2017年12月17日

ロンシャンのプリアージュをカスタムオーダー風にしてみる。   角擦れ篇

ロンシャンのル・プリアージュ…角がすぐ擦れてしまいますね。
こちらも定番の補修となってきました。
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この鞄は、ナイロン素材の裏面にビニールコーティング?
しているような素材ですので、内装が無く、外装のナイロンの角が
擦れてしまえば穴が貫通してしまいます。
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無地のモノしか知りませんでしたが、エッフェル塔バージョンもあるんですね。
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こちらはカスタムオーダー品でしょうか。
色がコンビで中央に刺繍入り(ボカしてあります)です。

補強には「革」を使用します、と今更ながら云ってみます。
ときどき「修理で使用するのは本革ですか?」とメールでのやり取りで
最後の方で尋ねられる時があります。

「もちろん革ですよ、合皮素材は当店では一切使用しておりません」と。

当たり前過ぎて「革を使います」とは確かにお伝えしていませんでした。
合皮を使用するお店もあるようですが、
修理で合皮を使うのってどうなのでしょうか。

そもそも合皮を在庫として保管している時点で、その合皮は劣化が…。
そして劣化している合皮で修理って…。
*合皮は使っても使わなくても製造から、2〜3年で劣化してしまいますので。

<角のレザーパーツのサイズについて>
角のパーツというのは、このようなパーツがある訳ではないので
ご依頼に応じてサイズや革を選んで製作しています。
ですので、以前掲載しました修繕事例のような
大きめのサイズでなく、自由にサイズは決められます。
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今回ご依頼頂いたエッフェル塔は、塔とロゴがそれぞれ角付近にありますので
そのプリントが隠れないようなサイズで製作しています。

水色のご依頼主の方は、紙切れでだいたいのサイズ感を切って頂き
それを参考にして製作しました(郵送依頼)。
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プリアージュの革ですが、表面には型押しでしわしわの柄が押してあります。
これはロンシャンのオリジナルの模様ですので、同じ革は手に入りません。
通常のシボとよばれるしわしわ模様であれば、似ているものもあります。

ですので、今回使用しました革は、色合いはかなり近いレザーが
ご用意できましたが、シボはないスムースレザーになっています。
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今回ご依頼頂いた2件のタイミングで、他に5件ぐらい
お問い合わせがありました。
同じタイミングで、同じ内容のご依頼が集中するという、
修理あるある状態です。

このような革の違いをお伝え致しますと、
「少し検討してみます」というご回答がいくつかございましたので、
今回の記事をご参考にして頂ければと思います。

AFTER
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パーツの縫い合わさりは、後付け感はなく、もともと一緒に
縫い込まれているように仕上ります。
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角にレザーパーツがあったほうが、かわいい感じがします。
デザインのバランスとしては、持ち手とフラップと
ファスナーエンドの両側にレザーパーツが配されており、
鞄上部に革のパーツが集中しているので(茶色の面積が多いので)、
下部に小さなレザーパーツがちょこんと配されていると
全体のバランスがとれるような気がします。171201001171201002
角が革になったからといって、痛まなくなる訳ではありません。
革も擦れればいずれ穴が開いてしまいます。
ただ擦り切れていくナイロン素材とは違い、保湿を定期的に行なって頂ければ
現状維持は可能な素材ですので、油断せずにメンテナンスをお願い致します。
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革の表面のシボの違いですが、上部と下部でレザーパーツが離れているので
気にならないかと思います(色は似ていますし)。

なお、二件とも郵送依頼で小さく折り畳まれて梱包されていました。
折り畳めるのがこの鞄の一つの売りでもありますし、小さい方が送料も安いので
畳んで梱包したくなりますが、一点ご注意ください。

先程もお伝え致しましたが、素材がナイロンに
ビニールコーティングされてるような素材となります。

折り畳むと鋭角にナイロンが折れ、コーティングが劣化してきますと、
ナイロンと剥離し、表面に水ぶくれのような浮きが発生し易くなると思います。
また、コーティングのひび割れも生じ易くなりそうです。

ですので、繰り返し折り畳まない方が宜しいかと思われます。
ご返却の際は、完全に折り畳まずにゆるく畳み、
梱包が最小の60サイズに収まるようにしてご返却しております。

ご依頼の際も、60サイズに収まれば送料は同じですので
完全に小さく畳みきらずに、余裕をもって箱詰めされてみてください。

以上、「プリアージュ・カスタムオーダー風篇」でした。

ampersandand at 23:54|Permalink 鞄と小物修理 

2017年12月03日

12月の店舗営業はお休みとなっております。

申し訳ございませんが、12月の店舗営業につきましては
お休みとなっております。

2018年1月の営業日につきましては、現在調整中ですので
しばしお待ち願います。

お預かり品のご返却日をお伝えしている
お客様につきましては、その日程でお越し頂ければと思います。
ご都合が合わない場合は、調整させて頂きます。

なお修理のご相談、郵送依頼につきましては、
HP「お問い合わせ」よりご連絡を頂ければと思います。

取り急ぎのご案内となります。

店主

ampersandand at 00:16|Permalinkお知らせ 

2017年11月14日

「これって今が交換ですか?」 人の振り見て我が振り直す篇

しばしば、かかと修理(リフト交換)で尋ねられる

「これって今が交換ですか?」

ですが、毎日使うものですが、いまいち分からない
靴修理のタイミング。

電化製品ですと、壊れた時がタイミングで、
洋服であれば、一日着たら、汚れたらが洗濯し時で…

日常的に使用するもので、定期的に(摩耗するのが前提として)
修理をしながら何年も使い続けるものって、
靴だけか?かなと思う次第であります。
(あとは自転車のタイヤぐらいかな、車やバイクは車検があるし)

しかし、その時期についてはどこかで教えてくれる訳ではないですし、
お知らせがくる訳でもない、取説が付いてくる訳でもない。
ましてや親から教わる分けでもない。
と云う事で、残るはネットという感じでしょうか。

