マグネシウム発電

静岡県知事のトリウム発電に関する発言を読んだ人が、Twitterで「マグネシウム発電」について書いていた。マグネシウム発電ってなんじゃらほい。

ということで、マグネシウム発電についてと、マグネシウムの毒性についてざっと調べてみた。

マグネシウム文明論 (PHP新書)



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まず当然のように、wikipediaに「マグネシウム発電」の項目がないか調べてみたが、まだない。

でも、「太陽エネルギー」の項にマグネシウムについての言及があった。

太陽エネルギー - Wikipedia

『複合的利用

太陽光励起レーザーにより、熱や化学エネルギーを得る手法が研究されている。レーザーによる高熱でマグネシウムを還元して汎用エネルギー源として用いるほか、余剰熱で温水を製造するなどの利用が考えられている。

太陽光でつくるレーザーで、マグネシウムを還元して、そのマグネシウムをエネルギーとして使う、という考えがあるようだ。

マグネシウム発電ってなんじゃらほい。

マグネシウム発電の説明について、色々読んでみたが、ロイターの記事の中の説明が分かりやすかったので、かい摘んで引用してみる。

討論×闘論 » 記事アーカイブ » マグネシウムの「エネルギー革命」考 | ブログ | Reuters.co.jp

『海水に豊富に含まれるマグネシウムをエネルギーとして利用しようという構想を提唱する学者がいる。

東京工業大学の矢部孝教授だ。』

ここで、東京工業大学の矢部孝教授に行き当たった。

新潮45 2011年 12月号 [雑誌]

新潮45でも「マグネシウム発電」こそ切り札だ、というタイトルでビートたけしさんと対談されていますね。ビートたけしさんとの対談が組まれるということは、ほとんど多くの人がマグネシウム発電について無知であることを表しています。

この後、ネットでマグネシウム発電について調べるたびに、この矢部教授の名前が出くわすことになる。ようするに、この道の第一人者というわけですね。

『「燃料をマグネシウムに変えるだけで既存の石炭火力発電所がマグネシウム発電所になる」(矢部孝)』

『現在の精錬方法ではコストが高すぎて燃料としての利用は現実的ではない。矢部教授は、太陽光レーザーを使ってマグネシウム化合物を精錬して取り出せば、経済的にもエネルギーとして利用可能になると主張』

なるほど。ここで先程のウィキペディアの引用箇所とリンクした。

つまり、コストが余りかからないであろう太陽エネルギーを用いてマグネシウムを生成すれば、マグネシウム発電は現実的なものとなるということなのだろう。

『マグネシウムは燃焼時に二酸化炭素を排出しないので、燃料として利用すれば温暖化対策としても有効だ。また、海水には無尽蔵ともいえる量のマグネシウムが含まれている上、リサイクルが可能なので資源の枯渇問題も解決する。再生可能なエネルギー利用の新しい仕組み、「マグネシウム循環社会」を同教授は提唱』

『矢部教授は自身で会社も設立しており、淡水化装置と太陽光レーザーによるマグネシウム精錬の事業化に乗り出す計画だ。同教授の意向により具体的にここで説明することは出来ないが、ある国の有力企業の資金支援を受け、海外で事業展開する』

水ビジネスも同時に行おうとしているようだがここでは割愛する。知りたい方はリンクからどうぞ。

このリンクの中に、太陽エネルギーでマグネシウムをリサイクルすることを説明する動画があった。

Magnesium and the Sun - YouTube

マグネシウムの発熱を利用したエンジンの実験の動画もあった。

マグネシウム燃焼エンジンの実験 - The Magnesium Civilization

回っているタービンが電気を作れば、それがマグネシウム発電というわけですね。

以上とは別に、樫田秀樹さんというフリージャーナリストの方のブログで太陽エネルギーのレーザーをもちいたマグネシウム精製方法の説明があった。

記事の裏だって伝えたい 日本にこんな資源と技術がある。実現間近のマグネシウム発電!

矢部孝氏と思しき発言を引用して説明しています。

「まずは、海水の淡水化です。日本では逆浸透膜方式が主流ですが、これは莫大な電力が必要。私はエレクトラというベンチャー企業を立ち上げ、ほとんどエネルギー不要の淡水化を実践しています(すでに数カ国から国レベルで採用された。詳細は企業秘密)」

「クロムとネオジムという金属を触媒にして太陽光線を当てると、レーザー光線が出ます。これを塩化マグネシウムの直径1㍉の一点に当てると2万度の超高温となり、0コンマ数秒でマグネシウムが精錬できます。これを発電に使うのですが、たとえば10㌧の海水からは13㌔のマグネシウムが取れ、標準世帯一か月分の電力をカバーできます」

マグネシウムの精製にも太陽エネルギーのレーザーが使われるし、酸化マグネシウムとマグネシウムのリサイクルにも太陽エネルギーのレーザーが使われる、ということのようです。

さらには、沖縄で実証実験が行われることが記されています。

『あとは資金繰りだけなのですが、矢部教授は、近いうちに、沖縄県宮古島で、海水の淡水化、太陽光励起レーザー装置を5000台設置してのマグネシウム精錬という、総合的な実験に挑みます。

「できた淡水は地元の医療施設やホテルなどに供給します。また、当面は、淡水とマグネシウムを売って収益を得ることを目指します。マグネシウムは携帯電話やパソコンにもまだまだ需要がある。ここで必要な資金をため、2025年までに発電を目指したい」』

