suzuran

2011年12月27日のイランラジオは、ロシア政府高官のコメントを報じている。それは、ロシアが日本海に海洋投棄しているというショッキングなものだ。

極東へのロシア(ソ連)の放射性廃棄物の海洋投棄を調べていくと、「すずらん」という廃棄物処理施設を、日本がロシアに供与している事実にいきあたった。

プロメテウスの墓場―ロシア軍と核のゆくえ (小学館文庫)

昨年末、イランラジオは以下のように報じている。

ロシア、領海内海底に放射性廃棄物を埋め立て

2011年 12月 27日(火曜日) 18:24

ロシア政府高官が、領海内の海底2万5千箇所に放射性廃棄物を埋め立て処分したことを明らかにしました。

イルナー通信が伝えたところによりますと、ロシア非常事態省の特別プロジェクト担当次官は、「ロシアの放射性廃棄物の埋立地は、バルチック海、バレンツ海、白海、カラ海、黒海、オホーツク海、日本海の海底にある」と発表しました。

同次官は、「放射性廃棄物を運搬中に沈没した船や原子力潜水艦も、このリストに含まれる」と述べました。

また、「これらの海底埋立地の状況はこの15年間、非常事態省の専門家らによって注意深く監視されている」としています。

同次官はさらに、「海底における、放射性廃棄物を収めた鋼鉄製容器の腐食の可能性は、ロシアの沿岸部に放射能汚染をもたらす、環境にとっての真の危険である」とし、「放射性廃棄物の危険が集中しているのは、ロシア北部のノヴァヤゼムリヤ諸島にある複数の腐食した原子力潜水艦の海底埋立地である」としました。(※全文引用ここまで)

大前提として、報道の事実関係については、現段階で僕個人が確かめることはなかなか難しい、とお伝えしておきます。

その上で、ざっと気になるところを太字にしました。

とはいっても、なかなか理解が追いついていません。

その埋立地に「日本海」も入っているというわけですね。

しかし、この報道では、「いつ」海洋投棄したのかがまったくもって不明です。

とはいえ、過去にロシアが海洋投棄していたことはなんとなくどこかで読んで知っています。それについて調べれば何かわかるかもしれない。

wikipediaで海洋投棄について調べたところ。

海洋投入 - Wikipedia

400px-Ocean_dumping_of_radioactive_waste_in_Sea_of_Japan

日本周辺の海洋投棄をしめす地図がありました。

過去に日本も近海に、海洋投棄していたことが分かります。

そして北のほうに、多くの赤い丸が見えます。おそらくここが、ロシアの海洋投棄の場所なのでしょう。

ということで、ロシア(ソ連)の領海への埋立(海洋投棄)について調べてみました。

ロシア連邦による隣接海への放射性廃棄物の海洋投棄 (14-06-01-16) - ATOMICA -

『ロシア連邦大統領府が1993年4月に公表した政府白書「ロシア連邦領土に隣接する海洋への放射性廃棄物の投棄に関する事実と問題(仮訳)」からの抜粋』

だそうです。

この記事には、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄について全般的に掲載されています。過去には原子力潜水艦や原子炉などを海洋投棄しています。関心のある人はリンク先からどうぞ。

この中から日本海に関するもののみ引用しておきます。

まず、埋立地の場所の地図です。

極東海域における放射性廃棄物の投棄場所

左下に日本海が見えます。NO.1.2.5.6.9.10がそうですね。

けっこう、日本から近いですね。

次が埋め立てた放射性物質の量です。

02

※左の番号は、先ほど紹介した投棄場所に対応しています。

それにしても、「海洋投棄」と「埋立」では随分ニュアンスが違いますね。同じ意味なのでしょうけれども。

次が、海洋投棄した放射性物質量の年度ごとの推移です。

09

チェルノブイリ原発事故が起きたのは1986年4月26日です。同年の液体廃棄物の海洋投棄が目立っています。

これらはあくまで1993年までの発表です。

これに対して日本は抗議したとのこと。

海洋投棄規制と実績 (05-01-03-10) - ATOMICA -

『1993年4月のロシア政府の放射性廃棄物海洋投棄問題に関する白書の公表に対して、科学技術庁(現文部科学省)を中心とする放射能対策本部幹事会の対応策協議に基づき、海洋環境放射能調査が実施』