ただ、ハーフソールの是非についてはビンテージスチールも合わせ
しばしばご案内しておりましたが、リフト交換となると
あまりご案内していなかったかと思います。
どちらかというと、もっと悪化した状態の悲しい事例などは
ありますが、通常の場合は?というのがなかったかなと。

というわけで、前置きが長くなりましたが、
今回は、通常のリフト交換時期や選択肢について
ご案内させて頂こうと思います。

ただし、婦人靴のピンヒールと紳士靴では全く異なりますので
今回は紳士靴に関してのご案内となります。
(婦人靴でも仕様が同じであれば同じです)

まずは、靴のかかと部分の構造について。
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画像は一般的なウェルテッド製法の靴になります。
左矢印からパーツ毎に
ウェルト   /本体と横方向で縫い付けられているパーツ
本底(ソール)/本底(ウェルトと縦方向で縫い付けられている)
積み上げ   /革やプラスチックや合成素材でできた部分
リフト    /擦り減った時に交換するパーツ

これ以外にもミッドソールの層が入る場合もありますが
基本的にはこのような構造です。

この構造の場合、擦り減った時に交換する部分というのは
リフト部分にあたります。
この部分は、靴により異なりますが、4.0mmから10.0mmと
ばらつきがあります。
それらの厚みが擦り切れる前が基本的な交換時期となります。

紳士靴には、よくダヴリフトなどの革付きリフトが付いています。
このタイプの革付きリフトの場合で、しばしば間違えられる事ですが、
擦り減ったゴムの部分だけ交換するものと。
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このようなラバーと革がコンビになっているものは、
画像のように組んでありますので、ゴムの部分だけを
交換することはありません。
一段分で交換となります。

組んでいないものもあったりは致しますが、
革の部分もそれなりに傾斜して減っていますし、
ラスターリフトならまだしも、ダヴリフトのようなパズルになっていますと、
その加工費用のほうが高く付くかもしれません。
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では時期を逃した画像にような場合はどうするかですが、
積み上げ部分まで擦り減っております。
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この場合は、例えばラバーリフトで交換する場合ですと
画像のように擦り減った部分(約9.0mm)まで削り落とし、
削った分と同じ厚みのラバーリフトを取付ければ元の高さに戻せます。

または、減ってしまった積み上げ部分を部分補修し、
元の厚みのリフトを取付ける方法もあります。

ただ、こちらのほうが費用は高くなりますので
先程の減っているレベルまで削ってしまって
一段取付けた方が、費用は安く保ちがよく綺麗に仕上ります。

なお、革付きリフトよりラバーリフトの方が耐久性が高く、
そして交換費用は、革付きリフトのおおよそ半分となります。
(使用するリフトによりますが)

そうです、お気づきかと思いますが、矛盾しているのです。
費用が安いラバーリフトのほうが、革付きリフトより保ちがいいのです。
といっても、当店では耐久性の高いラバーリフトを選んで
使用していますので、そのような結果になっております。
(革付きリフトも、ゴムの部分が通常より減り難いイタリアの
 素材を用いておりますが、それでもやはりラバーリフトに軍配が上がります)

革付きリフトが高いのは、まず素材の値段もありますが
飾り釘打ちや、仕上げ加工の手間が掛かりますので、
その分高くなってしまいます。
ですのでリフト交換の際、当店ではコストパフォーマンスがよい
ラバーリフトをお勧めしております、滑り難いですし。

店主調べとなりますが、旦那さんの靴を奥さんが持ち込まれますと、
ほぼ100%、革付きリフトではなく、ラバーリフトをご選択されます。

女性にしてみたら、安くて保ちがいいのに選ばない理由が…となりますが
そこは男しか分からない世界かと思う次第です。
ですので、奥さんに持ち込みを頼まれる場合は、
旦那さんには、その辺りの説得をお願い致します。

奥さんへの言い訳としてアドバイスするならば、
「俺はオリジナルにこだわりたいんだ、わかってくれ」
で、突き通すしかないかと思います。

ただ、例えばコバ部分の色味が、ブラックではなく
明るめのブラウンだったりナチュラル系の場合は、
リフト一段分がラバーのブラックになってしまうと、
見栄えに影響がありますので、
その場合は、革付きリフトの選択もあるかとおもいます。

また、積み上げまで減らしてしまって、革付きリフトを付けたい場合は、
そこまで厚みのある革付きリフトはありませんので、
部分的に革を足して補修するか、または一段分積み直すかで対応は可能です。

こちらは先程と同じ構造です。
ウェルト/ラバーソール/積み上げ/ラバーリフト
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積み上げまで減っていなければ、トップリフトのみを
交換すればよいということになります。
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そもそも、積み上げ部分は通常交換しない部分ですんで
画像のように、リフトを剥がしますと、積み上げ部分は
釘で本体と固定されております。

ときどきこのように固定されていない仕様の靴ですと、
本体から積み上げ自体が、浮き始めているものもありますので
交換の際には困ってしまいます。

また、海外の老舗ブランドの靴ですと、積み上げ自体は釘でちゃんと
固定しているのですが、積み上げ一段一段をしっかりと
接着されていない場合も多く、それぞれの層で隙間が出来ている場合も困ります。
ただ、これは手抜きではなく修理し易いように接着は仮止め程度という
考えなのかもしれません(修理して履き続けるという文化的仕様か)

ときどきもっと長持ちするリフトはないか?とご相談を受ける事があります。
もともと付いているラバーがあまりいいものでなければ、
同じ厚みのvibramリフトなどに交換すれば保ちはよくなりますが、
それより長持ちさせたい!と云う場合はどうするか?

