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2012年8月8日(水)、小出裕章氏が、毎日放送「たね蒔きジャーナル」に出演。

東京電力が公開した、ぼかし&音声カットのテレビ会議動画について分析しています。

検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間


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▼20120808 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

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水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。小出さんこんばんはー」

小出「こんばんは」

水野「よろしくお願いします〜」

小出「よろしくお願いします」

水野「そして東京には、近藤さんです〜」

近藤「あ、今晩は」

小出「はい」

近藤「よろしくお願いします〜」

小出「はい。近藤さん。今晩は。よろしくお願いします」

水野「え…今日はまずですね、福島第一原発事故直後の、東京電力の社内のテレビ会議の模様。その映像が、ごく一部ですけれども、また条件つきではありますが公開されたと。いうことからお話を伺いたいと思います」

▼参考:東京電力 テレビ会議映像ついに公開 モザイク処理多し(動画)

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小出「はい」

水野「全部で150時間。のうちのわずか1時間半しか公開されておりません。一般にはですね」

小出「はい」

水野「あの、今のところ150時間というのは報道関係者が一定の条件のもとに見られるわけなんですが。ただ、あのー、逆に言いますと、この一時間半の部分についてのみはですね、どなたでも、インターネットを通じて見ることができると、いうわけです。それで、えー、まあわたくしもみて、見ました。小出先生も御覧頂いたと思うんですが」

小出「はい」

水野「どんな印象をもたれましたか」

小出「え……。一言で言えば、まあ、アタリマエのことですけれども」

水野「うん」

小出「大変な混乱状…態だった、え……東京電力…という会社としては、あんなことが起きるとは誰も思わないまま、迎えてしまった出来事…」

水野「はい…」

小出「だったわけで。何をどうしていいかわからないようなまま、事態がどんどんどんどん進行していくと、いうそのことを、が、私としては改めて、ああ、こうだったんだなと」

水野「うーん」

小出「思いながら、見ました」

水野「ええ…。あの、これ、特に、音がない部分が、」

小出「はい」

水野「まあ、あるとは聞いてましたけど、わたくしところどころ音がないのかと思ったら、いやいやもう逆に」

小出「(苦笑)」

水野「9割がた音がない」

小出「そうですね」

水野「ほとんど音がないという、ものでしたですよね」

小出「はい、はい。」

水野「あるいは、あのー、社員のプライバシーの保護という言い方をしていますが。顔などがぼかされていて、誰が、そこでしゃべっているのか、あるいは、もうピーピーという音もしょっちゅう入ってきたように」

小出「そうですね」

水野「思います」

小出「はい」

水野「で、こうした中で、小出さんが、まあ、あの、この、事故の原因解明、あるいは責任の所在、あるいはその被害が大きくなってしまったことはどうしてなのかということなどを、まあ、検証する上で知りたいと思ってらっしゃった、のは、本当はどういうところを見たいと思って、いらっしゃいました?」

小出「え…。私はもっとあのー、事故が起きた」

水野「はい」

小出「3月11日当日のことをまずは知りたかったのですけれども」

水野「はいー」

小出「そのことは殆ど無かった…」

水野「殆ど無かったです」

小出「はい」

水野「始まるのかと思ったら終わってしまいました」

小出「はい(苦笑)」

水野「あっというまに」

小出「はい。ですから、私としてはもうあの、本当の、一番大切なところは…」

水野「はい」

小出「聞くことができません…」

水野「はあ…」

小出「でした」

水野「3月11日の」

小出「はい」

水野「地震、そして津波。その時にどんなことになっていたかというのを、まずは小出さん、すぐのところをお知りになりたい。」

小出「はい」

水野「で、これはどうしてその部分が特に大事…大事だと、小出さんはお思いになるんでしょうか」

小出「要するに事故というのは1番初めが大切、なんです。」

水野「はい」

小出「もちろんみなさんだってわかっていただけると思いますけれども。」

水野「はい」

小出「どんな機械だって、事故は起こしますけれども」

水野「うん」

小出「起きた時が一番その事故というのが劇的に、変化、というか、事象が進行するのです」

水野「ええ」

小出「ですから、その時のことが一番大切なのであって」

水野「うん」

小出「何日もたってからどう動いたということは、まあ、むしろ瑣末なことになってしまうのです」

水野「はあ……。小出先生は以前からですね、この原発が津波だけでやられたのではなく、地震の段階でも色々不具合があったんじゃないかっていうふうに、おっしゃってますよね」

小出「そうです。」

水野「そこのあたりの時間っていうのは、もう、全く、これ、今回の公開の中では、わかりませんねえ」

小出「はい。あの、残念ながら分かりませんし、」

水野「うん」

小出「今回は、その……え…。福島にしても東電にしても。常にその、偉いさんが集まってるところ、の場所なん、ですね」

水野「はあー、はい」

小出「出てくるのが。」

水野「はい」

小出「でも私が知りたいのは、そうではなくて、現場のことなの、です。」

水野「はい」

小出「え…現場がどうなって現場の人達がどんな会話をしながら、事故に対処していたのかということを、実は私は一番知りたくてですね。今回のようなその…偉いさんたちの会話というのは、正直言えばあんまり興味はないのです。」

