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文藝春秋4月号にて東電のコスト削減の怠慢を暴いている猪瀬直樹氏だが。

この内容についてはまた別の機会に触れるとして。

今回、東電の電気料金値上げの説明がずさんだったことに対する指摘を読んでいく。

文藝春秋 2012年 04月号 [雑誌]



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猪瀬直樹:橋下市長と電力独占体制に風穴を開ける:復興ニッポン いま、歩き出す未来への道

『大口料金値上げ問題で、東電の姑息なやり方がまた明らかになった。契約期間を満了するまでは、契約ごとに需要家と合意しないかぎり、東電が一方的に料金を値上げする権利はない。』

『相対(あいたい)取引は契約の当事者の合意なのだから。にもかかわらず、そのことに気づかない需要家には告知もせず、4月1日から一斉に値上げするつもりだったのである。』

値上げは事業者の権利という一方的な言葉は、契約者に契約を延長する権利があるという事実を覆い隠すものだったのだ。

『2月2日に需要家に送られてきた「新しい電気需給契約についてのお願い」にはこうある。

『現在のご契約期間満了後は、現在のご契約と同一条件での継続ではなく、本年3月31日までは現在の電気料金により、4月1日以降は新しい電気料金により電気をお送りするご契約とさせていただきたくお願い申し上げます』

官僚の文章は「霞が関文学」と呼ばれるが東電のごまかしの文章をこれから「東電文学」と名付けよう。』

たしかにこの文章では分かりにくい。あくまで4月1日以降に新たに契約を延長する場合に、料金値上げが反映されるということが事実なのだが、それをこの文章からどうやって読み取れば良いのか。

東京都は、東電と様々な契約を行っていることから、契約期間もまた様々であることを知っている。だからこそ、上記の東電文学の分かりにくさに気づけたと猪瀬氏は述べている。

一方、中小企業は、自分の契約期間しか知らないので、比較する対象もないままに、東電の値上げに抵抗せず、受け入れてしまうということになるのではないか、さらには、値上げ下ではやっていけないと事業をたたもうとする企業すらある、と猪瀬氏は東電に厳重注意をしたとのことだ。

つまりは、東電は東電文学を駆使し、正確な情報の伝達をしないということで、4月1日から強引に電気料金の値上げを受け入れさせて、中小企業を廃業に追い込もうとしていたというわけだ。

これは「電気料金の値上げ」という経営上仕方がない方針とは、また次元が違う問題だ。

(1)「電気料金の値上げ」

(2)説明責任を果たさずに、不必要に早いタイミングから、電気料金の値上げを受け入れさせる。

この2つの問題は、別の問題として切り離して考えるべきだ。

(1)は、未だに東電が自社財産を手放さずに、つまりコスト削減を断行せずに、電気料金の値上げを謳っていることが問題となっている。

(2)は、「説明しない」ことで結果的に「消費者を騙す」ことだ。

両方共、悪質だけれども、それぞれに違う意味を持つ悪質さなのである。

猪瀬氏は、文藝春秋4月号への寄稿によって、(1)について暴き、そして「復興ニッポン」への寄稿によって、(2)について暴いたことを伝えているのである。

市民にとっては、東京都副知事の猪瀬氏も、東京電力も、どちらも権力だ。だからこそ、権力が権力をチェックしているという今回の猪瀬氏の2つの指摘をどのようにチェックするか、ということが課題となるだろう。

猪瀬氏は権力を用いて、東京電力の権力をチェックした。その点を讃えてよいと僕は思っている。同時に、ブログでこれについて指摘し、広く認知させようと務めた河野太郎氏もまた讃えようと思う。

上記のリンク先では、大阪府と関西電力の戦いについても述べられている。瀕死状態であがく東京電力とは違った関西電力の傲慢さについて知ることができるだろう。

そして、その結果が、今日の朝刊各紙に掲載されている。

東電値上げ 9割近く合意至らず NHKニュース

東京電力の高津浩明常務だ。この役割を担わされたことに、どのような心境でいるのでしょうか。

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うつむいて謝罪原稿を読み

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謝罪の最後にほんの僅かな時間だけ顔を上げ、歪んだ口元で、しぶしぶお詫びを述べています。企業に勤めていて顔が歪んじゃっている人をみると、僕はあわれに思います。

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おじぎをするという儀式が、記者会見の現場で執り行なわれたとのこと。

私たちは、契約という、資本主義経済における明確な話をきちんとしたいだけです。謝罪という情緒的なもので、なんとかなるものではないのです。

こういった儀式によって、東電の体質が許されるとしたならば、この世の中では、きちんとしたルールを守る人が損をするということになってしまうわけです。

『東京電力は、来月から企業などの電気料金を値上げすることについて、来月以降に契約の更新を迎える23万件余りのうち、90%近くが値上げの合意に至っていないことを明らかにしました。』

