2012年10月18日(木)、小出裕章氏が、ジャーナリスト今西憲之氏の取材に答え、大間原発のフルMOX専用原子炉とプルトニウムの関係について解説しています。

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▼小出裕章が語る「30年代に原発ゼロのウソ」20121018

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※「小出裕章が語る「30年代に原発ゼロのウソ」がわかりやすい!(取材:今西憲之)10/18」からの続きです。

今西「じゃあすいません。続けて。あの、大間原発の話が出たので、え…そこで1つ2つお尋ねいたします。まず大間原発については ですね、いわゆるフルMOXというですね、スタイルで、え…稼働すると、いうふうなことになっておるのですが。え…そのへんについての、フルモックスにつ いての、解説とですね。そして、それについ…てのですね、恐ろしさ、怖さ、危険性というか、そのあたりについて、教えていただけませんでしょうか」

小出「はい。え…MOXというまず言葉があるのですが」

今西「はい」

小 出「それは、え…英語の単語で言うと、え…MIXとOxcideという、そういう英語の単語の、まあ、頭文字をとって、M・O・X、と書いた、のですが。 日本語に直すと、混合酸化物燃料、と私達は呼んでいます。では何を混合したのかというと、通常、今日の原子力発電所で使っているウラン、に、本来は使うべ きでなかったプルトニウムを混合させて、燃料にするという、そういう燃料を使う原子炉、ですね。

え…もともとプルトニウムというのは、長崎の原爆材料に なった物質で。自然には全くない、のです。え…それをとにかく原爆を作りたいということで、人為的に、作り出して。長崎原爆を……完成させて、使ったので すね。え……。日本は、そのプルトニウムという物質を、原爆ではなくて、エネルギー源、エネルギーの資源にすると、いうことを、標榜してきました。ただ し、プルトニウムという物質をエネルギー源としてきちっと使えるようにするためには、高速増殖炉と、私達が呼ぶ、特殊な原子炉が必要、なのです」

今西「はい」

小 出「日本の場合にはみなさんお聞きになったことがあると思いますが、『もんじゅ』という名前の、私達が原型炉という、まあ、普通、ちゃんとした…発電炉に 比べれば、数分の1という、まあ小型の、原子炉を作り、ました。それより前には、『常陽』という実験炉、ほんとの小ちゃな実験炉も作った、のです。そうや りながら高速増殖炉というのを実現させて、プルトニウムを燃やせるようにすると、いうのが日本の国の、従来の方針だったの、です。

で…そのためにでは何が 必要かというと。まず、高速増殖炉で燃やすためのプルトニウム自身を集めてこなければいけないということに、なりました。そこで日本は、これまで日本の原 子力発電所、を運転する事によってできてきた、使用済み燃料の中、その中にプルトニウムという物質がそれなりに溜まっているので、それを取りだして、高速 増殖炉の、とにかく立ち上げるための燃料にしようと、言って来たのですね。

でも、使用済み燃料の中からプルトニウムを取り出すためには、『再処理』とい う、猛烈な危険な作業をやらなければ、いけません。

え……その作業は、元々は米国が完成させた技術、ですけれども。長崎の原爆を作る、そのためにはどんな に危険だろうと、どんなにカネがかかろうと、とにかくそれはやるしか無いということで、その技術を開発した。え…軍事技術、まあ、猛烈に重要な軍事技術 だったわけですから。安全性も経済性も犠牲にできるということでやってきた、わけです。

え…でも日本という国は、先の戦争で負けて、核開発も禁じられたわ けですし。原子力というその技術も、核開発と同じものなわけで。え…米国に占領されて、すべて、潰されてしまって。それに、研究をまた再度始められたのは サンフランシスコ講和条約が出来てから、結ばれてからということで。原子力技術に関しては日本はもう決定的に後進国になってしまって、再処理ということも できなかった、のです。

そのため日本では、日本の原子力発電所でできた使用済み燃料を、イギリスとフランス、そこももちろん核兵器保有国であるがために、 『再処理』という技術を持っているのですが。イギリスとフランスに送って、使用済み燃料の中からプルトニウムを取り出してもらい、ました。

で…すでにその プルトニウムの量は45トンになって、います。え…その45トンのプルトニウム、つまりもう日の丸の印のついた、プルトニウムというものが、高速増殖炉の 燃料で使うと言いながら、懐に入れた。ところが、高速増殖炉は『常陽』も事故で止まったまま、『もんじゅ』も事故で止まったまま。一向に動かないという事 になってしまった、のですね。