物理的に、ラバー部分を厚くすればそれだけ交換時期を
遅らせることができます。

ただ、基本的にヒールの高さは変更しない方がよいので、
例えばもともとの6.0mmのリフトが付いていて、
10mmのリフトを付ける場合は、
土台の積み上げを4.0mm削れば帳尻が合いますので
10mmリフトを取付ける事ができます。

先程の積み上げまで減らしてしまった時と、理屈は同じです。
削れてしまったか、削るかの違いです。

続いてこちら。
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一見、積み上げ/リフトのパターンに見合えますが
この靴の場合は、靴底がすべて一体化しているウレタンソールになります。
つま先からかかと全体がユニットになっています。
ですので、かかと部分も矢印の範囲は全部ラバーのブロックになっています。

この場合は、リフト部分だけを取り外す事が出来ませんので
点線部分7.0mmの高さ(減っているレベルまで)を削り落とします。
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ブロック状のラバーリフトは、こんな感じで中が抜いてあります。
軽量化と少しのクッション性の役割もあるかもしれません。
削った分と同じ厚みのリフトを取付けます。
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では、かかと部分が全部ブロックであるのならば、
一段分(約6.0mm)以上減らしても問題ないか?ですが、
ブロックのラバーリフトで20mmの材料がありますので
20mmまで減らしても交換は大丈夫ではありますが…

外側に斜めに傾斜している靴…、なにか健康グッッズ的な靴で
ありそうですが、斜め歩行でカロリー消費量アップ!的な。

恐らくカロリー消費というよりは、なにか減ってはいけないものが
消費されているのではないかと思います。

傾いた状態で歩いていると云う事ですので、
靴が捩じれたように変形してしまいますし、
身体もそれに合わせて歪んでしまいますので
ほどほどで補修される事がお勧めです。

朝、駅ののぼり階段で当たりを見回してみますと、
丁度、靴のカカトが目に付くかと思います。
(くれぐれも痴漢に間違われぬようご注意を)
ちらほらリフトが減りすぎた方が、前を歩かれているのが
見つけられるかと思います。

そんな減りすぎた方は恐らく、カカトの着地の際には
足首がぐにゃっとした感じで歩行されているのが
観察できると思います。

そんな状態を見て頂ければ、20mmまで減らさずに
適時交換したほうがいいな、と思われる次第かと思います。

以上、「人の振り見て我が振り直す篇」でした。

こちらの記事もご参考にされてください。
私、足癖が悪いのです…。  A子の告白編
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ampersandand at 17:23|Permalink靴修理 

2017年11月03日

TUMIの持ち手修理と、痛み軽減についての考察。

毎月毎月コンスタントに、TUMIの持ち手革交換を行っておりますと、
その痛み具合の状態にはパターンがありまして、
持ち主さんが、右利きなのか左利きなのかが分かるような気がします。
(郵送依頼品なので実際はどうかは分かりませんが)。
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TUMIのかばんは、デザイン的に鞄の裏表があります。
正面は、ポケットがあったりロゴが付いていたりする面です。

通常はそのような鞄の場合は、人は正面を外側にして持つかと思われます。
次に、矢印部分の痛んでいる箇所ですが、これは二本ある持ち手の
片側だけにできています。

そして、巻き付けられた革を取り外して開いてみますと
それぞれの二つ折の裏表(右半分左半分)で痛み具合が異なっております。
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ひび割れて痛んでいる面は、日常的に手に触れている面と云う事が分かります。
手あかや手汗により、革が変質しひび割れが生じたかと。

開いた革を観察してみますと、それぞれ裏表の四面で
二面ずつで、痛んでいる面と痛んでいない面があります。
痛んでない面というのは、面同士が重なっていて、
手に触れていないと推測できます。

手に持った時はこんな感じかと。
恐らくこの痛み具合だと右利きかなと推測。
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矢印01部分が当たっていて、革が次第に擦り切れたのでは?と。
矢印02の重なり合う面同士は、手に触れないのであまり痛まなかった部分かと。

しかし、鞄の正面を外側に向けないで使う人もいるのでは?
という意見もあるかと思います。

しかしそれは、裏面にできたナイロンの擦れ具合で判断が出来ます。
裏面、つまりズボン側の持ち手付け根部分は、歩行の際にズボンに当たり
擦れることで、画像のような位置が、白く毛羽立っているのが確認できています。
この位置での、そして片側の擦れは外側では起こり難いかと思われます。
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と、持ち主さんの利き手を推測しつつ、巻き革の型紙を作ります。
これはいくら推測を立てても、毎回微妙に長さが異なっています。

私の計測ブレもあるでしょうし、ナイロンが微妙に伸びている?
のではないかとも思うのであります。

2.0mmとかなので、型紙を再利用してもいいかなとも思うのですが、
補修の際には、すでに鞄に縫製されて湾曲している持ち手に
革を巻き付けてゆくので、その微妙な誤差が仕上りに影響を及ぼしますので
毎回型紙を製作し、革を裁断しております。

しかし、それでも淡い期待を捨てきれず、時々使えそうな数値の型紙は
捨てずに取っておいたりもしています。
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ではではタイトルの「痛みの軽減について」ですが、
日頃のお手入れはもちろんなのですが、
痛んでいる箇所の比較パターンから推測されることは…。

予想1.
持ち手は定期的に上下を変えて使用する(重なり方を逆にする)。
そうする事で、手に触れる面(痛む面)が偏らず、
ひび割れの進行を遅らせられるか。

予想2.
左右の手で毎日交互に持ってみる。
同じ位置に手が触れる事を防ぐ事で、部分的な
擦り切れの進行を遅らせられるか。
(同じ側で鞄を持ち続けると、骨格も傾いて歪むらしいですし)

と云うような感じでしょうか。
AFTER
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しかし、こちらのTUMIの場合のように、先程の推測からは外れ、
手に持つ部分全体から痛んでいる方もいらっしゃいます。

靴もそうですが、同じものでも使用環境や使い方は
人それぞれですので、すべて同じように痛むということはやはりありません。
(これが修理の難しいいところです)
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擦れなどの痛みは、どうしても使用により生じてきてしまいますが、
定期的に皮革用のトリートメントにてお手入れして頂ければ
保湿や、表面の保護もでき、痛みの進行を和らげますので
行って頂ければと思います。

