

04 PM)

文部科学省「入っておりません」

(この後、会場はざわつく)

ーーーーー

このやりとりで、20ミリシーベルトには、食品からの被ばくを計算に入れてないことが判明した。文部科学省役人たちの顔がひきつっている。

子どもの年間20ミリシーベルト被ばくを許容する責任者、文部科学大臣・高木義明と原子力安全委員会委員長・斑目春樹はどう思うか。

すでに、部下はさじを投げ始めている。

(参考動画)

被ばく上限20ミリシーベルトに食品は含まれていない。

これは一体どういう事か。

文部科学省は、被ばく上限を20ミリシーベルトに設定した。そして、子供たちの被ばく線量を計測して管理していく方針だ。どういうやり方をするのか。学校の先生に線量計を持たせて、計るというものだ。これで大丈夫だと文部科学省は主張していた。

この20ミリシーベルトの見直しが、日本医師会をはじめ、世界中から要求されている。それだけこの被ばく上限20ミリシーベルトは、危険な設定だ。

加えて、上記の引用箇所のやりとりで、食品から摂取した内部被ばくは考慮されていないことが判明。20ミリシーベルトという数値は、ずさんな決められ方をしている。

空間から年間20ミリシーベルト以内の被ばくに抑えたとしても、食品から摂取したものを含めると20ミリシーベルトを越えるおそれがあるということだ。

乱暴に、被ばく線量を想定してみるとこうなる。

空間線量からの被ばく…18ミリシーベルト

食品からの被ばく…5ミリシーベルト

合計…23ミリシーベルト

20ミリシーベルトを越える想定が成り立つ。

これを文部科学省は想定せずに、空間線量からの被ばく上限20ミリシーベルトを設定していた。

なぜ20ミリシーベルトに文部科学省は決めたのか、おさらい

文部科学省は、ICRPが設定する、年間被ばく線量「1ミリシーベルトから20ミリシーベルト」の上限の数値20ミリシーベルトを「安全」のために基準にした安全を取るならば1ミリシーベルトを基準にするべきと多くの人が思っている。

この下限の1ミリシーベルトと上限の20ミリシーベルトについて、武田邦彦氏は次のように説明している。

武田邦彦 (中部大学): 1ミリと20ミリ・・・ICRPは何を言っているのか?

『ICRPの勧告にはっきり書いてありますが、低線量率の確率的影響のリスク係数は、ガンと遺伝的影響の合計で、1000人に5.7人、成人は4.2人としていて、明示されていませんが、20才以下の人のリスク係数は8.7人で、成人の約2倍になっています。』

『1ミリ:被ばくした個人に直接的な利益はないが、社会にとって利益があるかもしれない状況

20ミリ:個人が直接、利益を受ける状況に適用

・・・

つまり、1ミリは「個人に直接的に利益がない」けれど我慢する範囲で、20ミリは「個人が直接的に利益がある」ということだ。

1ミリに比べて20ミリは、ガンの危険性が20倍になる.でも、それを越えるような「利益」が「個人」にあれば、政府は20ミリを認めて「国民を被曝の危険にさらすことができる」という理由になる。

このことが、日本ではほとんど言われていない。単に「緊急時だから我慢しろ」とだけだ。でも、ミスをしたのは東電と政府だから、それを「我慢しろ」と言われてもダメだ』

少し複雑だが、更に簡単に説明するならばこうなる。

1ミリ…被ばくしていても、個人は社会のために我慢してくれ。ということ。

20ミリ以上…社会のために個人が我慢する場合ではなく、逃げろ。ということ。

つまり、年間1ミリシーベルト以上の被ばくは、「逃げろ」の意味合いが強くなっていくということ。

2ミリは1ミリの2倍のがんの危険性。4ミリは1ミリの4倍のがんの危険性。20ミリは1ミリの20倍のがんの危険性がある。

さらに放射性ヨウ素131が引き起こす甲状腺癌のリスクは、男より女のほうが高く、大人より子供のほうが高い。

国民の平均値で考えると、子どもと女性のリスクが高まる。

このブログの過去のエントリー「福島県、爆発翌日SPEEDIデータを隠ぺい。県民を被ばくさせた罪は重い」からチェルノブイリ事故後のデータと説明を引用する。

チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がん手術者数

ではどれくらい危険なのでしょうか。チェルノブイリ事故後の甲状腺癌を参考にしてみる。

「チェルノブイリの事故後のウクライナとベラルーシの甲状腺ガンに関する報告書」(PDF資料)(情報元:きっこのブログ

 この資料の中に、男性と女性の、甲状腺癌の手術者数が、年代別、そして時代ごとに示されている。

まずは男性のデータ。

03 AM)

チェルノブイリ事故は1986年。青の四角で囲った部分が、チェルノブイリ事故後4年から7年後の手術者数を表している。事故当時1歳から20歳だった男性の手術数が激増している。その後もどんどん増えている。

次は女性の手術者数の統計だ。

58 AM)

男性と比べて、幅広い年齢の人が手術を受け、しかも手術数が多いことがわかる。

この2つの表から私たちが知るべきことは、

・4年後から甲状腺癌の手術数が増加し続けること。

・男性より女性の発病が多く。大人より子どもが発病する傾向にある。

・事故から20年以上後も、手術数は増えている。

・事故後に生まれた人も、手術をしている。

ことだ。

ただ、これはチェルノブイリの事故後の統計だ。放出された放射性物質の量には違いがあるが、福島原発事故後の、甲状腺癌の発病リスクを考える上で参考にできるだろう。

あくまで放射性ヨウ素131が引き起こす甲状腺癌に関するデータであることを念頭に、参考にしていただきたい。

また、東大の放射線治療チームは、この男女差、年齢差について考慮するという姿勢が見られない。

team nakagawa : 福島訪問──その4 対策に対する提案

『国 際放射線防護委員会(ICRP)レポート111の解説に記載したように、“線量の管理”を行う際には、ある地域における「平均的な個人の振る舞いとその被ばく量」を想定し、対策を立てることは適切とは言えません。個人や生活習慣が似ているグループ毎に行われるべきです。その理由には、屋内外に滞在する時間 の違いや放射線量の局所的な汚染の分布、食生活の違いなどが挙げられます。』

集団の平均値で判断した場合、放射性ヨウ素131が影響する甲状腺癌のリスクにおいては、子どもと女性が損な役回りとなる。

これを、世のお父さんはどう考えるのか。

また、甲状腺癌のリスクを高める、放射性ヨウ素131に関して、不穏な動きが。

小出裕章氏が最近次のように言及している。

5月11日 避難はしてほしいが 小出裕章 « 小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ

『・(3号機の使用済み燃料プールの水の汚染の話。セシウムとヨウ素の量を比較すると、ヨウ素が多すぎるということだったが?)今朝新聞で数字を見た。若干 ヨウ素131の量がセシウム137の量より多いように思われるが、運転履歴によっても変わってくる。現在の数値だけで核分裂反応が起こったと断定すること は今の段階では控えたい。もっと詳しいデータがあれば答えられる。』

なぜか、3号機の使用済燃料プールの汚染に、ヨウ素131が多く含まれている。ヨウ素131の半減期は8.1日。減っていく一方であるはずだが、増えているという。増えているとするならば、核分裂反応が起こったと想定される。

長くなったが、皆さんのご意見を賜りたい。

houshanouosen

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