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LCC就航にあわせ“格安バス”運行へ  MBSニュース - MBS毎日放送の動画ニュースサイト -

『この夏、LCC格安航空会社の国内線が成田空港を拠点に相次いで就航するのにあわせて、京成バスなどが、東京駅と成田空港の間を最安1000円で結ぶ“格安バス”の運行を始めることを発表しました。』

京成バス「など」ですね。

以前、格安航空会社が、成田から東京の足を安く上げることで競争力を生み出そうと、格安バスを運行させる動きがあるという報道を読みました。これはどうなっているのか。

格安航空の競争が、格安バスの競争を生み出そうとしています。

航空業界クライシス―格安航空会社参入で激化する空の戦い

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『京成バスと成田空港交通は、LCC格安航空会社のジェットスター・ジャパンが就航する来月3日から、東京駅と成田空港を結ぶ“格安バス”の運行を始めると発表しました。運賃は乗車券の購入時期によって異なりますが、乗車1か月前までに予約購入すると、片道1000 円となります。』

1000円か。鉄道の最低料金は810円かな。リムジンバスは3000円。鉄道の最低料金より若干高く、それ以外よりは安いというわけですね。で、どの程度、運転手の賃金はカットされるんだろうか、あるいは上がるんだろうか。

『京成バスによりますと、インターネットや電話での事前予約を中心とすることでコストを下げているほか、通常よりも座席を狭くし、車内にトイレを設置しないことで、席数を多く確保しているということです。』

座席を多くして、料金を下げているとのことですね。どれくらいの乗車率でペイできるんだろう。乗車率がペイできる割合以下になったときにどのようにするんだろうか。

『京成バスなどでは1日15往復の運行を予定していて、来月3日の運行開始から9月上旬までは、期間限定運賃として片道800円で販売することにしています。(28日19:44)』

期間限定運賃は更に安いのか。

京成バス、東京駅と成田つなぐバス「東京シャトル」運行 LCC対応で安く、深夜早朝便も - MSN産経ニュース

『成田空港では、7月3日からジェットスター・ジャパン、8月1日からエアアジア・ジャパンの国内系LCC2社が相次ぎ就航予定となっている。』

格安航空会社の就航に合わせて、格安バスをスタートさせるのですね。

『片道料金は9月上旬まで「デビュープライス」(大室健社長)として800円に設定する。通常運賃は予約・購入日の違いで1千~2千円。1日15往復で片道60~70分。バス車内のトイレを省くなどして「低価格バス(LCB=ローコストバス)を実現できた」(大室社長)としている。』

ローコストバス(LCB)だそうです。「LCB」という言葉は、いつか定着するのでしょうか。

成田国際空港会社:夏目氏「お客様の視点で」−−社長就任会見 /千葉- 毎日jp(毎日新聞)

『NAAグループ(※成田国際空港会社)の収入の柱は▽航空会社が払う着陸料など416億円▽旅客が払う施設使用料291億円▽リテール事業(空港内の商業施設の売り上げなど)440億円(いずれも11年度)。着陸料と施設使用料でもうけ過ぎると、航空会社などから値下げを迫られるため、格安航空会社(LCC)専用ターミナル整備などの投資で利益を減らす必要がある。NAAが今後も発展するには、魅力あるテナントを増やして集客するリテール事業のてこ入れが欠かせない。』

成田国際空港会社が、どうやら儲けすぎている、というニュアンスの報道にように感じます(詳しい方教えて下さい)。報道には、安全面に関する記述は一切ありません。安全面はバッチリなのかは、報道からは不明です。

これらの報道を読む読者の頭の片隅には、安全面への懸念がどこかにあるのではないかと僕は空想します。少なくとも僕はそうです。だけどもそれに対する答えはどこにもありません。

成田空港新社長 LCC拡充意欲 : M&A・企業ニュース : 企業ナビ : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

『夏目社長は、「(LCCが)空港を使用する料金を下げる形でLCC就航に協力することが大事だ」と述べた。』

なぜ大事なのかが一切報道では説明されていないわけで。それはどうしてなんだろうか。格安であることは、素晴らしいと諸手を上げて賞賛されること、とは限らないとメディアは知っているはずだ。だがそこには触れないで報じ続けている。

新千歳にLCC就航、値下げ・サービスで既存社対抗  :日本経済新聞

『格安航空会社(LCC)の新千歳空港への就航で、航空運賃の引き下げの動きが出てきた。スカイマークには成田線 で1万円の運賃が登場。全日空は搭乗日55日前の関西国際空港線で値下げが始まっている。チケット店では航空運賃を安く利用できる株主優待券の価格が下がっている。』

  1. スカイマーク 成田線で1万円の運賃が登場
  2. 全日空 登場日55日前の関西国際空港線で値下げ開始
  3. チケット店 航空運賃を安く利用できる株主優待券の価格が下がっている

気になるのは「3」だ。ここでいうチケット店とは一体どういうお店を指すのだろうか。大黒屋などのチケットディスカウント店なのだろうか。つまり、航空運賃が下がるに連れて、株主優待券の販売価格を下げざるを得なくなっているということなのだろうか。

