2011年10月19日(水)、上杉隆氏が出演する文化放送「吉田照美ソコダイジナトコ」に古賀茂明氏が登場。批判的に原発事故をめぐる東電処理を含む誤りを分析。また自民党が原発推進体制を復活させていることを指摘している。

※この日の放送は5話に分けて掲載しています。続きは記事末から。

動画
http://youtu.be/cAYTwYRQfnw

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

吉田照美「コメンテーターはジャーナリストの上杉隆さんです。この時間も引き続き宜しくお願いいたしまーす。」

上杉隆「よろしくお願いしまーす」

吉田「えーそして今朝はですね。今年の9月に経済産業省を依願退職されました、元官僚の古賀茂明さんをスタジオにおまねきしております。えーこの時間から一緒に話を伺いたいということで朝早くからよろしく今日はお願いいたします」

唐橋ユミ「よろしくお願いします」

古賀茂明「よろしくお願いします」

吉田「それでは、さっそく今朝のニュースのポイントです」

※音楽

唐橋「野田総理は昨日福島県を訪問し放射線量が比較的高い福島県大波地区の住宅の除染作業の様子を視察しました。担当者から説明を受けた総理は、お子さんがいるところは優先的に除染をしていかねばならないと語り、午後は大玉村の仮設住宅や郡山市の幼稚園を訪れ、被災地の視察を通じて今後の復興の参考にしたい考えのようです」

※音楽終わり

吉田「ということでまあ就任以来ですね。福島の再生なくして日本の再生はないと、いうふうに語っています野田総理の福島県入りですが。東京電力福島第一原発などを訪れた9月8日以来、これが2回目ということになりますけども。古賀茂明さんにスタジオにおいでいただいてますけども。古賀さんは先月下旬までですね、その原発の監督官庁であります、経済産業省にいらっしゃっということなんですけども。ここまでの原発事故をめぐります政府の対応に関して何が足りないっていうふうに思っていらっしゃるんでしょう。」

古賀「そうですね。あの幾つかあると思います。一番大きいのはあの、本当の情報を伝えようというそういう姿勢がないってことですよね。ですからあのまあ、最初からそうですけどメルトダウンがあったのかどうかってのもありますし、SPEEDIの情報も隠しちゃったとかですね。で、だいたいあの、発表される時っていうのはだいぶ前の情報をあとから発表するのが多くて。例えばなんかこんなに高い線量が出てましたよっていうのが、そのなんか、先週そうでしたけど今は下がってますとかですね。」

吉田「リアルタイムで知らせないとですね」

古賀「全部ね、あのー、要するに下がってからしか出さないとかね。そういう、あの、ま、情報を出さないっていうのが非常に足りないところですね。それから、もう1つは間違いを認めようとしない。」

吉田「ほんとですね」

古賀「これあの、役人には非常に無謬性とかいう言葉でよく言われるんですけど、間違い認めないんですね。間違い認めないと絶対正しい方向に行けないんですよ。間違ってたんだったらごめんなさいって1回言っちゃえば、それまで事を全部チャラにして正しい方向に行けるんですけど。間違い認めないから過去とのその繋がりを、その無理やり無理やり説明しながら行こうとするので、どうしても対応が、おかしな方向に行ったり、あるいは遅れたりするんですね。ま、もう1つ非常に欠けてるのは責任をとらない。それからその責任をとりたくないからリスクもとれないということで、思い切った措置をですね、えー迅速にやるってことがこういう場合大事なんですけども。まあそうすると失敗したらどうしよう、失敗したら誰が責任取るんだってことを考えているうちにですね、結局何も出来ないで後手に回ると、いうことが起きてると思いますね、はい」

吉田「まあ具体的な問題でいいますと。その汚泥の処理、除染をどうするかとかいろんな大きな課題になってるわけですけども。そんなさなか、昨日ですか、野田総理が再び福島県入りということなんですけども。あのこういったその汚泥の処理、除染をどうするかというこういうことに関して、どういうふうに対処すべきというふうに、古賀さんはお考えになってますかね」

古賀「まああの、これ、あまりにもですね、広範囲にかつ高濃度の汚染になってしまっているので。まあ誰がやっても簡単にできる話じゃないし。あのみんながすぐ安心出来る状況になるのは無理だと思うんですけれども。これもですね、もう半年以上経ってるわけですからね。」

