2012年4月18日(木)、小出裕章氏が毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。澤田哲生氏と再稼働をめぐり討論しました。

「勧告」を「お勧め」と表現するなど、澤田氏の言葉遣いがところどころ奇妙だ。

騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実


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▼20120418 [1/2]たね蒔き「原発再稼動すべきか?反原発派vs推進派の討論」 

▼20120418 [2/2]たね蒔き「原発再稼動すべきか?反原発派vs推進派の討論」

=====(文字おこし、ここから)

水野「たね蒔きジャーナル今日の特集です。近藤さーん」

近藤「はいー」

水野「今週はシリーズでお伝えしております」

近藤「はい」

水野「『知られざる内幕』、ですが、今日はですね、原発についての徹底討論でございます。え…原発について全く違う考え方をしていらっしゃるお2人の学者にお話をしていただくと、いう企画第2弾でございます。え…まずは京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんです。小出さんこんばんは」

小出「こんばんは」

水野「どうぞよろしくお願いいたします:

小出「よろしくおねがいします」

水野「え…そして東京工業大学原子炉工学研究所助教、澤田哲生さんです。澤田さんこんばんは」

澤田「こんばんは」

水野「どうぞよろしくお願いします」

澤田「よろしくお願いします」

誰も書かなかった福島原発の真実

水野「澤田さんは、今、イタリアだそうで」

澤田「そうですねはい」

水野「ああ、お昼間ですかね、」

澤田「ちょうど1時…ですね」

水野「あ、そうですか」

澤田「あのみなさんこれからお昼を食べようかなという感じのとこですね」

水野「ああそうですか。」

澤田「はい」

水野「今日はですね、そうした意味ではあのイタリアや東京の近藤さんや、ということで、ものすごい中継でお送りしたいと思います。まずですね、小出さんそして澤田さんになんといいましても、ニュースの今一番の焦点かと思います、原発の再稼働の問題について。この是非をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、一言ずつ伺いたいと思うんですが。小出さんはいかがですか」

小出「やってはいけません」

水野「再稼働はやってはいけない」

小出「はい」

水野「理由はなんでしょう」

小出「原子力など、に手を染めたことが間違いなのであって。え…もうすぐ日本では原子力発電がすべて止まる日を迎えます。え…それを、本当に大切なものとして、原子力に頼らない世界に踏み出す一番いい機会だと思います」

水野「はい。それでは澤田さんは、この再稼働の是非はどんなふうにお考えですか」

澤田「そうですね、はいもちろん私は再稼働すべきだと、まああの機会あるごとに言っております。」

水野「はい。それはどうしてでしょうか」

澤田「そうですね。いくつか理由があるんですけれども。まずあの…、特にまあ問題になってる大飯の発電所ですね。こちらに関しては、すでに色んなその緊急措置もしておりますし。いわゆるストレステストというの結果出てますよね。でストレステスト…」

水野「一次ですよね」

澤田「ていうよりかですね、これはあのー、えっと去年の4月6日にまあ時の菅総理が言い出した話ですけれども。まあ一次評価っていうのはその、点検中、点検に入った原発の再稼働をするかどうか政治的な判断をするための1つの材料として、まあその関係した事業者にあのテスト結果といいますかね、それ出すということにしてたと思いますので。その結果を決められた手続きにしたがって評価してしかるべき結果であると判断できるならば、やる、再稼働に結びつけていくべきだと、そういうふうに考えてます」

水野「うん…それはつまり安全だから再稼動しても大丈夫だという意味で捉えたらいいんですか?」

澤田「あのー詳しくいいますと皆さんご存知だと思いますけれども」

水野「ええ」

澤田「一次評価って言うのは、総合的な安全性の評価ではないんですね。ただしその…緊急的な措置を色々してますのでそのことによって、え…例えば津波あるいは地震その他の事象が起こったときに、どれぐらいのその耐性、耐えられるかですね」

水野「耐えられるか」

澤田「その上でのこの余裕の幅が広がったかどうかってこの評価が出てるはずなんですよね」

水野「はい」

澤田「ですからその以前よりもさらにその、お…余裕が大きくなったという結果が出ておりますので。その事自体は、あ…まあなんていいますかね、え…正当に評価されるべきではないかと思います」

