2012年4月11日、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。大飯原発の安全性について、政府が暫定基準に「おおむね適合」と判断したことについて、言及しています。

福島原発事故―原発を今後どうすべきか (河合ブックレット)

▼20120411 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

=====(文字おこし、ここから)

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。小出さん、こんばんはー?」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします」

小出「よろしくお願いします」

水野「え…そして東京には近藤さんですー」

近藤「よろしくおねがいしまーす。どうもー」

小出「はい。よろしくお願いします」

水野「え、まず、大飯原発3号機4号機の再稼働に向けての、政府の動き、大変急なように見えますが。」

小出「はい」

水野「あの…政府がですね、暫定的な安全基準に、『おおむね適合している』と判断をしまして。安全性を確認したとのことなんですね」

「おおむね安全」で原発再稼働? 大飯原発「おおむね適合」とお墨付き : J-CASTテレビウォッチ

小出「はい(苦笑)」

水野「それで、え…関西電力の、安全対策のうち、これから時間をかけてやる中長期的な対策については工程表が提出されました。その中身について、具体的に伺いたいと思います」

小出「はい」

水野「え…まず、例えば、2015年度に、フィルターの付いたベントの設備を設置するというふうにあるんですよ。」

小出「はい」

水野「これはいかがですか?」

小出「え…ベントというのは、」

水野「ええ」

小出「格納容器の中の空気やガスを外部に放出するためにつけられたもの、です」

水野「はい」

小出「で、もともとはその、格納容器というのは放射性物質を閉じ込めるための最後の防壁ですので」

水野「はい」

小出「中から外へモノを出すなんてことは、想定もされていない、のです」

水野「はい」

小出「ただし、え…昨年福島第一原子力発電所の事故で起きたように、原子炉が溶けたりしてしまいますと、まあ膨大な蒸気や、放射性物質が格納容器の中に充満してくるのです」

水野「はい」

小出「え、そのまま放置しておきますと、放射能を閉じ込める最後の防壁である格納容器自身が、破裂してしまうおそれがあるということで。そんな時にはもう、仕方が無いので、え…バルブを開いてですね、中のガスを逃がそうという、そういう為に考えられた、のがベントというものなんですね」

水野「ええ、ええ」

小出「ただし、今聴いていただいた、想定だとすれば、ベントを開けば格納容器の中に溜まっていた放射性物質をそのまま出してしまうことになる」

水野「そうか、そうですね」

小出「はい。ですから、本来ベントというものをもし使うのであれば、フィルターは当然付けておかなければいけなかった、」

水野「そ、そうですね」

小出「のです。」

水野「うん、はい」

小出「しかし、福島第一原子力発電所を含めて、日本の原子力発電所、沸騰水型と呼ばれてるほうの原子力発電所では、ベントは付けたのですけれども、フィルターを付けていないのです」

水野「なんでそんな、そんな、基本的なことをしないんですか」

小出「ええ…つまり、どうせそんなことは起きっこないよと。」

水野「ああ……」

小出「思っていたのだと、思います。」

水野「ふあ……」

小出「ですからまぁ、実に馬鹿げたベントしか付いていなかった、のです。で、一方、大飯原子力発電所のほうは、加圧水型原子力発電所という、」

水野「はい」

小出「型…型のもので。福島のものとは、う…違うのです」

水野「タイプが違うんですよね」

小出「はい。それで、格納容器が福島のものに比べて圧倒的に大きいので」

水野「ほう」

小出「格納容器の中の内圧が上がるなんてことはもう、考える必要もないということで、ベントすら付けていなかったということなの、です。はい」

水野「はあ…」

小出「ですから、それにベントをつけるということであれば、もちろんフィルターをもう付けざるをえない……わけですが。まあ、かなり大きな工事になりますし。え…ベントを開いて中の蒸気あるいは放射性物質を外部に急速に逃がそうとするとですね、そのフィルターもかなり大きな、そしてそれなりの性能を持ったものを取り付けなければいけませんので、大工事ですし。簡単にはできません。え…ですから」

水野「だからですか。3年も先のことなんですね」

小出「そうです。ですから、まあ、それまでに事故が起きたらどうするのかということになってしまいます。」

水野「どうすん…ですか。でも、ベントがついていたら、爆発がしないというわけ、でも、無いことは、福島でわかりましたよね」

小出「もちろんです。え…ベントをつけたからと言って、ほんとに安全になるかどうかというのはまた別の話なのであって。例えば、加圧水型という原子力発電所では、米国のスリーマイル島原子力発電所というものが、ありました。え…そこでも、まあ、思いもよらない形で事故が起こりまして。格納容器の中に、水素が充満して、それが爆発したことがありました」

水野「あー、はい」

小出「ただ、スリーマイル島原子力発電所は近くにハリスバーグ空港という空港があって」

水野「うん」

小出「飛行機が落ちてくるかもしれない可能性を考えて、格納容器が頑丈に作られて、いました。そのためかろうじて格納容器が壊れなかったということがあったわけ、あったのですが。」

水野「ええ」

小出「まあ、大飯の場合だって、どんなことが起きるか結局はわからないわけですから。まあ、フィルター付きのベントを付けるということは1つの、まあ、やりようだとは思いますけれども。だからといってそれで安全になるということとは違います」

水野「もう1つ」

小出「はい」

水野「これ、燃料棒が損傷した場合、これメルトダウン、したってことですね?」

小出「そうですね」

水野「した場合、発生する水素を処理する装置を、2013年度に作るんだそうです。」

小出「はい」

水野「てことは、メルトダウンしても水素爆発させないってことですよね」

小出「え…彼らはメルトダウンっていう言葉ではなくて、わざわざ燃料の損傷という言葉を使ったわけですね。え…つまり、全体が溶け落ちるなんてことは考えなくてもいいと。一部分の燃料棒だけが、え…壊れた時を想定して、水素の再結合をさせようという、本当にメルトダウンを想定してしまうなら、再結合などやっても間に合いません…(苦笑)」

水野「あ、そうなんですか」

小出「はい」

水野「はあ。メルトダウンしても放射性物質を閉じ込める方法ができたのかと思って。そんなものできないわけですね」

小出「(苦笑)できません」

水野「はい。えーでは今度、大阪の動きについて伺いたいと思います」

小出「はい」

水野「大阪府と市のエネルギー戦略会議が大飯原発の再稼働について、8つの条件というのを作りましたよね」

小出「はい」

=====(文字おこし、続く)

続き:大飯原発・再稼働の8条件(大阪府市統合本部エネルギー戦略会議) 「徹底的に戦う気ならば私はありがたいけれども。どこかで妥協するのが政治なんだろう」小出裕章4/11(2)