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2011年10月5日、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演しました。文部科学省の放射線審議会が、一般人の年間被曝限度を見なおして最大20ミリシーベルトまで引き上げることについて批判しています。


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音源
20111005 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
http://youtu.be/ErLigpobM_s

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

水野「小出さんこんばんは」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします」

小出「よろしくお願いします」

水野「そして東京には近藤さんです。」

近藤「よろしくおねがいしまーす」

小出「よろしくお願いします」

水野「まずですね。わたくしたち一般の住民が1年間にどれだけの被曝をしてもいいと国が定めているかというこの数字についてのニュースから、伺いたいと思います」

小出「はい」

水野「被ばく線量の基準を検討している国の放射線審議会基本部会というところがございます。ここがですね、一般の住民の被ばく線量の限度の数字を変えようとしているらしい、そんなお話が出てきました」

小出「はあ」

水野「これは、小出先生がいつもおっしゃる、あの一般の住民は年間1ミリシーベルトまででしたよね」

小出「そうです」

水野「被ばく線量の限度は年間1ミリシーベルトでしたね」

小出「はい」

水野「ところがですね。この基本部会は、この1ミリシーベルトについて、達成することは当面困難だと判断しまして。で、どうするかといいますと、20ミリシーベルトから1ミリシーベルトの間で、限度を緩和した、ゆるめた、中間目標の設定を認める提言を近くする方針だと、する話が伝わってきました」

小出「はい」

水野「まずは小出さんの感想を聞かせてください」

小出「はあ……。まずは、呆れました。ただし、今現在福島を中心として、1ミリシーベルトを守ろうとすれば膨大な土地を放棄しなければもうできないという現実は確かにあります」

水野「はい」

小出「はい。ですからその現実の中でもうどうしようもないからといって、国の方は国民に被曝を強制するという方針に打って出たということですね」

水野「ええ。小出さんは、広大な土地を捨てなければいけないくらいの被曝であるということは、事故直後からずっとおっしゃってきました」

小出「そうです」

水野「ただ、年間1ミリシーベルトをまもるというのが、国の定めなんだから」

小出「はい」

水野「これを無視するのは法治国家ではないと、おっしゃっておりましたよね」

小出「多分、そう、論理的な帰結で言えばそうなるしかないと思ってきました」

水野「ええ。でその法を、守ることができないから、じゃあ今度は法を変えちゃえ、ということですよね。簡単に言うたら」

小出「そうですね。それが法治国家という国のやることなのかどうか、私にはよく分かりませんが。まあずいぶん身勝手な国だなあと思います。」

水野「ええ……。これは具体的にどのような目標数値になってくるか、色いろあると思いますが。例えばこの1番大きな数字であります、20ミリシーベルトというものを年間の限度に定めたとしましょう」

小出「はい」

水野「どういう事になるんですか」

小出「ええー……。私、は、放射線の、に、被曝したときにどれだけのリスクがあるかという評価に関して、米国のゴフマンさんという方の評価を信頼しています。えー、そのゴフマンさんの評価によると、1ミリシーベルトという現在の国の基準を、1万人の人が被曝をすると、そのうち4人が癌で死ぬという……」

水野「1ミリシーベルトの基準で、1万人が被曝をすると、そのうち、4人が」

小出「癌で死ぬと」

水野「癌で死亡する」

小出「はい。もし20ミリまで許すとすれば、80人が癌で死ぬということになります。」

水野「数値で言うとそういう数字になるんですね。」

小出「はい。そしてゼロ歳の赤ん坊は平均的な大人に、平均的な人間に比べて4倍危険がありますので。ゼロ歳の赤ん坊が20ミリシーベルトの被曝をさせられてしまうと、1万人のうち320人の赤ん坊がやがてがんで死ぬということになります。」

水野「はあ……。この数字を、どういうふうに捉えるか」

小出「はい」

水野「でしょうけれども。小出先生はどんなふうに捉えますか」

小出「私は少なくとも子供というものは、現在の原子力を選んだ責任がありませんし。事故が起きて膨大な汚染が起きてることに関しても責任がないのですから、なんとしても子どもを守らなければいけないと思いますし。1万人に320人もの子供を癌死させるということは私は容認しがたいです。」

