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2号機の圧力容器底部の温度が、400度超を示しました。温度計の検査をした直後のことでした。
報道の差異を見てみましょう。

週刊 東洋経済 2012年 2/18号 [雑誌]


まずは、東電が発表した、2号機圧力容器底部の温度のグラフ。

福島第一原子力発電所2号機 原子炉圧力容器下部温度(底部ヘッド上部)温度(TE-2-3-69H1)の状況(14.1KB)

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拡大すると……。

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では、報道の差異を見ていきます。

2号機原子炉276度に…やはり温度計故障か : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

『東京電力は13日、異常な温度上昇が続いていた福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度計が、午後5時に276・4度を示したと発表した。』

穏やかじゃない数字ですね。

『午後2時には91・3度だったが、温度計の回線の接触状況などの確認作業を進めたところ、極端に高い数値が表示された。圧力容器の温度としては考えられない高温のため、東電は温度計の故障の可能性が高いと判断した。』

温度計の検査を始めた途端に、異常に高い数値が表示されたとのことです。さて、どういう理由だったのでしょう。

とりあえず、NHKニュースがかなり細かく伝えています。

2号機温度上昇 温度計故障か NHKニュース

まずは、温度計の検査について。

『故障したのではないかとみて電気を流して温度計の状態を調べました。』

『その結果、温度計の電気抵抗が通常とは異なり、およそ1.7倍と大きくなっていることが分かり、東京電力は、温度計の中の配線の一部が断線した場合にこうした現象が起きるとして、故障した可能性が高いという見方を示しました。』

『さらに別の方法で断線していないか調べたうえで、この温度計が故障していることを最終的に判断』

『当面は、現在の原子炉の注水量を維持して、慎重に監視を続ける』

温度計の故障がほぼ断定されても、冷却水を減らさずに、監視するということですね。

これは先程のブログ記事でも書きましたけれども、他の温度計が下がっているのは、今、冷却水を相当量増水しているからなのですね。すごく下がっている温度計もあれば、あまり下がっていない温度計もあるわけです。この温度低下の差は、その温度計のある場所のエネルギー量に差があるからなわけですね。

だから、冷却水を減らすと、今度はそこの温度計が高い数値を示す可能性があります

つまり、2号機は、全然安定などしていない、というわけです。今回の圧力容器底部の温度上昇は、それを浮き彫りにしたと言ってよいでしょう。

さらにNHKニュースは、温度計の仕組みなどについて詳しく説明しています。これは省略すると意味が通らなくなるおそれがあるので、全文ドバっと引用します。

『今回の温度計の問題は、メルトダウンを起こした原子炉の状態を正確に把握することが、いかに難しいかを改めて浮き彫りにしました。

原子炉の内部の温度を測る温度計は“熱電対”と呼ばれる計器を使って測定しています。

“熱電対”は異なる金属でできた2本の電線をつなげて電気回路にしたもので、つなげた部分の2か所の接点に温度差がある場合、電圧が発生し、その大きさから温度を推定します。

東京電力によりますと、福島第一原発の原子炉や格納容器の温度計は、すべて熱電対タイプで、今回の事故では、メルトダウンが起きて、原子炉の温度が一時的に300度から400度という高温にさらされたため、回路の電気抵抗が変わるなどして、温度計が正しく測定できない可能性があるということです。』

つまり、メルトダウンによる高温で、どの温度計も故障しうる、すでに故障している可能性がある、ということを言っています。とても恐ろしいことです。

うすらうすら、温度計大丈夫か、と気になっていましたが、ハッキリ、温度計ってやばいな、ということが分かってきたわけですね。

『このため、東京電力は、すべての温度計の信頼性を評価し、このうち2号機の原子炉周辺に取り付けられた40の温度計については、評価の結果、正常だったのが2つで、1つが断線して計測が不能、33の温度計は、計測結果に影響を及ぼす可能性がある「絶縁性能の低下」などと判定されました。』

2号機周辺の40の温度計のうち33の温度計はどうやら、危ういぞと。

『この33の温度計については、事故と同じような状況を作って模擬実験を行った結果、1つを除いて、温度計の指示値と実験で得られた値との誤差が、およそ8度の範囲に収まり、使用可能と評価され、今回、問題となっている温度計もこの中に含まれていました。』

