2007年12月26日

('A`)は人類最後のオスなようです

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:47:04.52 ID:9uy6Dydh0

太陽系第三惑星、地球。

かつて海と緑で囲まれた美しい星は、今では見る影もない。

あまりにも発展しすぎた文明は、文明それ自体を崩壊させることとなった。

主に核兵器とかそんなので。

生態系は崩れ、多くの種が絶滅の危機に瀕していた。

人類とて例外ではない。

全人口六十億とんで二人のうち、ジャスト六十億人が死亡したっぽいぞ。

すっげーなおい。


そして残されたのは、たった一組の、男女のみ――――。




                      ('A`)は人類最後のオスなようです




3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:48:42.35 ID:9uy6Dydh0
ろくにモノも食べずに、荒れはてた大地を歩くこと三週間。
ようやく俺は海辺で自分以外の人間と遭遇を果たした。


川 ゚ -゚)「…………」


幸いにも、その人は女だった。
よかった。これで人類という種族を絶やさないで済む。
感謝するぜ、神様。


('A`)「地球は滅亡寸前だ。人類はもう俺たち二人しか残っていない……。
   だから、俺たちで新しいアダムとイブになろう!」


彼女に手を差し出し、俺は童貞なりに考えた、精一杯の口説き文句で提案を持ちかけた。








川 ゚ -゚)「断固として拒否」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:50:33.65 ID:9uy6Dydh0
('A`)「ちょっ、待てよ!」


まさかの却下。
予想してなかった返事に、俺は必死になって説得しようとする。


('A`)「え、え、え、なんで? どうして? そうしないと人類終わっちゃうんだぜ!?」

川 ゚ -゚)「だって、お前みたいな稲中フェイスと性交してまで種を保存したいとは思えないし。
     あと生理的に」


なんてこと。


俺は小学生の頃、クラスメイトの女子が

『ドクオとキモ太(クラス屈指のブサメン)、どっちかとキスしなきゃいけなくなったらどうする?』

という質問に「舌噛み切って死ぬ」と答えていたのを耳にしたことがあったが、
なんとこのたび、選択肢が一つの状況でもその決断を下されてしまいました。


どうしてでしょう、人間であることを放棄したくなります。




8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:53:08.11 ID:9uy6Dydh0
落ち着け、落ち着くのだ、ドクオよ。


確かに、先程の俺は「セックスしよっ!」って発言してるようなものだ。
付き合い始めの中学生かよ。

いくらヒトが瀕死の危機とはいえ、セックスとは女性にとっては大切なもののはず。

どう考えても、この人と打ち解けることが先決だろうが。
まずは心の壁を取り除かなければならない。

そう、きっと彼女だって話せば分かってくれるはずさ!
たとえスタートがマイナスからだとしてもね!


とはいえ、何から話せばいいのか分からない。
なにぶん女の子とマトモに喋ったことがありませんので。


これはマズイ。なにがマズイって、この会話がない空気がマズイ。
流れる沈黙が重たすぎる。




とりあえず、名前を聞いてみることにした。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:55:03.79 ID:9uy6Dydh0
('A`)「あのさ、名前を教えてくれないか?」

川 ゚ -゚)「…………」

('A`)「いや、何でだんまり決めちゃってんの」

川 ゚ -゚)「……(黙秘権を)使っちゃいかんのか?(チッ」


なぜ、どん語と原語録のコラボなんだ。
しかも舌打ちまでされたような気がするぞ。俺っていったい何だと思われてんの。


('A`)(俺どんだけ拒絶されてんんだよ……しかもこの状況で……)

川 ゚ -゚)「クー」

('A`)「へっ?」

川 ゚ -゚)「私の名はクー。パイナップル社の令嬢だ」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:57:53.83 ID:9uy6Dydh0
('A`)「なんと!」

