2011年11月29日(火)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。原発寿命がどんどん伸びていく事情と、90度で鋼鉄がガラスのようにパリッと割れる脆性破壊の危険性が玄海原発1号炉の原子炉にあることを解説しています。

座間宮ガレイの著書一覧


<動画>
http://youtu.be/mk42WprmnJ8

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

水野「小出さんこんばんは。」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします」

平野「こんばんはよろしくお願いします」

小出「よろしくお願いします」

水野「まず原発の寿命というものについて今日は教えてください」

小出「はい」

水野「よく原発の寿命は30年あるいは40年という話を聞きますけど、これはどうして30年40年という数字が出てくるんでしょう」

小出「はい。え……原子力発電所というのは機械ですね。沢山の……部品から成り立っているわけで、ポンプもあれば配管もあるし、まあ、様々なものが組み合わされてできています。え、そして機械というのはたいてい皆さんの想像していてる、想像して頂ける機械もそうですけれども、どこかが壊れれば交換すると」

水野「はい」

小出「いうことでまあ、何がしか、えー……寿命が長くできるというものですよね。普通のものでも」

水野「はい」

小出「え、ただし、原子力発電所の場合には絶対に交換できない、部品がある、のです。」

水野「はい」

小出「それが原子炉圧力容器と私たちが呼んでいる、えー……いわゆる原子炉の本体というか圧力鍋そのものですね。そうれはもうあの、猛烈な放射能の塊ですし、大きいものでは1000トンもあるような超重たいものであって。えー……それだけは交換できないと。それがいったいじゃあ何年もつのだろうかということを一番初めに考えました。

それで……鋼鉄というのはですね、普通皆さん若っていただけると思うけれども、叩いても割れないし、えー、ちょっとぐらい凹んだりですね、あるいはまあ、とんとん叩いていけば伸びるとかですね、金属というのは延性という、延びる性質というものをもっている、ものなんですね。で……一方ガラスというのはですね、え、脆性と言いまして、え……トンカチで叩いたらパリっと割れるという」

水野「あ、脆いと書く」

小出「そうです」

水野「脆弱の脆で」

小出「おっしゃる通り、です。はい。でも金属もですね、普通は延性なのですが、温度をどんどん冷たくしていくとですね、ある温度より冷たくなると脆性になるのです」

平野「ふーむ」

水野「へえー! ガラスみたいに」

小出「はい」

水野「叩いたら割れるみたいな脆いものになってしまう」

小出「そうです。零下何十度という状態にしないとならないのですが。はい。金属も冷やしていくといつか、脆性になってしまうという、そういう性質を持っています。え、ただし、マイナス何十度というのは普通はない条件なので。えー金属は延性だと皆さん思っているわけですが。

えーその金属が中性子を浴びているとですね、その、脆性になる温度がどんどんどんどん高くなってくる、のです。ですから運転をすればするだけ、え……もろくなる温度が常温に近づいてきて、のですね。それで……いったいそれがいつになるのか、う……許すことができないほどの、まあ、普通の温度でガラスのようになってしまうかと、言う事を当初まあ考えた、のです。

それでまあせいぜい30年か40年中性子に浴びせ、続ければ、普通の温度で鋼鉄がガラスのような性質になってしまうだろうと、予測を立てまして原子力発電所の寿命は30年から40年だと、したのですね」

水野「あ、そうなんですか」

小出「はい」

水野「しかしながら今回事故を起こした福島第一原発の場合は、」

小出「はい」

水野「1号機は運転スタートしたのがまさにこれ40年経ったとき」

小出「そうです」

水野「1971年3月のスタートですから、」

小出「そうです」

水野「もうちょーど40年で事故が起きたんですよね」

小出「はい。ただしまあ、あの、圧力容器がパリっとガラスのように割れた事故ではありませんでしたね。今回も。で……え……どのくらいの温度でパリッと割れてしまうのだろうかということは、試験片というまあ金属をですね、圧力容器の中に入れておいて