『さらに、日本海の投棄海域において1994年3~4月に、日本、韓国、ロシア及び国際原子力機関(IAEA)の専門家による第1回共同海洋調査を実施』

『日本海以外の投棄海域についても、1995年8月~9月にかけて、第2回共同海洋調査が実施』

と様々な調査が行われたようで、次の結果が出ています。

『投棄による影響が認められていないことが確認』

さらに、ロシアに海洋投棄をやめさせるために、日本は、技術協力をしているとのこと。

『 ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄を防止するには、放射性廃棄物の貯蔵・処理問題の解決が不可欠との観点から、ロシアが自ら解決すべきことではあるが、わが国は日露核兵器廃棄支援資金の一部を利用して液体廃棄物処理施設の建設に協力』

『本施設の名はスズラン(花言葉で「清潔、清廉」の意味)という。長さ63m、幅25m、高さ5mの自力航行能力のないはしけ(バージ:自力航行能力のない船)の上に設置される浮体構造型のものであり、年間7,000立方メートルの液体放射性廃棄物を処理する能力を有する。1996年1月の建設企業の選定を経て、建設が行われ、2001年1月ロシア側に引き渡された。それ以後、ウラジオストク付近のボリショイ・カーメニにある原子力潜水艦解体工場の埠頭に係留され、順調に稼働している。現在、8隻の原子力潜水艦が解体される計画であり、これらの液体廃棄物は「すずらん」で処理される予定である。』

どうやら『すずらん』という船型の廃棄物処理施設をロシアに引き渡したようだ。

ちょっと「すずらん」について調べてみた。

外務省のサイトに詳細があった。

外務省: 低レベル液体放射性廃棄物処理施設「すずらん」

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これが「すずらん」だ。すずらんの働きはどうだったのだろうか。

『2007年12月、日露非核化協力委員会第34回総務会において、低レベル液体放射性廃棄物処理施設「すずらん」の事後評価を実施することが決定され、事後評価の結果、「すずらん」は供与の目的を達成していることが確認

つまり、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄をとめさせる目的を達成している、とわかったと書いてある。

さらに詳しく知りたいからは以下のPDFファイルを見るとよいと思う。

低レベル液体放射性廃棄物処理施設「すずらん」の供与に関する事後評価

=====(加筆。2012年1月2日。21:12)

Twitterで、「すずらん」を福島第一原発の汚染水対応に使う話が浮上していたと教えていただいたので、ちょっとその時のことを調べてみました。

テレビ報道の動画がありました。

日本名がついている、ロシア製放射性汚染液処理施...


また、当時すずらんについて調べてくださったブログがありました。

福島原発事故の汚染水処理には、放射性廃棄物処理船(艀)「すずらん」が使える? - やぶしらず通信 yabuDK note

この中で、「すずらん」処理限界について言及しています。

『最大取扱い放射能濃度:低レベル液体放射性廃棄物(3.7×10の5乗Bq/ℓ)』

つまり、1リットルあたり37万ベクレルということですね。福一の汚染水の数値は、僕の記憶では、このレベルよりはるか上だったように思います。(時間があったら調べる。)

すずらんは、原子炉解体など、平時に用いられる処理施設です。ひょっとすると、福一事故対応には能力が不足していたのかもしれません。

=====(加筆ここまで)

だがしかし、冒頭で説明したように、イランラジオは述べている。

『2011年 12月 27日(火曜日) 18:24

ロシア政府高官が、領海内の海底2万5千箇所に放射性廃棄物を埋め立て処分したことを明らかにしました。』

『イルナー通信が伝えたところによりますと、ロシア非常事態省の特別プロジェクト担当次官は、「ロシアの放射性廃棄物の埋立地は、バルチック海、バレンツ海、白海、カラ海、黒海、オホーツク海、日本海の海底にある」と発表』

一体どういう事なのだろうか。実態がまだわかりません。