パイナップル社といえば、童貞ガチニートの俺でも知っているほどの大企業だ。
……そこの社長の娘だと言うのか、この女は。

え、身分差ありすぎじゃん。


川 ゚ -゚)「お前は?」

('A`)「はい?」

川 ゚ -゚)「だから、お前の名前は?」

('A`)「俺はドクオ……以前は……えー……国会議員をやっていました」


自分でも引くぐらいの大嘘だった。


川 ゚ -゚)「じゃあ証拠にバッジ見せてみろよ、議員バッジ」

('A`)「実は、食べる物に困って三日前に……」

川 ゚ -゚)「あるワケねーだろカス」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:59:27.17 ID:9uy6Dydh0
川 ゚ -゚)「……もういい? 飽きたんだけど」

('A`)「あっ、あの、じゃあさ、一緒に生活しようぜ! 二人の方が都合がいいだろ?」

川 ゚ -゚)「いや、別に一人でも生きていけるし」

('A`)「でもっ、俺がいれば食糧の調達とかっ、いろいろ便利になるよっ!
   ライターとかも何本か持ってるし! ナイフだって所持してるし! それに(ry」


なんてアワレな俺。終盤は土下座をしていた。



川 ゚ -゚)「…………」

クーはしばらく考え込み、

川 ゚ -゚)「じゃあおk」




そんなこんなで、俺たちの共同生活は始まったとさ。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:01:39.31 ID:9uy6Dydh0
――― 一日目 ―――



まずは家を作ろう。
そう思い、俺は森に転がっている木々を集め、それらを組み上げ海辺に簡単な小屋を作った。
家といっても、屋根と床がある程度のものなのだが。

ちなみにやったのは全部俺一人ね。

('A`)「よし、完成だ! 二人分の寝床を確保したぞ!」

景気づけに横になって昼寝をしようとすると、クーが口を挟んできた。



川 ゚ -゚)「いやいや、相部屋とか有り得ないから。これ私のものな」

('A`)「え」




その夜、案の定雨が降った。

ポイ捨てされた俺は砂浜の上に寝転がり、雨に打たれながら夜を越すことになった。
頬が濡れているのは、雨のせいなのか涙のせいなのか、分からなかった。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:03:21.26 ID:9uy6Dydh0
――― 二日目 ―――



('A`)「メシだ、メシを探すぞ!」


住居の問題をクリアしたら(まあ俺には関係ありませんがね)、次は食糧だ。
森の中へと入っていって、食べられそうな野草やキノコ、落ちている木の実を拾ってきた。
早速二人で食べてみる。


川 ゚ -゚)「悪くないが、タンパク質が圧倒的に不足しているな。何とかならないものか」

('A`)「タンパク質……」


俺はふと思い出した。

精液の中には、豊富なタンパク質が含まれているということを……!


('A`)「ゴクリ……」

川 ゚ -゚)「お前マジで死ねよ」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:05:35.90 ID:9uy6Dydh0
――― 五日目 ―――


クーの意見を取り入れて、俺は更なる栄養源を求め海に出た。
ドラクエの装備みたいな尖った竹を持って海の中へと潜り、魚を数匹ゲットした。
捕らえる度に腕が上達していく。
いくらかレベルが上がっているに違いない。たららたったたったー。


('A`)「やべ、でも調理法とか分かんねーや」


繰り返すが童貞ガチニートだった俺は、二十四時間家にいたにもかかわらず、
料理なんてものはまったくできない。とりあえず手製の串に刺して焼いてみることにした。



川 ゚ -゚)「まずい。苦い。くさい。つか生ゴミだろこれ」




反省点

・鱗を取らなかったこと   ・内臓を除去しなかったこと
・焼き加減が適当だったこと   ・調味料を使わなかったこと
・クーの舌が想像以上に肥えていたこと
・意外といけるんじゃないかと感じてしまった俺の味覚のこと


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:07:45.55 ID:9uy6Dydh0
――― 十日目 ―――



