yanbadamu2011年9月15日(木)、詩人で作家のアーサー・ビナード氏が文化放送「吉田照美 ソコダイジナトコ」に出演し、「八ッ場ダム」をめぐる新しい動きについて批判しました。

原発、沖縄、八ッ場ダムに共通の利権構造と自治体の願いについて、指摘しています。

それにしてもアーサー氏の権力を監視する能力ってすごいですよねえ。

音源
『ソコトコ』9月15日放送分<アーサー・ビナード氏の3>
http://youtu.be/IBK7bcB_424

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

吉田「それでは今朝のニュースのポイントです。」

アナ「国土交通省関東地方整備局が、一昨日、八ッ場ダム建設の是非について、利根川水系の治水・利水上、ダムを建設する案が最も望ましいとする評価報告案を示したことを受け、藤村官房長官は昨日、建設の是非についての最終判断は、野田総理を始め政権首脳が参加する政府民主三役会議で行う考えをしましました。八ッ場ダムをめぐっては、利根川流域の一都五県の知事が建設を強く求めており、判断が注目されます。」

吉田「えーということで、東日本大震災、それから原発事故、増税論議の陰に隠れていたそのダム問題がまたこれ唐突に表に出てきた感じがあるんですけど。前からこの八ッ場建設の問題に非常に強い関心を寄せてましたアーサーさんですけど。ここ数日の動きに関してはどういうふうにお考えですか?」

アーサー・ビナード「あのー、なぜこのタイミングなのかってみんな思うかも知れないですねえ」

吉田「たしかにね」

アーサー「ええって思うかも知れないけど。逆に言うとね、このタイミングしかないですよ。このタイミング狙ってた。もうこのタイミングで来たっていう感じですね。あの、震災と原発事故に対応があまりにもその対応が大きな課題なんだけれども。それでみんなちょっと忘れてるんだけど。通常ならもう来年度予算の概算要求が、どうしたこうした、って今、言い始める時期なんだよね」

吉田「なるほど」

アーサー「で、来年度予算に工事費を盛り込みたい建設推進派、にとってはもうこれ以上遅くできない。ここでやんなきゃ」

吉田「どさくさにまぎれてみたいな」

アーサー「どさくさ。そう、最近、なんかこうどさくさに紛れて、っていう日本語がちょっと時代遅れになってる気がして。」

吉田「そうですねえ(笑)」

アーサー「どさくさを狙ってっていう。もう。英語では、ショックドクトリンっていう言葉があって。要するに大きな災害とか大きなショッキングなことが起きると、今までずっとやりたかったことを、ここぞと上手く狙って利用して、色んなことを通しちゃう。どうも日本も全く、そういう感じになってんだよね。で、大臣も変わったばっかりだし。このどさくさがいいわーっていう。そういう感じで政治が混乱しているタイミングを狙って、グッドタイミング。」

吉田「そういうことなんだ」

アーサー「しかも原発を、どう、使おうか。どううまく利用するかっていう、そのしたたかな計算もあって」

吉田「巧妙だねえ」

アーサー「だって、す、原発が駄目なら水力みたいな、そういう流れ。ところが八ッ場ダムは、発電するダムじゃないし、あそこでダム作ると下流の方のダムの発電力が、そがれる。だから全然電力供給に関しては、八ッ場つくっちゃいけない。」

吉田「ということなんだね。これ唐突な感じで評価報告案が出てきたことに関してですね。その元国土交通大臣の民主党の前原政調会長が非常に不快感を示したりしてってのが結構ニュースでも紹介されてますけど。」

アーサー「そうだね」

吉田「この評価報告案自体に関してはアーサーさんはどういうふうに捉えてますか?」

アーサー「前原さんが言ってることは、間違ってないと思うんですけど。ただ前原さんには言う資格はないですね。でもいつもの前原さんよりは少しましなんだよね。普通は言う資格はなくて言ってることは間違ってることが多いんだけど。今回は言う資格はないけど、言ってることは間違ってない。

であの、その建設問題をね、どうするかっていうことが問題なんだよね、本当は。そもそもこのダム、この、もう大昔、誰か利権狙って、こう計画したとんでもないダムが、ほんとうに必要なのかどうかっていうそこを議論しなきゃいけないですね。

だけどマスコミは何をやってるかというと、前原さんが言った。群馬の県知事がこう言った。みんな不快感を示してるって言って。ぐるぐるぐるぐる、そこで、ぐるぐるぐるぐる回してれば本質はみんなに見えないかなって、そういうカラクリだと思うんですね。

そもそも、あの必要なのは、このダムの代替案ではなくて治水利水がどの程度必要なのかって検証なのね。それをやるべき、やらなきゃいけなかったんだよね。それが検証って。

ところが日本の一般市民が使ってる検証っていう言葉の意味と、永田町で使ってる言葉の意味が違うんだよね。永田町でいう検証っていうときは、あの、アリバイ作りの茶番劇をやるっていう事なんだよね。でそれをどうも今回も、そういう、検証になってるらしいんですね。

あの、この八ッ場ダムはいらないです。もう時代遅れだし。あの有害だし。もう全く勘違いしてるんだっていうふうにずっと主張してる市民団体があって。僕もニュースレターが来るし。会に参加したこともあるんだけど。『八ッ場あしたの会』っていうんですね」

吉田「そういう市民団体があるんですね」

アーサー「で、あの、つい一昨日届いたニュースレターに、これから発表される検証について、えっと、嶋津暉之さんが、書いてるんですけど。

その、水の需給計画を一切見直さない検証をやってる。で、それが茶番なんだっておっしゃってて。僕も全くそのとおりだと思うんですね。

建設ありきの評価報告案を出してるわけ。だから、これから必要なんだっていう想定のもとに、間違った想定、原発は安全ですっていう想定と同じように、間違った想定に基づいて、じゃあ、他のやり方でもし同じような利水治水をやろうとしたらどうなるかっていう、それで出してるわけ」