太陽の強い光が望める場所だから沖縄を選んだのでしょうか。

マグネシウム発電の弱点ってなんじゃらホイ

もちろん、マグネシウム発電について警鐘を鳴らしている人もいます。

安易な再生可能エネルギー・ブームは避けよ(2)誤解が誤解を生む連鎖 – 浜町SCI コラム

『Mg炭酸塩は燃料に精錬する段階でCO2を発生するのである。
(ただし、CO2の問題は石油燃料に比べればはるかに軽度だ。)』

ウランもそうですね。精製の段階でCO2がでます。石油燃料に比べればはるかに軽度だという根拠は示されていませんでした。

『実際には鉱物はMgCO3という純粋な物質で得られるわけでもなく、採掘・輸送・精錬・各反応の過程でどうしても無駄になるエネルギーが存在する。
そう考えると、燃料としてのマグネシウムの効用はさほど高くないように予想される。』

無駄になるエネルギーの話は正論ですけれども、「さほど高くないように予想される」という結論がもつ説得力がどれくらいかが、僕には判断がつきません。

ただ、素人考えですが、発電所を作るとなると、リサイクルして発電を支える量のマグネシウムが必要になるわけで。そういったコストがどれだけ掛かるのか、ということを知りたいと思いました。

また、そのリサイクルには、ウランやプルトニウムほどの厄介なことは余り無いのではないだろうかと今ざっと調べた段階では思っています。

マグネシウムに毒性ってあんの?

あとマグネシウムの毒性について調べてみた。原発が問題なのは、廃棄物の毒性ですから、ここは避けて通れません。

マグネシウム - Wikipedia

『マグネシウムは動植物に対して毒性の強い元素でないため、植物肥料として過剰使用を特に警戒する必要はないが、動物が直接食物から摂取する場合には、他の無機物(リンやカルシウム)とのバランスを適切にしなければ、尿路結石などの原因になりうることがわかっている。これを受けて、猫用の飼料は、組成中のマグネシウムを減らすように改良されるようになった。』

『過剰摂取により高マグネシウム血症を引き起こす。重篤な腎不全患者における大量摂取は非常に危険。心ブロック患者には静脈注射が禁忌。なお、近年のダイエットブームにより、にがりの過剰摂取で死亡した事例もあるので、安易な過剰摂取は厳に慎むべきである。マグネシウムの急性毒性は、塩化マグネシウムとして、マウス経口 LD50は4700 mg/kg、ラット経口 LD50は2800 mg/kgである。このラットのデータを70 kgのヒトに当てはめれば約200 gの塩化マグネシウムを一時に摂取すれば50 %の確率で死に至ることに相当する。

なお、「第6次改定日本人の栄養所要量について」によると、マグネシウムの所要量は約320 mg/日、マグネシウムの許容上限摂取量は約700 mg/日、である。

また、マグネシウム摂取量が多いグループの男性の大腸癌リスクが低い、との報告がある。さらに、にがりの抗腫瘍活性については熊本県立大学の奥田拓道教授らによって報告されているが、にがり中の抗癌活性を示す成分が塩化マグネシウムであるとの報告は2009年現在なされていない。』

読んだところであまり実感がわかないのですが、何でも摂り過ぎは体に良くないというわけで、マグネシウムも摂り過ぎてはいけないようです(すいませんこんなざっくりとして感想で……)。

あと危険性についても調べました。これだけ良く燃える物質ですから、保存はどうするのだろうか、という疑問は当然沸き起こりますよね。

マグネシウムに危険性ってあんの?

金属マグネシウムの安全性と保存性 - The Magnesium Civilization

『質問:
金属マグネシウムは水や酸素と反応しやすいという性質がありますが、燃料として使う場合に、危険はないのでしょうか?
また、金属マグネシウムが酸化しやすいということは、燃料として長期間貯蔵できるのでしょうか?

回答:
既存の燃料であるガソリン、石炭もすべて燃えるという意味では危険です。そうでないと燃料とはなりません。
金属マグネシウムは熱伝導が非常によいため、どこかを加熱しても温度がなかなか上がりません。そのため、塊のマグネシウムに点火するのはまず不可能です。そこで、点火するには、マグネシウムをリボン状にして熱が伝わらないように工夫する必要があります。この意味では、マグネシウムはガソリンのように揮発して引火するものよりは安全です。

一方の保存性についてですが、確かに金属マグネシウムの表面、数マイクロメートルはすぐ酸化します。しかしそれ以上は酸化が進みません。
したがって、空気中に放置しておいても燃料として使用するには問題ありません。私たちは、10年間空気中に放置してあったマグネシウムであっても、燃料として問題なく使えることを確かめました。
(矢部孝)』

とまあ、ざっと調べて感じたのは、マグネシウムという物質そのものには利用価値があるだろうということ。

だけど、儲かる匂いが、今のところ不足しているようです。石油や核のような巨大なマーケットは当然ないわけで、市場に支えられていないわけです。儲かる匂いがないものに国や企業が手を貸すことはなく、そこがこういった新しいエネルギーの弱点なのだと思います。

現段階での、マグネシウム発電は、経済的や政治的に弱いことが一番大きな壁なのではないだろうかと思います。もし経済性の側面で実用的だとした場合にも、政治的な壁が立ちふさがるでしょう。これをどうやって覆していくのか。

矢部孝氏の沖縄での実験を楽しみにしようと思います。

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