2007年12月29日

( ^ω^)母なる父のオムニバスのようです 第一話

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/29(土) 13:42:51.07 ID:4EBicw2o0
俺、猫田ギコは、しがないサラリーマンだ。

29歳で嫁も子供も居る、って聞くと勝ち組のように聞こえるかも知れねえが、
実際は会社じゃ上司の無理な注文聞いて、エリートぶった後輩には下に見られるし、
家じゃ嫁の言うことばっか聞いて、子供のお守りもしなきゃなんねーし、
ストレスで胃に穴が開いちまいそうだ。

世の中、そう簡単なモンじゃないって親父が言ってたが、まったくその通りだ。
世間は、大変だ。

3 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:44:42.35 ID:4EBicw2o0
今日だってそうだ。

(,,゚Д゚)「これを、今日中にですか?」

( ^ ^ω)「ああ、よろしく頼むホマ」

上司から膨大な数の仕事を貰っちまった、こりゃ徹夜かな。
ああ、家族が待っているというのに。

かといって、仕事しなきゃその家族を養うことも出来ない。

ただ、また嫁に怖い顔されなきゃならんのか。
それだけが嫌だ。

(,,゚Д゚)「一人じゃ無理だな、若いやつにも手伝ってもらわんと……」


4 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:46:45.44 ID:4EBicw2o0
俺は、机にボーっと座ってマインスイーパで遊んでいた後輩を
呼び出した。

ミ,,゚Д゚彡「なんすか?」

三回ぐらい呼んで、やっと来た。
耳鼻科に行ったほうがいいんじゃないだろうか、コイツは。

(,,゚Д゚)「これ手伝ってくれ」

そういって俺は後輩の机に書類を置いた。

ミ,,゚Д゚彡「エェーッ! 今忙しいんですよ」

会社でマインスイーパする奴のどこが忙しいんだ。

(,,゚Д゚)「とにかく頼む」

ミ,,゚Д゚彡「……わかりましたよ」



6 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:48:52.32 ID:4EBicw2o0
後輩はしぶしぶ手伝ってくれたが、その目は俺を睨んでいた。
俺は肝は据わってるほうだと自覚してるが、実際ああいう目されて
いい気分はしねえ。

腹立つし、不快な気分になる。

(,,゚Д゚)「やっぱ、俺舐められてんだよなあ」

そんなことを呟きながら、俺は目の前の仕事を片付けていった。

後輩のほうを見ると、またマインスイーパしてやがる。馬鹿。

7 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:51:47.36 ID:4EBicw2o0
やがて時計の針は、午後10時を回った。

(,,゚Д゚)「ふぅ、終わった」

意外と早く仕事が終わった。俺の予想じゃもっとかかりそうだったんだが。
俺の腕がいいのかな。
後輩は先に帰ってほとんど俺一人でやったし。

それにしてもあいつはマインスイーパするために入社したんじゃなかろうか、
そんなに好きならマイクロソフトに入ればよかったのに。

おっと、愚痴言ってる場合じゃなかった。

俺は上司に軽く挨拶して、さっさと会社を出た。

(,,゚Д゚)「急いで帰らねえと」

9 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:54:59.50 ID:4EBicw2o0
外の町ではクリスマスソングが流れ、わけわからん飾りをつけたツリーが到る所に
飾られてる。

サンタコスしたねーちゃんたちが、看板を手にケーキの宣伝をしているのを
横目に見ながら、俺は冬の寒さに震えた。

そうか、もうすぐクリスマスか、どうりで寒いわけだ。
おれは、コートの襟を軽く立て、歩くペースを速める。
こうすれば、寒くない。

これこそ、生活の知恵。生きていくうえで、自分自身で生み出した、
自分だけのウラ技だ。

10 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 13:57:08.64 ID:4EBicw2o0
アパートに着くと俺は全速力で階段を駆け上がり、3階の右から2番目の部屋の
ドアホンを押した。

(,,゚Д゚)「俺だ、ギコだ。開けてくれ!」

「はいはい」


ドアが開く。中に入ると、妻、しぃが不機嫌顔で出迎えてくれた。

(,,゚Д゚)「い、言っとくが仕事だからな!」

俺は、変な疑いをかけられる前に弁明をした。
だが、しぃの不機嫌顔は直らない。

(*゚ー゚)「まったく、クリスマス前だっていうのに。
もっと早く帰ってこれないの?」

としぃはきつい口調で言った。

(,,゚Д゚)「クリスマス前だからこそ、頑張らなくちゃいけねえんだ」

と、俺はスーツを脱ぎながら言いかえす。
実際そうだ。楽しいことは、一点豪華であるべき。
やるまえに、やらなきゃな。


11 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:00:39.77 ID:4EBicw2o0
(,,゚Д゚)「でぃは?」

