▼朝日新聞デジタル:東電値上げ2%過大 積算、実態を反映せず
『東京電力が家庭向け電気料金を平均10.28%値上げする際、資本金などの「自己資本」を実際の5倍以上で計算したため、値上げ幅が2%ほどかさ上げされていることがわかった。これを見直せば、値上げ幅を7%台に抑えられるという。』
先日、電気料金の値上げ幅が9%台前半になるという報道がありました。
▼参考:東京電力:値上げ幅9%台に圧縮へ 審査専門委- 毎日jp(毎日新聞)
朝日新聞は、これよりも下がるというふうに報じています。どういうことか。
『内閣府の消費者委員会で値上げを点検している作業チームの水上貴央(たかひさ)弁護士が調べ、松原仁消費者相に報告した。週明けには、値上げを認可する枝野幸男経済産業相に、かさ上げを含めた問題点を提言する。』
これを報告したのは
- 内閣府「消費者委員会」作業チームの水上貴央弁護士
ですね。
『東電は自己資本を2兆8千億円と仮定し、これをもとに原価に含める「事業報酬(東電のもうけ)」を約2800億円と見積もった。値上げ申請の場合、発電に必要な資産額の30%を自己資本として計算するという経産省令に従った。』
- 東電 自己資本2兆8千億円と仮定
- これを元に事業報酬を約2800億円と見積もった
- 発電に必要な資産額の30%を自己資本として計算するという経産省令に従って仮定
というわけですね。
東京電力がウソをついていたということではなく、経産省令に従った結果だと報じています。
『ところが、この仮定の自己資本に対し、東電の実際の自己資本は約5分の1の約5300億円しかない。福島第一原発事故への対応や火力発電の燃料費増加で2012年3月期決算が大幅赤字になり、埋め合わせのために減ったからだ。』
だけども、実際の自己資本とはギャップがある、と報じているのですね。
- 東電発表の自己資本 約8千億円と仮定
- 実際の自己資本 約5300億円(約5分の1)
ということです。
『実際の自己資本で事業報酬を計算すると約1800億円に減り、申請された額より約1千億円少ない。この差は値上げ幅の2%分ほどにあたるという。』
- 実際の自己資本による事業報酬 約1800億円
- 仮定の自己資本による事業報酬 約2800億円
- その差 1000億円(値上げ幅の2%分程度)
ということか。
『電力会社の多くは実際の自己資本も資産額の20~30%あり、東電だけが実態とかけ離れている。水上氏らは「消費者が過剰なもうけまで負担するのはおかしい。省令は東電のような事態を想定していない」として、特例で実態に近づけるよう求める。一方、経産省は「(値上げ申請の)自己資本は安定した経営ができる水準にするため、省令で決めている」と説明し、問題がないとしている。』
経産省令が、今回の東電のケースは想定せずに、決められているというわけですね。実態に沿っていないというのが水上氏の主張ですね。
で、それに対して経産省なノープロブレムだと。
『経産省で値上げを審査する電気料金審査専門委員会は、燃料費などを見直して値上げ幅を平均9%台にするべきだと提言している。消費者庁の検討チームは人件費をもっと減らすよう求めており、その場合は平均8%台になる。枝野経産相は今後、値上げ幅を検討し、7月中に認可を出す方向だ。(松浦 新)』
- 人件費をさらに減らす→電気料金値上げ、平均8%台
- 実際の自己資本で算出→電気料金値上げ、2%減
ということか。
『 ◇
〈電気料金の原価〉 家庭向け電気料金は、電気をつくって送るための費用に、東電のもうけ(事業報酬)を上乗せした「原価」から計算することになっている。東電は燃料費の増加などで原価が約5兆7千億円になり、今の料金収入を約6800億円上回るとして平均10.28%の値上げを求めている。』
それにしてもチェックをすればどんどん値上げ幅は削減できる可能性が見えてくるのですねえ。そういう意味でも電力会社の独占というのはもうやりたい放題だったわけです。
コメント
コメント一覧 (2)
指摘のように省令を無視し(←すでに無理)実態を踏まえた算定とする
ならば、2週間後に投入される1兆円もそのまま自己資本に計上できる
ため、その時点でこの記事の前提は崩れます。料金の原価算定期間は
24~27年度なので、反映しない理由はありません。
7%なら会社更生法の世界なので、東電が破綻し投入したばかりの1兆も
取り返せず、金融機関への返済に優先されて被害者賠償もすすまず、
国民負担の面では値上げの圧縮分の比ではありません。
なので最終権限を持つ経産相はこの記事にある案は採用せず、最終的に
7%にはならないと断言できます。
やりたい放題じゃん