「乾燥からの擦れ」を繰り返す事で、革はささくれて
ひび割れてきてしまいます。

以下ミシン掛けは、八方ミシンで行っておりますが
左手の指先のみで鞄全体を支えているので、重いTUMIの鞄は、
時々指先が耐えきれず、ツル時があります…。
(右手は車輪を回して針を動かしています)

もっと大きな鞄をミシン掛けする時には、左ひざで鞄を支えたりと
かなりアクロバティックな姿勢になります。
ですので、その時は股関節のあたりがツルわけですが…。

以前テレビで、海上に流れ出した油の流出を防ぐ巨大な
ネットみたいなものを縫製している高齢の職人さんが、
やはり同じように膝を使って巨大なネットを押し出しながら
必死にミシン掛けしている様子を見まして、ミシン掛けの大変さよりも
いつツルか、ツってしまうのか、ドキドキしながら見ていたのを思い出します。
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ツッて作業に支障がでないように、
鉄分を多めに摂取しなければと思う今日この頃…。
明日はレバニラ、食べようかな。
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ampersandand at 11:23|PermalinkTUMI 

2017年11月01日

11月営業日のお知らせ

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11月営業日のお知らせ

25日 土曜日
26日 日曜日 となります。

別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。

お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。

*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
 作業の都合上行っておりません。
 HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。

なお、修理についてのご相談は、修理品の画像(または現物)を
見てみませんとご案内が出来ません。

また営業日ですと、受付業務が混雑する場合がありますので、
お電話でのご相談ではなく、まずは一度メールにて
お問い合わせをお願い致します。

スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。

営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。

店主

ampersandand at 23:02|Permalinkお知らせ 

2017年10月23日

だいたい折れるのはオロビアンコ 持ち手交換とフチの擦れ篇

持ち手が折れるというのは、オロビアンコ以外あまり
依頼されることはないのですが、それにはやはり理由があります。
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持ち手中央部分で中の芯材が折れてしまっております。
その影響により、芯材が片側へと移動してしまい、
付け根部分では芯材が不足しフニャフニャ状態…。

オロビアンコの芯材がすべてこの素材と云う訳ではないのですが、
分解してみますとやはりこの樹脂系のパイプの芯材が入っておりました。
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樹脂素材ですので、例えば鋭角に曲げられたりしますと
パキッといってしまうことがあるかと思います。
また経年劣化により、ポキッといくこともしばしばあるかと思います。
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芯材の付け根部分は、本体に添うように断面は
斜めにカットされているのですが、断面が鋭角にカットされたままの
芯材の場合、徐々にその角が革に刺さって突き破るという事例もありました。

今回の芯材が、角が落としてありましたので
その点は改善されてきているようです。
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持ち手交換の際の、縫製取付けですが、
直に鞄本体に縫製する方法の方が費用は抑えられます。

直というのは、付け根部分を縫製する際に、
外装と内装を一緒に縫ってしまうので内装部分にも
縫い目できるということです。
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ただ直接縫い付ける場合でも、付け根部分の縫製する位置の内装部分に
ポケットやファスナーがある場合ですと、その部分が一緒に縫われてしまい
使用できなくなってしまいます。
その場合は、内装を一部分解し間で縫製する方法となります。

製品の場合、付け根部分の縫い目というのは、まず外装のみに縫い付けられ、
その後、内装が本体にセットされてからトップラインなどで縫製されます。

内装とは別に付け根部分を縫製するには、
内装の一部を分解するか、またはトップラインを分解し、
外装と内装の間にミシンを指し込んで縫製する方法になります。
ですので、分解縫製する手間が増えますので、
その分費用が割増しになります。

それでは、まずは持ち手を製作します。
芯材には、堅く編まれたロープを用います。

ちなみに、樹脂系の芯材を用いれば、芯材のみの交換も
可能な場合はありますが、結局は同様に劣化し折れてしまいますので、
当店では樹脂系の芯材を用いた補修は現在行っておりません。

持ち手の修理経験から、今回のようなカチカチの
丸芯の持ち手の場合には、ロープが最適かと思います。

樹脂系の芯材同様に堅い仕上げにもできますし、
劣化による割れの心配もなく、屈曲にも柔軟に対応できます。
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なお、柔らかい感触のにしたい場合はフェルト芯など、
仕上げたい感触により芯材はそれぞれ異なります。
持ち手が堅いので、柔らかなフェルト芯へ変更(作り替え)
されたいという事案も稀にあります。

ロープを巻き込むので、今回はあまり関係ありませんが
革も縦横と伸び易い方向がありますので、なるべく繊維が伸び難い方向で、
型入れするようにしております。
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付け根部分は革を二重にし補強します。
この部分が本体と持ち手の境目の部分ですので
加重が一番加わりますので補強は重要となります。
また、芯材が左右に移動しないようにポケットの役割にもなっています。
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革が二重の部分は革の段差が表面にでないように
なだらかに漉き加工を施します。
コバ部分も綺麗に削り上げ、表面を堅く絞めます。
その後、染料を入れて持ち手を仕上げます。

そうしまして次に本体に縫い付けてゆきます。
先程お伝えしましたように、内装部分とは別に縫製しますので
今回はファスナーポケットの中の内装を一部分解しまして
ミシンを差し込み縫製してゆきます。
(分解したところは付け根縫製後に再度縫製致します)
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ファスナーポケットのサイド部分を分解し、そこからミシンの腕を
差し込んで縫製する訳ですが、関係ない内装生地を一緒に巻き込んで
縫製してしまわぬように、手探りで寄せておきまして、
外装と持ち手を縫製してゆきます。
外装にも、ポケットが被さっていますので、その部分も持ち上げ縫ってゆきます。

