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4月27日に起きた高速ツアーバス事故におけるガードレール問題について、情報をまとめました。

車の後部座席まで突き刺さった防音壁によって、死者の7名全員が圧死したという見方が強まっている。

NEXCO東日本(東日本高速道路)の責任を問う声も上がっています。

つくられている交通事故―道路環境に潜む安全運転の障害 (Sousei books)

【高速バス衝突】ガードレールと防音壁の隙間で被害拡大+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

『群馬県藤岡市の関越自動車道で7人が死亡、39人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故で、バスが衝突した防音壁と直前に設置されたガードレールの間に20~30センチの隙間があったことが30日、捜査関係者への取材で分かった。この隙間にバスがはまり込むように衝突、防音壁がバスに深く刺さったとみられ、群馬県警捜査本部は隙間が被害を拡大したとみて調べている。』

箇条書きにするとよく分かる。

  • バスが衝突した「防音壁」と直前に設置された「ガードレール」の間に20~30センチの隙間
  • この隙間にバスがはまり込むように衝突、防音壁がバスに深く刺さったとみられる
  • 隙間が被害を拡大した可能性がある

ガードレールが防音壁の内側に伸びる形で設置されていれば、防音壁がバスに突き刺さる事故にはならなかったのではないか、ということですね。

防音壁がバスに突き刺さった結果、どのような被害が出たのか。

『捜査本部によると、実況見分の結果、防音壁は全長約12メートルの車体の前方左から、約10・5メートルまで貫いていた。最後尾前列の10列目まで達し、左側2列の座席を押しつぶした。死亡した7人中6人は左側1~5列目に座っていた。』

  • 防音壁は全長約12メートルの車体の前方左から、約10・5メートルまで貫いた。
  • 最後尾前列の10列目まで達していた
  • 死亡した7人中6人は左側1~5列目に座っていた

これはもう、死亡した人の大半が座っていたのは、防音壁が突き刺さった場所のようです。

報道からは防音壁が突き刺さったせいで死亡した可能性が高いように僕は思います。

乗客のその時の見た光景を想像するだけで心がえぐられるようです。無念です。

『防音壁直前のガードレールには衝突の跡があり、道路外側に傾いていた。バスはガードレールに衝突後、隙間を押し広げながら、バスの前面から防音壁に突き刺さるように激突。速度計は時速92キロで止まっており、衝突時は時速90~100キロとみられる。』

あれ? 最初の報道ではガードレールとぶつかった跡はないという報道だったはずですが、実況見分後は衝突の跡があるというふうに変わっていますね。

つまりは、ガードレールに衝突し、そのままガードレールにこすれながら、ガードレールと遮音壁の隙間にバスが引っかかり、そして、遮音壁がバスに刺さり、さらに深くまでえぐった、と言うことになるのでしょうか。

『高さ約3メートルの防音壁の地上約1メートルまではコンクリート製で、その上に金属製の厚さ約10センチの壁を設置。捜査本部は、コンクリート製の土台部分がバスの車体下部をえぐったとみている。』

頑丈なコンクリートの土台がバスの土台をえぐったことが、遮音壁がバスの後部まで刺さった原因ではないか、ということでしょうか。

『道路管理者のNEXCO東日本は「防音壁の土台が設置された約30年前は隙間を作らない設計思想がなかった」としており、古い路線では同様の隙間があるという。』

NEXCO東日本は道路管理者の責任はどのように追及されるのでしょうか。

最近になって、ガードレールと遮音壁に間に隙間を作らない、という設計思想が生まれたということになります。で、過去の設計はそのままになっていたと。

過去にまでさかのぼって適用するバックフィットの考え方は適用されなかったということですね。

コンクリート基礎がバスの最終列まで破壊 - 社会ニュース : nikkansports.com

『県警本部は「防音壁の直前にあるガードレールが、バスと当たったことで折れ曲がった。そのことにより、バスと防音壁が正面から衝突した可能性もある」』

そういう見方もあるのか。

だけども、ガードレールと遮音壁の間に隙間があったことが、事故被害を拡大する原因になったことは、否定出来ないのではないか。

防音壁とガードレール、「隙間」に高速バス突入 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

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『防音壁との切れ目の約10センチの隙間からはまり込む形』

あれ? 隙間の数値が報道によってばらつきがありますね。これはおかしい!

