数日前、新潟大学職組のビラが私のボックスに入っていた。私は職組には入っていないが、時々非組合員のボックスにもビラが入っている。今回は中味のあるビラなので、紹介したい。

 なお、私がなぜ職組に入っていないのか、職組に何を求めているかは、このブログのこちらに書いておいたので、お読みいただきたい。国立大学の独法化以降、職組の必要性は高まっているのだが、その必要に見合う仕事を職組はしていない、と私は考えているのである。

 以下の記事を読むには、当然ながら一定の前提となる知識がいる。
 要するに、国立大学の独法化以降、「学長のリーダーシップ」が発揮されれば大学改革が進み、大学の質が改善されるという、何の根拠もない理論によってことは進み、そのため、一般教員に配分される教育研究費は激減しているのである。すでに書いているように、独法化以前、私の教育研究費は年間40万円ほどあり、他に出張費が6万円ついていたが、しかし独法化以降、出張費を含めた教育研究費が年間20万円となり、半額以下になった。さらに今年度は、それが10万円となった。救いようがないトンデモ学長のやったことである。

 代わって増額されているのは、「学長のリーダーシップ」を発揮するためにと称した「学長裁量経費」であるが、これがどういう使われ方をしているかは、以下を読めば分かる。
 以下に書かれたことは、新潟大学の現場、つまり実際に研究をしたり学生の教育をしている各学部やセンターで何が起こっているのかを示すものに他ならない。

 私は何度も言っているけれど、また同じことを言おう。「学長がリーダーシップをとれば大学は良くなる、という理論は大嘘である!」と。むしろ現場の教師の意見をちゃんと聞くことでしか、大学は良くならないのだ、と。

             

『新大職組新聞』速報版、2015年6月10日号より      〔 〕は当ブログ制作者の補足

*国際センター 〔留学生を教育したり、その方面の研究をしたりするセンター〕
 「学長裁量経費」により、まだ数年しか使っていないプロジェクター全部、何ら問題のないシュレッダー、傷んでもいない教室のロールスクリーン全部などを交換している実態があります。ブラインドも、傷んだものだけを交換することで足りるのに全教室のものを交換しました。日本語非常勤講師の方たちが使っているラジカセも新しいものが来ていましたが、これまでのものが傷んだとは聞いていません。このようにして、「学長裁量経費」化することにより、必要な支出をせずに無駄な支出をし、しかも使えるものの廃棄によって環境負荷を生じさせています。(中略)
 そもそもが、みんなで議論すれば知恵が出て効果的な使い方ができ、無駄も生じにくいのに、限られた人間だけで一方的に決めて使うという方法、プロセスに重大な思い違いがあるのです。(後略)

*工学部
 お金が使えない。
 計算機演習室のプリンター用紙が残り少なくなっているのに購入できない。
 外部資金は目的外の使用はできないので、学生用のPCやソフトの購入ができない。
 学生の旅費が出せない。
 博士課程学生の論文の投稿ができない。
 7月、8月にある学会への投稿を保留するなど、研究の計画が立てられない。
 ソフトウェアライセンスの継続ができない。
 機器分析センターや創造工房などの利用は校費でのみの支払いなので校費が少ないと払えない。

*農学部
 実験系の教員ですが、外部資金がないので、自己負担は以前からしており(研究では〔自分で〕自分に寄付金を出している先生もいるそうです)、自己負担額は年間で100万円程度になっている。
 また、付属施設の生き物の維持に必要最低限の費用でさえも、今年度の状況では、自己負担が必至であるとの話が出ている。
 (中略)
 受験者確保のため、仙台で行われる「夢ナビ2015」という大学紹介イベントで秋田県立、新潟、山形の三大学共同ブースを設置するとの案があったそうですが、新潟大学の農学部は予算が全く見えないため断らざるを得ないとの噂を耳にしました。この現状で、〔学生の〕定員確保についての責任はいったい誰が取るのでしょうか。〔当ブログ制作者からの補足:誰が責任を取るかって、そりゃ、こんなトンデモ政策を打ち出した学長に決まっているじゃん。〕 
 学部共通経費の過度な削減のため学術雑誌が購入できません。学長を含む大学執行部は、研究成果を社会に還元する意味が分かっていないようです。
 プリンターのトナーが買えません。学会参加の旅費が工面できず、参加を取りやめざるを得ません。
 大学院の農と食のスペシャリスト養成プログラムの実習科目の実施に支障を来しています。具体的には、実習科目である「実践型食づくりプロジェクト」の予算が確保できるかどうかわからないため学生への説明が遅れ、中止するわけにはいかないという判断で見切り発車することにしましたが、予算のめどが立たないので内容を縮小せざるを得ず、あるプロジェクトは毎年6月に関東地区で開催される展示会および米菓交情の見学が、今年は中止せざるを得なくなりました。

*理学部
 昨年度発注済みの学科購入雑誌2種類57万円の出処が未定。
 昨年度の学生実験で壊れた光学実験用ラボジャッキ(6万円強)が注文済み、出処未定。
 3年生実験の超流動で使用する液体ヘリウムの寒剤使用料年間4-5万円程度の出処未定。
 実習では毎年約33000円の分子生物学試薬キットが必須。今年度は昨年度の残りで何とかまかなえたが、これ以上は無理でやめる。
 新しい試薬や消耗品が買えないので、4年生の課題研究の内容に制約が生じている。
 経費削減のため研究室のPCに、パッケージ買いより割安なMS-officeのOVS-ES(年間ライセンス)を導入していたが、その代金約5,6万円/年が支払えない。経費節減に協力してきたのに、それが割を食うのはおかしい。
 毎年派遣していた共同利用施設の勉強会に校費(基盤教育経費)がないため、4年生の参加をあきらめざるを得ない。
 共同利用施設の研修に、財源不足で4年生が正規の出張としての参加ができないので、事故等が起こると問題になる。
 これまでは通常年2回派遣していた、大学院生の学会における発表の費用(1人平均10万円程度)が欠乏。
 研究室の合宿研修が行えない。
 学振特別研究員PDの受け入れ依頼も来るが、現状では断らざるを得ない。
  (以下、略)

 〔これ以外に人文学部教員の声も載っているのだが、具体性に欠けているので省略する。国際センターの部分も、具体性に欠ける物言いは省略した。どうも、文系の教員はやはりそういうところがダメだなと思う。イデオロギー的な批判をやっても、その声は部外には届かない。私がこのブログの「ブラック化する新潟大学」シリーズでやっているように、具体的に書かなければ深刻さは理解されないのだ。その点、理系は、もともと予算規模が大きくてそれだけダメ学長のトンデモ政策の影響が大きいということもあろうが、書き方が具体的で、説得力がある。
 なお、この後に出たチラシ(ネットで見られる)によると、新潟大学職組の教育学部分会では、「大学執行部のすみやかな交代を強く要求する」という決議案を採択したとのことである。〕