今年映画館で見た34本目の映画
鑑賞日 3月30日
イオンシネマ新潟南
評価 ★★★★
鑑賞順序が前後しますが、いい映画なので先に紹介します。
フランス映画、ラジ・リ監督作品、104分、原題は邦題に同じ("LES MISERABLES")。カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作。
タイトルはヴィクトル・ユゴーの有名な小説と同じであるが、内容に直接の関係はない。舞台はユゴーの作品にも登場するパリ郊外のモンフェルメイユ(テナルディエ夫妻が宿屋を営んでおり、ジャン・ヴァルジャンが亡きファンティーヌの娘コゼットをここに迎えに行く)ではあるものの、時代は現代で、移民が多く住む高層アパートが建ち並ぶ地域。ただし作中でユゴーの作品からの引用は行われており、あの小説に描かれた「悲惨な人々」とは、現代ならば移民なのだという暗示が籠められている。
パリ郊外の移民が住む地域で、移民の少年がサーカス団の飼っていたライオンの仔を盗み出す。これをきっかけに、その地域をパトロールしている警察官グループと、移民のいくつかのブループ、及び移民の少年たちとの間に抗争が起こり、それがエスカレートしていく様子が生々しく描き出されている。
監督自身、マリからの移民の息子であり、モンフェルメイユの生まれであるという。また、ここに描かれた事件は実在のものだとも。パリ郊外では2005年に移民による暴動が発生し、日本でもこの事件に関する詳細やフランスの移民問題が紹介されているが(雑誌『現代思想』2006年2月増刊号:特集「パリ暴動」)、あれ以来十数年経った現在でも状況は改善されていないのだと分かる。
類似したテーマを扱った『ディーパンの闘い』も以前このブログで紹介した。併せて鑑賞したい。
東京では2月28日の封切だったが、新潟市では4週間の遅れでイオン南にて単独公開中。県内でも上映はここだけ。
私が見に行ったときは、観客は私を入れて4人だけだった。新型コロナウイルス騒動のせいもあろうが、新潟市民よ、良い映画は逃さず鑑賞しましょう!