13)

私から言わせれば、古川知事の抗議が「なぜ今なのか」です。この人は政治家としてのパフォーマンスが決定的に下手くそです。これでは地元住民の支持を得られません。

昨日、2011年7月6日、政府が「EU方式ストレステスト」の実施の発表をしたことで、佐賀県知事・古川康氏、玄海町長・岸本英雄氏、そして、政府要人の間で馬鹿げたプロレスが行なわれています。

●なぜいまストレステストなんだ!

というのが佐賀県知事と玄海町長の言い分なのですが、ちゃんちゃらおかしいわけです。なぜなのか。


ここまでの彼等は以下のような振る舞いをしてきました。

●海江田経産大臣は、住民の安全性を最大限考慮した安全対策をしないまま再稼働OKを伝えた。

●佐賀県知事と玄海町長は海江田大臣の思惑を知った上で、何も考えず、海江田経産大臣の発言にのっかった。

もしここまでで、玄海原発の安全対策を十分に考慮して、経済的な側面より住民の安全を優先していれば、当然「再稼働にNO!」だったわけです。

佐賀県知事は、突然のストレステストの発表を受けて、官邸に乗り込んで抗議しましたが、残念ながら抗議のタイミングは今ではなかった。

抗議するとすれば、国が玄海原発再稼働OKだとみなしたタイミングでした。そこで一発強烈に怒っておけば世論をバックにつけて国と交渉を進められました。

●「玄海原発再稼働OKの根拠がわからない!なぜいまなのか!国はどうなってる!」

と猛烈に怒っておくべきだったのです。

ところが、今回本当に頭に来て官邸に乗り込んだわけです。つまりは玄海原発の再稼働がOKだと国から言われたときは、自分に都合が良かったわけで、本気で怒れなかったわけです。政治家ならばポーズでも、再稼働OKの時に滅茶苦茶に怒っておくべきでした。パフォーマンスの点で言えば、大阪の橋下知事は古川知事より遥かに優秀です。

橋本氏は住民が怒るまえに怒りを表明できるなかなか稀有な人材です。時々住民がさっぱり怒っていないのに怒り狂う時があるのはご愛嬌です。

玄海原発が安全だと言えない理由は以下のエントリーで先日まとめました。

7/8住民説明会で追及すべき「玄海原発の闇」総まとめ。再稼働を防ぎたい全ての人へ。

そして、昨日、突然ストレステスト実施が発表されてしまった。ここで露呈したのは、

●国も県も立地自治体も住民の安全を考えてなかった。

ということです。

おそらく佐賀県知事と玄海町長は次の感想を持ったはずです。

「住民の安全は二の次ということを黙認して、国の言うことを聞いたのに、逆に国から「やっぱお前ら住民の安全のこと考えてないから、ストレステスト実施するわ」って言われるなんてどういう踏み絵だよ。卑怯だよそんなの」

住民の安全を最大限考慮しなかったという3者の恥が露呈してしまったわけでこれはなんとも恥ずかしい状況です。彼等は顔を真赤にして怒ったわけです。

人間が顔を真赤にして怒るのは、

●ウソをついているとき

●上下の立場をはっきりさせようとするとき

です。

最初から住民の安全を最重要事項として掲げていれば、このタイミングでストレステストを発表されても、変な怒り方をしなくて済んだわけです。

「当然だ。徹底的にストレステストをやれ。お前らがいうような曖昧なストレステストではなく、日本中から専門家を呼んで厳しくやれ。」

と世論をバックに国をリードできたはずなのです。このようにぶれずに発言を続けていれば自治体として信用を得られていたはずなのです。国がぶれたからこっちもブレてもしょうがないわ、という目先の事しか考えられない自治体が企業を誘致してもやはり来ないのです。

ですが残念ながら佐賀県知事と玄海町長は、それが出来なかった。当たり前の最優先事項「住民の安全性の確保」を徹底的に主張できなかったわけです。残念なことです。

●国からはしごを外されてかわいそう

と同情する意見も当然ありますが、筆者は同情できない。なぜか。やはり、そもそも、

●住民の安全を最優先に考えてなかった、という取り返しが付かない大きな失点

があるからです。

特に、玄海原発の立地自治体、玄海町の長、岸本英雄氏は、九州電力を批判できない見苦しい男、玄海町長・岸本英雄、でも書きましたが、九州電力から利益を受けているとみなされてもおかしくない

「本当に苦しい決断だった。原発再稼働による経済的なマイナス面も十分に検討した。それでもこのままでは、私には住民が安全に生活できるとは断言できなかった。だから再稼働に了解とは言えない。しかし政治家生命をかけてエネルギーを確保することに努めていく決心だ。電力会社には大変なご苦労を掛けると思うがご協力いただきたい。もちろん国にも原発の安全性に対するこれ以上の施策を要請する」

と最初から言っておけばよかったわけです。これを言われれば住民からは大きな不満は出ません。そして市民の世論をある程度バックにつけながら電力会社に最大限の協力を要請することができたはずなのです。

これを主張しておけば、とりあえず大きな失点をせず国と交渉できたわけです。しかしつい慌ててしまった。この慌てることがこれまでの原子力政策の性質でもあります。

原子力の歴史は「慌てる」歴史なのです。

●廃炉について考える前に原発を作った。

●核廃棄物の処理方法を思いつく前に原発を作った。

などなど慌てまくってきた歴史なのです。

話を戻しますと、福島原発以降の世論の大きな変化を、佐賀県知事と玄海町長は甘く見ていたということでしょう。私の言っていることは結果論ですが、とっくに同じことを主張している原発立地地域が存在しているわけで、決して想像不可能な結果ではなかったわけです。

苦しいから楽な方を選ぶか、苦しくても今の苦しさを受け止めて前に進むか。

名誉か金か。

この2つが政治家の職業的良心です。

金だけを手にしても、住民は付いてきませんし、名誉だけを手にしても、利益を追求する団体は付いてきません。

玄海原発が再稼動しなければ金を失います。住民の安心した生活を確保しようとしなかったことで名誉をうしないます。

そしてここに来て、佐賀県のお膝元で

●九州電力が、住民説明番組へのヤラセメールを指導

という最低な不祥事が発覚しました。

これは以前からしんぶん赤旗で主張されていたことです。優秀な政治家ならばこれに対して慎重かつ厳粛な態度で望むでしょう。慌てたおろかな佐賀県知事はこれについてスルーしてしまいました。脇が甘かったわけです。

●佐賀県知事は、九州電力のヤラセ疑惑に目をつぶった

佐賀県知事・古川康氏は、政治家としての資質が決定的に欠落しています。

そして、玄海町長の岸本英雄氏は更に酷いです。

玄海町長・岸本英雄氏は、九州電力のヤラセが確定しても九電を批判しなかった

このような自治体長を抱える住民の皆さんはさぞ歯がゆいことでしょう。過疎に拍車を掛けるのは無能な自治体長の振る舞いが原因かもしれません。

こうして佐賀県知事・古川康氏と玄海町長・岸本英雄氏は、金も名誉も失ってしまったのです。

国のせいにして言い逃れできると思わず、心から反省し政治家として脇が甘かったことを謝罪し、住民の声に耳を傾け進退を考えていただきたいと思います。筆者はやみくもに彼等を責めたいわけではありません。進退を真剣に考えることは、優れた政治家にとってあたりまえの考え方だと思うからです。