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本日2012年7月5日、国会事故調が、原発事故調査報告書を提出。記者会見を行いました。

地震で損傷した可能性があるという結論を打ち出したほか、SPEEDIに関して他の調査委員会とは違った結論などを発表しています。

動画、調査報告書、そして報道の差異をまとめています。

動画・資料

▼国会事故調 記者会見(原発事故調査報告書)


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国会事故調  国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会報告書

※ここから報告書や要約をダウンロードできます。

地震による損傷の可能性について

事故調“地震で損傷の可能性” NHKニュース

『東京電力福島第一原子力発電所の事故の直接的な原因について、国会の事故調査委員会は、「安全上重要な機器への地震による損傷がないとは確定的に言えない」として、津波だけに限定すべきではないと指摘するとともに、特に1号機については、「小規模な配管破断が起きた可能性を否定できない」と結論づけています。』

「小規模な配管破断」という表現ですね。これがどの程度のものを意味しているのか。今、報告書をダウンロードしようとトライしてるのですが、どうやらアクセスが集中しているので、できません。

『福島第一原発の事故の直接的な原因については、東京電力が先月みずからまとめた最終の調査報告で、現場の放射線量が比較的低い5号機での現地調査や、解析結果などをもとに、「想定を超える津波」が主な原因だったとして、安全上重要な機器への地震の影響はなかったとしています。』

東京電力の調査報告書を引き合いに出しています。

『これに対し、国会の事故調査委員会は、専門機関の解析や当時の運転員の操作状況、それに1号機から4号機で詳しい現場調査が行われていないことなどを理由に、「安全上重要な機器への地震による損傷がないとは確定的に言えない」と指摘し、津波だけに原因を限定すべきではないと異なる結論を出しています。』

調べてないから、津波のせいだとはいえないということですね。このような当たり前のことを国会事故調は言っているわけです。その他の事故調査委員会はスルーしてるわけです。不思議です。

『特に1号機については、原子炉の圧力を下げる弁の作動状況などから小規模な配管破断などが起きて原子炉の水が失われる事故が起きるなど地震による損傷があった可能性は否定できないと指摘しています。』

否定出来ないデータがあるということですね。

『そのうえで未解明の部分が残っており、引き続き第三者による検証が行われることを期待するとしています。』

今後は、どのように調査が続くのでしょうか。第3者と言いますが、事故対応は東京電力に任されているわけで。

保安院と東京電力の関係について

国会事故調、規制当局と東電の立場逆転を指摘  - SankeiBiz(サンケイビズ)

『報告書は、経済産業省原子力安全・保安院などの規制当局の問題点を列挙した。一つの例が、平成18年の耐震設計審査指針の改定に伴い実施された、既存の原発の安全性を見直す「耐震バックチェック」だ。

東電の報告期限は当初は21年6月だったが、28年1月に先送り。1~3号機の耐震工事は実施されず、保安院は遅れを黙認した。

20年には、米中枢同時テロをきっかけに策定された米国の原発のテロ対策計画「B5b」について、保安院は米原子力規制委員会(NRC)から説明を受けていたものの、国内の安全規制に反映しなかった。』

地震対策をやってなかったという結論ですね。

『原発推進の経産省の一部だった保安院の組織優先の姿勢や専門性の欠如が、既存の原発の稼働を維持したいという事業者の主張を「後押し」したと分析』

今、大飯原発にいる保安院の存在意義が問われますね。

SPEEDIについて

国会事故調がSPEEDIの限界指摘、モニタリング強化を提言 (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

『「避難区域の設定の根拠とすることができる正確性はない」。国会事故調の報告書は、政府が100億円以上をかけて構築したSPEEDIの有用性を真っ向から否定するものだった。

国会事故調がそう判断した背景には、SPEEDIは事故で放出された放射能の種類や放出時間などのデータがなければ、正確な運用ができないというシステム上の限界がある。

大規模事故では、放出源情報を正確に得ることは極めて困難となる。今回の事故でも放出源情報が得られなかったため、SPEEDIの活用は見送られた。

曖昧な情報しか得られないSPEEDIに頼るよりも、多様な方法で放射線量を計測できるよう、モニタリングを強化すれば、避難にも生かせるというのが国会事故調の見解だ。』

