02

東京新聞:「原子力の憲法」こっそり変更:社会(TOKYO Web)

『二十日に成立した原子力規制委員会設置法の付則で、「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法の基本方針が変更された。基本方針の変更は三十四年ぶり。』

34年ぶりの原子力基本法の基本方針の変更。いったい何が問題とされているのか。

『法案は衆院を通過するまで国会のホームページに掲載されておらず、国民の目に触れない形で、ほとんど議論もなく重大な変更が行われていた。』

問題点は2つある。

宇宙兄弟 心のノート 「メモしたくなる言葉たち」


マレーシア航空機はなぜ消えた
杉江 弘
講談社
売り上げランキング: 1,491
  1. 国会のホームページで掲載せず
  2. ほとんど議論もなく重大な変更

僕は普段は国会のホームページは見ないので、今回の原子力基本法の変更がどれくらいイレギュラーなものなのかはわからない。

衆議院のホームページを見てみる。

衆議院

57

僕のブログに負けじとカラーリングが下手ですね(苦笑)。

ざっと見ましたが大変見づらいサイトです。こういったサイトデザインはあえて見づらくしてあるという説があります(あくまで説)。多くの官公庁のHPはおしなべてどれもきちんと見づらいという。どれも市民が得たい情報にたどり着き辛いようになっています。

で、ここに「原子力基本法の変更」という議題が掲載されていなかったというわけですね。HPのわかりにくいところにアリバイ的に掲載するパターンはよくありますが、今回は掲載されてもいなかったと。アリバイすらも作っていなかったと。そういうことになるわけで。

で。さて、重大な変更とはどんな内容なのでしょうか。

▼話は報道に戻して。

『設置法案は、民主党と自民、公明両党の修正協議を経て今月十五日、衆院環境委員長名で提出された。
 基本法の変更は、末尾にある付則の一二条に盛り込まれた。原子力の研究や利用を「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に」とした基本法二条に一項を追加。原子力利用の「安全確保」は「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとした。』

「目的」を箇条書きにするとこうなります。

  1. 国民の生命
  2. 健康及び財産の保護
  3. 環境の保全
  4. 我が国の安全保障

4の「我が国の安全保障」というところに引っかかります。安全保障とは何か。

安全保障 - Wikipedia

『ある集団が生存や独立などの価値ある何かを、何らかの脅威が及ばぬよう何かの手段を講じることで安全な状態を保障することである。また、その目的のための体制・組織などを指す場合もある。国際関係における安全保障は主として他国からの防衛をその主眼に沿えるものである。』

「他国からの防衛」のために「原子力利用」の「安全確保」を行うという内容ですね。

つまりは軍事的防衛のためということになります。

『 追加された「安全保障に資する」の部分は閣議決定された政府の法案にはなかったが、修正協議で自民党が入れるように主張。民主党が受け入れた。各党関係者によると、異論はなかったという。』

そういえば、先日のNHKのETV特集の中で、安全保障について重点を置いて取材されていましたね。

▼参考:ETV特集 “不滅”のプロジェクト~核燃料サイクルの道程~:動画・Togetter :ざまあみやがれい!

20

このドキュメンタリは、タイミング的にちょうどよいですね。国民に安全保障の重要性について周知させることができています。

ひょっとすると、今回の原子力基本法の内容の変更にあたり、なにかあったのではないかと空想することはできますね(空想)。

それにしても、「原子力基本法の変更」が、目立った反対もなくすんなり決まってるあたり、日本の国外からの強い要請などがあったのではないかと勘ぐりたくもなります(これも空想)。

『修正協議前に衆院に提出された自公案にも同様の表現があり、先月末の本会議で公明の江田康幸議員は「原子炉等規制法には、輸送時の核物質の防護に関する規定がある。核燃料の技術は軍事転用が可能で、(国際原子力機関=IAEAの)保障措置(査察)に関する規定もある。これらはわが国の安全保障にかかわるものなので、究極の目的として(基本法に)明記した」と答弁。あくまでも核防護の観点から追加したと説明している。』

江田康幸議員は「核防護の観点から追加した」としているとのこと。そういえば、IAEAの天野事務総長は、福島原発事故直後に日本に来て、何を言ったか。

88a7c866

IAEA天野事務局長「核テロに目配りを。核テロを統一的に見る省庁がない」 :ざまあみやがれい!

最強の危険厨は、「原発テロ危険」を叫ぶIAEA天野事務局長。真意は「世論」から原発を守ることではないか。 :ざまあみやがれい!