諸君、吾輩は思うのだ。
食欲睡眠欲だけでなく、あともう一つの生理的欲求も満たさなければ、と。
そう、性欲を処理しなくてはならない。

('A`)「あぁ……ちんちんもぐもぐして……ちんちんもぐもぐして……」

てなわけで俺は茂みに隠れてオナニーを行っていた。

('A`)「うう……ううああああ! 出るっ、出るっ!」

川 ゚ -゚)「きめぇ」

('A`)「       」

あらやだ、クーさんったらいつからそこにいたのかしら。


川 ゚ -゚)「ほら、天然のオナホールやるよ」

去り際に、クーは物凄い侮蔑的な眼差しでイソギンチャクを投げつけてきた。




正直具合は良かった。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:10:00.83 ID:9uy6Dydh0
――― 十二日目 ―――



イソギンチャクオナニーに耽る姿をクーに目撃されてしまった。



俺はその晩、以前読破した自殺マニュアルの内容を実践しようとした。



道具が足りなくて死ねなかった。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:11:57.07 ID:9uy6Dydh0
――― 十九日目 ―――



('A`)「あっ……」


とうとう一本目のライターの寿命が尽きてしまった。
俺は長きにわたってこの生活を支えてくれたこいつのために、供養をしてあげることにした。


('A`)「ナムナム……」


俺はこいつに感謝しなければならない。

以前人生に絶望して練炭自殺を計画した時、このライターで炭に火をつけようと思ったのだが、
不思議だね、ライターだとあんまり良い加減に燃えなかったのだよ。着火温度とかの関係で。

おかげで自殺は見事失敗に終わり、そして今、俺はまだ生きている。

ありがとう、ライター。




川 ゚ -゚)「何あれ……どこまでもきめぇ……」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:13:59.06 ID:9uy6Dydh0
――― 二十三日目 ―――



ついに俺も放射能の害に侵されてしまった。
この日は漁にも出かけられず、一日中寝込むことになってしまった。砂の上で。


川 ゚ -゚)「死ぬんじゃないぞ」

('A`)「クー……心配してくれるのか」

川 ゚ -゚)「お前が死んでしまったら私の食事量が激減してしまうからな」

もう俺死ぬわ。


振り返れば、実にクソみたいな人生だった。イジメられっ子で、喪男で、しかも無職で。
……ああ、段々と意識が薄らいでゆく――――。



川 ゚ -゚)「あと一か月間生き残れたらおっぱいうp」



俺はいきり立つチンコと共に復活を果たした。


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:16:04.77 ID:9uy6Dydh0
――― 五十三日目 ―――



('A`)「どうだっ! 俺はっ! 約束の期限まで生き延びたぞっ!!」

川 ゚ -゚)「チッ、まさか本当に死なないとは……」


俺はケモノのごとく迸る性欲を剥き出しにしていた。
股間には完全なるテント(六人入っても大丈夫)が張っている。
もう勃起を隠そうとも思わない。つかさっきチンポジ直したらちょっと出た。


(*'A`)「おっぱい! おっぱい!」

川 ゚ -゚)「んじゃ、うpするからいいうpろだ教えて」

('A`)「はい?」

川 ゚ -゚)「だからうpろだだよ。正式名称アップローダーのことだよ」

('A`)「えーと、もうそんなのって全部消えちゃってると思いますけど……」

川 ゚ -゚)「そうか。だったら画像のうpは無理だな。誠に残念ながら」


言葉にできない。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:18:18.23 ID:9uy6Dydh0
――― 六十日目 ―――