吉田「そうです。なんだかんだね」

古賀「でその、あのもう1番最初っからこんなことは必要だと言われていたのが、ようやく今頃始まるっていうですね。まあ始まるっていうか本格的にってことですけれども。まあそれだけ遅れてる。で、これもですね、例えばあの、色々測ってるとは言ってますけども、測っている地点の数があまりにも少な過ぎますよね。もうあの、住民が一生懸命測って。こないだも横浜でストロンチウムとか色々出てましたけれども。その……まあ結局そっちの方が情報が早いっていうような状況ですから」

吉田「本当そうです」

古賀「これじゃあの、誰も何ていうか安心出来ないし。それから、まあとりあえず学校とか学校の周りをきれいにしましょうぐらいの話しかしてませんけども。その、やっぱ子供たちのですね、健康を守るっていうことについてあまりにもルーズっていうかですね。えー無神経すぎるんじゃないかなって思うんですね。学校だけ安全だったらって学校にいる時間なんてものは1日のうちの4分の1ぐらいですよね。」

吉田「どうぞどうぞ」

上杉「昨日、野田総理、福島で子どものいるところは優先的に除染していかなければいけないと。述べたと言ってるんですけど。最初の約束は除染したところに子供を戻すんだったんですよね。」

吉田「その約束を反故にしてるからねえ」

上杉「なんで放射能汚染されたところに子供を戻して、それから除染……順番逆じゃないかと。どうなんですかね」

吉田「どうしてそういう考えなんですかね」

古賀「いやあだから、結局、それもし、そういう事をですね。本当にちゃんとやろうとするとものすごいコストになってくるわけですね。あの除染のコストってのもありますけど。ようするにずうっと移転させたままで、やっとくと、あのその人達の保障っていうのもですね、金額もどんどん膨らんできますから。まあとりあえずその、文句言わない人たちは戻してですね。戻りましたねよかったですね、という形を作っていくっていうですね」

上杉「どう見ても子供の人体実験じゃないですかねえ」

※クロストーク聞き取れず

古賀「そう思いますよ」

吉田「でもコストって問題で言えば東京電力に払わせるっていうのが当たり前の話だと思うし。それで東京電力を守る法律を早くに決めちゃったっていう、非常に国民として解せない感じがすごくあるんですけどね。」

古賀「そうですね。あの法律もほんとうに私早くやめたほうが、もう抜本的に変えちゃったほうがいいいと思ってるんですけど。辞める前に枝野さんにはですね、メールで、とにかくこの法律に沿ってやってったら将来本当に禍根を残しますよと。すぐにこれやめて1回戻ってですね、それで普通の破綻処理……あの……要するになんでこんなに東電がおっきな顔してるかって言うとですね」

吉田「本当相変わらず意味がよくわからないですよね」

古賀「これなんでかっていうと潰さないって決めちゃったからなんですよ。」

吉田「あーそりゃそうだよなあー」

古賀「もう絶対に潰しませんってことになっちゃってるので。で、未だに経営陣がいるわけでしょ。で、経産省のあの、人達にもあんまり変わんないままですね。やってるってことでやっぱりハッキリ責任取らせてですね。で破綻処理ってことになれば、あのー、経産省が勝手にやるってこともできないし。東電の経営陣も全部ね、首になって裁判所が派遣した管財人が、もう無理やりなんでもできるんですよ。で管財人が入っていけば、例えば、未だに東電っていうのはいろんな資料出さないって言われてますけれども」

吉田「ひどいですねえこれ」

古賀「そのことはあのー、無くてですね、どんどん入っていって資料室だって何だってこれ資料出せってやれるんですけど。今頃になって東電がいうことを聞かないから、金を出して、金を出せばね、色々いうことをきくんじゃないかとか言ってるっていう(※聞き取れず)」

吉田「でもなんか東電を守る法律を、あの、早く決めちゃう大きな力っていうのはなんかあったわけなんですか、背後に」

古賀「いやあったでしょうね。で、これすごく問題なのは、普通はあの与党が変なことをやろうとすれば、野党がそれを批判してですね、で正しい方向に持ってくっていうのがまあ、その議会制民主主義のですね、あるべき姿なんですけども。この野党である自民党がですね、むしろ民主党よりももっと深く電力業界と癒着してるもんですから」