水野「はい。小出さんはこの澤田さんの再稼働あるべきだというこの論評についてどんなふうにお考えですか」

小出「すみませんが、私は澤田さんに全く同意できない」

水野「はい」

小出「のです。え…もともと、原子力の安全性というのは、様々な想定したじ…事柄に対して、技術的に考えながらこれが安全だ、やっぱりダメだからもう少し何とかしようといって、やってきたんですね。で…国も様々な安全基準を作ってやってきたわけですけれども。それがくつがえってしまったということが、残念ながら福島第一原子力発電所の事故で示されて、いるのです。」

水野「はい」

小出「え…ストレステストというのも、従来の考え方で、やってるわけで。少し厳しく考えたらどうなのかというようなことだけなの、です。」

水野「ふうん」

小出「ようするに想定された事柄に対してどこまで安全か、どこまで耐えられるかということなのであって。そのような考え方が間違えてしまっていたということこそ学ばなければいけない、のです。ですからもっと…あの…これから原子力をやるというのであれば、根本的なとこに立ち返らなければいけないはずなのですが。何でもかんでもとにかく運転再開をやりたいという、政治判断で今回の選択がとられようとしています」

水野「あの…ラジオネーム『たぬきわんわん』さんというかたのご質問があるんですけれども。この方は澤田さんに質問したいということなんです」

澤田「はい」

水野「澤田さん」

澤田「はい」

水野「あの、澤田さんがそこまで原発を推進するべきだとおっしゃる本当の理由をお願いしたいんです。まあ日本は資源がないから原発いるんでしょうか。まさか国防のために核抑止力ということでいるんでしょうか。原発がなくても電気は足りるんじゃないんですか、というふうに」

澤田「そうですねあの」

水野「本当の理由はどこですかというふうにうかがってらっしゃいます」

澤田「はいはい。核抑止力の問題っていうのはちょっと関係ないと考えます。まあそのへんの話も色々すれば長い話になるんですけれども」

水野「ええ、ええ」

澤田「で、私はですね」

水野「はい」

澤田「原子力エネルギーって特別なエネルギー源ではある意味ないと考えているんですね」

水野「特別なエネルギー源ではない」

澤田「ええ。つまり放射能をまあ恐れる怖がるっていう話もありますけれども。ようするにまあ、宇宙に放射線が満ちていると。あるいはその宇宙の始まりってのは、まさに放射線の海だったわけですよね。まぁ、そんなかから物質というものは出てきて、1つのその、宇宙のその…メカニズムといいましょうか。働きの結果、まあウランとかプルトニウムが…物質ができたわけですね。」

水野「はい」

澤田「それはまあ、たまたま人類…この地球の上でウランが発見されて、それをまあ1940年代30年代にまあ、え…核分裂という現象が発見されてそれをまあ利用しているわけですよね。まあその戦争利用と平和利用があるわけですけれども。」

水野「ええ」

澤田「まあ上手く使えば平和のエネルギー源として使えると。で、このエネルギー源というものはですね、自然の成り立ちそのものだと考えていますので。え…そういう観点で上手く使ってやればいいというふうに私は考えてます」

水野「はあ。あの…このお考えに小出さんはいかがですか」

小出「(苦笑)残念ながらこれも、澤田さんと私は正反対、なのです。今澤田さんおっしゃったように、宇宙には放射線が充満していますし、地球というこの星ができたときには、様々な放射性物質がありました。え…ただその時には、生き物は生きられなかった、のです。」

水野「はあ」

小出「地球が火の玉からだんだん冷えていって、え…海ができて、大気が出来て、宇宙からの放射線が遮られるようになって。地球上に膨大にあった放射性物質がどんどん寿命をもっていたために減っていってくれて。ようやくに、命がこの地球上に根付けるようになった、のです。ですから放射線というものはもともと危険なものなのであって。それを人為的に生み出すというようなことは本来はやるべき事では、ないと私は思います。」

水野「うん。澤田さんはいかがですか、今の小出さんの話に」

澤田「えっとー、そうですね、あの、まあ、なんていいましょうか、この話をするとやっぱなかなかこう、堂々巡りになると思うんですけれども」

水野「ええ」

澤田「私はまあ、繰り返しになりますけど、その、まあ核分裂エネルギーですね、これは特にその問題視されてる、あるいはそれ、それに伴うその核…原子核というものが変化することでも放射線のようなものが出てくるわけですね。だからそれが自然そのものだと思ってるというか、認識してるわけですね」

水野「ということはあの、ご本(『誰も書かなかった福島原発の真実』)にも澤田さん書いてらっしゃいますけど、原発か自然エネルギーかという議論はちょっとおかしいと。原発も自然であるというそういうお考えっていうところですね」