久しぶりに雨が降ったので、俺は葉っぱで作った容器を並べ雨水を貯めることにした。


('A`)「……へきしっ! うう、さみーなぁ……」


冷たい雨が容赦なく降り注ぐ。しかし作業を中断するわけにはならない。
水は貴重なのだ。このライフラインを絶やしてしまったら、俺とクーの命は――――。


川 ゚ -゚)「風邪ひくぞ。お前もこっち小屋の中で休んだらどうだ」

('A`)「どういう風の吹きまわしだ……俺は入っちゃダメなんじゃないのかよ。
   ……はっ、もしかして……!」

川 ゚ -゚)「勘違いするなアホ。私がお前に対して好意を抱くわけないだろう」

('A`)「ですよねー」


でも実は、クーの言葉はそれで終わりではなかったのだ。


川 ゚ -゚)「だが、嫌いではなくなった。ただ単にそれだけの話だ」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:20:45.66 ID:9uy6Dydh0
――― 六十一日 ―――



本日から、俺はクーの許しを受けて小屋の中で就寝することだ出来るようになった。
まあ、元はと言えばこれ造ったのは俺なんだけどね!


(*'A`)「フヒヒ……女の子と毎晩二人っきりとか……」


俺は夜のことを妄想した。
屋根を見上げながら眠りにつく自分の姿。更に隣ではクーが寝息を立てている。
……やっべ、マジ興奮してきたんですけど!

考えてみれば、こんな夢のような出来事は人生で初なのではないか。
俺は初めて今の境遇に感謝した。フヒ、フヒヒヒヒヒ! フヒヒヒヒヒヒヒヒ!!




川 ゚ -゚)「調子に乗るなよ。お前は限界まで私から離れた端っこの方で寝ろクソ野郎。
     一晩中少し気を抜くと下に転がり落ちてしまう状況に怯えながら、
     そして日頃の疲れからレム睡眠に陥ってしまい悪夢にうなされやがれリアル浦安フェイス」


どうやら、俺=ゴミクズか何か、という構図は揺るがないようです。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:23:12.19 ID:9uy6Dydh0
――― 六十五日目 ―――



驚いた。
なんと今朝、クーが自分が魚を捕りにいくと言い出したのだ。


川 ゚ -゚)「たまには私も仕事をしないとな」


ちょっと待っていただきたい。
俺が海に出る時は常にフルチンだった。パンツ濡れるの気持ち悪いし。

その公式をクーにも当てはめると……つまり……!


川 ゚ -゚)「そうだ、潜りに行く前に一番に突いておかなければならないものがあったな」

('A`)「なんすか?」

川 ゚ -゚)「お前の両目」



俺は急いで小屋に飛び込んで、がたがた震えながら一日中壁に渦巻きを書いていた。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:24:52.72 ID:9uy6Dydh0
――― 六十九日目 ―――



暇なのでオナニーできる回数の限界に挑戦していたら、
それよりも先にクーから「お前、人として限界」と罵られ、俺は悟りを開くこととなった。




67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:27:30.83 ID:9uy6Dydh0
――― 七十二日目 ―――



('A`)「――――おっ?」

いつものように海に潜って指定区域外での魚類乱獲をしていると、海底であるモノを拾った。


川 ゚ -゚)「何だそれは……」

('A`)「たぶん、アコヤ貝」


即刻開いて中身を確認すると、売り物には絶対になりそうもないミニサイズの真珠が入っていた。
おそらくは、養殖されていたものが核がドッカンした時の拍子で流れてきたのだろう。


('A`)「どうするこれ。いる?」

川 ゚ -゚)「いいのか?」

('A`)「まあ、俺が持ってたって腹の足しにもなんないし」

川 ゚ -゚)「そうか、ありがとうな」


けど指輪になんて出来ないから、小さな素体の宝石は次の日にはどこにも見当たらなくなってしまった。
少し、切なかった。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:29:54.74 ID:9uy6Dydh0
――― 七十四日目 ―――



('A`)「湧っき水湧っき水らんらんらーん♪」


森の奥深くまで進んでいくと、発見してビックリ、地下水が湧いている場所があった。
とは言っても、それほど量は得られない。
ちろちろと流れ出る水の勢いは非常に弱く、今にも枯れ果ててしまいそうだ。
零れ落ちる水滴の一粒も逃さずに、慎重に器に入れていく。