黄色の部分はマスキングテープになります。
このテープで持ち手を固定している訳ではなく、付け根部分が
本体に垂直に固定されているのかを確認する為の目印になります。

かなり無茶な体制で縫製してゆきますので、接着にて仮固定していても
縫製している間に、徐々に付け根が傾いてしまう可能性もありますので
念の為、ズレてしまったら分かるように、
ガイドライン的な感じで貼ってあります。
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こんな感じで、外装の裏面に貼ってある芯材の部分に縫製されています。
といっても、ミシンを差し込んで…というくだりは、
なかなか文章では伝わらないかと思います。

例えて云うならば、内視鏡手術みたいな感じです。
本来の手術部分とは離れた部分に切り込みを小さく入れて、
なるべく傷口は小さく的な雰囲気です。

ちなみに、もう片側面には内装面に縫い目ができております。
今回の鞄は、内装の側面底部分が、外装部分と一緒に縫製されていた関係で
片面部分の付け根付近には、内装の間からミシンが
届かない状態となっておりました。

幸い、その片面にはなにも収納機能などはありませんでしたので
直に縫い付けても問題はありませんでした。

ルイヴィトンのモノグラムなどでは、
内装部分に縫い目が出来ているかと思います。
これは外装の生地と内装の生地が貼り合わさっているので、
間で縫製することができないので、直に縫製されている為になります。
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AFTER
オリジナルの革より、質の良いものを使用しておりますので、
付け根部分の膨らみ形状が綺麗に表現できました。
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丸みもぱつぱつでいい感じです。
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今回はここで終了ではなく、続いてフチの擦り切れ補修になります。
外縫いのパイピングは宿命的にこのように擦り切れてしまいます。
ただ最近思ったのですが、この仕様ですと交換や補修にて
元通りに修理が出来るので、そう考えますと悪くない仕様なのかもしれません。
BEOFRE
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前回のCOACHのようにフチ部分を交換すれば新品と
同じ状態に戻る訳ですし、今回のように補強でも見た目の影響は無く
補修は可能です。

これが、内縫いの仕様ですと擦り切れた場合には、
デザインを変更し、角にレザーパーツを宛てがったりしませんと
補修が出来ない訳です。
ですので、この縁取り仕様も悪くはないのではないかと思うのであります。
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底角の擦れもありますが、このようなブリーフ鞄ですと、
上部のフチも痛み易かったりします。
というのは、本体にはポケットなどが付いていますので、
その部分の素材もフチ巻きで一緒に覆っております。

ですので、何重にも素材が重なっている部分というのは
フチが堅くなり曲がりません。
それにより、堅くなっている部分が支点になり、曲がり易くなります。
そうしますと、支点部分は尖りますのでぶつかり易く、
擦れ易くなり、フチ巻きも痛み易くなっております。

ですので当初、底角部分と上部の折れ部分と云う感じで
離ればなれでフチ巻きを補修補強する予定でしたが、
画像/赤括弧底部分   画像/赤括弧屈曲部分
(*画像は補修後のものになります)
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観察していくうちに、痛んでいる部分が意外に広く点在している状態が判明し、
離ればなれで補強を行うと綺麗じゃない…ということで
結局は、上部の黄色から黄色矢印までをまつめてフチ巻きすれば
繫ぎ目は目立たないだろうということで、
側面ぐるっとをまとめて補強することに。
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フチ巻きをあたらに巻き付けてミシンでカタカタカタ…。
と云う感じで完成です。

繋いでいるのは先程の黄色矢印部分になります。
繫ぎ目は段差なく漉いていますので、
連結部分はあまり分からないかと思います。
AFTER
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100910810091091009102

フチ補強することで、使い込まれてややへたり気味の鞄に
しゃきっと感がでまして、怪我の功名といった感じでしょうか。
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ampersandand at 17:33|Permalink鞄と小物修理 

2017年10月20日

昔のCOACHが好きなんです。 擦り切れと補色篇

先日「コーチ」が、社名を「タペストリー」に変更するというニュースが
ありましたが、ブランドも生存競争が大変なようです。
「COACH」という名前は残りますが。

今回のご依頼品はそんなコーチの鞄になります。
母親の鞄だったものを、娘さんが新たに使い始めるにあたって
綺麗にしたいとのこと。

BEFORE
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ご覧のように、今のコーチとは違いレザーレザーしております。
80年代に製造されていたグローブレザーの鞄になります。
内装の生地もなく、革のみで製作されています。

COACHは、もともとこのような肉厚のグローブレザーを
用いた、革製品の製造から始まったブランドのようです。

創設者のマイルス・カーン、リリアン・カーン夫妻は、
野球のグローブが、使えば使い込むほど味が出て、
かつ丈夫なので、そんなグローブを参考にして
革製品を作り始めたらしいのです。
*ただし、ブランド名のCOACHは、野球などのコーチとは関係が無いとのこと。

いまでは、モノグラム生地を使った鞄などをよく見かけますが
80年代の、このグローブレザーを用いていた頃の
COACHの鞄がお好きな方が、ご依頼にしばしばご来店されます。

そして皆さん口を揃えて
「今のCOACHは、好きではないのです」と。
確かにこの当時と、今のCOACHとではテイストが異なっておりますし。

そんな昔のコーチがお好きな方々の鞄は、
革の乾燥、色褪せやフチの擦り切れ補修が定番となっております。
製造から3、40年近く経過しておりますので、その間
一切お手入れを行っていなければ、しょうがない感は否めませんが。

使用されているグローブレザーは、今時の婦人鞄に使われているような
表面を厚く顔料で塗装されている革と違い、染料で軽く自然な感じで
仕上げられているので、お手入れしないでおりますと、
色褪せ乾燥は生じ易いかと思います。
その分、ナチュラルな「革らしさ」に富んでいる訳ですが。

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「野球のグローブが、使えば使い込むほど味が出て、かつ丈夫なので…」
と、カーン夫妻のブランド創設話がありますが、
これはお手入れしてのことですので、何もお手入れしなければ…。