澤田「ですからわたくし自然エネルギーも、まあそっちに話が移ればですね、どんどん増やすべきだと思うんですよ。ところがやっぱ自然エネルギーだけで全てをまかなえるかっていうと、まあおそらくその遠い将来というか、まあ近い将来かもしれないですね、30年後ぐらいにもしかしたらそういう世界が来るかもしれないですけども。今から見て10年後とかそれぐらいのレンジでですね。え…原発が担ってた2割3割のまあ特にこの電気ですね」

水野「ええ」

澤田「これを自然エネルギーで代替するのはなかなか難しいんじゃないかと思うんですね。で私は自然エネルギーを増やせば、も増やせばいいですし、原子力発電所も上手く使っていく、そういう選択肢を取るべきではないかといつも言っております」

水野「はい。小出さんいかがですか」

小出「(笑)。はい、おもしろいというか、これも私は澤田さんと反対、です。私は自然エネルギー自身にもリスクが伴うので、自然エネルギーを闇雲に増やすべきではないと思って、います。え…そして今現在で言えば、原子力は即刻廃絶したとしても、10年20年30年という時間の長さで言えば、化石燃料で十分やれると、思って、います。え…ただ、その10年20年30年で化石燃料に頼っていると、またやはり化石燃料による破壊が進みます、環境の破壊が進みますので」

水野「ええ」

小出「出来る限り早く、自然エネルギーに移行すべきだと私は思い、ます。」

水野「ふうん。あの、高校2年生の男の子で『にっしーくん』っていう彼はですね、将来社会科の先生になるのが夢ですっていう、え…男性で、初めてメールをしてくれた人なんですけども。お2人に質問で、原発をなくすとどのようなエネルギーでこれからの日本はやって行くんですか、っていうことでいうと小出先生は今の答えになりますねえ」

小出「はい。え…今現在日本の電気というのは、」

水野「はい」

小出「火力・水力・原子力というものでまかなっているわけですが。原子力を今即刻全部やめたとしても、日本の電気が不足することはないのです。火力と水力で十分にやれるだけのものがあります。ただしこれからも、どんどんどんどんエネルギーを沢山使いたい、電気を沢山使いたいと言えば、いつか、破綻します。ですからなるべくエネルギーを使わないようにする社会をつくらなければいけませんし、化石燃料になるべく依存しないように自然エネルギーに移行していくということを、一刻も早く取り組むべきだと思います」

水野「ふうん。澤田さんの答えはどうなりますか。」

澤田「そうですね。ま、自然エネルギーをどうやって増やしていくか、ま、いずれにしても時間がかかると思うんですね。それで、実際どこまで…」

水野「つまりあの、」

澤田「はい」

水野「今すぐもし原発を、全部やめてしまったらば。」

澤田「その分は化石エネルギーに行くしか無いですね。」

水野「それでやっていける、んですか?」

澤田「ええ、今実際ほとんどあの、日本の原子力発電所は泊の1基しか動いてませんので。」

水野「はい」

澤田「結局今日本の電気、要するに原発が止まってる分のだいたいは化石火力にいってるわけですよね。」

水野「ええ」

澤田「で、この問題があってですね。1つはその、これ全部、日本はその、化石燃料っていうのは日本で産出できないので、外国から買ってるわけですよね」

水野「ええ」

澤田「そうすっとだいたいですね、原発止めたぶんで、その化石燃料調達するお金が、年間2兆円から3兆円ぐらいかかるといわれてます」

水野「はい。2兆円、3兆円」

澤田「で、そのお金が流出していくということですね1つは。それと化石燃料もこの世界のマーケットといいますか市場がありますので、まあその、えっとインドとかですね中国はよくいわれるように、え…色んなエネルギー、化石燃料もそうです、買い占めているわけですよね。」

水野「ええ」

澤田「で、その化石…燃料の世界需要ってのは逼迫してます。で日本は比較的お金持ちですから多少高くても変えると。で化石燃料のその…市場に日本が出ていくと要するにえ…高いお金を出さないと買えなくなるような経済的に弱い国が出てきてしまうわけですよね。」

水野「ふうん」

澤田「それで困ってる部分もありますので。ま日本はできればその原発を動かしてですね、その、そういう世界の市場に迷惑をかけない様にするべきじゃないかと私は思っております」