テレビ出演にて、「核テロ」への警鐘を鳴らしたわけです。僕の空想では、このメッセージは、原発そのものが危険という世論を、原発は狙われているから危険という世論へと変えようとしているのではないかと勘ぐっています。敵は原発ではなく、テロリストだと。

僕の空想が合ってるか外れてるか、どちらにせよ今回の原子力基本法の改正は、結果として、天野IAEA事務局長のメッセージをうけた変更になっているわけですね。

▼話は報道に戻して

『 一方、自公案作成の中心となった塩崎恭久衆院議員は「核の技術を持っているという安全保障上の意味はある」と指摘。「日本を守るため、原子力の技術を安全保障からも理解しないといけない。(反対は)見たくないものを見ない人たちの議論だ」と話した。』

塩崎恭久議員は何を思ってこの発言をしたのかはわかりませんが、

「見たくないものを見ない人たちの議論だ」

という発言をするのはよいのですが、国民に周知徹底した上で、原子力基本法の内容を変えたわけではなかったわけです。つまりは「見せたくないものを見せなかった塩崎恭久らの言い分だ」と言葉をそっくり返しておきます。

『日本初のノーベル賞受賞者となった湯川秀樹らが創設した知識人の集まり「世界平和アピール七人委員会」は十九日、「実質的な軍事利用に道を開く可能性を否定できない」「国益を損ない、禍根を残す」とする緊急アピールを発表した。』

  • 軍事利用に道を開く可能性

について不安に思っている知識人たちが反対しているわけです。

で、実はですね。

この「原子力基本法」の「安全保障」にまつわる内容変更が起きているのと同時に、もう1つ重大な法律が改定されているのです。

東京新聞:改正宇宙機構法が成立 平和目的限定を削除:政治(TOKYO Web)

『宇宙航空研究開発機構の活動を「平和目的」と限定している規定を削除し、防衛利用を可能とする改正機構法が20日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。
 宇宙機構が、安全保障を目的とした人工衛星の開発などに関わることになるが、宇宙の軍事利用が進むことを懸念する声も上がっている。
 日本の宇宙開発は1969年の国会決議以来「非軍事」が原則だったが、2008年に成立した宇宙基本法が「安全保障に資するよう行わなければならない」と、防衛利用容認に転換していた。
 文部科学省と総務省の所管省庁に、内閣府と経済産業省を追加し、防衛省が所管することもできるようにした。(共同)』

別称JAXA法ですね。

JAXAの活動を定めた法律の改正法が制定されたわけですね。宇宙開発も「安全保障」の目的で行われるようになるわけで。

「宇宙兄弟」の映画化やはやぶさ関連など、宇宙のロマンPRがものすごいことになっていますが。裏ではきっちりと軍事利用に向けて動いているわけです。メディア・コントロールですね。

電通と原発報道――巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ

※これを一冊読めば、メディア・コントロールがどのように行われているかを知ることができます。電通・博報堂がどのように官公庁や企業とスクラムを組んでいるのかを、元社員が解き明かした1冊です。

で、何度もこのブログで書いていますが、アメリカは、海、宇宙空間、サイバー空間の3つに対して軍事的な力を注入すると明言しているわけで。その内の1つが宇宙空間なのですね。アメリカがそういう方針になれば、他の国もどんどんそっちに引きずられていくわけで。

そういう中で、こないだの三菱電機と防衛省の癒着スキャンダルもあるわけです。

三菱電機 水増し請求の背景 元防衛省職員144人が三菱電機へ再就職 その逆も17人 :ざまあみやがれい!

内部からのリークで大々的に報じられましたが、その後、このスキャンダルの調査結果などは全く報じられていません。メディアは自粛したのでしょう。宇宙ビジネスは国策であって、本来このようなスキャンダルはできるかぎり報じられないはずです。

▼話は報道に戻して。

『◆手続きやり直しを
 原子力規制委員会設置法の付則で原子力基本法が変更されたことは、二つの点で大きな問題がある。
 一つは手続きの問題だ。平和主義や「公開・民主・自主」の三原則を定めた基本法二条は、原子力開発の指針となる重要な条項だ。もし正面から改めることになれば、二〇〇六年に教育基本法が改定された時のように、国民の間で議論が起きることは間違いない。』

教育基本法の改正で「愛国心」教育が問題となりました。

▼参考:教育基本法 - Wikipedia

『2006年4月、自民・公明両党の教育基本法改正に関する与党検討会は、愛国心の直接的な表現を避け、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とすることで合意した。政府は改正案を国会に提出 した。』

でその後、野党が欠席したまま法案は通ったと。おさらいです。

▼話は報道に戻して。

『ましてや福島原発事故の後である。
 ところが、設置法の付則という形で、より上位にある基本法があっさりと変更されてしまった。設置法案の概要や要綱のどこを読んでも、基本法の変更は記されていない。
 法案は衆院通過後の今月十八日の時点でも国会のホームページに掲載されなかった。これでは国民はチェックのしようがない。』

メディアもチェックしようがなかったということを暗にほのめかしていますね。こういう時にメディアは国民を盾に使うわけです(苦笑)。素直に「俺達がチェックできなかった」と書けばいいのに。

