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NHKのドキュメンタリー「被曝治療83日間の記録~東海村臨界事故~」を数回に分けて文字に起こした。東海村JCO臨界事故は、ずさんな管理体制が原因で、作業員が臨界による中性子を至近距離で直接受けた事件だ。第一回目は、作業員の全身の遺伝子が破壊され、皮膚の再生ができなくなった様子、苦しんでいる様子、治療に当たっている看護師や医者の記憶を、生々しく描いている。



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(文字おこし、はじめ)

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最も多くの放射線を浴びた、大内さんの右手です。この時は、少し赤く腫れているだけでした。jco02

事故当日、大内さんは会社のマニュアルに従って放射性物質を扱う作業を進めていました。

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バケツを使って、ウランを濃縮する作業でした。臨界が起きる可能性については、全く知らされていませんでした。

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同僚がバケツでウラン溶液を注ぎ、大内さんはロートを右手で支えていました。

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7杯目のウラン溶液を注がれたとき、突然青い光が走りました。核分裂が連続する臨界が起きたのです。

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放射線が大内さんの細胞の染色体を直撃しました。

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染色体は、全ての遺伝情報が収められた人体の設計図です。それぞれ番号が決まっていて、順番に並べることができます。

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しかし、放射線に直撃された大内さんの染色体は、並べることもできませんでした。断ち切られ、別の染色体とくっついているものもありました。染色体が破壊されたことは、今後新しい細胞が作られないことを意味します。

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被爆した瞬間、大内さんのからだは、設計図を失ってしまったのです。

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【無菌治療部 医師 平井久丸さん】

「染色体がそういうダメージを被っていますから、そこから推測されることは、おそらく肝臓の細胞、あるいはそういう腸の粘膜の細胞、そういったものがですね、すべてダメージを受けていて、おそらくその細胞は再生をできないんではないか。 」

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染色体が破壊されたことによって、最初に異常が現れたのは、血液の細胞でした。中でもからだを守る働きをする白血球が、急激に減少していました。ウイルスや細菌に感染しやすい極めて危険な状態でした。

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感染を防ぐため、大内さんは無菌室に移されました。白血球の数は、健康な人の十分の一にまで減少していました。

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前川医師達医療チームは、治療方針を検討しました。唯一の治療方法は、白血球を作る細胞を移植することでした。

移植を行うためには、大内さんと白血球の型が合う人が必要でした。一致したのは、大内さんの妹でした。

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この血液成分を分離する装置を使って、直ちに妹から採血が行われました。その中から、白血球を作る細胞が取り出されました。

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採血には2日間、合わせて9時間あまりかかりました。

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妹の細胞が、大内さんに移植されました。今後の病状は、妹の細胞が大内さんの体内で白血球を作り出すかどうかにかかっていました。結果が出るのは、10日後でした。この頃、大内さんは、面会に訪れた家族や看護婦達と会話を交わせる状態でした。

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「どういういきさつで結婚されたんですか。高校のころからの知り合いで、結構長く7年位つきあいがあって結婚したって聞いていて、で、ああ、えぇーっていう風にそういうラブラブな大恋愛で結婚したんですねっていうそういう話をしました。 」

前川医師は、大内さんの病状や治療について毎日欠かさず家族に説明していました。

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説明が行われた応接室です。

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「今後予想される病状の悪化についても、率直に伝えました。 まぁ家族の方々には少なくとも毎日毎日見ていただいて、で、真実を受け入れていただくという努力はしました。決してあのう、きれいごとではなくてですねぇ、やっぱり、ええ、そのすごい放射線による障害ですので、見た目にもやっぱり大きな変化が起こりますから、それはそれなりに真実として受け入れていただくように、毎日毎日見ていただいてましたけどね。 」

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放射線障害は、からだの表面にも現れました。一週間を過ぎた頃から、治療用のテープを剥がした跡が消えなくなりました。

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「最初は、あの普通にテープとか使っていたんですけれども、テープを貼ったところが全部そのままテープを剥がすときに皮膚がくっついて取れてしまうっていうのがどんどん酷くなって、最終的にはテープは1ヶ所も使えなくなりました。 」

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健康なとき、皮膚の細胞は盛んに分裂して、新しいものに置き換わります。しかし、放射線を浴びた大内さんの皮膚では、新しい細胞が出来なくなりました。

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古い皮膚は剥がれ落ちていきました。

皮膚に走る激痛、感染との闘い。肺には水が溜まり、呼吸が困難になり始めていました。

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看護記録に記された大内さんの言葉です。

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呼吸を助けるため、器官に管を入れて、人工呼吸器を付けることが検討されました。それは、家族と言葉を交わせなくなることを意味していました。面会に訪れた奥さんに、大内さんは語りかけました。

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「大内さん、たぶんその頃はすごいからだのだるさとかが出てきていて、お話しするのもたぶん、あの、それこそお話しするのも力が要るっていうそういう感じだったと思うんですね。それでもなんかこう、ちょっと優しい口調で、少し笑いながら、あの奥さんに愛してるよっておっしゃってて、でもそういうのがあの伝わってくると、あの、私達は辛いですよね。私達は確かにわからないって言っても、大内さん、これから状態が悪くなるっていうのは想像はできることでしたし、あと大内さんももちろん、ん、少しは知っていたと思うんですね。悪くなるであろうということも。その中で、家族にそういうことを伝えたということが、大内さんはどんな気持ちで奥さんにその一言を・・・

(文字おこし、ここまで、以下のエントリーに続く)

このエントリーは有志の方にお手伝いいただきました。ありがとうございました。

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(続き、など、関連エントリー)

妹の白血球細胞が定着も、再び染色体損傷。全身の皮膚がなくなり血液が染み出す……ドキュメンタリー「被曝治療83日間の記録~東海村臨界事故~」【動画&文字おこし2】

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