57)

この画像を見て胸騒ぎがしない人がいるだろうか。

海江田経済産業大臣がわざわざ赴いて、稼働をお願いした玄海原発。だが佐賀県知事は稼働に慎重な姿勢をみせている。

それもそのはず。ここに一つの動画がある。玄海原発が全電源を喪失したと想定した訓練を報じた報道番組の動画だ。

見れば見るほど玄海原発に不安を抱かせる出来栄えとなっている。海江田大臣がこれを知って「玄海原発再稼働OK」とみなしたなら、彼の眼はどうかしている。ひょっとして海江田大臣は視力を喪失しているのかもしれない。

(動画:約1分)

動画では、全電源喪失を想定した訓練、と銘打った訓練だ、だが役に立たない訓練であることが十分理解できる内容となっている。動画を見ていただければ一目瞭然だが、以下、その酷さを解説していく。

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54)

報道の冒頭。

アナウンサーの不安げな顔に胸騒ぎがする。アナウンサーの自信をも喪失させる「全電源喪失想定の訓練」とはいったいどのようなものだろうか。

左上のホースで放水している画像が、更に不安をかきたてる。人間がホースで水をかけるこの様子はいったい何の訓練なのだろうか。私が想像する「全電源喪失想定の訓練」にはこのようなのどかな風景はない。

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50)

●動画ナレーション「福島第一原発の事故を受けた訓練。九州電力と関連会社80人が参加しました。」

玄海原発は、全電源喪失の際に、80人の人数で対処できるという見通しのようだ。玄海原発に関わる職員は、スーパーマンなのかもしれない。

さらに、防護服の着用もしていない。

防護服の着用をするほどの時間もない緊急対応の訓練なのだろうか。まさか、防護服も全喪失したと想定しているのだろうか。

だとしても、ピリっとしていない。しかも彼等が集まっている場所は、次ような場所なのだ。

41)

42)

このように、原発の原子炉建屋(右側)のとなりにある建物の正面なのだ。どうやら、この建物の正面のスペースは神の力で守られた絶対になくならない場所のようだ。

全電源喪失はどのようなときに起こるのだろうか。

福島原発事故の際は、地震によって電源を送る鉄塔が倒壊して全電源喪失が起き、そののちに津波があたり一面に押し寄せた。

玄海原発の全電源喪失はどのように起きるのだろうか。この訓練風景を見る限り、自然災害もなく、突然、全電源喪失が起こるとしか考えられない。繰り返す。

玄海原発は自然災害も発生しないのに突然全電源喪失が起きるという想定をしている。

玄海原発は、なかなかに壊れやすい原発だ。

もし自然災害がおきてからの全電源喪失を想定した場合は、このような場所に80人が集合することは出来ない。

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20)

●動画ナレーション「まず最初に1キロほど離れた保管場所から移動させた電源車を使い非常要電源ケーブル接続の確認をした。」

福島原発の事故の際は、1キロほど離れた保管場所から移動させた電源車を用いて非常用電源ケーブル接続は不可能だった。

だが玄海原発の全電源喪失想定訓練は、1キロ程離れたところに電源車を保管していると報じている。また電源車の保管場所が高台であるとは報じていない。もし電源車が平地に保管されている場合、地震や津波で、1キロほど離れた保管場所に被害がある可能性が大きい。

大丈夫か。

しかも、電源車のタイヤが小さい。

普通のトラックに使われているタイヤと、同じタイヤなのではないかと胸騒ぎがして仕方がない。そんなタイヤで災害が起きた場所を移動してこられるのだろうか。

だが、彼等はこれを全電源喪失を想定した訓練だとしている。だとするならば、私はこの電源車になにか特別な機能があるのではないかと思わずにはいられない。

ひょっとすると、この電源車は空を飛べるのかもしれない。ならばタイヤが普通のトラックのタイヤと同じでも問題はない。

いや空を飛べる機能があったとしても、もし地震や津波の被害があれば壊れてしまい使いものにならないだろう。

そもそも全電源喪失は、それが起きるほどの自然災害があることが必須条件だ。その自然災害を念頭に入れた訓練ではないことが明らかだ。

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57)

24)

●動画ナレーション「次に移動式ポンプによる冷却水供給訓練を行いました」

あまりに小さいポンプ。このポンプの性能について筆者は詳しくは知らないが、よほど凄いポンプなのだろうか。これで全電源喪失という原発が想定する限り最悪レベルの状況に対処できるのだろうか。