吉田「ずっとこうやってきちゃったわけですからねえ」

古賀「ええ。で、もうあの最近の自民党の役員人事とか見ててもですね。エネルギー関係のですね、いろんな組織にですね、もう本当の電力族議員を、トップに持ってくるとかですね。そういう事を平気でまた、ついこないだまでちょっとおとなしくしてたものですけど。もう露骨にですね、原発推進電力癒着体質、体制ってのを復活させようとしてたりしてですね。そうすると国会全体で民主党も自民党も、その電力業界、東京電力には何も言えませんていうふうになっているので。すごく問題ですよね」

上杉「あの、東電に結局国費が入って、救済するわけですよね。で、古賀さんがずっと現役時代から東電の処理策のまあ言ってたわけです。あの通りにやってればこんなことになってなかったと」

吉田「なってないし。国民もいずれこの構図ってのはハッキリわかるわけ。今んとこ新聞テレビもそういう事を報じてないから構図が見えない人がいっぱいいるんだけど、わかった時に大変なことになると思いますよ、これ」

古賀「そうですね」

上杉「特別視するからいけないんです。古賀さんの処理作もそうですけど。なんで東電がこうやって特別扱いされるか。例えば事故起こって、作業員が3人少なくとも死んでるんですけど。えー現場検証も入らなければ、えー……」

吉田「なんで入らないんですかね。入らないほどの大きな力があるわけですか、やっぱり」

古賀「んー、っていうかまあ多分、もう経産省も民主党政権もですね。いままでもういっぱい間違いを犯しているので、えー色んなことがはっきりしちゃ困るっていうのがあると思うんですよね」

※スタジオざわざわ

古賀「だから、とにかく早い段階でまちがったってのを認めて、一回謝っちゃえばですね、それはもちろんその責任はとってもらわなければいけないんですけど。それを認めないでずうっと積み重ねでくるから、結局どうにもなんなくなっちゃうんですよね」

上杉「治外法権ですよね。要するに原発内で人が死んでも捜査入んない。それから東京電力が本社で銀座にある本社がいくら証拠隠滅を隠しても、証拠保全のために捜査も入んないと。だから東京電力だけは、あの日本の法治外にあるというふうにいわざるをえないと」

吉田「まさかこんな国になってるとはって思いが非常に強いんですけどねえ、例えば北朝鮮のこと色々言ったりなんかするメデイアがなんだか結局メディア事態も機能してないし」

古賀「そうですね。あのやっぱりこの間の、あの、まあ、既製の大メディアってところのですね、報道の仕方っていうのも相当問題があったとおもいますね」

吉田「大問題ですよね。」

古賀「なんか戦時中の大本営発表みたい」

吉田「完全に大本営発表だと思いました」

古賀「まあ海外の、あの、まあ色んなあの記者とかですね。あの、よく話するんですけど。どうして日本の新聞は本当のことを書かないのかと。」

吉田「いやそこらへんの構図が外国には見えてるから。それこそ笑われて笑いのネタにされてドイツなんかでもさっき話しましたけど。そんな状況にいてドイツのテレビもなってるってことを日本人が知らないっていうのが情けないですね」

上杉「古賀さんドイツのテレビで有名ですからね」

吉田「ああそうなんだ(笑)」

古賀「いやけっこうね……。ドイツですごく話題になってるんですけど。いややっぱりね、あの……恥ずかしいってことよりもとにかく、その、やっぱりメディアっていうのは権威に対してね、疑ってそのなにかおかしなことをやってたらそれをただしていくって言う……」

吉田「対峙してなきゃいけないんでしょうね」

古賀「おっきな役割があるんですけど。完全に政府側に立っちゃったっていうですね」

吉田「広報機関に成り下がってますよね」

古賀「ええ。これだともう存在意義がないですよね」

吉田「ほんとにそうおもいますねえ。ええ。時間が足りないんで、まだこの後もひき続きですね、えー古賀茂明さんには週刊エンターでもお話を伺わせていただきます。引き続きよろしくお願いいたします」

古賀「よろしくお願い致します」

吉田「水曜日のコメンテーターはジャーナリストの上杉隆さんでした。どうもありがとうございました。」

上杉「さよなら」

唐橋「ありがとうございました。お知らせのあとは今日のお天気と……」

=====(文字おこし、ここまで)


官僚の責任 (PHP新書)
官僚の責任 (PHP新書)
posted with amazlet at 11.10.21
古賀 茂明
PHP研究所
売り上げランキング: 153

このエントリーをはてなブックマークに追加