『防音壁は、高さ94センチ、厚さ23センチのコンクリートの基礎の上に高さ2メートル、厚さ12センチの金属製の壁が載った構造。ガードレールと基礎は1980年に、金属製の壁は83年に設置された。』

先ほどのようにより細かい数値で発表されています。と言うことはこっちの報道の数値のほうが正しいのか?(とはいえわからない)

『死亡した7人は、いずれも左側の座席におり、捜査関係者によると、遺体の状態から、いずれもリクライニングシートを傾けて寝ていたとみられる。損傷が激しく、一瞬のうちに車内に入り込んだ防音壁の影響で圧死したとみられている。』

  • 死亡した7人は、いずれも左側の座席
  • 損傷が激しく、一瞬のうちに車内に入り込んだ防音壁の影響で圧死したとみられている

無念です。防音壁に刺さったことの責任がNEXCO東日本にどれだけあるのか、問われなければいけません。

『現在はガードレールが防音壁の内側まで延長され、隙間がないようになっている。古い構造のものがどれくらいあるかは不明』

なるほど。

関越道バス事故:壁と防護柵、隙間10センチ 被害拡大か- 毎日jp(毎日新聞)

『ガードレールの隙間(すきま)は約10センチだったことが、国土交通省や東日本高速道路の調べで分かった』

この報道も10センチと伝えています。

報道にばらつきがあるので、それぞれのソースを整理しておきます。

■隙間が10センチという報道のソース

  • 国土交通省
  • 東日本高速道路(NEXCO東日本)

■隙間が20〜30センチという報道のソース

  • 捜査関係者への取材

ということを念頭に置いておきます。

国土交通省とNEXCO東日本が事故を調べているのは、原発事故を保安院や東電が調べているのと構造的には似ています。そしてそれをマスメディアが垂れ流している、と言うことになります。

なにやってんだろうジャーナリズムは。

国交省は98年、高速道路でこうした隙間ができないよう求める通知を出したが、新設の設備に限っていたため、80年代に整備された事故現場は対象外だった。』

つまりはこういう事故が起きうるというリスクを国交省は把握していたことになる。

『今回の事故では隙間があったことで被害が大きくなった可能性もあり、同省は対策が必要かどうか検討を始めた。』

【高速バス衝突】衝突軽減へ遮蔽物も 防音壁など危険箇所に対策 - MSN産経ニュース

『東日本高速道路(NEXCO東日本)は1日、ガードレールと防音壁の隙間をはじめとする危険箇所に衝突軽減用の遮蔽物を設置するなどの対策を行う方針を決めた。』

事故原因であることを道路管理者が認めたということです。

この事故の責任についても追及しなくてはいけません。

『同社は、この隙間のほか、防音壁の土台のコンクリート部分がむき出しになっていることが事故時の衝撃を拡大させる可能性があると判断。建設年代が古い路線を中心に、危険性の高いカーブやトンネルを重点的に検査する。ガードレールと防音壁の強度もチェックし、必要なら交換する。』

なぜ、事故が起きてからなのか。事故は、想定外のところで起きるというが、これは想定されていたのではなかったか。

事故以前は、ルールが変わる前のガードレールの隙間の危険性について、どれくらい議論があったのだろうか。

『同社は1日までに、事故現場などの隙間にクッションドラムを設置し、走行車が接触したときに衝撃を和らげて被害を軽減する応急対策を実施した。クッションドラムは直径60センチ、高さ80センチで、130キロの水が入っている。』

東京新聞:再発防止工事実施へ 関越バス事故で東日本高速道路:社会(TOKYO Web)