さらに何故か、高いところから道路への放水訓練。冒頭でチラリと目に入ったホースによる放水はこれか。

いったい何を想定してやっているのか、首を捻らざるをえない。何も無い道路に向かって高いところから放水。そこに燃料棒はないぞ。

ほんとうに大丈夫なのか、玄海原発。

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58)

●動画ナレーション「この後計器類や監視装置が集中する中央制御室の運転操作訓練が行われ職員が一連の流れをチェックしました。訓練は国の緊急安全対策の指示を受けたもので玄海原発4基で同時に行ないました。訓練は停電で冷却装置が機能不全に陥った福島第一原発の事故を踏まえたものです。」

停電で冷却装置が機能不全に陥った場合、メルトダウンは数日中に起きてしまうことが明らかになった。この無防備な職員たちは被曝するおそれがある。

なぜ防護服を着用した上で訓練しないのだろうか。訓練は実際に想定した事故が起きたときにパニックにならないことを防ぐ意味もある。だからこそ、想定した事故が起きたときの対処と同じように行う必要がある。もし防護服を着て訓練し、不都合があった場合、それをフィードバックする必要もある。

中央の人物が、妙に腰を入れて気合が入っているように見える。気合は必要だが、防護服のほうが必要だった。

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●動画ナレーション「今週中にも対応手順を定めた報告書を国に提出し、国は4月末までに妥当かどうかを検査します。」

国はどう判断したのだろうか。海江田大臣は玄海原発の稼働にOKを出し、実際に現地でお願いしたほどだが、この「全電源喪失訓練」は実際の事故への想像力が欠如しており、訓練とは呼べないと筆者は断言する。

素人目にも明らかだ。

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佐賀知事「理解できた」…玄海原発再開前向き : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

『佐賀知事「理解できた」…玄海原発再開前向き

 九州電力玄海原子力発電所2、3号機(佐賀県玄海町)の運転再開問題で、佐賀県の古川康知事は29日、海江田経済産業相との面会後に開いた記者会見で、玄海原発と政府が停止させた中部電力浜岡原発の違いは理解できたと説明。

 「安全性についてはクリアされた」と述べ、再開に前向きな姿勢を示した。

 古川知事は「(海江田経済産業相から)危ないところは政治がとめる、安全なところは政治が動かすという言葉をいただいた。浜岡と玄海の違いは理解できた」と話した。古川知事は再開条件として、安全性の確認、県議会の議論、立地町の意向の3点を挙げていたが、安全性の確認と立地町の意向の2点はクリアしたと語った。

 ただ、「今日をもって玄海原発の再起動容認ではない」とした上で、「菅首相の真意を確かめたい」と言及。県議会の動向が課題になるとの認識を示した。
(2011年6月29日16時41分  読売新聞)』

佐賀県知事・古川康氏は脳みそを喪失しているのかもしれません。

いろいろ喪失してる佐賀県ですが、ブラックジョークだけは一級品のようです。

ーーーーー(追記)

コントの世界から皆さんを現実世界に引き戻すために、コメントを転載いたします。

『 私の父親が石炭や液化エチレンなどを運ぶ貨物船の乗組員でして、防護マスクをつけて仕事したことがあるそうです。それで樋口健二「闇に消される原発被曝者」の(防護マスクをつけた溶接作業員の)表紙写真を見せて解説したら、「自分がやったときは、連続15分も作業できない。防護マスクのフィルターが詰 まってしまって息が苦しくなる。とても連続1時間で作業などできない。」と言っていました。最悪の事態を想定するなら、訓練に参加する作業員全員に防護マ スクも含めてC服(最も厳しい防護服の形式、堀江邦夫「原発ジプシー」に図あり)を着せてから訓練させるべきです。
 あと、放水作業ですけど、九州中、いや西日本中の消防士を集めて訓練させないと納得できませんよ。福島第一原発じゃあ消防庁のハイパーレスキュー隊とかいうのが出動させられたそうじゃないですか。

※父によると、防毒マスクに2つ口があるのは1つだけだとそれが詰まったら呼吸ができなくなるから余裕を持たせて2つ口があるのだそうです。』

皆さんは、コントの世界と現実、どちらを選びますか。

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