(*゚ー゚)「もう寝たわよ。 それより、夜ご飯食べてよ」

しぃの不機嫌顔は直らない。どうすりゃいいんだ。
実際仕事だし仕方ねえじゃねえか。

そう思ったが口には出さず、ダイニングのテーブルに座る。

今日のおかずはスーパーのサシミだ。

まったく、世間は大変だ。
俺は、冷めたメシを食いながらつくづく思った。


12 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:03:49.29 ID:4EBicw2o0
次の日も、また同じようなことの繰り返しだった。
会社でも、家庭でも。
怒られて、支配されて、睨まれて。

あ、でも、定食屋の昼飯は美味かった。
材料変えたのかな、どうでもいいけど。

それ以外は何一つ変わっちゃいねえ。
楽しい事がないわけじゃないが、平凡すぎて、
自分が何をしたいのかわかんなくなっちまう。

まったく変化のない日常で、俺は自分の居場所を、見失っていたのかもしれない。

しかしそれでも、近づいてくる物があった。


14 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:08:25.29 ID:4EBicw2o0
12月24日。
天皇誕生日後夜祭。なんて冗談はよして、クリスマスイブ。
その日も、俺は出勤しなきゃいけなかった。
うちの会社は忙しいわけじゃない、日本全体忙しいんだ。

なんたって今日は、クリスマスイブだからな。

家を出る前に、しぃにいわれたことがある。

(*゚ー゚)「いい、この紙に書いてあるものを買ってきてね。
ちゃんと、包装して貰うのよ。
それから、今日はパーティ開くんだから、早く帰ってきてね」

だそうだ。
そして、メモ用紙も一緒に渡してくれた。
娘の希望しているプレゼントが書いてあるらしい。

15 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:12:07.50 ID:4EBicw2o0
娘のでぃは、いったい何を欲しがっているんだろうか。
どうしても気になった俺は、しぃから貰ったメモ用紙を見た。

そこには、「バイオハザード」とだけ書かれていた。

これは果たして六歳児の希望する物なのだろうか、しかも女の子の。
ありえない、だとすると、この紙に書いてあるのは……。

(,,゚Д゚)「これ、しぃが欲しいんじゃねえのか?」

本当はでぃ用のプレゼントはもう買ってあって、しぃが自分用のプレゼントを
買わせる為に、俺にこの紙を持たせた。
うん、アイツのやりそうな事だ。

どっちにしろ、俺の使命は、バイオハザードを買って、仕事を早く終わらせることだ。
それをクリアするだけでいいんだ。

17 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:17:36.03 ID:4EBicw2o0
俺は、鬼のような勢いで仕事を終わらせた。

積み重なった書類もなんのその、エクセルワードをフル活用、
少ない頭と、鈍い体をこき使って、
昼飯の時間も削りに削り、お茶の一滴も我慢して、

なんと、4時半にたまった仕事全部が終わったのだ。

ミ,,゚Д゚彡「先輩……」

そんな俺の姿を見て、後輩がエライビビッてた。

ビビる暇があったら、仕事しろよ。
マインスイーパの、十倍は役に立つから。


19 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:22:32.21 ID:4EBicw2o0
午後5時、仕事が終わると俺は一目散にゲーム屋に向かった。

ゲームショップ「TVGAMERA」

テレビガメラと、読むのかな。変な店名だ。

俺は、ゲームはあまり得意じゃない。

極めたゲームはテトリスぐらいだな。
なんせ、ゲームの動きに親指が着いていかないんだ。
ゲーセンで、格ゲーとか当たり前のようにやってるやつを心から尊敬する。
人間業じゃねえだろ。
スマブラでさえ、出来ないし、RPGも要領がつかめない。

あ、あと、牧場物語ってのにもはまったな。
好きなゲームは、それぐらいだ。


21 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:24:46.81 ID:4EBicw2o0
そんなことを思いながら、バイオハザードを探す。
しばらくうろうろしても見つからないので、店員に聞いてみた。
PS用ソフトの棚に、バイオハザードは置かれているそうだ。
いってみたら、すぐに見つかった。