水野「ええ。近藤さーん?」

近藤「はいー」

水野「このー、こうした話が出てきた、つまり法律の方を変えようとする、このやり方ですよねえ……」

近藤「んー…。だから、この問題は、ああ、科学っていうレベルっていうよりも政治の世界の話じゃないんですかねえ。つまり1年間に20ミリシーベルトまで我慢させるっていう……これはまあ要するに、政治の世界でそういう風にもともと法律ですから決めていくわけですから。今でてる動きも科学者の云々かんぬんのレベルを超えた所で、何かことが動いてるっていう……ふうに……」

水野「でも政治って」

近藤「はい」

水野「国民の、安全、国民を守るのが政治違うんですか。政治的というなら」

近藤「全くそうですね。」

水野「逆ちゃいますのん。これやってることは」

近藤「だから、おかしい訳ですよ」

水野「これが政治的なんですね」

近藤「うーん……そうですね。……あの……」

水野「わたしはね、素人考えですけど、非常にこれは経済的な問題でもあるのではないかと、疑うんです。というのは、これ、除染をどれだけの地域に関してするかというのは、非常に大きな問題だと思うんですが。当初5ミリシーベルト以上のところを、除染、するっていう話が出て。福島県知事も、各自治体も非常に反発なさいましたよね。でそうすると、細野原発大臣が、いやいや1ミリシーベルトから、以上のところも国の責任でしましょうという話になったと思うんですが。そうした論議が吹っ飛ぶおそれはないでしょうか。小出先生いかがですか」

小出「そうですね。全体が多分吹っ飛んでしまうと思います。もう除染もしなくていいと言い出す可能性すらありますね」

水野「うーん……」

近藤「あのう……」

水野「もしこれ、全部1ミリシーベルト以内にってなると、ものすごく多額な費用がいりますでしょうからね」

小出「そうですし。私はあの、除染というのは基本的にできないと発言してきましたし。おそらく、福島県のかなりのところは、どんなに除染を頑張ろうと1ミリシーベルトを守るというのはできないだろうと思います。」

水野「近藤さーん?」

近藤「うーん……。だから、あの、この原発に関しては、僕はあの、政治と経済の線引きというのは極めて難しいと思うんですよ。つまり、それは、言わば、一体化したもので。だから国策って言ってるわけですから。その、今、除染の問題も含めて同時に起きてる動きっていうのは、原発をいかに依存っていうよりも、守っていくかっていうことの方に傾いていますよね。」

水野「政府がですね」

近藤「ええ、ええ。これも含めて政治の動きの中で捉えたほうが、ええ、分かりやすいっていいますかね……」

水野「分かりやすいですね。分かりやすいですけど。それが、本当に国民にとってどういう事に繋がるかと。いうと、先ほど小出先生おっしゃったみたいに、やはり将来の、子供たちのリスクが非常に大きくなると、ここは確実に言えることなんですか、小出さん」

小出「そうです」

水野「はあ……。」

近藤「あの、先生。プルトニウムが検出されたっていうニュースの時にね」

小出「はい。」

近藤「あの、ようするに、そんなものは、色んな核実験が起きてて、それでもって、そのぐらいの微量は世界中にあるんだから、今さらそんなことどうのこうのっていうようなことを、」

小出「(笑)」

近藤「あの、言うてたんですかね」

小出「はい。言っていました」

近藤「言ってましたよね」

小出「はい」

近藤「あれも要するに、ひどい理屈ですよお!」

小出「そうです。大気圏内実験でプルトニウムが大量にばらまかれたのは本当ですけれども。それによって多分世界中で多分癌の発生率が増えたはずだと思います。ですからそれに、何がしかの上乗せをするのであれば、それもまた、えー、がんの発生率の上乗せ分が生じてしまいますので。えー……、かってあったから今回も問題ないというような理屈は通用しません」