ご依頼品もご多分に漏れず表面はカサカサで色褪せています。
そして、外縫いの鞄には宿命的な症状になりますが、
フチが擦り切れております。
擦り切れも、結局はお手入れ不足に起因するところも大きいです。

人の皮膚も、冬の乾燥時期にはカサカサと乾燥しますと
粉が吹いてあかぎれしてしまうと思います。
乳液や保湿剤にて皮膚に潤いを与えることで
擦れてもカサカサし難くなります。

革も皮膚と同じく乾燥しますと同様です。
ただ皮膚のように新陳代謝がないので、痛み初めてから
お手入れを行っても完全には元通りになることは難しくなります。
ですので、「痛んでから」というよりは日々のお手入れが重要となります。

ちなみに、レザーの場合は、「皮」ではなく「革」の表記かと思います。
雑誌などでも、レザーに関して書かれている文章で
しばしば、「皮」の文字が何度も使われていたりしますと、
「校閲さ〜ん、どうした〜」と思ってみたりしています。

そんな記事を読んでおりますと、私の頭の中では
皮膚で出来た、鞄や靴が無意識に想像されてしまいますので…。
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内側の革部分は、やや乾燥しておりましたが
昔のままに近い色合いででキープされていました。
染料仕上げの革は、紫外線により色褪せが生じ易いので
内側部分はそれを免れていた感じです。
この部分を参考に補色は行いたいと思います。

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擦り切れているフチ部分は巻き直すしかありません。
今回の場合は、全体的に擦り切れている箇所がいくつか
点在しておりますので、全周交換となります。

巻き直す際には、耐久性を考えてオリジナルより
気持ち厚めの革で巻き直すことにします。
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「赤」といっても、カーディナル、ワインレッド、スカーレット、
マゼンタなどなどと、いろんな赤色がありますので
色合わせが難しい色のひとつです。

今回は、ちょうど同じ色味の赤色の革の在庫がありましたので
そのまま使用できそうです。
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まずはフチ巻きから補修してゆきます。
長年の使用により、鞄のフチはイレギュラーに変形していて、
均等にフチを巻き付けていくのには梃子摺ります。

製品の段階では、このように手作業で巻いているにではなく
ダダダダっと縫製と同時に自動で巻き付けながらできるのですが
補修の場合は、アナログでちまちまとひと辺ずつ巻いてゆきます。

巻き付けながら縫製するアタッチメントを
以前注文しようと思い、治具メーカーに問い合わせたのですが、
巻き付ける素材や厚み、縁取りの幅によって、
ひとつひとつオーダー製作となるとのこと。

修理では依頼品によって、その都度設定が異なりますので、
オーダーなんてしてられないということで
地道に手作業となっています。
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縫製、補色を行い保湿ケアも幾度か繰り返しまして
完成となります。

AFTER
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製造からおよそ30年ぐらい経過しておりますが、
表面の痛みはありましたが、補色と保湿も行い
これからも十分活躍できる状態となりました。

母親が使い、その後、娘に受け継がれてまた数十年…。
30年後に私がまだ生きておりましたら、
ふたたび、フチ巻き交換で孫の方にご依頼を受ける日も
くるのでしょうか…。

その時は、すでに隠居しているかと思いますが、
ご依頼とあらばお受け致します。
ただ、恐らくその頃には手は震えているでしょうし、
目がかすんで、針に糸が通せるかも怪しいかなと思います
今日この頃…。
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ampersandand at 22:12|Permalink鞄と小物修理 

2017年10月13日

バーバリーのブリーフ 持ち手革交換 ネジが回らないと篇

ネジが回らないと始まらない…。
この持ち手は、鞄に固定されている金具にネジを通す事で固定されています。
ですので、ネジが回らないと持ち手が外せないのです。
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持ち手の革は、すでに劣化し擦り切れております。
使い込まれた年月が偲ばれますね…。
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日頃使用している精密ドライバーでは、回せないほど
マイナスネジが固着してしまっております…。
こういう時は、556を塗布しまして再チャレンジ。

しかし回る気配がない…。
そもそも精密ドライバーは、フルパワーで回して
使う道具ではないので、持ち手が細く力が入りづらいのです。
下手に回して螺子山がなめてしまうと一番まずいので
556を再度塗布し、一晩放置しておく事に。

それでも今日の手応えのなさ加減、
力の込め易いグリップが大きな精密ドライバーの購入が
必要な感じなので、仕事帰りにホームセンターへ。
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ある事はあったのですが(手前の)、精密ドライバーですので
それでも細めです(通常の精密な使用には全く問題ないのですが)。

本日一回目の挑戦では回らなかったのですが、
再度556を塗布し再々チャレンジにてようやく外れてくれました。
これ、はずれないと修理不可になってしまいますので。
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そうしましたら、とりあえず巻いてある革を外してゆきます。
劣化しすぎて芯金に固着してしまっておりなかなか外れません。
熱風機で温め、接着剤を溶かし気味で漸くぺりぺりと。
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芯金が錆びているように見えるのは、これは革が固着し
付いているのでそのように見えています。
これも温めて取り除き、表面を溶剤にて清掃します。
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昔のものや、伝統的な作り方のこのタイプの持ち手は、
芯材も革で作られております。
革を数枚積層し、この形に削りだす方法です。

しかし、今はこのようにプレスにて綺麗に左右対称に
成形された軽量な芯金があります。
持ち手部分の革は、今回のように長年使用していれば
かならず交換時期がやって参ります。

その際に、革の芯材で製作している場合ですと、巻き付けた革が
綺麗に剥がれない、また恐らく形状も変形してしまっているかと思われます。
ですので、金属の芯金を用いた方が、修繕の観点からは良いのかもしれません。
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ただ、金属の芯金に再度巻き付ける場合にも問題があります。
この芯金は革を巻いてから二つ折りにして縫製しているのですが、
再度巻き付ける際には、完全フラットな状態に開いてしまうと
折り曲げている中心部分の金属が、金属疲労で痛んでしまう可能性があります。