そう、水はやはり最も稀少なモノなのだ。一滴も無駄にはできない。


――――素晴らしいアイディアを思いつきましたぜ。


('A`)「クー、湧き水を汲んできたぞ! さあ飲んでみてくれ!」

川 ゚ -゚)「私は後でいい。それよりドクオの方が喉渇いてるだろ。先に飲んだらどうだ」

('A`)「えっ、なんでこんな時だけ優しさ発揮するの」

川 ゚ -゚)「早く飲めよ」


78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:32:47.90 ID:9uy6Dydh0
―――― 八十一日目 ―――



珍しくクーが寝過ごした。
太陽が空高くにまで昇っても、まだ眠り続けている。


('A`)「どうしたんだろうな、まったく」


普段は気丈なくせに。


いつまで経っても起きてこないのでちょっと不思議に思えたが、
かと言って寝ている時に声をかけようものなら、十中八九殺されるに違いない。

手持ちぶさたな俺は、海面の様子ををぼうっと眺めていた。
今日はまた一段と風の強い日だ。押し寄せてくる波は高く、少々荒れている。


('A`)「……なーんか、嫌な感じがするな」




この時、俺は気付いていなかった。
クーの体が、徐々に放射能に蝕まれていっていることを。


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:34:13.40 ID:9uy6Dydh0
――― 八十三日目 ―――



ついにクーが倒れた。




88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:36:45.90 ID:9uy6Dydh0
――― 八十八日目 ―――



クーの容態は日に日に悪くなっていく。


木の実を採ってきてあげたが、クーは一つも口にしなかった。




92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:39:00.49 ID:9uy6Dydh0

――― 九十六日目 ―――



クーの皮膚はすっかりただれてしまって、熱を放出できなくなっていた。

見ているだけで胸が苦しくなる。俺の時とは病状がケタ違いだ。

俺はこの日、初めてクーの体に触れた。

クーは裸になることを嫌がるだろうと予測したが、そんな態度は取られなかった。

濡らしたシャツで火照ったクーの身体を拭く。

海水だと傷口に染みるだろうから、二日分の俺の飲み水を用いた。

体は灼けるように熱くて、それに、綺麗だったはずの肌はぼろぼろと木の皮みたいに剥がれていった。

唇から漏れるクーの呻き声が、小さな住居の中で悲痛に響く。

クーは瞼を閉じていたので、きっとこっちの様子は知らないだろう。

その方が都合が良かった。

清拭をしている間中、俺はずっと涙を流していたのだから。


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:41:30.16 ID:9uy6Dydh0
――― 百日目 ―――



(;'A`)「クー! おい、しっかりしろよ!」


クーはもう衰弱しきっていた。

彼女が伝えられるのは、下手くそな口笛みたいにひゅうひゅう漏れるか細い声だけ。
食事もろくに取らず、起きている時間もどんどん減っていっていたから、
いずれこうなってしまうだろうことは、俺も、分かっていたのに。


川 ゚ -゚)「……さすがに、もう無理だろうな……」

('A`)「そんなこと言うな! 大丈夫だ、きっと助かるから――――」

川 ゚ -゚)「……いや……自分が一番よく、分かっている……。
    そろ、そろ……お迎えがくる、こ、ろだな……」

('A`)「クー……頼むよ……いつもみたいに俺を罵ってくれよ……。
   思いっ切り馬鹿にしてくれよ……可哀想な生き物を見るような目で見てくれよ……」

川 ゚ -゚)「……そんなことも……もうできなくなったよ……」

(;A;)「クー!」


102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:43:48.19 ID:9uy6Dydh0
川 ゚ -゚)「……そう、できないんだ……ふた、つの……い、みでな……」