平野「まあ小さな欠片ってことですね」

小出「はい。運転をするごとに、何年かごとにその試験片を検査して、何度になればガラスのように割れてしまうかということをテストし続けてきた、のです」

水野「はい、はい」

小出「それでまあ、40年はまだ大丈夫だろうと言うことで、未だにまあ運転をし続けてきたということなの、ですね。はい」

水野「ただ、これまでですね」

小出「はい」

水野「30年、たったら、一旦これからどういうふうに運転していくかという、計画書を電力会社が出して

小出「そうです」

水野「それを国がですね。」

小出「はい」

水野「10年延長を認めるというシステムだったそうで」

小出「はい。それを認めて40年、までは許してきたのですね」

水野「そうですよね」

小出「はい。それでも敦賀もそうですし美浜もそうですが、40年経ってもまだ余裕がありそうだということで、また運転を国が認めるというようなことをしてきたわけです。」

水野「で、福島第一原発の場合はですね」

小出「はい」

水野「その、40年丁度経ったのが」

小出「はい」

水野「この3月だったわけですが」

小出「そうですね」

水野「そのひと月前、」

小出「はい」

水野「2月7日に」

小出「はい」

水野「後10年運転していいよという意味の認可が」

小出「はい」

水野「降りて」

小出「はい」

水野「いたん、ですって?」

小出「そうです。はい」

水野「へえー。私はこれ知りませんでした」

小出「はい。ええっと、福島のですね。えーその……私たち脆性延性遷移温度というのですけれども、えー延性の状態から脆性に変わってしまう温度です」

水野「もろくなってしまう温度ですね」

小出「はい。その温度の記録をみ、ずっとまあ見てきた上で、あとまあ、何年はやっていいだろうというそういう判断をしたということ、なのですね。え、ただし、この延性脆性遷移温度というのは、原子力発電所ごとにかなり違って、いるのです。」

水野「へえー」

小出「えー……、低い温度にしなければなかなか割れないというような原子炉もありますし、普通の温度でももうガラスのような正室になってしまっているという原子炉も実は、ある、のです。んで、一番危ないのが限界1号炉という原子炉ですけれども」

水野「あ、九州電力の」

小出「そうです」

水野「玄海原発の1号炉ですね」

小出「はい。それは脆性延性遷移温度が90何度、という……」

水野「90何度なんて」

小出「温度……」

水野「え? あの、私らがお鍋でお湯わかして100度になる、あの」

小出「そうです、ですから」

水野「90何度なんですか」

小出「はい。そうです。100度を超えていれば延性なんですけれども、それよりも冷たくしてしまうと鋼鉄がガラスのような性質にすでにもうなってしまっているという状態、に玄海はなっています」

平野「んー。これは先生あの、まあ他の先生も含めて、やっぱり危険性を指摘してるんですけれども」

小出「はい」

平野「原子力安全・保安院とか、まあ九電なんかはもうそのまま延長というものを押し切ろうとしてるわけですよね」

小出「そうです」

平野「だから、まああの、傍からみると客観的な第三者機関ですよね。推進する機関、あの団体じゃなくて」

小出「はい」

平野「まあ公平にこの危ないということを指摘する、あのー、まあ組織というものがですね、日本にないわけですよね」

小出「ありません」

水野「結局、電力会社が自分でまだまだ行けますよという説明を国にあげて、」

小出「はい」

水野「で、国の経済産業省の原子力安全・保安院がいいですよと認可するという、そういうシステムなんですね」

小出「そうです(苦笑)。」

水野「はあー? そら続けたい人ばっかりが」

平野「そうですよねえ」

水野「オッケー出してるようなもんですね」

平野「そうすっと、考えると電力会社側は絶対続けたいですよねえ。」

小出「もちろんです。もうすでに作ってしまった原子炉があるわけですから。少しでも長く使いたいと思うわけですね。そして電力会社の言い分で言えば、運転中の圧力容器の温度は3百何十何度になっているので十分延性の状態なので大丈夫だというのですね。