吉田「なるほどなるほど」

アーサー「あの、他の治水利水の対策を、すると、このくらいコストがかかるんだ。だからダムを作ったほうが安上がりですよーっていう。そういう検証なんだよね。

あの、代わりに出してる案はね。静岡県の冨士川河口から、東京まで、水を引く、導水するって。それとこの八ッ場ダムは半分でき、まあ、本当は作ってないんだけど、色々整備してるし。これからのコストと比べて、それでダムが安上がりでいいだろって。そういう検証なんだよ」

吉田「いう言い方なんだね。ひどいね」

アーサー「だから、あの、お月さまから引くのと、八ッ場から引くのと、どっちがいい? お月さまから引いたほうが高いでしょって言ってるようなもの」

吉田「なるほど」

アーサー「誰が静岡から水を引くんだ? って。でもそういう検証なんです」

吉田「すごいことやっちゃってるよね」

アーサー「すごいよ。もう馬鹿にするのもちょっと」

吉田「いいかげんにしろということなんだよねこれね」

アーサー「うん。」

吉田「で今回のこの評価報告案を受けてですね。利根川流域にあります、東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬の一都五県の知事はですね、来週にも前田国土交通大臣に対して、建設をすすめるよう緊急要望書を提出する方針ということですけど。これ一都五県がよくまとまりましたね。これに関してはどう?」

アーサー「まとまります。もう、すぐまとまる」

吉田「まとまるわけだこういうことは」

アーサー「だって、利権のまとまりは硬いですよ。もうバッチリっす」

吉田「そういうとこは嗅覚鋭く」

アーサー「そこはあの原発利権とそっくり同じなんです」

吉田「あー」

アーサー「もう一度うごきだして一度のんでしまったら、一度手を出したら、もうその薬が切れると大変なことになる。だからみんなまとまって、ちょうだいー、くれくれーっていう。もう早く原発を再稼動させてくださいよ。もうどこのちっちゃい自治体もみんなそうなんです。だからあの、この、一都五県も結局、頂戴頂戴って。あの電気代にみなさんこの電気代に上乗せされている怪しいコスト、ソーラーのことも結局僕らがとられちゃってんだよね。」

吉田「そうだよね。結局はね」

アーサー「そのあやしいコスト、みんな今まではあまり電気料金の明細というか細かいところ見てなかったんだけど。でも、多くの市民がそういう事には気づいたんだよね。実はこんなカラクリが、紙一枚に入ってたんだ。ところが水道料金もチャンと見てください、皆さん。おんなじなんです」

吉田「そうかー」

アーサー「水道料金に僕らの一都五県の水道代には、八ッ場ダムの建設費が、あの、上乗せされてんです」

吉田「知らないうちにこういう事やられたんだなー」

アーサー「そうなんです。だからこれもう取られてるんです」

吉田「取られちゃってるんだなー」

アーサー「そうです。ダムの、だからダムのその、水没予定地になってる群馬県の川原湯温泉の人たちは」

吉田「川原湯温泉、うちのおふくろなんかもよく行ったなー」

アーサー「いいよねえ」

吉田「いいとこだっていうよ」

アーサー「僕はまだ実際行ってないんですけど。この番組の元スタッフも結構行ってました。で、そこの沈むっていうふうに一応なってるんだけど。

あのー、皆さんもうこれ以上翻弄してほしくないんだよね。川原湯温泉の人たち。だから、そうするとマスコミあるいは推進派はなんて言うかというと、早くダムを作らないと皆さんかわいそうでしょって言うんだよね」

吉田「そういう言い方だなー」

アーサー「でも、それも福島や基地問題、沖縄も含めて基地問題と同じなんだよね」

吉田「構図は一緒だねえ」

アーサー「ほんっとに同じロジックなんだよ。地元の人達がほんとに求めてんのは、ダムじゃないんですよ。原発じゃないんですよ。基地じゃないんです。生活なんだよ。生活、将来がこう見える生活の設計ができるような生活が欲しいんだよね。

それは国がちゃんと謝って。このダムは実はあべこべだったんだ。無駄だったんだ。ごめんなさい。ダムじゃなくて無駄だった。この無駄ダムはやめます、ごめんなさいって国が言って。それで生活保障をちゃんとやりますって言えばそれでいいんだよ。八ッ場の人たちはそれでいいんです。

だから原発もそうなんです。間違ってました、ごめんなさいって。で、原発のコストあるいはダムのコストと、みんなの生活の保証のコスト比べると全然桁が違うんです。

だから沖縄のことで、あの、鳩山さんが総理になってそれで基地問題をほじくり返して。でほじくり返したのがいけなかったってなったでしょ? でも、沖縄の人は全然そう思ってないんです。ほじくり返したからいけないんじゃなくて。この基地をどうにかしてくれってみんな思って。で今もみんな思ってるわけ。

原発事故でこの原発の、原発の、事故の場合は風評被害で問題をすり替えたり、誰かの失言ですり替えたりするんだけど。基本は同じなんだよね。

だから原発事故でこのカラクリがあぶり出されてみんな気づくようになったんだけど。実はこう、官僚、政治家、マスコミ、学者がみんな一緒になってやってんのは、原発だけじゃなくて、ダムもそっくりなんです」

吉田「ほんとだよね。連携プレーがすごいよね」

アーサー「そこでちょっとみんなで、見抜きましょうね」

吉田「そうだねー。はい。ありがとうございました。木曜日のコメンテーターは詩人…」

=====(文字おこし、ここまで)

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