クーはそう小さく呟いた後、夢見るような表情で、静かに瞼を下ろした。


(;A;)「ク――――!」


知らず俺はクーの手を取っていた。
……熱がこもっているせいでもあるのだろうが、まだ暖かい。
死んだだなんて、信じられなかった。ぎゅっと強く、両手で包み込むようにクーの手を握る。

すると、クーの指がほんの少しだけ握り返してきた。


(;A;)「あ……」


まだ、生きている。
けどきっと、もうあまりそうしていられる時間は残されていない。
その事実が堪らなく悲しかった。



夜。
あんなに熱かったクーの手は、段々温度を失っていって、冷たい、棒のようになってしまった。


110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:45:57.25 ID:9uy6Dydh0
――― 百一日目 ―――



俺は冷たいクーの遺体を抱えて、森を抜け坂を上り、空を望める丘に到着した。
死んでしまったクーを、葬ってあげなければならない。
それが、人類最後の男としての務め。


('A`)「クー、ここからは空と海が見えるぞ。
   俺なんかに言われるのは癪だろうけど、いい眺めだぜ」


終わっていく世界は、ほんとうにきれいだった。


土を掘り起こし、彼女の亡骸をそっと置く。

手の平で優しく土を戻していく。

首から下を完全に埋めて、残るは顔の部分のみ。

クーの寝顔は安らかだった。

震える手で、一気に土をかける。

消えていくクーの顔を直視していたら、たぶん、俺は狂ってしまっていただろう。


118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:48:14.96 ID:9uy6Dydh0
('A`)「…………ん?」


海辺の小屋に帰ると、意外なモノが俺を出迎えてくれていた。


('A`)「こいつは……あの日のイソギンチャク……?」


間違いない。俺が以前オナホール代わりにチンコをぶちこんでいたイソギンチャクだ。



   イソギンチャクが おなほーるになりたそうに こっちをみている!



('A`)「そうかお前……俺を慰めようと思って……。
   ありがとうイソギンチャク! お前の気持ち、しかと受け取ったぜ!」




俺はその日の晩、クーへの想いを募らせながらマスターベーションに耽った。

でも最後の方のオカズはさくらたんになっていた。


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:50:50.07 ID:9uy6Dydh0
――― 百三十六日目 ―――



だんだん、オナニーが虚しいことのように思えてきた




132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:53:32.63 ID:9uy6Dydh0
――― 百六十一日目 ―――



ああ――――



――――どうやら、俺がクーの元に行くのも、そう遠くない話らしい。




138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:56:10.27 ID:9uy6Dydh0
――― 百七十七日目 ―――



海に潜っても魚は一匹も泳いでおらず、森を歩いていっても木の実は一つも落ちていない。
察するに、それらの種が完全に滅んでしまったのだろう。
とうとう食べる物がなくなってしまった。

それに気が付いたのが、十三日前。


('A`)「ああ……天使さんが見える……」


身体はもはや動かすことができない。
チンコも石恵の漫画を思い出しても立たなくなった。

俺は寝っ転がって、じっと天井を見つめていた。
クーのいない小屋は随分と広く感じられる。たった一人いなくなっただけだというのに。


('A`)「……死んだな、こりゃ」


直接の要因は違うとはいえ、まさか、ヒトの絶滅する理由が餓死とはな。


143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:58:38.03 ID:9uy6Dydh0
('A`)「……あー……だめだ……」


少しずつ瞼が重くなってきた。頭もはっきりしない。視界に至っては霞みがかっているときた。

薄らいでいく意識の中に、俺の人生における記憶が一気に舞い戻って来た。
これが走馬灯っていうヤツですか。
本当にあるもんなんだな、とこの期に及んで妙に感心してしまう。


('A`)「……どうしてだろうなぁ」


ホント、どうしてだよ。
地球がこうなってしまう前の記憶の方が多いはずなのに。

脳ミソの中を駆け巡るのは、クーと過ごした百日間の思い出だけだぜ。



――――なんだ、わるくない、じんせいだったじゃないか……――――










156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 02:02:05.46 ID:9uy6Dydh0