使えるだろう、とされていた温度計うのち1つが新たに故障した可能性が高いということ。つまり今後、同様なケースが起こりうるということ。

『2号機では、これまでに少なくとも6つの温度計が故障しており、最近では、ことし1月に原子炉の底から制御棒を挿入する配管に取り付けられた温度計が故障しています。

今回の温度計が故障かどうか、まだ確定していませんが、今回の問題は、原子炉に近づけず、容易に温度計をはじめとした計器類の修理ができない状況のなかで、メルトダウンを起こした原子炉の状態を正確に把握することが、いかに難しいかを改めて浮き彫りにしています。』

おいおい、2号機の燃料取り出しまで温度計もつのかよ、ということです。

『また、原子炉の設備や構造に詳しい法政大学の宮野廣客員教授は「原発の温度計は、異なる2つの金属に流れる電圧の変化から温度を測る構造になっているが、原子炉容器の壁に溶接されている温度計の先端が高温にさらされて外れたり、中に水が入ったりすると、金属の絶縁体が劣化し、故障する可能性がある」と指摘しています。』

これはつまりですよ。もし再臨界などがおき、炉心内の温度が上昇したら、温度計は壊れるかも、と言っているのですね。

水を勢い良くかけたりして、何かのはずみで、温度計に水がかかったら、温度計が壊れるかも、と言っているのですね。

そのうえで「ほかの温度計がすべて下がっていることを考えると、局所的に1か所だけ温度が高くなるのは考えにくく、この温度計が故障したと考えるのは妥当だと思う」と話しています。

その一方で、「ただし、想定を超えることはいくらでもあるので、実際に温度が上がっているという可能性を考えておくことも重要だ。常に温度を監視しながら注水量を増やしながら水をかけて冷却することが必要だ」と話しています。』

つまり、冷却水を増水した今の状況を続ける、という状況にはなんらかわりはないわけです。

つまり、状況は何も変わらないで進行していくということになります。

『また、「今ある温度計が故障してなくなる事態も想定して、事前に配管や貫通部を使うなど、外から温度を測る別の方法を考えておく必要がある」と指摘しています。』

これはかなり重要な指摘ですねえ。

例えば、キセノンなどの放射性物質を分析する機械は、故障しないのでしょうか。計器の故障が今後の重要なポイントになりそうです。

温度計が故障の可能性 2号機で276度 : 動画 - 47NEWS (よんななニュース)

『今後、詳しい評価をまとめて、経済産業省原子力安全・保安院に報告する。』

さっき、東電会見を眺めてたときに、この2号機に関しては、まだ保安院とやり取りしていない、ということを東電の松本氏は発言していましたねえ。そういうもんなのですかねえ。

福島第1原発:「温度計故障と断定」 一時400度超 - 毎日jp(毎日新聞)

『東電は「格納容器の中は多湿なため、時間がたつことで温度計につながる回線の切断や絶縁不良などを起こしたのではないか」と分析』

とはいえ、検査した直後に壊れたわけで極端に高い値を示したわけで。これが偶然かどうかは、東電と保安院の言い分だけで信じるわけにはいかないのですよねえ。それはさておき。

『13日午後2時に91.3度を表示。温度計が正しく機能しているか確かめるための検査直後の同3時過ぎには計測限度の400度を超す値に急上昇。その後、夕方に275度前後となるなど、大きく変動した。』

残る温度計も今回と同様に故障した場合、原子炉内の状態を把握するのは極めて困難で、深刻な事態となる。

毎日新聞のこの1行が、本日の報道のクリティカルヒットだったと思います。

『松本純一原子力・立地本部長代理は「今後データをさかのぼってどの時点で計器不良を起こしたのか確認し、評価をまとめて保安院に説明したい」』

『保安院の担当者は「検査は非常に低い電圧や電流で行う。温度計が正常なら、検査が原因で故障することはない」と説明』

ほんとうかなあ。だって、湿度でボロボロになってた温度計でしょう? 壊れる寸前の温度計だったら、検査で故障に至ると思うんだけれどねえ。これは、今回の件に限らず。

時事ドットコム:2号機温度計は故障=一時「400度超」、周辺30度台-福島第1原発

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冷却水の流れが、よくわかる図だと思いました。

とりいそぎ、2012年2月14日0:02時点での報道の差異をまとめたでござる。