また、広げるにしても完全に均等な力で左右を開いていきませんと
ねじれが生じて再び二つ折りにした際にズレてしまいます。
ですので、今回もご覧の通り35度くらいで少しだけ開いて
作業を行っております。

それでは次に巻き付ける革の型紙づくりです。
かかと修理のように、古いのを剥がして新しいのを取付けて
削って仕上げるという訳にはいきません。

かならず型紙が必要になります。
それも、一品毎に形状や使用する革の厚みも異なりますので
毎回ごとに型紙、試作、本番という手順を踏む事になります。
ですので、型紙が必要になるような修繕というのは、
おのずと補修作業に時間が掛かりますので、費用もそれなりに掛かります。
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革がきれいに剥がれてくれれば、それを元に型紙が採れるので
一度で型紙が仕上る場合もありますが、今回はすでに擦り切れておりましたし
剥がす際に熱風を当てていますので一部硬化したり、
引き伸びたりしていて宛てになりませんが、とりあえず試作して
被せてみます。

ちなみに、革も試作用の革になります。
この革も悪い革ではないのですが。
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やはり誤差が生じております。
なお、オリジナルの仕様では間に挟む芯材にフェルト芯が
使用されておりましたが、あまり効果的でない芯材ですので
硬質の芯材に変更しています。

試作二回目。
これでいい感じの収まりになったかと思います。
鞄本体の金具にも収まるか確認しておきます。
いざセットしてみると嵌らない!なんて事だと最悪ですので。
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では本番です。
革はこちらの革を使用します。
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鞄本体の革は網目状の型押しレザーでしたが、
型押しの革の場合、通常のシボ革のような型押しあれば
近いものがある場合もありますが、
オリジナルの型押しになりますとご用意ができません。

ただ、鞄の雰囲気的にスムースレザーでも
相性は良さそうでしたので、革の選択はお任せということで
進めさせて頂きました。
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ここで失敗…。
なにが失敗かお分かりでしょうか。
そうなのです、二つ分用意していますね。
いつもの癖で両手分です、この持ち手は一つでいいのですー。
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すでに二回試作していますので、久しぶりのこのタイプでも
手慣れた模様です。

この形状はミシンでは縫えないので手縫いとなります。
オリジナルはミシンで縫製しています。

家庭用のミシンでも、例えばボタンホール用の抑えだったり、
ファスナー縫い用の抑えだったりと、いくつか標準で
搭載しているかと思います。

工業ミシンの抑えというのは、ものすごい種類があります。
「えーこれもミシンで縫えるんかぃ〜」みたいな抑えや。
また、オーダーで注文もできたりします。

しかし、私が修理で使用する抑えは、ベーシックな一種類のみとなっています。
量産品の場合は、大量に製作するので効率的に仕事を進める為に
抑えをその製品に合わせてその都度用意しています。

修理の場合は、ご依頼一品ごとにそれ用の抑えを用意はできませんので、
特別な抑えがなくても縫製できるように、型紙や手順を工夫して製作しています。
それでも縫製できない場合は、今回のように手縫いで行う事になります。
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四本撚りの麻糸に蠟引きを行い必要な長さを用意します。
そして、ひと穴ずつ菱目で穴を貫通させながら、
麻糸を八の字(サドルステッチ)に通し、ひと目、ひと目と
均等な力で糸を引き締めてゆきます。
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手縫いというのは時間が掛かりますが、嫌いじゃない作業です。
糸を均等に引き締める事だけ考え、黙々と、ただ黙々と…。

黙々と縫い終わりましたら、しばしの間、縫目を鑑賞して悦に入ります。
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その後、余分な革をカットしてコバを削り整えましたら
ロウを刷り込んで完成となります。

AFTER
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ときどき手縫いのほうが、ミシン縫製より優れている
というようなことを見聞き致します。
日々、手縫い製品やミシン製品を修理しておりますと
「まっ、そんな違いはないかな…」とも思います。

細かい事を云えば、縫い穴の中での糸の掛かり具合が違うのですが
実用範囲でいえば、どちらも糸が切れれば同じかなとも思います。
また、中途半端な手縫いですと、かえってまずい製品もあったり致します。

わたしが思うに手縫いですと、その縫い目の雰囲気が、
ミシン縫製より、「趣き」があるかなと思います。
これは私が縫った場合ですので、達人が縫えば、
ミシンでも手縫いでも、見た目の違いはなく、
仕上げられるのかとも思いますが。

これも人それぞれで異なるという、手縫いの良さなのかもしれませんが。
巧い下手と云う事ではなく、その糸の引き具合や、針の通し方、
穴の開け方で、縫い目の雰囲気が変わるという。

私の場合は、きもち、糸を引きめで、縫い目の部分に
微妙に革の「より」がでる感じが好みです。
その起伏に光があたることで、その縫い目に表情ができるので。
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ampersandand at 21:59|Permalink鞄と小物修理 

2017年10月09日

ローファーがコリコリして、痛いんですけど案件

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本日のコリコリ案件はこちらのローファー。
ローファーという靴種も、色々と問題が発生し易いデザインです。
よくあるのが、甲の部分の締め付けが痛い、かかとがスポスポなど。

本日はコリコリ案件。
革が内側にタブついていて、コリコリと堅くなっているとのこと。
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一見普通に見えるのですが、矢印部分が張り出しています。
張り出した部分が、骨に当たり痛いんですと。
外側(靴の外側)は大丈夫だけど、内側(踏まず側)だけが痛いと。

痛くない反対側はこんな感じ。
弛んでいません、ほんと微妙な差ですがこれで痛みが生じてしまうのです。

似たような事例で、ワークブーツなどでベロが羽部分と繋がっていて
折り畳まれ重なっている仕様がありますが、
これも時々同じような症状が発生致します。
この場合は、コリコリではなくゴリゴリ案件となりますが。