『新千歳空港には全日空系LCCのピーチ・アビエーションが3月に関空線を就航。7月には日本航空系のジェットスター・ジャパン、8月には全日空系のエアアジア・ジャパンが成田線を相次ぎ就航する。このため既存航空会社の対抗策が目立ち始めた。』

  • 3月 新千歳空港には全日空系LCCのピーチ・アビエーションが関空線を就航
  • 7月 (新千歳空港には?)日本航空系のジェットスター・ジャパンが成田線を就航
  • 8月 (新千歳空港には?)全日空系のエアアジア・ジャパンが成田線を就航

ということなのだろうか。

既存航空会社の対抗策は、どういう準備を経てどういう経過で、価格を下げる努力がされたのだろうか。結果として価格を下げるわけだが、下げられた価格がどういう実態を巻き起こしているかを知りたい。

『スカイマークは7月2日の搭乗分から約1カ月間、成田―新千歳の大人運賃を見直す。従来と比べ4割以上安い1万円。』

  • スカイマーク 成田ー新千歳 4割引きの1万円

『全日空は関空―新千歳の割引運賃をさらに引き下げた。例えば7月初旬の新千歳発の搭乗便で55日前までに予約・購入したものを1万4400円と設定。昨年より3600円安い。神戸―新千歳も値下げした。』

  • 全日空 関空ー新千歳 55日前予約で3600円安い1万4400円
  • 神戸ー新千歳も値下げ

早く予約してくれればその分、燃料代を安く浮かせることができるということか。そういう報道をどこかで見た。あとで調べる。

『札幌市内のあるチケットショップでは、大手航空会社の株主優待券が安くなっている。国内路線で航空券が半額になる株主優待券を9千円前後で 売っていたが、2千円前後値下げした。「株主優待券の売り上げは4割減。値段だけで見ればLCCにかなわない。当面は今の値段が続きそう」としている。』

  • 札幌市内チケットショップ 大手航空会社の株主優待券 2千円割引の7000円

※売上は現在4割減だとのこと。

『さらに各社は機内サービスの充実などで、LCCへの対策を打ち出す。全日空は6月からプレミアムクラスでスターバックスコーヒーを無料提供。朝・昼・夕食以外の時間帯に軽食メニューの提供も始めた。』

全日空 6月から スタバのコーヒー無料 いつでも軽食を出すサービス
こんなことで競争力がつくとは思えない。スタバのコーヒーなんて、どこでも飲める。特別感がまるで無い。大丈夫か全日空。

『日本航空は地域の食材を使った機内食の提供でLCCにないサービスを充実させる。7月はミシュランガイド北海道で星を獲得した旭川市の飲食店と協力、国内線ファーストクラスの機内食に道産食材を取り入れる。』

これはまだグルメならば一度は乗ってみたくなるかもしれない。だが安い価格を上回る魅力は、ユーザーは感じないのではないか。まあ富裕層はジタバタ格安航空を使わずに、日本航空に乗り続けるかもしれない。ただし、新しい顧客を取り込めるようには僕は思わない。

『LCCはこれまで航空機に乗らなかった人々の需要を掘り起こし、「現状では搭乗客が流れているわけではない」(北海道国際航空)という。ただ、参入が相次ぐことで、夏以降にはサービス合戦がさらに広がりそうだ。』

新しい需要を必要としなければ、格安航空は成り立たないのだろうか。だとしたら、格安航空の競争は、他の交通業界に凄まじい競争を生み出すのではないか。僕は東京大阪を新幹線で移動しているが、価格は下がらなくてもよいと思っている。むしろ下がることが嫌だ。

お金を持っているからそう考えているのではない。価格が下がることが怖いからそう言っている。その変化は、安全性が向上するという方向には影響しないのではないか、と僕は思う。安全性が向上するという考え方があるのでしたら教えて下さい。

「航空会社の負担軽減に努力」 夏目・成田国際空港新社長  :日本経済新聞

『成田国際空港の社長に27日、東日本旅客鉄道(JR東日本)出身の夏目誠氏が就任した。記者会見した夏目氏は「航空会社のコスト低減に努めるのが私の大きな課題」と述べ、格安航空会社(LCC)の就航拡大に向け着陸料の引き下げに意欲を示した。』

着陸料を意欲的に引き下げるとのことだ。韓国が世界ナンバーワンの仁川国際空港というハブ空港を持っていて、それとの競争があるからなのだろう。なぜここまで皆が皆、価格を下げることに固執するかといえば、それが国策だからだろう。

価格を引き下げることは、「儲かる」につながるのではなく「生き残る」につながるのだろう。だとすれば、「どの会社も生き残る」という結果はないということにはなる。

格安航空の価格競争とそれが巻き起こす様々な価格競争スパイラルに対する批判や疑問は、今回目を通した報道にはゼロだった(あったら教えて欲しい)。

避けられない競争であると主張する人がいても僕は構わない。だがマスコミの報道に、批判する論調がゼロであることが僕は怖い。

マスコミは、批判することは可能だが、批判しないほうがカネが入ることが明らかだから批判をしないだけだ。今後、格安航空を始めとする航空会社の広告が、紙面に踊ることになる。

「格安航空」を批判する本も、全くといっていいほど無い

※TOP画像は、「http://www.narita-airport.jp/jp/」のスクリーンショットです。

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