水野「近藤さーん」

近藤「はーい」

水野「お2人の議論を聞いてらして、いかがです?」

近藤「…いやあ、とりあえず大飯原発を、なぜかくも急がなくちゃいけないのかっていう、そこんところが、うーん、まあ要するによくいうけど福島の事故そのものの検証も終わってないわけで」

水野「ええ」

近藤「それで安全性に懸念がある以上、再稼働するっちゅうことになると、それをなんちゅうんですか、100倍も200倍も上回る必要性が要るんじゃないかと思うんですけど。そういう点でどうなんですかね」

水野「澤田さんいかがですか。そ、福島…のことから学ぶことは無いんですか」

澤田「あ、あ、言っていいですか、今」

水野「ええ」

澤田「え…と、まずですね、福島…はもちろん重要なんですけれども。私よく言ってるのはですね、津波が襲ったのは東日本一帯、北から南まで相当長い海岸線に沿って起こってるわけですよね」

水野「ええ」

澤田「でまあ女川発電所。これは安全に止まってると、いうことなんですよね。それはまあ、ひとえに言うと津波対策がしっかりしていたと」

水野「はい」

澤田「それから、福島に関しても、第二…これもいろいろありましたけど、結局安全に止まってると。第一発電所の6号機、これはディーゼル発電機に空冷式のを使っててですね」

水野「ええ」

澤田「それをまあちょっと高いところに置いてたと、でそれが助かったがために6号機と5号機は定検中でありましたけれども、4号機のようなことにはなってない、わけですね。」

水野「うん」

澤田「だからこういう実際のストレステスト、まああの地域受けてるわけですけれども。まあ仔細に見ると違いがあると。それが、今後どうするべきかという問題の1つの、そこにこう、おー…答えというか、が透けて見えてくると思うんですよ。まあそういうコトも考える。それから大飯は急いでるとおっしゃいますけれども。これ実際ストレステストは去年の夏頃から綿々と準備をやって、10月頃だと思うんですけども、1つの…回答と言いましょうか、答えを出して、それから評価をしてるわけですね。結構時間をかけてると思うんですけれども。その、プロセスに関していろんなこと言われてるのも、これもまあ事実ですけれども。ですからやるべきことを、十分時間をかけてやってると、いうふうに私は思っていますけれども。」

近藤「あの…小出先生。」

小出「はい」

近藤「ええっと、その津波…が原因じゃなくて地震だっていう説ありますよね」

小出「あります」

近藤「福島で」

小出「はい」

近藤「つまり、原子炉の関係の機器が壊れたんじゃないかということでしょう? 津波で…ちゃう、地震で」

小出「そうです、地震で。そうです」

近藤「そうすると、今の澤田さんの意見というのは、あくまでも津波説ですよね」

小出「はい。まあでも地震では大して壊れなかったと澤田さんはおっしゃってるわけですね。」

近藤「うん」

小出「女川も福島第二も」

近藤「うん」

小出「はい」

近藤「で、津波を受けて…」

水野「そこん所は実際はどうなんでしょう、どう思われますか?」

澤田「ええ。それいいですか?」

水野「え…ちょっと小出先生のお話今度聞かせてください」

小出「はい。ええと…女川も福島第二も、少なくとも福島第一のような事故にはならなかった、のですね。でも私はたいへん偶然だったと思っていまして。女川の場合には、外部の送電線から電力をもらう系統が1系統だけたまたま、生き延びた、のです。福島の場合には、外部の送電線の鉄塔が全部倒れてしまって。外部からの電気がえられなくなったということがあるのですけれども。え…かなり偶然だろうと思います。それでいま澤田さんがおっしゃった福島第一の5号機6号機に関しても、空冷式の非常用の発電機がたまたま生き延びたということ、だったわけですけれども。ほんとうに偶然で、ほん…悲惨な事故になる場合もあるし、ならない場合もあったと、いうことだと私は思い…ます。で…そういうコト、を、なるべくこれからは起きないようにしようといってストレステストというものもやったわけですけれども。それも、考えられるようなことに関してやってるだけなのであって。偶然が支配するようなことに関しては、ほとんど無力だと思いますし、え…ストレステストを合格したからといって、安全になるわけではないのです。え…そのことを皆さんちゃんと理解した上で、危険を含めてなおかつこんなモノをやる必要があるのかどうなのかという事を考えて欲しいと思います」

