57)

有冨正憲氏(東工大教授)が、多額の寄付金を受け取り、その企業に有利な発言をしていたことが毎日新聞のスクープで判明した。

使用済み核燃料などの輸送容器の検査基準に関する審議がその舞台だった。

有富氏と一緒に参加し同大学准教授(※僕の調べでは木倉宏成氏だと思われる)も、100万円の寄付金を受け取っていると報じられている。学者の若い時代から、寄付金で取り込んでいく構造があるのではないか、と個人的に疑っている。


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核燃輸送容器:検査基準を企業に配慮 寄付受けた教授主導 - 毎日jp(毎日新聞)

『  日本原子力学会が1月に議決した使用済み核燃料などの輸送容器に関する検査基準(学会標準)が、容器設計・製造会社「オー・シー・エル」(東京都)と、 同社から多額の寄付を受ける有冨正憲・東京工業大教授が主導する形で審議され、国の規制より緩い内容にまとめられていたことが分かった。原発を巡っては、学会や業界団体が定めた内容が国の基準に採用される例も多いが、「原子力ムラ」内部で自分たちに有利な基準を作り上げていく構図が浮かんだ。【日下部聡】』

「学会や業界団体が定めた内容が国の基準に採用される例も多い」とあるが、これが、そのまま問題であるというわけではない。だが、学界や学者が、業界団体やメーカーに金銭などの授受によって取り込まれている場合は癒着が疑われても、仕方が無いのではないか。

さらに詳しい説明もある。

『有 冨氏は同分科会の主査、上部組織の原子燃料サイクル専門部会の部会長で、議決機関・標準委員会の副委員長でもある。東工大の記録によれば、有冨氏は 06~10年度、オ社から1485万円の奨学寄付金を受けた。分科会に参加するもう1人の研究者(東工大准教授)も10年度、オ社から100万円の奨学寄 付金を受けている。』

分科会の参加者を調べた。

日本原子力学会 標準委員会

57)

主査    有冨 正憲    東京工業大学
副主査    久保 稔    (独)原子力研究開発機構
幹事    松本 光郎    東京電力(株)
     浅見 光史    (独)海上技術安全研究所
     池田 整    (社)原子力技術協会
     伊藤 千浩    (財)電力中央研究所
     大岩 章夫    日立造船メカニカル(株)
     大上 圭    経済産業省 原子力安全・保安院
     大西 忠聡    国土交通省 海事局
     川上 数雄    (株)オー・シー・エル
     木倉 宏成    東京工業大学
     清水 仁    日立GEニュークリア・エナジー(株)
     谷内 廣明    トランスニュークリア(株)
     滝谷 裕司    日本原燃(株)
     道券 禎貴    (株)東芝
     林  眞一    関西電力(株)
     広瀬 誠    原燃輸送(株)
     藤沢 匡介    (株)神戸製鋼所
     丸岡 邦男    (独)原子力安全基盤機構
     横山 武    三菱重工業(株)

お近づきになりたくない、そうそうたる肩書きが揃っている。

准教授の名前が「木倉 宏成」とある。彼も今後、出世するに従い、巨額の寄付金を手にすることになるのだろうか。

今回は、奨学寄付金という名目で、約1500万円という巨額の金額が、メーカーから、有冨正憲氏に流れている。奨学寄付金というのは基本的には、使途が限られていないと思う。

ちなみに僕の話をすれば、ライブドア社から月に5万円(税込)の奨学金(おそらくこれが奨学寄付金)を受け取っている。これが1400万円になれば、ライブドア社の悪口が言いづらくなるに決まっている。話を戻して。

また、100万円が、同大学の准教授に流れているのだ。この准教授がその後教授になれば、1500万円程度の寄付金が振り込まれだろうと、想像できる。

寄付金というのは、おそらく、少額から始まるのではないか。准教授は100万円だ(少額とは思えないが)。その後、じわじわ増えていくのではないか。じわじわ増えていくわけだから、その間に自分の判断が正常ではないと疑うことは難しいわけだ。

そ していつの間にか巨額の奨学金となり、奨学金付けとなってしまう。もうその頃には、奨学金を断ることすらできなくなっているわけだ。まあ奨学金のすべてが 悪いとは僕は思っていないのだけれども。もらわずに自立できることに越したことはない(研究費などはそれが難しいことは僕でも知っているけれども)。

さて、話は、報道に戻します。

使用済み核燃料などの輸送容器の検査基準に関する審議とは一体どういうものだったのでしょうか。

『審議の焦点は、使用済み核燃料などの発する熱が容器にどう伝わるかを調べる「伝熱検査」を、新造容器全てに実施するか否か。原案はメーカーに製造実績があればサンプル検査で可としたが、経済産業省原子力安全・保安院の通達は全数検査を求めている。昨年6月の専門部会では、保安院の安全審査官が反対意見を述べた。』

ざっくり整理すると以下のような感じです。

●保安院・・・全数検査しろ(コストかかる)

●原案・・・サンプル検査でOK(コスト削減)

ということなのだろう。

コストは減らしたい、その気持ちはわかる。

『 しかし、昨年12月23日~今年1月19日に行われた標準委の投票の結果、研究者や電力会社社員らの賛成多数で可決された。反対は保安院の委員1人。独立行政法人・原子力安全基盤機構の委員が賛否を保留した。』

サンプル検査に反対したのは、

『大上 圭    経済産業省 原子力安全・保安院』

保留したのは、

『丸岡 邦男    (独)原子力安全基盤機構』

この2人以外は、全員、サンプル検査に賛成したということになる。

つまり、20人のうち18人が、コスト削減に賛成し、2人がそれでも安全には慎重を期すべきだとしたということになる。

さて、約1500万円の寄付金を受け取った有冨氏はどのようにこれを受け止めているのだろうか。

『有冨氏は「オ社の味方をしているつもりはない。全て検査していたら出荷が滞り、使用済み燃料の処理が進まない。学会としてサンプル検査でいいと判断した」と話す。だが、審査の全段階に関与していることについては「中立性に疑念を持たれても仕方がない。少なくとも分科会主査か標準委副委員長のどちらかは辞めた方がいいと思っている」と話す。』

あらまあ。正直な。だったらとっとやめればよいのに。小悪党は反省したふりをしながら、やり過ごすことを狙いますからねえ。今後の有冨氏を監視しておきましょう。

『 オ社の川上数雄常務は「公平、公正、公開の原則にのっとった委員会で活動しており、疑念を招くようなものではない」との見解を示した。』

寄付金を上げる側の企業の言い分は、なかなかのものですね。こういう場合、学者が責められがちですけれども、企業の体質の方が黒く感じます、個人的に。学者に1400万円払うことで、全体のコストを下げるという戦略がいやらしいわけです。企業側から見れば、そっちのほうが安いよね、ということなのですけれども。

『 保安院関係者は「輸送容器は市民の近くを通ることもあり、厳しい基準が必要。このまま国の基準にはできない」と話している。』

保安院がまともな発言をしていたようですけれども、企業に押し切られることも多いのではないかなあと思ったりします。

このエントリーでは、僕は、気になっているところを引用して言及したに過ぎません。関心がある方は、リンク先をきちんと読むことをお薦めいたします。

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