『来月以降に契約の更新を迎える23万件余りのうち、87%が値上げに納得できないなどとして、契約の更新に至っていない』

そりゃそうだろう。逆に約1割が契約の更新に至っていることが驚きだ。本当にこの数字は正確なのだろうか。この中に東電の説明責任を果たさない不作為に気づかずに契約を更新している企業はどれだけいるのだろうか。

『来月以降でも以前の契約の期間が残っている間は、これまでの料金を継続することができることから、東京電力に対して説明不足だという批判が出ていました。』

『契約を更新しないでこのまま電気を使い続けた場合、最短で5月下旬に電気の供給を止める可能性もある』

契約切れから50日以内に、契約の更新をしなければいけないというルールがあるので、最短で「5月末に電気を止める可能性がある」ということなのですね。

だけども、もし、5月末に電気を止めるようなことがあれば、東電への不満が、一層強まることになるでしょう。契約を更新できない企業というのは、これ以上コストを削減できない、弱者の立場である中小企業だと想定できるからです。

権力が自らの存亡のために弱者を潰そうということを、この社会は許容するのかどうかが問われています。

『30日までに契約が切れる場合には今回の値上げの対象にはならないとして、今の料金のまま契約を1年間延長できる』

3月30日までに契約が切れる企業と、3月31日に契約が切れる企業とで、不利益をうける量が違うということに、僕は市民として納得がいかない。契約の時期は、事故以前に決まっていたものだからだ。納得行かないことでもそれが社会のルールだから従わなければいけない、ということがまかり通るなら、それは社会がクソだということです。

東電が「値上げ一部」1年見送り - 経済ニュース : nikkansports.com

『東京電力は27日、4月から実施する企業向け電気料金値上げへの批判を受け、契約満了日が値上げを発表した1月17日から今月30日の企業で、値上げの同意が得られない場合は、値上げの実施を1年間見送り、現行料金のまま据え置くと発表した。』

批判を受けなければ、発表しなかったということです。

『既に同意を得た企業にも再度、確認作業を進める。』

これは、「同意を得た」という同意が、十分な説明のもとの同意だったのかどうかが不明瞭であることを意味しているのではないか。

本当に、きちんと確認作業を進められるのでしょうか。最初からそれをできなかった彼らに、誠実さを求めることは無理というものです。これは人間性の問題ではなく、能力の問題なのです。

『都内で記者会見した高津浩明常務は、説明不足による混乱により、値上げによる増収効果は当初想定した年間約4千億円から最大で1千億円減少し、3000億円程度にとどまる可能性を示した。』

これは、我慢できなくとも、全員がそれをこらえて従った場合という、過小の試算です。

東電が、東電文学で、値上げタイミングをごまかして押し切ろうとしたということは、事業者側が社会のルールを捨てようとしたということを意味します。

不誠実であれ、とすることをよしとする世の中の情勢を東電側からつくり出したと見ることができます。

作用があれば反作用が当然あるのです。

「東電の企業向け値上げ、一部据え置き」 News i - TBSの動画ニュースサイト

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契約終了の時期が1日違っただけで、不利益の度合いが違うという不平等なシステムに、当然、今後批判が集まるのではないかと僕は思っています。

東電が、コスト削減をしていない現状で、この不利益を認められる人は少ないでしょう。

東電、4月一斉値上げ断念 収支1000億円悪化へ  :日本経済新聞

『東電は一斉引き上げで約4000億円の収支改善を見込んでいたが、最大1000億円程度目減りする見通し。』

収支改善を不適当な方法で行なおうとしていたことに、そもそもの原因があるわけです。それを「1000億円程度目減り」という表現で伝えるメディアに違和感を感じざるをえません。

そもそも、この「1000億円」は手に入れられるはずがないお金だったのです。

『原子力発電所の再稼働も遅れる可能性があり東電と原子力損害賠償支援機構がまとめる「総合特別事業計画」に影響しそうだ。』

このことだけを指摘して「総合特別事業計画」に影響しそうだと述べる日本経済新聞は、メディアとしてのチェック機能を果たしていません。

コスト削減における東電の怠慢を、意図的に指摘していない、と捉えてよいでしょう。

『既に料金値上げの同意を得た顧客についても再度電話などで意思確認をする。』

この電話料金も、電気料金に反映されることを、記憶しておこうと思います。

30日までに契約満了の客は料金1年据え置き 東電

『4月1日から即時に料金値上げの対象となる5万件のうち、現時点で料金値上げを了承しているのは3300件と1割にも届きません。』

ここで、料金値上げを了承している件数が記述されています。

東電値上げ、同意まだ5%…大口対象・1日実施 : 経済ニュース : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

『東電は、値上げに合意せず無契約となる顧客にも当面は電気を送る。だが、値上げ後の料金を請求する。顧客は、東電と改めて契約を結ぶか、電力小売りの新規参入者(PPS)と契約するかを決める必要がある。』