水野「じゃあ議論をこのあとコマーシャルに続いて続けさせていただきます」

小出「はい」

※CM部分カット

水野「たね蒔きジャーナル・シリーズ『知られざる内幕』、今日は原発徹底討論です。京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さん。そして東京工業大学原子炉工学研究所助教、澤田哲生さん。お2人全く意見の違うお立場でいらっしゃいますが、え…お話をしていただいております。お二人にですね、聞いていただきたいリスナーの方からのメールがございます。え…お答えいただきたいんですが。ラジオネーム『かさま』さんという人です。え…この方はですね南相馬市の警戒区域の解除された地域へボランティア活動に行くという話についてちょっと相談をしたいんですと。で今までにも何度か災害ボランティアに参加していて、今回警戒区域が解除されたことで帰宅される住民のみなさんのところでボランティアを求めてはるようですから、う…行こうと思うんですが。小出さんは、まあ警戒区域の帰宅というのは出来れば避けるべきだというご意見なのでしょうか。ただ、僕は帰りたい人がいはったらそれを助けてあげるのもいいかなあと思ってるんです。このあたりどうでしょう、って、仰っているんです。まず小出さんからじゃあお願いします」

小出「はい。え…みなさんどなたもそうだろうと思いますけれども。ご自分が住んできた家、町、地域というのがあるんですね。んで、それで…そこに戻りたいと、思うのは…みんなおんなじだと思います。ですから、ん…今現在、南相馬にしても川俣町にしても、放射能で汚れてはいるのですけれども。そこでずうっと生活してきた方々が、そこに戻りたいという思いは…もちろんそうだろうと私は思うし」

水野「はい」

小出「……(ため息)、それを尊重したいと思います。ただし、そこは放射能で汚れているのです。そして日本というこの国は、普通の人々は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないし、させないということを法律にして来た国、だったのです」

水野「ええ」

小出「でも、それをもし守ろうとするなら、やっぱり帰ってはいけない、のです。特に私は子供に…たちには帰ってほしくないと思います。え…そこに長いこと住んでいて、思い入れの強いお年寄りとかですね、のはどうしても帰りたいと思うのは、まあそうだろうなあとは思うけれども、子供たちをそこにまた帰すというようなことに関しては、私は反対、です。そしてボランティアに行って下さるというかたの気持ちはありがたいとおもいますけれども、その方々も、もちろんそこに行けば被曝をしてしまうわけですし。私のように被曝をするということを職業にしてる人間と違うわけですから。もし、ボランティアに行く、そういうところに行くというのであれば、ちゃんとした被曝の管理というものがなされない限りは、行くべきでないと思います」

水野「はい。澤田さんは、」

澤田「はい」

水野「こうした福島第一原発の周辺地域の放射線についてはどんなふうにお考えですか」

澤田「そうですねえ。まあ、今の話、まあボランティアにいらっしゃるということでいろいろ気になると思うんですよね。で、これ1つ私の体験を申しますとですね」

水野「ええ」

澤田「えっと福島事故が起こってから南相馬それから飯舘村の方面ですね、ここにこの1年で10回以上行きました。それはまあ会があったりボランティアをしたりしてるんですけれども。まあボランティアはその除染のボランティアを、南相馬のですね、もっとも、飯舘村に近い峠、まあ八木澤峠というのがあるんですけれども、」

水野「ええ」

澤田「そこらの、そちらの農家ですね。ここで、え…何度か行ってやっております。それで、そこの農家はまだずうっと事故後もそこに住んでおられるんですよね。僅かなんですけれど、その警戒地域と言いましょうか計画的避難の外側にあるところでして、まあその、線量のことなかなか一言で言えないんですけれども。つまりその斑模様になって、あのー、線量の高いところやや低いところってのが斑模様になってますので。一概に言えないんですけれども。まああの、ただ、えっと今申し上げた私が実際にその、除染のボランティアに行ったところは、その、すぐ近くの人は避難してるわけなんですけども。そことそんなに線量が違うわけじゃないんですよね。ただその…何十キロ、30キロですか、という線引きでえ…要するにそういう指定がなされてなかったということなんですね。」

水野「あの、たしかね、私も澤田さんのご本(『誰も書かなかった福島原発の真実』)を読ませていただいた中にね、福島第一原発の周辺にはもう住めないんだと」

澤田「はい」

水野「そこには放射能の墓場を造るしかないんだというような言葉というのは、今避難されてる方々を傷つけてしまうんだというふうに、お書きだと思うんですね」

澤田「そうです。ええ、そういう側面あると思いますし。やはりその、かなり長い時間時期にわたってですね、やはりその、人が住むのには適しないほど、汚染が進んでるところもあるのも事実なんですね。ただ、おそらく先ほどのリスナーの方がおっしゃった地域ってのはそこまで汚染のレベル、ミリシーベルトのレベルが高くないところのはずなんですね」