『道路を管理する東日本高速道路(東京)は一日、現場で近く再発防止策の工事を実施する方針を明らかにした。バスがガードレールと防音壁のすき間付近から突っ込み、車体が大きく裂けて死傷者を増やしたとの指摘があるため、すき間をつなげる工事をする見通し。』

『同社はガードレールの端を防音壁の土台部分に埋め込む工事をする予定。』

『道路の安全対策をめぐっては、国土交通省が「防護柵の設置基準」という通達を出している。その中で、異なる種類の防護柵を隣接して設置する場合、柵を連続させるように求めている。

ただ、この部分は一九九八年の改定で加わり九九年の新規整備分から適用』

今回設置されたのは、このガードレールなので対応しなくてもよかった、わけですね。

『事故が発生した場合の復旧は、基本的には原因者による現状復旧が原則。ただ、今回は事故の重大性を踏まえ、事故を起こした企業の負担分に、同社が追加する形で安全対策に努めたい意向だ。』

  • 基本的には、事故の復旧は原因者による現状復旧が原則
  • 今回は事故の重大性を踏まえ、事故を起こした企業の負担分に、同社が追加する形で安全対策に努めたい意向

NEXCO東日本が復旧費用を「負担」するということですね。もしNEXCO東日本が、事故復旧費用の負担をするだけで、これ以上の責任を追及されない、ということにならないように祈ります。

『さらに同社は通達の改定以前に設置した防音壁の端などで今回の事故と同じようにすき間のある場所がないかを図面や写真で確認する作業にも取り組む。』

『◆「東日本高速道路にも責任」元道路整備担当者

地方自治体で道路整備などに一九九八年~二〇〇五年まで携わったソフトウエア技術者大貫剛さん(東京都豊島区)は「今回の事故現場でのガードレー ルの設置場所は安全上、重大な欠陥だ。(防護柵の設置基準の)改定以前のガードレールを放置してきた東日本高速道路の責任が問われかねない」と指摘する。』

今回のような事故が起きるリスクをはっきりと認識していたわけですからねえ。想定外ではなかったのですよね。

ということは、事故が起きるだろうけれども、コストがかかるから放置しよう、ということが、今回のケース以外にもあるのではないか。で、それら全部に対応する資金を考えると、事故が起きたところだけ事後に対応しようという考えなのではないか。

今回のガードレール設置不備のような問題は社会全体に蔓延しているのではないか。つまり安全設計というものを無視して、この社会を作ってきたことに、社会の構成員である僕もまた反省しなくてはいけないのではないか。

社会全体が老朽化して、バージョンアップできなくなっているように思います。社会2.0にはなっていないということですね。

『大貫さんは「サービスエリアの充実など見えやすい部分に金をかけているが安全設備にどれほど投資してきたのか」と疑問を挙げ、「関越自動車道だけの問題ではない。全国の古い高速道路や速度が出る国道でも点検するべきだ」と提言する。(伊藤弘喜)』

取り急ぎ以上です。

【追記ここから:2012年5月2日16時50分】

「矛先ちがくね?」という指摘を受けたので、それについて書いておきます。

僕らは「高速ツアーバス事故」の3つの事故原因を理解しなければいけない 運転ミス・規制緩和・ガードレールの状況

このエントリーでも書きましたが、事故にはいくつか原因があります。運転手の運転ミス(居眠り)ももちろん1つの原因です。だけども今の報道を参考にする限りは、防音壁がバスの左側に突き刺さり、左側に座っていた7名が死亡したという結果になっています。なぜ防音壁がバスに突き刺さることになったのか。突き刺さるような道路整備の欠陥があったのではないか、と言うことになります。

だから、このエントリーを書いているのです。

「矛先ちがくね」という人は、矛先を運転手に向けるべきだと主張していると僕は受け止めています。僕はその考えとは少し違って、運転手の責任を追及するのは大前提とした上で、矛先を2つ3つ用意して、同時にNEXCO東日本の責任も追及すべきなのではないか、と考えているわけです。

【追記ここまで】

交通事故に遭った時あなたを救うたった一冊の本―騙されやすい示談金の裏事情