しかし、なにかトラブルがあって、えー非常用炉心冷却系の水を入れるとかですね、原子炉停止させて冷温停止にしようとすればですね、どんどんどんどん冷やしていかなければいけないし、冷たくしなければいけないのですね。で、そうすると今度は割れてしまうという、危険を抱えてしまうわけで。これはどっちに行くのも恐ろしいというそういう状態になっている、のですね」

水野「はあー」

小出「ただそれをどこまで、まあ、受け入れるのかという判断の問題です。」

水野「でも今回その原発の寿命について考える会合を開いているのは、今までこのお墨付きを与えてきた原子力安全・保安院なんですよね」

平野「そうですよね」

小出「そうですね。」

水野「とほっ(笑)。ぉぉ、どうやって見直す、つもりですかね、そら」

平野「政府は来年春にまあそういう公正な公平な代替機関の設置を目指すというようなことを言ってますけど」

小出「はい」

平野「なんか、あの今の動き見ると余りそういうことについて、熱心になってる気配は、内容に思うんですけども、いかがですか?」

小出「はい。残念ながら私にもそう見えます。え……日本の国は相変わらず原子力を推進したいと言っているわけですし。海外にも輸出をしたいというようなことを言ってるわけですので。えー、なるべくなら安全を装いたいという事で進んでるのかなあと私には見えます」

水野「しかしですね、野田総理が就任会見の時、こうおっしゃったんですよ。『寿命が来た原発は廃炉にしていく』ということはおっしゃったんですよ」

小出「(苦笑)そうですね」

水野「だから私は寿命が来たということはまあ30年40年経っている原子炉は廃炉になっていくのかと、素直な私は受け取ったんですね。」

小出「はい。あの残念ながらそれは素直すぎるのであって(笑)」

水野「アホですね?」

小出「はい。」

水野「(すごく小さな声で)……はい……」

小出「例えば米国でも元々は40年と言っていたものがですね。次々と寿命がまあ、当初の寿命が来てしまいまして。それを米国の原子力規制委員会というところは、20年間延長するという許可を次々と出しているというそういう状態」

水野「60年大丈夫なんていう許可を次々……」

小出「はい。」

水野「アメリカが出してる」

小出「そうです」

水野「とういうことはですよ。今、原子力安全保安……あ、ごめんなさい原子力安全・保安院のもとでね、」

小出「はい」

水野「こういう寿命について考えましょうという会合が始まりましたけど。」

小出「はい」

水野「あの(笑)、もしかしたら、おんなじように60年大丈夫ですというような」

平野「延長前提の議論をするための会合かもわからない……」

水野「かもしれないんですか?」

小出「もちろん、もちろんそうなわけだし。野田さんは寿命が来た原発は廃炉にするといったわけだけど、実は寿命が来ないのですね。まだまだ(笑)」

水野「その寿命の定義が」

小出「はい」

水野「私なんか素直に思ってるのとは違うんですね」

小出「そうです」

水野「寿命が来ないってことになるやもしれない」

小出「そうです。そうさせようとしているのですね。」

水野「はあーーーーーーーーっ! もうニュースを一方的に聞いているだけではですねえ、全く私が予想しているものとは、内実は違っているようでございます」

小出「はい。」

水野「いやあ素直ってあかんなあ、罪やなあ……」

平野「せんせいそれと、玄海原発はなの、関西にももし万が一の事あるとものすごい影響があるんですよねえ」

小出「そうですよねえ。あのやはり玄海は西風が卓越風ですので、もし事故が起きれば、えー…中国地方を通って関西近畿圏にまで、放射能が飛んで来るということになるだろうと思います」