水野「でもそこまで高くないってのが、私ら素人にはようわからんのですよ」

澤田「ええ」

水野「あの他のリスナーの方についてもですね」

澤田「はい」

水野「えっとどれだけだったら危ないんですか、教えてくださいよっていう方も居らっしゃって。あの、そのあたりは澤田さんはどう考えていらっしゃるんでしょう」

澤田「先ほど、小出さんもおっしゃった1ミリシーベルト、これはまあその…法律的な1つの目標値、つまり、それ以上できるだけ浴びないようにしましょうっていう目標値としてあったわけですよね」

水野「はあ…」

澤田「多分あの、いろんな情報があるのでなかなか整理するのも難しいのかもしれないですけど。その…国際的な機関IAEAとかですね、え…そういうところの勧告というかお勧めとして出てるのは、その、事故が起こった後のその回復期……って言えばいいんですかね、そういう時期においては、例えば5ミリシーベルトとかですね、20ミリシーベルト、それだけ浴びても、健康に大きな影響がない、でしょうという、そういう勧告が出てるわけですね。だからその、そこはですね、ですからいろんな情報を受けて、結局その、たとえば今のボランティアの人もそうですし、そこに住む人あるいはこれから帰宅される人もそうなんですけれども。あとはその、情報を、そういう情報を、客観的な情報を、お…聞いてというかまず我々とかいろんなかた提供しなきゃいけないんですけども。その上で、まあいわば秤にかけて、最後はやっぱご自身で決めるしかないところが今あると思いますけれどね。」

水野「はあ…。」

澤田「はい」

水野「あたしたちが決めるんですかあ?」

澤田「はい」

水野「はあ」

澤田「いやあもちろん、だから、その、例えば年間1ミリ超えるようでいやだったら、小出さんおっしゃるように、別にその、なんというかその、戻らなければいいという言い方もなんか投げやりで嫌なんですけども、そういう選択肢もあるわけですよね。」

水野「ふうーん…」

澤田「それによる色んなその心の問題とかですね、経済的な問題、これもちろんありますけれども。まあそういう状況かと思います」

水野「小出さんは、どうお考えですかね。その、周辺はもう住めないんだという言葉が被災されている方を傷つけるという、まあ澤田さんの考えかたでらっしゃいますが、小出さんはどう考えられますか」

小出「ええ、実際にはもう住めない場所はいっぱいあるのです。」

水野「うーん…」

小出「で、(ため息)、今私たちが向き合っている放射能の1番重要なのは、セシウム137という放射能なんですが、それが半分に減るまで30年かかる、のです。30年経ったら多分私は生きていない、です。で、ある地域に住んでいた人たち、そこをふるさとと感じる、ているような人たちが、30年間そこに戻られ、戻れないのであれば、ふるさと自身はもうありません。ですからその、そういう…ことでふるさとを失うということはもう残念ながらある、のです。ですからそのことをまずはハッキリと国が言わなければいけないし、そういう人達に、なにか帰れるかのような幻想を与えるようなことは、してはいけない、もっとその、帰れないから、この次の人生を歩み出せるように、国がやらなければいけないと、思います。え…そして、この日本という国は、原子力発電所というのは絶対事故なんて起こさないのだし、1年間に1ミリシーベルトの被曝以上はさせないと言っていた国なん、です」

水野「ええ、ええ」

小出「それが、事故が起きてしまった、わけで。今度は異常事態だから、国際的なICRPなんかが言ってるように、異常事態の時には20ミリシーベルト100ミリシーベルトまで我慢しろと、いうようなことを、国家として言うというのは大変無責任だと私は思います。」

水野「はい」

小出「ですから、国家としてこれまで、年間1ミリシーベルト以上の被曝はさせないと言ってきたのであれば、1ミリシーベルト以上の被曝を、強制せざるをえない人たちがもし逃げたいというなら、それを助けるのが国家の責任だと思います」

水野「はい。え…時間が来てしまいました。あの、また改めてお話を是非お2人に伺いたいと思います。京都大学の小出裕章さん、東京工業大学の澤田哲生さん、お2人どうも、本当にありがとうございました」

小出「ありがとうございました」

澤田「どうもありがとうございましたー」

=====(文字おこし、ここまで)

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