『 もう一つの問題は、「安全確保」は「安全保障に資する」ことを目的とするという文言を挿入したことだ。
 ここで言う「安全保障」は、定義について明確な説明がなく、核の軍事利用につながる懸念がぬぐえない。』

そうですね。エネルギーの安全保障というニュアンスにも受け取れるわけで。ただエネルギーの安全保障というのもまた軍事的な安全保障と強く結びついてるわけで。どちらにせよ、拡大解釈できる言葉は、拡大解釈した場合を想定しておいたほうがよいでしょう。

『 この日は改正宇宙航空研究開発機構法も成立した。「平和目的」に限定された条項が変更され、防衛利用への参加を可能にした。
 これでは、どさくさに紛れ、政府が核や宇宙の軍事利用を進めようとしていると疑念を持たれるのも当然だ。』

ああ、さっき僕が書いたことが書かれていますね。

『今回のような手法は公正さに欠け、許されるべきではない。政府は付則を早急に撤廃し、手続きをやり直すべきだ。(加古陽治、宮尾幹成)』

「許されるべきではない」という表現がまどろっこしいですね。「許さない」としっかり書けばすっと伝わって良いのになあと思います。字数も減らせるし。だけどもメディアはメディア文法によって報じることしかできないわけで。なんともめんどくさい人たちだなあと思います。

『<原子力基本法> 原子力の研究と開発、利用の基本方針を掲げた法律。中曽根康弘元首相らが中心となって法案を作成し、1955(昭和30)年12月、自民、社会両党の共同提案で成立した。科学者の国会といわれる日本学術会議が主張した「公開・民主・自主」の3原則が盛り込まれている。原子力船むつの放射線漏れ事故(74年)を受け、原子力安全委員会を創設した78年の改正で、基本方針に「安全の確保を旨として」の文言が追加された。』

そもそも原子力基本法が今回内容を変える以前から、「安全保障」という目的は、すでに霞が関内部、特に外務省内部では支持されていたわけで。それが今、文字化されて剥き出しになっているにすぎないわけです。

これはどういう意味なのか。

これまで外務省が密かに行なってきた動きが、政治レベルで行われることになるということですね。防衛省まで関係できると。そういう大きな意味があるわけで。高速増殖炉もんじゅの廃止の議論にも今回の「安全保障」という文言が影響してくる事になるわけで。

時事ドットコム:原子力「軍事転用考えず」=藤村官房長官

『藤村修官房長官は21日午前の記者会見で、20日成立した原子力規制委員会設置法の目的に「わが国の安全保障に資する」との文言が盛り込まれたことについて、「政府として軍事転用などという考えは一切持っていない」と述べ、将来の核武装に道を開くものではないと強調した。』

藤村官房長官は「軍事転用などという考え」と表現していますね。

外務省では過去に「オプションとしての核」という考えが支持されていました。軍事転用はしないが、いつでも軍事転用できる技術を維持する、という考え方ですね。藤村官房長官は「オプションとしての核」には言及していないように思いますね。

『 規制委設置に伴って改正された原子力基本法にも同じ文言が追加された。これらに関し、藤村長官は「わが国の原子力の平和利用の原則、非核三原則の堅持はいささかも揺らぐものではない」と述べた。』

政治家の言葉の高度な官僚化が進んでいます。

日本「核武装合法化」…韓国政府「鋭意注視」 | Joongang Ilbo | 中央日報

『韓国政府は21日、日本が原子力利用関連法を改正したという報道と関連し、日本が核武装国に転換する可能性は低いと判断しながらも、日本の動きを注視している、と明らかにした。』

「改正」という言葉を用いていますね。東京新聞は「変更」という言葉でした。「改正」には「正しく改める」というニュアンスがあるので東京新聞は使わなかったのでしょう。

『21日の韓国メディアによると、外交通商部のハン・ヘジン副報道官はこの日、世宗路庁舎で行った定例記者会見で、「日本は核拡散防止条約 (NPT)加入国であるため、すぐに核武装する国に変身するのは容易でないというのが、政府の原則的な立場」とし「日本内部の進展状況と真偽、今後の影響 に綿密に注視している」と明らかにした。 』

韓国は、日本の動きを注視はしているが、政府レベルでは無難なメッセージを出しています。

『これに先立ち日本メディアは、日本の国会が20日、原子力基本法附則12条に、「安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行う」という内容を追加した、と報じた。事実上、核の軍事的利用の可能性を開いておいたと分析されている。』

注意したい表現があります。

「核の軍事的利用の可能性を『開いておいた』」という表現です。今後必要になるかもしれないのであらかじめ「開いておいた」というニュアンスですね。このニュアンスを用いて韓国のメディアは報じているわけです。

取り急ぎ、2012年6月21日21時51分時点の報道の差異のまとめです。

陰謀史観 (新潮新書)

スポンサードリンク
  

Facebook、Twitterでブログ「ざまあみやがれい!」を読もう!