子宮頸がんワクチン審議会委員リスト
子宮頸がんワクチンの是非を決める審議会の委員15人のうち11人がHPVワクチン製造販売メーカーから寄付金や講演会報酬を受領している。この状況では審議が公正に行われるのか心配だ。金銭を受領していないという嘘の報告(桃井眞里子氏ら)まである。現行のルールでは審議途中の金銭の受領についてわからない場合もある。審議会の委員の選び方など基準を見直すべきことが多々ある。
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委員15人のうち73%にあたる11人が製薬企業から寄付金等を受領

週刊金曜日ニュース» ブログアーカイブ » 子宮頸がん予防ワクチンの厚労省審議委員7割が利益相反――委員の4割が受領「不申告」

『多数の副反応が報告されたことで「積極的勧奨の一時中止」となっている子宮頸がん予防ワクチン(以下、HPVワクチン)について、定期接種を再開するかどうかを審議している厚生労働省審議会の正当性に疑義が生じている。

HPVワクチンについて審議しているのは副反応検討部会と安全対策調査会(以下、合同部会)だが、委員15人のうち73%にあたる11人が製薬企業から寄付金等を受領していることがわかったためだ。これまでも一部の委員が受領を申告していたが、審議途中で申告する委員や、厚労省の再調査によって明らかになった委員を合わせると11人に達した。

合同部会は今年1月、「副反応はワクチン成分が原因ではない」とする見解を示している。厚労省は来月にも結論をだす見通しだ。』

▼HPVワクチンについて審議

  • 副反応部会
  • 安全対策調査会

ファクト:

  • 委員15人のうち11人が製薬企業から寄付金など受領

寄付や講演報酬支払っていた、サーバリックス販売グラクソ・スミスクラインとガーダシル販売MSD

『委員に寄付金や講演の謝礼などを支払っていた製薬企業はHPVワクチン「サーバリックス」を販売しているグラクソ・スミスクライン(株)(以下、GSK)と、同「ガーダシル」を販売するMSD(株)。同ワクチンを成長事業と位置づける両社にとり、定期接種再開の是非は営業利益に直結する。』

  • ファクト:
    子宮頸がんワクチン製造販売メーカー2社が委員に寄付金や講演謝礼を支払っていた
  • ファクト:
    HPVワクチン「サーバリックス」販売のグラクソ・スミスクライン社とHPVワクチン「ガーダシル」を製造販売しているMSD社の2社

桃井眞里子座長「受け取っていない」→ウソと判明(講演謝礼11万円)

厚労省がこの4月、再調査に踏みきったのは市民団体などの指摘があったため。そこで明るみに出たのが桃井眞里子、薗部友良両委員の不申告だ(他の不申告委員の詳細は表を参照)。

座長の一人である桃井氏は当初「受け取っていない」としていたが、13年1月の講演の謝礼としてMSDから11万円を受けていた。

  • ファクト:
    桃井眞里子氏は「受け取っていない」とウソの申告をしたが、13年1月に講演謝礼11万円をMSDから受領

五十嵐隆「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」の委員の言い分

『適切な申告をしていなかった委員のうち、本誌の取材(質問)に回答したのは五十嵐隆氏のみ。座長である五十嵐氏は、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議」 (事務局はPR会社「朝日エル」内)の委員も兼ねる。厚労省の再調査後も受領時期が不明だったが、本誌の取材に文書で回答した。

それによると11年12月、当時つとめていた東京大学小児科学教室の奨学寄付金口座にGSKから100万円の寄付金をうけていた。

五十嵐氏は不申告について「今後は今まで以上に注意する」としたうえで、こう主張した。

「利益相反が問題視されなかった時代、国の審議会委員をつとめる大学の先輩方は、今以上に製薬企業から寄付金をもらっていた。その方々から、寄付金と判断は別だとうかがっていた。私も他の委員も同じ基本姿勢だ」』

  • ファクト:
    適切な申告をしてなかった五十嵐隆氏は「子宮頸がん制圧をめざす専門家会議」の委員
  • ファクト:
    2011年12月、GSKから100万円の寄付金を受領。東大小児科学教室奨学寄附金口座。
  • ファクト:
    五十嵐氏は製薬会社から寄付金を受領しても判断は別と主張。

利益相反管理のルール

『金銭を受け取れば適切な判断はできない――こう証言する委員はまずいない。だからこそ利益相反管理のルールが議論されてきた。

現在は、過去3年度内でもっとも受領額の多い年度につき自主申告が求められ、個別企業からの受領額が500万円を超える委員は審議に参加できない。50万超500万以下の委員は審議には参加できるが議決には加われない。

合同部会では議決に参加できない委員が3人(20%)もおり、「過去3年度でもっとも多い年度」「50万円超500万円以下」という括りでは見えない部分も大きい。

薬害オンブズパースン会議は先月、厚労省に合同部会の委員構成の見直しと、利益相反管理ルールの見直しを求める要望書を提出し た。同会議事務局長で弁護士の水口真寿美氏は「利益相反のある委員、議決に参加できない委員の比率が高すぎ、これでは国民の信頼を得られない。現行ルールでは、審議の途中で製薬企業から金銭を受領しても、それが必ずしもわからない。審議参加基準の運用実態を調査し、基準を見直すべきだ」と指摘している。』

  • ファクト:
    過去3年度内で最も受領額の多い年度につき自主申告
  • ファクト:
    個別企業からの受領額500万円超の委員は審議に参加できない
  • ファクト:
    50万超500万以下の委員は審議に参加できるが議決権なし
  • ファクト:
    現在、合同部会には、議決権がない委員が3人(20%)
  • ファクト:
    薬害オンブズパースン会議が、要望書を提出「基準を見直すべき」
  • ファクト:
    利益相反のある委員や議決に参加できない委員の比率が高すぎる
  • ファクト:
    現行ルールでは、審議途中で委員が製薬企業から金銭を受領してもわからない場合がある。

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