近藤「そうですね」

小出「はい」

水野「うーん……。私は、小出先生、この、1ミリシーベルトっていう数字を見直すというのは、ものすごいショックなんですけど」

小出「そうですよね。日本という国が、日本に住むという人に対しては、これだけのリスクまでしか与えないとして決めたものなんですよね。それを、まあ……、原子力を進めてきて、事故が起きてしまえば、その事故を起こしたことに責任があったはずの国家が、もう法律を変えてしまうと、今言っているわけで。本当に私たち国民一人ひとりがこんなことをお許していいのか。あるいはこんなことを産んでしまった原子力をこのまま見逃すのかという、そういうことだと私は思います」

水野「ええ。民主党の動きで1つ、お伝えしますとね」

小出「はい」

水野「これ、民主党が原発を今後どう考えていくのか、その大きな鍵を握るであろう人事が1つありまして。えー、これ民主党って前原さんが政調会長で、このかたがうんといわないと政策は前に進まないシステムを野田さんが作られたそうですけれども。」

小出「はい」

水野「前原さんが、ある人事を行われました」

小出「はい」

水野「で、政策委員会で、あるプロジェクトチームを置いて、そこでエネルギー政策の見直し作業をやるんだそうですが。そのプロジェクトチームの座長が、大畑さんという方でですね。この方は、もと経済産業大臣でもいらした方、で。もともと日立製作所出身で、原発プラントの設計にも関わっていた方で。非常に原発推進派と言われてる方なんだそうです」

小出「はい」

水野「ご存知です?」

小出「はい」

水野「あ、まあ、その方が、エネルギー政策の見直し作業を民主党で率いていかれるという人事なのですよ」

小出「はい」

水野「これはどういうふうに先生から見られますか」

小出「前原さんはもともと原発推進でした。ので、まあ、前原さんの意向で民主党全体を原発推進の方へ持っていくということですね。まあ、……、私は前原さんのような考え方は間違えてると思っていますし、彼は確か松下政経塾だったと思いますが。幸之助さんが泣いているだろうなと思います」

水野「民主党のエネルギー政策のこれからを1つ占うような人事ではありますよね」

小出「そうですよね」

水野「ありがとうございました」

小出「はい」

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章先生にうかがいました」

=====(文字おこし、ここまで)

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関連報道は以下の通り。

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東日本大震災:福島第1原発事故 復旧期、被ばく年1~20ミリシーベルト許容
 ◇国際委勧告適用へ

 国内の被ばく線量基準を検討する文部科学省の放射線審議会(会長・丹羽太貫京都大名誉教授)の基本部会は、東京電力福島第1原発事故を受け、一般住民の年間被ばく線量の限度について、原発事故などからの復旧期は、年1~20ミリシーベルトの間に設定することを許容する考え方を提言する方針であることが明らかになった。平常時の一般住民の限度は、国の告示などで年1ミリシーベルトと定められている。6日に開く部会で議論する。

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などの緊急時は年20~100ミリシーベルトの被ばくに抑えることを目指し、緊急事態からの復旧期は、「現存被ばく状況」と位置づけ、地域住民の健康などを考慮して年1~20ミリシーベルトの間のできるだけ低い値を目指すべきだと勧告している。

 同部会は、放射性物質の汚染が広がる現段階では、年1ミリシーベルトを目指すと必ずしも経済性や社会的側面から合理的な対応が取れない可能性があるため、ICRPが示す「現存被ばく状況(年1~20ミリシーベルト)」の国内制度への適用を検討することにした。

 内閣府原子力安全委員会は7月、原発事故で政府が出した避難指示の解除に向け、ICRPの勧告に従い、住民などの年間被ばく量を1~20ミリシーベルトの範囲で決めることを暫定的に認めていた。

 基本部会は、緊急時が収束した後も長期間汚染が続く現状を受け、年1ミリシーベルトを長期的な目標に据えつつ、当面の目標(参考レベル)を設定することについても議論する。その際、子どもや妊婦ら放射線の影響を受けやすい人については、特別な配慮を求めるとみられる。

 ICRPは「参考レベルは安全と危険の境界を表すものではなく、1~20ミリシーベルトの低い値を選ぶべきだ」との考え方を示している。【久野華代】

毎日新聞 2011年10月6日 東京朝刊


引用元:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111006ddm001040105000c.html

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