そうなると、45トンものプルトニウム、一体どうするかと…いうことになりました。そのプルトニウムでもし長崎の原爆を作れ ば、4000発も作れてしまうという膨大なプルトニウムをすでに日本は懐に入れてしまった。そうなると、世界は、許しません日本のことを。

(頷く)数十年 前まで、戦争ということをしかけて、まあアジアの国々を中心に大変な苦難を負わせた国で、あるわけで。何か日本人は日本という国は平和国家だと思ってるか も知れませんが、世界から見れば必ずしもそういう評価ではない、わけです。怪しいあの国が、原爆4000発も作れるプルトニウムを保有していることは許せ ない、ということに当然なる、わけで。日本は、使い道のないプルトニウムは持たないという国際公約、に追い込まれました。

しかし、国際公約をしたところ で、高速増殖炉は動かない、わけで、プルトニウムの使い道が、無くなってしまいました。そこで困り果てた日本の国は、そのプルトニウムを普通の原子力発電 所で燃やしてしまおうと、いう計画を作りました。それが、プルサーマルという計画です。しかし、普通の原子炉、原子力発電所の原子炉は、ウランを燃やすた めに設計された原子炉です。

例えばみなさん家庭で石油ストーブを使われてるかも知れません。それは灯油を燃やすために設計された、ストーブです。ではその 石油ストーブでガソリンを燃料に使ったらどうなるかといえば、火事になるのですね。灯油もガソリンも、同じ原油から精製したもので、燃えるという性質では 同じですけれども。燃え方が違いますから…灯油を燃やすために設計されたストーブで、ガソリンを燃やしてはいけない、のです。

ウランもプルトニウムも、原 爆の材料になりましたので、核分裂はしますけれども、核分裂の仕方が違いますので、ウランを燃やすために設計した原子炉で、プルトニウムを燃やすというよ うなことを、やってはいけません。もともとやってはいけないことなんですけれども、でも、プルトニウムが溜まってしまってどうしようもないから、プルサー マルをやると、日本の国は言った、のですね。でも、危険性が増えてしまうこと自身はどうしようもないので。日本の政府は、現在の原子力発電所でプルトニウ ムを燃やす場合には、炉心の中のせいぜい3分の1までしか、プルトニウムの燃料を入れてはいけないという、そういう制限をかけた、のです」

今西「はい」

小 出「ですから、石油ストーブでガソリンを燃やす時には、灯油の中にガソリンを30%までしか入れてはいけないという、まあそういう条件をつけるのと同じよ うなことをやって、やろうとした、のです。しかしもともと…いけないことをやろうとしているわけで。政府としては困った、わけですね。

そのため、2つのこ とをやろうと、しました。

まずは、3分の1しか燃料を、プルトニウムを燃料に使えないのでは、燃やすスピードが遅すぎるので。まずは全体にプルトニウムを 入れられるようにしたい。いうこと、です。そして、もしそうする、しようとするなら、今の原子力発電所では全くダメだから、初めからプルトニウムを燃やせ るための、原子炉を設計して作ろうと、いうことにしたのですね。

それで大間という原子炉が出来ました。

え…炉心全体に、プルトニウムを入れて、燃やすこと ができると。そうすれば厄介者になったプルトニウムを燃やせる量が増えるし、初めからプルトニウムを燃やすために設計するのだから、現在のプルサーマルよ りは少しは安全性も良くなるという、そういう考えのもとに、大間の原子炉を作ろうとしている、のです。

でも、プルトニウムという物質は、ウランという物質 に比べれば、放射能の生物毒性が、何万倍、何10万倍というほど高いので、そういうものを使うということそのこと自身が、危険性を高めてしまうと、いうこ とになります。ですから、本来であれば初めからやってはいけないと、いうようなことを、また、やる、あるいはやらざるを得なくなってしまっているという、 そういう状態に、日本の原子力開発全体が追い込まれてきてしまったということです」

今西「その中でですね、1点、まああの、当然あの、原発 事故があったとこでですね、まあ、このまま大間原発がそのままえー、着工され完成するという前提でですね。まあシビアアクシデント対策というのは非常に重 要になってくるかなと、思うのですが(苦笑)。そのあたりについてのご意見はいかがでしょうか」

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続く:小出裕章が解説 シビアアクシデント対策「原子力をやめるというのが、1番確実な対策」(今西憲之)10/18

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