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この靴を製造する際の型紙の段階で、甲の部分のパーツを
もう少し狭く設定していれば、内側のたるみは生じなかったのですが、
型紙がちょっと悪かったのかなと思います。

ときどき、サイズがキツくて伸ばしてくださいと
ご来店される事がありますが、実際に履いて頂いた状態で触診しますと、
革は余っているしゆるい感じ、では実際に痛い部分を指して頂くと
コリコリ…
ということが時々あります。

キツいのではなく、コリコリが当たって「痛い」が「キツい」に変換。
この場合、残念ながらコリコリは伸びませんし改善のしようがありません…。
(今回のような場合は除去できる位置ですが、指周りなどは分解できないので)

コリコリ部分というのは、革が重なり合っていて、
その部分が縫製されますとコリコリと堅くなります。
それが人により、当たる方と当たらない方、または当たっていても
気にならない方など場合によりけりです。

ですので製作する場合には、革が重なる部分というのは
そうならないように漉き加工を行いますし、
なるべく内側に段差が生じないように致します。

または、そのような部分が可動域や骨部分にこないように
避けてデザインを行ったりしますが、痛みの感じ方や骨格は
人それぞれですので、完全には不可避かと思います。

また、そればかり気にしていますと、
デザインのバランスも悪くなります。
痛くないけど、可愛く、かっこ良くない…
どこかで折り合いをつけるしかないのですが。

とりあえず現状確認しますので、甲ベルトを外します。
モカシン部分の縫目も解いて、もたついている部分を広げてみますと
革が折れているのが確認できます。

この折れている分だけ、型紙を修正して製造していれば
このようなコリコリ現象は生じなかったのですが…。
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これにより、折れて重なっている部分が内側に押し出されますので
出っ張っていると云う事になります。
(制作時は靴型につり込んでいますので、出っ張ていた訳ではないのですが)

ちなみに、痛くない外側はと云うと、こんな感じで折り込まれておらず
サイド部分とツラで縫い合わされています。
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改善方法ですが、折り重なっていた部分を取り除き、
再度縫製する事で「改善できるのではないかと思います」
畳まれていたピンクの点線部分をカット致します。
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そして、元と同じようにサイド部分のパーツと縫製致します。
モカ縫い部分を閉じて、そのまま甲パーツをかがり縫いしてゆきます。
そして、最後に甲ベルトを本体と縫製しましたら完成となります。
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すでに完成した靴の状態で縫製するには、
靴の中で針を動かし抜き差ししないとならないので
手縫いするにも、サクサク縫えずもどかしい…。
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最初に弛んでいた部分が無くなったのが確認出来ると思います。
分かりますかね、微妙ですよね見た目では。
両足とも外側をコリコリ除去加工致しました。
このちょっとしたことが、靴では命取りになったりまします。

私もときどき、似たようなコリコリ痛があるのですが、
すでに数年履きならした靴でもそれは突然やってきます。

ある朝、家を出ましたら小指部分がずきっと。
とりあえず駅のベンチで脱いでみますと、なんていうことはない
靴下の指先部分の縫目の固まりのコリコリが、
ちょうど小指の腹の位置にきていて、
それが痛みの原因になっているなんてことが。

靴下の僅かな縫目の固まりでも、丁度よいところ(悪いところ)に
きてしまえば痛みが生じてしまいます。

知人に、
「今まで修理してきたもので一番難しかったのは何?」
と聞かれた事がありました。

答えは、今回のような修理です。
色々と技術的に難しい修理は他にも色々とありますが、
それらは原因があって理由もあり、そして修繕結果も確認できます。

例えば、鞄の持ち手が千切れた修理の場合は、
千切れた原因を探し、作りが悪ければ壊れ難い仕様で製作し、
素材が悪ければしっかりしたもので作り替えます。

補修後は、ちゃんと縫製されているか目視することは当たり前ですが
負荷を掛けてみて、縫目が緩んでいないかなど状態を確認します。

今回のような補修の場合は、原因は分かりましたし
問題の部分も取り除きました、が、
その結果は、ご本人が履いて状態を確かめてみるまで分かりません。
(今回は郵送でのご返却でしたし)

もうちょっと取り除いた方がよかったか… 
サイズが窮屈になっていないか…
まだ痛いと云われやしないか…
なんてと、もやもや…。

なので、結果を自分で確認できない、
相手(感覚)任せな修理というのは、
すべて難しいというか、不安な感じです。

それは知り合いにプレゼントを贈る、あの感じでしょうか。
好みは重々分かっているけど、これ気に入ってもらえるかな…
なんていう感じです。

ちなみに今回のプレゼントは、痛みもなく喜んで頂けたようです。
(痛みのあるプレゼントとって…)

ampersandand at 10:23|Permalink靴修理 

2017年10月03日

猫も、杓子(しゃくし)も。

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以前NHKで放送されたネコメンタリー。
テレビの番組欄表示にて、タイトルが気になったのでとりあえず
録画していたものを忘れた頃に視聴。

作家の「角田光代とトト」とお話。
作家の書き下ろしの小説と、ミニドキュメントな仕立て。

短編「任務十八年」に思わずウルル…。
こちらのBLOGに全文掲載されていました。

そして、昨日同じように番組欄を流していましたら
ネコメンタリー発見!。
どうやら好評だったようでシリーズ化されていました。

次回再放送は、「吉田修一と金ちゃん銀ちゃん」
猫短編も気になりますが、普段作品を読んでいる作家さんの
制作風景がちらりと垣間みれるのも新鮮です。
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こちらも以前NHKで「漫勉」という、漫画家さんの制作風景、
実際に紙に描いている所を固定カメラで撮影している番組も
面白くて観ていました。
(まだ数回分観れずに、HDに溜まっていますが…)
1ページ描くのにどれだけ大変で、試行錯誤なのかが伝わります。

「ドキュメント72時間」しかり、「ブラタモリ」しかり
NHKは、いいところついてくるなぁ〜と思う
今日この頃。

ampersandand at 18:08|Permalink徒然