2005年08月17日
1930年に米国,ユーラシア大陸を単発複葉機で単独横断飛行した東善作

米国に暮らしていた東善作(石川県出身の飛行士)は中古の複葉機 「トラベル・エア4000」を6000ドルで購入し「東京号」と名付け,単独飛行による三大陸横断飛行を自費で実行すると1930年4月30日に発表し た.これで東飛行士は米国,欧州,亜細亜大陸を単発の複葉機で横断飛行して日本までの訪問飛行を行なうために,ロサンゼルスを6月22日に出発し東回りに ニューヨーク(大西洋は船を利用)〜ロンドン〜モスクワを経由して総飛行距離は1万8000km,所要日数は70日で,8月31日に東京立川飛行場に無事 着陸した(37歳).さらに9月中旬には,故郷や金沢へ訪問飛行を行ない盛大な歓迎を受けて,米国へ戻った.
米国のトラベル・エア社(Travel Air Mfg Co)は,1925年にウォルター・ビーチとクライド・セスナ,ロイド・ステアマンがカンサス州ウイチタに設立した航空機メーカーだが,1929年カーチス・ライト航空機社のトラベル・エア事業部となった.トラベル・エア4000は1926 年より製作されていた単発のスポーツ競技用の複葉機で,鋼管を溶接した胴体に木製梁にプライウッド構成の主翼構造にライト製ホワール・ウィンドJ-5空冷 星形7気筒220馬力エンジンを装備していた.輸送能力は乗員1人+乗客2人で巡航速度177km/hで航続距離900km程度の複葉機だった.
3大陸横断飛行に使用した東京号は,1931年に陸軍に研究用として引き渡されたが,実戦に耐えられず廃棄処分されたと思われていたが,日本電報通信社 (現在の電通)が,満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起きたため,東京号を1931(昭和6)年11月に入手し,機名を日本号に改めて報道写真や原 稿の空輸などに使用していたが,約4か月後の1932年3月に旧満州国(現在の中国東北部)の独立を宣言した式典の写真を運ぶ途中,韓国釜山近くの蔚山 (ウルサン)飛行場で着陸事故により大破し,使用不能となったため廃棄された.
◇冒険飛行士・東善作の経歴
3大陸の単独飛行による横断に成功した東善作(あずま・ぜんさく:羽咋の飛行士/1893(明治26)年〜1967(昭和42)年)は,東長松,八重夫 妻の二男として,石川県羽咋郡南大海村字中沼(現在のかほく市中沼町)に1893(明治26)年9月25日に生まれた.羽咋高等小学校を卒業して,一ノ宮 村役場給仕になったが,実業家を志して1909年に朝鮮馬山浦新同洞へ渡った.しかし,学問の必要性を感じて帰国し,岡山県の関西中学校を人力車夫をしながら苦学して卒業した.
金沢の「北陸毎日新聞社(現在は北国新聞社)」に1916年5月より入社して新聞記者となり,米国人飛行士アート・スミスの曲芸飛行を金沢の野村練兵場 で見たことがきっかけで飛行士を志し,1916年10月22日に飛行家を目指し渡米(23歳).米国でオークランドのデュランド飛行学校に入学し労働して 学費を稼ぎながら,1918年4月には第一次世界大戦が勃発したため米国陸軍航空隊へ志願入隊,約1か年で除隊した.ようやくデュランド飛行学校を 1920年1月に卒業(26歳)し,クラーク水上飛行学校の助手となった.クーパー高等飛行学校で1921年10月7日に国際高等飛行士ライセンスを取得 して,「日本人の手による飛行学校創設」を計画した.
さらに関東大震災で被災した母国を支援するために1923年9月8日より,「HELP JAPAN」と横書した愛機で連日自費で印刷した救援支援ビラをロサンゼルス上空より散布し,義援金を集めて日赤を通じて日本へ送金した.さらにサンタ バーバラ大地震の際には1925年6月に初の取材飛行に成功した.
飛行士仲間の後藤正志が三大陸横断飛行に出発したが1929年7月2日にロッキー山脈で遭難してしまった.
このため3大陸横断飛行に挑戦することになった.
3大陸横断飛行後の東善作は米国での生活を精算し1934年に日本へ帰国し,航空学校設立に奔走した. また1937年4月に衆議院選挙に立候補したが落選した.
以後東京に住み,商社を経営し第二次大戦後は米国在郷軍人として,GHQ出入りの御用商人を勤め た.1953年4月に雑誌『リーダーズダイジェスト』の記事「ウラニウムは人である」に魅せられて日本のウラン鉱脈を捜し始め,小鴨鉱山の人形峠(岡山・ 鳥取の県境)でウラン鉱脈を1955年3月に発見し,1957年ウラン鉱業株式会社を設立した.しかし1966年10月に発病し三井厚生病院に入院,1967年10月11日に74歳で死去した.
生まれ故郷のかほく市高松では,冒険飛行に挑戦した東善作を記念して,「東飛行士誕生之地の碑」を建て,石川県紙飛行機大会を毎年夏(第11回石川県紙ひこうき大会は2005年7月)に開催している.
なお,石川県かほく市・東善作研究会では,ホワイトウイングス「東京号」(価格:367円)を通信販売している(石川県かほく市高松公民館内:電話076-281-222).