これには反論ももちろん出ていますね。

ただ、僕は、SPEEDIは役人が公表しない言い訳を作れる不十分なシステムだった、という理解になっています。使えばそれは有益だが、役人は「実測の値を入力できなかったから」などと公表しない言い訳を作って公表しないことができるわけです(自分たちの測定地選定には利用するくせに)。そういう言い訳が用意されている時点でこのSPEEDIは2度と日の目をみないでよいと思います。次も同じような言い訳が繰り返されるでしょうから。

ただし、放射性物質拡散のシミュレーションとしては全国の原発において活用し、その結果を広く国民に周知させて欲しいですね。具体的には滋賀県がSPEEDI公開の要求を拒否されていることに対して僕は強い不満を持っています。

今回のSPEEDI非公開は、怠慢であり当然、関係の刑事責任を問いたいと考えます。そして今後はSPEEDIは使う必要がないのではないか、と思います。使える使えると住民を騙した上で公表しなかったわけですからね。そういう意味では結果的には、原発推進のための印籠的に用いられたのではないかとも思いますね。

メディア報道について

時事ドットコム:「事故終わってない」=意義強調、委員ら自賛も-国会事故調

『質問に身ぶり手ぶりを交えながら淡々と答えた黒川委員長。「国会事故調でなければ出なかった結論はあるのか」と厳しく問われると、「(原発問題について)日本のメディアが普段から世界に向かってどれだけやっていたか知りたい。国民や世界の前で、同時通訳を入れ、(当時の責任者が)どういう反応するか見てもらったのは一つの進歩だ」と語気を強めた。』

原発推進の国策について

『放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子委員は「地震大国に原発を54基も造ったが、その問題が国会事故調ではほとんど手付かずで残念」と述べた。』

これが最も根が深い問題。原子力基本法に原発を推進すると書かれている以上、国は原発を推進するわけですから(小出氏の「たね蒔きジャーナル」での発言から)。


東京電力の反応

時事ドットコム:東電「厳しい内容」=事故調報告に対応検討

『東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は5日夕の記者会見で、「厳しい内容であり、足りない所、不十分な所があればきちんと対応したい」と述べた。』

明日辺りに東京電力のHPに反論が掲載されることでしょう。そういうことはしっかりやる企業です。

「日本製」の災害という表現

CNN.co.jp:福島原発事故は「人災」と国会事故調、「日本製」の災害とも

『人災をもたらした責任は、東電や原子力行政当局、日本政府にあると結論付け、対応の遅れは「日本の特質」にもあると指摘。「日本製」の災害と形容し、上部機関当局に疑問をぶつけることをためらい、プログラムの手順に固守する風土などが災害拡大を招いたと主張』

海江田経産大臣(当時)の反応

『海江田元経済産業大臣は、記者団に対し、「『官邸の直接介入』というのが何を指すのか分からないが、官邸の対応も反省しなければならない点はあったと思う。ただ、今回の事故全体が、自然災害ではなく人災だったという結論には若干の違和感を感じる。地震によって、オフサイトセンターの電源が喪失されたことなどを含めて考えれば、すべてが人災だったとまで言うことはできないはずだ」』

確かに全てが人災かどうかは僕にはわからない。メディアはかなり「人災」一色で報じている。それによって見えなくなる部分もあるとは思う。ただし、海江田氏の発言のオフサイトセンターに関するものはお話にならない。エアコンにフィルターがないなど放射線防護の観点から見ても、対応できることをしなかったという点において保安院が招いた人災だと思う。

菅直人総理大臣(当時)の反応

事故調報告書「私の理解と異なる」菅前首相 | 日テレNEWS24

『原発事故について「明らかに人災だ」と指摘されたことについて、「今まで私が述べてきた認識と共通する」と述べる一方、「官邸の事故対応に対する評価や東京電力の撤退をめぐる問題など、いくつかの点について私の理解とは異なる」としている。

その上で、「東京電力が今まで明らかにしていない全ての記録を公開することにより、事実関係のより一層の究明が進むことを期待します」としている。』

とりいそぎ、2012年7月5日23時14分時点での報道の差異のまとめです。