テルル汚染マップ(小)2011年2011年11月1日(火)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演しました。

文部科学省が11月1日に発表したテルル汚染マップに関して、放射性テルル129Mという物質について詳しく説明しました。

※この日の放送は2回に分けて掲載しています。
1回目「小出裕章が解説、文科省発表「テルル129M」β崩壊後ヨウ素129(半減期1600万年)に。11/1(1)
2回目「小出裕章が解説、林野庁発表の「セシウム汚染の杉林から飛散した花粉の影響」について 11/1(2)

音源
http://youtu.be/HK1JmbItDxM

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

水野「小出さん、こんばんは」

小出「こんばんは」

平野「こんばんは、よろしくお願いします」

水野「よろしくお願いします」

小出「こんばんは、よろしくお願いします」

水野「まず、ラジオネームおろちさんからメールを頂きました。えー文部科学省が放射性物質のテルルというものが土壌をどれだけ汚染したかと、いう地図を発表したようですね、と」

小出「はい」

水野「いうふうにおっしゃっております。」

小出「はい」

水野「テルルという物質はたしか6月に、検出されて、このたね蒔きジャーナルでもどういうものかって小出先生に伺った記憶があるんですが」

小出「はい。そうでしたね。」

水野「テルルってどんなもんでしたっけ……」

小出「はい。えー、原子炉が動くと、ウランが核分裂するわけですが。核分裂生成物という様々な放射性物質が生み出されます。えー、およそ200種類ぐらいが問題になるのですけれども。そのうちの1つに、テルルという元素がありまして。そのテルルの中にも色々な番号のテルルがあります。えー6月ごろに私が聞いていただいたものは132番という番号のついたテルルのことでしたし。今回文部科学省が公表したのは129mという名前の付いてるテルルです」

水野「そうなんですよ……」

小出「はい。んでー……、129というのは質量数と呼ぶ、ま、私たちが呼ぶ、その数を表していますし。mというのは、メタ・ステーブルという英語の頭文字でして」

水野「メタステーブル……?」

小出「はい(笑)。準安定状態というような、まあ私たちが、特殊な……呼び方で呼んでいるものなの、ですね。んでー、そのテルルの129mというのは、半分に減るまでに34日、つまりひと月位かかるという、比較的あの寿命の長いほうに属する核分裂生成物で。え……事故からすでに7ヶ月……8ヶ月ぐらい経ってますけれども、まだ検出できる程度に環境中に残っているという、そういう放射性物質の1つです。」

水野「はあー。これ、今伺うまでなんのこっちゃ……発表見ても何にも分からんかったんですよ。」

小出「はい」

水野「とにかく文部科学省はですね、言ってるのは、セシウムと比べたら微量であると。」

小出「はい」

水野「何の問題もないというようなニュアンスに読み取れるんですけどね」

小出「ええ……何の問題もないというのは、もちろんありません、えー……放射性物質であるかぎり危険がありますので、注意をしなければいけません。ただし、セシウムに比べれば影響が少ないという意味で言えば、私もそうだと思いますし、えー……この問題にあまり皆さんの目が奪われることは私はあの、好ましくないと、思います。」

水野「はあー。」

小出「はい。ただしあの、ひと言付け加えておきたいのですが。このテルル129mという放射性物質が、ベータ線を出しながら崩壊するのですが。崩壊した後にできるものは、ヨウ素の129というものが出来ます」

水野「へえー、ヨウ素ができる……」

小出「はい。で、そのヨウ素の129というのもまた放射性物質でして……」

水野「はい……!」

小出「それ……ヨウ素の129は半分に減るまでに1600万年かかるという……半ばもうなくならないという放射性物質になります」

平野「ふむーーー」

水野「ヨウ素って8日でなくなるんじゃないんですか?」

小出「131番という番号のついたヨウ素は8日でなくなります。

水野「はぁ」

小出「129番という番号のついたヨウ素は1600万年経たないと半分になりません」

水野「せ、せ……1600、万年?」

小出「はい。ですから(笑)特殊な放射性物質ですし、えー私たちのような専門の場所の人間からみると、学問的には興味深いという、そういう性質を持っています」

水野「その、なんか、私らの、商品番号2番違うとエラい違いみたいな感じですけど」

小出「はい(笑)」

水野「8日と1600万年違うっていうぐらいに、放射性物質というのは多様なんですね」

小出「そうです。色々なものがありますので、えーどういう点に注目するかということで、様々な問題が出るのですが。まあ、普通の皆さんにとって問題なのは、ようするに、トータルの被曝という問題だと思いますので。えーその意味では、テルル129mにあまり皆さんの注意が奪われないようにして欲しいと私は願います」

水野「逆にいうと、あの、テルルの問題が小さく見えるぐらいにセシウムの問題が大きいっていうことですよね……?」

小出「そうです。おっしゃる通りです」

水野「はあー。ただ、テルルだけに注目してしまうと、なんか問題ないのかって、そこの帰結の仕方が間違えてしまうと現実を取り違えてしまう」

小出「はい……はい……はい……」

水野「怖いですよね。」

小出「はい」

水野「いかにして読み解くか、なんですが。じゃあ、あの。もう1つこの数字ってどうなんでしょうか。林野庁がですね」

小出「はい」

水野「セシウムに汚染された杉林から放出される花粉を人が吸い込むことで受ける放射線量はどうなのかと、いう試算をしたんですね。」

=====(文字おこし、続く)

続き:小出裕章が分析、林野庁発表の「セシウム汚染の杉林から飛散した花粉の影響」について 11/1(2)


原発事故…その時、あなたは!
瀬尾 健
風媒社
売り上げランキング: 48446

=====(テルル汚染マップ)

41)
※『文部科学省による放射線量等分布マップ(テルル129m、銀110mの土壌濃度マップ)の作成について(平成23年10月31日)(PDF:1391KB)』より引用

 =====

このエントリーをはてなブックマークに追加