それを手に取りレジに行き、清算を済ませる。

そして店を出ようとしたとき、俺は気づいた。

(,,゚Д゚)「あっ! 包装!」

すっかり包装のことを忘れていた。
俺はテレを隠しながら再度レジに向かい、包装をお願いした。

サンタコスをした綺麗な店員のねーちゃんが、赤と緑の包装紙で
パッケージを包んでくれた。

23 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:27:42.27 ID:4EBicw2o0
俺は、プレゼント片手にスキップしながら家路を急ぐ。
だが、そのせいで職質されそうになった。
しかたないよな、もうすぐ30だもんな。

家に帰りつくと、今度はご機嫌顔の妻が出迎えてくれた。

(*゚ー゚)「あっ、おっかえり〜」

(,,゚Д゚)「はい、プレゼント。買ってきたぞ」

俺が掲げたプレゼントを、すぐに取るしぃ。

(*゚ー゚)「わーい、ありがとう!」

わーいって。完全にお前用のプレゼントじゃねーか。
まあ、いいけどよ。

(#゚;;-゚)「あっ、お父さん!おかえりー」

奥から、サンタコスをした娘のでぃがやってきた。

25 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:30:55.60 ID:4EBicw2o0
(,,゚Д゚)「おう、ただいま! 今日はパーティだぞ!」

そういって俺は、でぃを両手で持ち上げて、高い高いした。

(#゚;;-゚)「わっ、こわいよー」

そういいながらも、でぃの表情は嬉しそうだった。

でぃは、アトピー体質で、可哀想に顔にブツブツがいっぱい出来てる。
おれもしぃもアトピーは持ってなかったから、ビックリしたっけな。

思えば、こいつにはアトピーでつらい思いさせてきたな、
これからはもっといっぱい遊んでやるか。

そう思った。

30 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:34:07.47 ID:4EBicw2o0
それから、パーティが始まった。
感想は、楽しかったの一言じゃ、言い表せないほどだった。

まず、しぃの手作りケーキを、腹いっぱい食った。
ちょっと甘すぎたが、まあ美味かった。
あんまり俺が食いすぎるもんだから、
しぃにスイーツ(笑)って笑われちまった。

でぃは俺に、歌を歌ってくれた。ありがちな比喩だが、
本当にそれは天使のような歌声だった。
聞いていて、心から癒された。
親バカと言われようが、実際そうだったから仕方がない。



31 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:34:56.13 ID:4EBicw2o0
朝だ。
重い頭をゆっくりと振り、俺は置き上がる。

そばに、しぃがちょこん座っていた。

(,,゚Д゚)「でぃのプレゼントは?」

(*゚ー゚)「ちゃんと置いといたわよ」

よかった。やっぱ優秀な嫁を貰っといてよかった。
俺は心の中でしぃに感謝した。

(*゚ー゚)「朝ごはんの用意してくるわ」

そういってしぃは立ち上がり台所へ向かう。

33 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:37:08.28 ID:4EBicw2o0
後に残された俺。
ふとみると、枕元になにやら箱がある。
よくわからないが、爆弾ではないようだ。

開けてみると、そこには一枚の紙と、来年のカレンダーが入っていた。

(,,゚Д゚)「なんだこれ?」

しぃがやったのだろうか。

とりあえず俺は手紙を拾い上げ、一字一字読んでいった。
内容はこうだった。

34 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:39:03.66 ID:4EBicw2o0
「猫田ギコ様へ

いつもお仕事ご苦労様です。

あなたの帰りが遅くなると、ついわたしも不機嫌になって、

ごめんなさい。

素直になれない私が、悪いのです。

本当は、わたしはあなたのことを誰よりも愛しています。

そのカレンダーは、わたしからのプレゼントです。

それには、ある意味がこめられています。

それは、『あなたがいつでも、自分の時間を、見失わないように』

という物です。

あなたには、あなたの時間を、生きてもらいたいです。

それが、わたしとでぃからの、願いです。

しぃより」

36 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:41:21.08 ID:4EBicw2o0
ふと気づくと、俺は涙を流していた。
そう、俺は自分の心のカレンダーを、持っていなかったのだ。
流されるままの日々で、俺自身の時間を、無駄にしていたんだ。

自分のバカさ加減に呆れて、涙は止まらない。

台所のしぃに向かって、頭を下げる。

服の袖で涙を拭いて、俺は丸まったカレンダーを広げた。

綺麗な、淡い絵柄のカレンダー。

38 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:42:52.75 ID:4EBicw2o0
それはとても美しく、また、しぃの心に似て、可憐だった。

これが本当の、

























可憐なカレンダー。


40 名前: ◆Orendjfqw. [] 投稿日:2007/12/29(土) 14:43:41.02 ID:4EBicw2o0
第一話    おわり
(,,゚Д゚)(#゚;;-゚)(*゚ー゚)


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