水野「ふーん。なるほど。近藤さんはどんなふうにこれを、考えてらっしゃいます」

近藤「あの〜〜。時間、場面も限定、おっしゃるとおり声も通らないってことになりますと。その、東京電力は、まさにその、事故を起こした張本人ですから」

水野「はい」

近藤「僕はあの、普通の事故、じゃないと思うんですよねこれは。要するに、国民、政権、全ての人間が共有しなくちゃいけない事故だろうと思うんですよ。」

水野「はい」

近藤「そうすると、隠していいことなどひとつもないと思うんです」

水野「1つもないはずですね」

近藤「ええ。なおかつその、真相に迫るものは進んで、あの、発表してこそ、公開してこそ、お…正しい態度やと思うんで。」

水野「うん」

近藤「これはあの、いずれにしたって裁判で争ったって、こんなものはすぐ公開せよっていうことになるのは僕は当たり前だと思うんでね。」

水野「ええ」

近藤「あの、ま、そういう意味で、限定されてるしかも、専門家の小出先生がおっしゃるように、当初のものはあれ、夕方からだったですかね。11日の。そういう…ようなところが専門家が知りたいってところを外してるっていうところがね」

水野「外してるという」

近藤「なんなんだという、まあしかし、今の政権、そういうのが多いですね。」

水野「多いですね」

近藤「肝心なことはなんかあの」

水野「はい」

近藤「いろんな出来事でもそうですが。何ゆえか閉ざされているっていう気がします」

水野「ええ…。この1時間半の中で、私のような素人が見ても気になったことはですね。あの、小出さん。」

小出「はい」

水野「現場、の吉田所長、らと、原子力委員会(※おそらく原子力安全委員会)の班目委員長の意見が食い違ってる、それで激しい応酬があった場面があるんですよね。」

小出「はい」

水野「で、これ、2号機について、3月14日の午後には、格納容器の圧力が高まったんですが。そこでどう対処するかの判断が迫られた場面が、映っています。」

小出「はい」

水野「これ、圧力…が高まる、格納容器の圧力が高まるっていくのは、何を意味してたんですか」

小出「え…原子炉の冷却ができませんし」

水野「はい」

小出「え…内部から高温高圧の蒸気が吹き出してきて…きていたのです」

水野「はい」

小出「え…そして、その、高温高圧の蒸気は、私たちがサプレッションチェンバーと呼ぶ」

水野「ええ」

小出「圧力抑制室というところで、蒸気を水に戻すはずだったのですが」

水野「はずだったのに」

小出「はい。もう、それを戻す力も失ってしまいまして」

水野「はあ…」

小出「もう…水…じ、自身がもうなくなってしまって全部蒸気になってしまうというような、ものすごいその過酷な状況にあった、のです」

水野「はあ…」

小出「でそれは…ん…東京電力も予想していなかったような事態でしたし」

水野「ええ、ええ」

小出「班目さんにしても全く予想もしていなかった事態だった」

水野「はい…」

小出「のです。ですから何がどう進行しているかわからない状態で。とにかくまあ、福島の現場、吉田さんも含めて、とにかくその、なんとか圧力を下げなければいけないと彼らは苦闘していたわけですし」

水野「ええ…」

小出「班目さんの方はとにかく、原子炉を冷やさなければいけないという」

水野「ええ」

小出「まあ、原則的な考えに、とりつかれていたのですね」

水野「うん」

小出「で、そういうやり取りで、どんどん時間が進行してくわけですけれども」

水野「ええ」

小出「私は本来であれば、原子力安全委員会っていう組織にいた人たちが、現場に行くべきだったと思います」

水野「なるほど! だから現場との温度差が、ずうっと並行してあるんですね」

小出「そうです。え…」

水野「はあ!」

小出「1979年、にスリーマイル島の」

水野「ええ」

小出「原子力発電所という事故が起きましたが」

水野「はい」

小出「その時には、現場に、え…原子力規制委員会の人たちが行って」

水野「行ったんですか!」

小出「そこで対処しました」

水野「アメリカでは」

小出「はい」

水野「はあーー…! なるほど。今回は、ずうっと、もうテレビ会議で」

小出「班目さんは…そうです。」

水野「ええ」

小出「(苦笑)班目さんは官邸に居座ってるわけですよね」

水野「そうですよね」

小出「で、他の安全委員の人たちが何をしていたのか、一言も聞こえてこないという、そういう状態だったのです」

水野「聞こえて来なかったですね」

小出「はい。」

水野「ふーん。ま、結局班目さんの言うとおりにしろと東電の社長が言って。その命令にしたがって結果的にはうまく行かず、燃料露出のタイミングがはやまったとも言われて、ますが」

小出「はい」

水野「じゃあどうすればよかったのか。小出さん、どう思われますか」

小出「わかりません。」

水野「うーん」

小出「もう…本当にその…私にしても、こんなことが、起きるとは言いながらも、時々刻々劇的に事故が変化してくわけで。現場にいて、現場で頭を働かせながらとにかく」

水野「はい」

小出「対処するしかなかったと思うのですけれども」

水野「ええ」

小出「そういう体制がまったく、なかったということです」

水野「そうですね。どなたも、原子力委員会の方は現場に足を運ばないで」

小出「はい」

水野「ああーそう…あたしたちはテレビ会議の枠の中にあたしなんかは囚われて、しまっておりましたけれども。逆にテレビ会議の中にとらわれる、そのこと自体がもう大きな大きなリスクであったと、」

小出「そう思います」

水野「いうことですね。はい。どうもありがとうございました」

小出「はい。ありがとうございました」

水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺いました。」

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