水野「はあ、いわゆる圧力釜が吹っ飛んでしまうおそれを一番高く抱えているのが玄海原発」

小出「はい。おっしゃる通り」

平野「だから決して九州のね、原発というなんか関西から見て、あの、他人ごとっていう感じじゃないですもんね、ほんとに…」

小出「はい」

水野「はあー……。それとね、この2月7日にね、後10年運転していいと、福島第一原発に許可が降りていたというのも、もしもその時にこの寿命の話がもっと厳密なかたちで進んでいたら、もしかしたら事故を防げたんじゃないだろうかなんてことも私は思うんですけども……小出さん、それも甘いですか?」

小出「(笑)。ええまあ、もともとその寿命の延長をさせるというだけに、まあ審査がされてきたわけですから。えー……延長を認めないということは私には考えられませんし、え、ま、今回の事故はいずれにしても圧力容器が割れるということとは関係なく発電所のブラックアウトですので。まあ、新品ピカピカの原子炉でもいずれにしても壊れたと思います」

平野「あ、そこですね」

小出「はい」

平野「老朽化していなくても、新品でも壊れたというところが、また、たいへん大きな事実なわけですね」

小出「はい」

水野「はい。どうもありがとうございました」

平野「どうもありがとうございました」

小出「はい。ありがとうございました」

水野「京都大学原子炉実験所助教小出裕章先生に伺いました」

=====(文字おこし、ここまで)

※以下は小出裕章さんとは関係ありませんが、3.11以降スクープを出し続けた赤旗新聞が出版したルポルタージュ。期待できそうです。

原発の闇―その源流と野望を暴く

原発の闇―その源流と野望を暴く

=====(関連報道、引用ここから)

保安院、老朽原発の評価見直し 供給力維持へ安全基準
2011/11/30 0:13

経済産業省原子力安全・保安院は29日、運転開始から30年以上たった原子力発電所の安全性評価方法の見直しに着手した。福島第1原発の事故を受けて原発の新増設が難しくなると同時に、老朽原発への懸念も高まっている。このため専門家からの意見聴取を通して評価方法の厳格化などを検討、安全確保策を万全にする。来年4月に予定される原子力安全庁の発足後に評価法を改める。

29日に初の意見聴取会を開催、年末までにさらに3回開く。現行の老朽原発の安全評価は電力会社が運転30年目以降、10年ごとに実施する。「寿命」を60年と想定。部品や構造材がそれまでもつか評価する。配管などの腐食やひび割れなどを調べ、劣化部品を交換するなどして保安院に保全計画を提出。運転を10年間延長する認可を受ける。

29日の意見聴取会では福島第1原発事故に老朽化の影響があったかを議論した。1号機はポンプや配管、炉心隔壁などを交換し、今年2月に40年を超える運転計画が認められたばかりだった。事故の教訓を踏まえ、より確実に安全性を評価できる方法を検討する。

国内の運転30年以上の原発は54基中、19基。福島第1は1~6号機のすべてが運転30年以上で、特に1~5号機は「マーク1」と呼ばれる旧型の第2世代炉。現在主流の第3世代炉より安全性が劣るとの指摘もある。

日本では2020年に運転30年以上の原発が36基に増える見通し。細野豪志原発事故担当相は9月、老朽原発の廃炉問題について「40年が一つのラインになる可能性はあるが、年限で切ることは必ずしも科学的ではない」と述べた。

電力の供給力を保つため老朽原発の安全対策を強化して運転期間を延ばすか、廃炉して新技術を導入した原発に更新するか政府の方針は未定だ。安全評価方法の見直し議論は政府が方針を決める際の判断材料になる。

九州電力は運転37年目の玄海原発1号機の圧力容器が、従来想定よりも中性子で劣化しやすいとする最新の予測結果を得ている。意見聴取会で井野博満・東大名誉教授はこの予測を「緊急の問題だ」と指摘した。今後、検証を進める。

引用元:http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0EBE2E6998DE0EBE3E3E0E2E3E39797E3E2E2E2;av=ALL

=====

座間宮ガレイの著書一覧