だがPPSへの需要が高まりを見せ、これ以上、供給を増やすことが難しいという状況があります。これは電力自由化がこれまで不十分であったことを意味します。

また、管轄外からの電力融通も現状、積極的に行なわれていません。これまでにわずか1件のみです。

東電、増収効果1000億円減 値上げ合意1割未満 - SankeiBiz(サンケイビズ)

『年間4千億円と見込んでいた増収効果が最悪の場合、1千億円減少し、3千億円程度にとどまる可能性がある』

だれにとって「最悪」か。東電にとってです。権力である東電の立場からでしか伝えられない産経には、改めて、終了のお知らせをお伝えしたいと思います。

『(1)今年1月17日~3月30日に契約更新日を迎える顧客は1年間の値上げ見送り(5千件)

(2)3月31日が更新日の顧客は4月1日から値上げ(同5万件)

(3)4月1日~来年1月16日の顧客は同期間中の満了日(同18万2千件)』

値上げのタイミングを3つに分けて説明しています。これは産経が最も分かりやすく伝えていますね。優秀です。追及するのが遅すぎるという点において東電広報として優秀なのです。

『契約電力500キロワット以上の200件、同500キロワット未満の1500件は「拒否」している。』

合計1700件が拒否している、ということになります。産経のみの発表です。

値上げ応じない企業、電気供給停止も~東電 | NNNニュース

『東京電力は、実際に電気を止めるかどうかは検討が必要としていて、まずは値上げへの理解を求める考え。』

少しでも東電は批判を収めようと必死です。その批判は東電の振る舞いが巻き起こしたものです。不思議な人達です。

FNNニュース: 東電の企業向け値上げ..

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この人物は、口元が歪んでいる時もあれば、きちっとしている時もあります。つまり、このような苦悶の表情は彼らにとって批判をかわすための1つの方便ではないか、と見ることができるでしょう。

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鉛筆製造業者を取材しています。

東電値上げ、同意は5%:日刊工業新聞

『4月1日からの値上げに同意した比率が約5%にとどまっている』

本当に5%もいるのか?

『22日現在、650件が4月1日からの値上げを承諾しているが、「あらためて説明し、話が違うとなれば、現行料金の継続に応じる」(鎌倉賢司執行役員)としている。』

話が違うとなる人たちがほとんどなのではないか。そうなると「5%」という数字すら過大報告なのではないか、ということになる。

東京新聞:あいまい通知 不信感 東電「値上げ拒否可能」伝えず:社会(TOKYO Web)

東電が強引に料金値上げを認めさせようとしていた実態を東京新聞は暴いている。

『「嫌だと言われても四月一日からは値上げするんです」。二月上旬、値上げに関する専用ダイヤルの問い合わせ電話に、応対した東電職員が答えた。』

信じられないことが、一般論として基本的にこういう専用ダイヤルは、事業者がやっていない。僕は以前、別会社とトラブって専用ダイヤルで追及したときに、委託されてやっていることを明かされたことがある。それを公表しないでくれとせがまれた。

つまりは、専用ダイヤルの存在は、消費者の声をくみとるためにあるのではなく、事業者の恣意的な施策を断行するためにあるとも捉えることができる。

フリーダイヤルであることをありがたがっていると、事業者との関係が消費者にとって有利に進まないというわけだ。繋がりにくいフリーダイヤルよりも、むしろ有料ダイヤルでかけたほうが、抗議する強い立場を表明できるのではないかとか個人的に思う。

『通知書には「現在の契約期間にかかわらず、四月一日以降は電力料金を値上げさせてください。でも、了承できない場合は、三月三十日までに専用ダイヤルに連絡を」と書かれていた。』

理解出来ない人に強引に理解させようとする意思が鮮明にあらわれています。

『三月二十日、「契約期間内なら値上げを断れる」と報じた本紙朝刊の記事を読み、秋山さんは驚いた。記事のコピーを管理会社にファクスし、再度、確認を依頼した。』

『すると、東電側は「お受けしました。これで大丈夫ですよ」。二月に部下が問い合わせた際とは対応が一変』

電話の受け答えの人にとっては、ただのマニュアル変更による受け答えの変化だが、抗議した人にとっては態度が豹変したということだ。

『秋山さんは契約期間が十二月まで残るビルの値上げを回避できたが、「契約期間内は値上げを断れると、東電は通知書にきちんと書くべきだ。あまりにも利用者をばかにしている」と怒りは収まらない。管理会社の幹部も「文言をあいまいにすることで、NOと言わない人の分は値上げしようと考えていたのでは」』

『東電広報部の担当者は「契約者の了解を得て、四月一日から一括して値上げをお願いしたいという前提があった」と明かした。顧客に送った通知書の内容が不十分だったことを認め、今後も周知徹底に努めたいとした。』

「今後も」?

ばかばかしい。これまでと同じように、いいかげんな表現での周知徹底に努められてはかなわない。

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