ドクオの死によって、ついに人類は滅亡した。

人類が滅んだ後も生物の種は生命力が弱い順に絶滅していき、
とうとう古代より生息するプランクトンと植物しか地球には存在しなくなってしまった。

それはすなわち、原初の状態と同じということ。

地球はリセットされたのだ。

プランクトンたちは再び進化を開始した。
徐々に海洋生物へと変化を遂げ、また次第に彼らは陸に上がり始めた。

陸に上がった生物たちは、更なる進化を続ける。
やがて恐竜時代が訪れた。しかし彼らはかつて経験したとおり、氷河期によって再び絶滅する。

恐竜の死滅後、生物は爬虫類や鳥類などへ変容していき、そして哺乳類が生まれた。
その哺乳類が辿る進化の過程に、一匹の高度な新しい種族が現れる。

サルである。

優れた知能を持つサルは類人猿へ、類人猿は霊長類へ、霊長類は猿人へ、猿人は原人へ。

そして原人は――――人類へと進化した。


170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 02:06:51.49 ID:9uy6Dydh0
ヒトは奢り過ぎたが故に破滅した。
その傲慢さが、核という最悪の兵器を造り上げてしまったのだ。
結果、人類は自らの首を絞める羽目になり、絶滅した。

それでも地球は、再度人類という種を誕生させた。
地球にとって人類とは特別な種族であり、
彼らが存在するために、この蒼い惑星のアイデンティティは成り立つと判断したのである。


――――だが、ひとつ、進化において新たに付け加えられたことがある。

それは人類皆に授けられた、争いを忌み嫌い、平和を良しと考えるようになる脳の基本概念。

今回の絶滅の起因となったものを、防ぐための機能を与えたのだ。



歴史は、巡る。

歴史は、修正していく。



もう二度と、同じ過ちを繰り返さないように―――――――。






180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 02:09:42.25 ID:9uy6Dydh0


――あら、奥さん見ない顔ね。もしかして今日が公園デビューかしら?

――はい。ですけど……この子ったら人見知りするものですから、他の子たちと馴染めるかどうか……。

――でしたら、わたしの娘と遊んでくださりませんか?

――えっ、本当ですか? それはありがたいです。ほら、あんたも挨拶しなさい。

「あっ、あう……」

――ふふふ……実はね、あの子も友達がいなくて一人でばっかり遊んでるんです。

――まぁ。

――今だって……ほら、あそこ。砂場で一人ぼっちで遊んでいるでしょう。

――あらあら、ほんと。……あんた、行ってきてみなさいよ。

「うん、わかった!」

――元気な息子さんね。うちの子と仲良くなってくれるといいんですけど。

――あの……どうでもいいですけど、あなたもお子さんも高そうなお洋服を着てますね……。

――……ふふ。そうですかね。



192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 02:13:36.83 ID:9uy6Dydh0
「……あっあの……きみ、なにつくってるの?」

「アンコールワット(1/144スケール)」

「そ、そうなんだ……」

「……どうした? 何をしに私のところに来たんだ?」

「んと……あのね、ぼくと『ともだち』になってほしいんだ……」

「…………」

「ぼく、ひっこしてきたばかりで、まだともだちがいないんだ。だから……」

「いいぞ。いっしょに遊ぼう」

「ほんと!」

「ああ、本当だ」

「やったー! あっ、ぼくはね、ドクオっていうんだ」

「ドクオ、か。……うん、なかなかいい名前だな。気に入った」

「へへ……。そうだ、きみのなまえは――――」




                                        はっぴい えんど


トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by k   2009年01月19日 18:46
これはやばい・・・
2. Posted by かみの   2009年10月15日 18:51
ええ話や…

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
livedoor プロフィール
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