2018年02月16日

よかれと思ってミンクオイル。 革裂けるかも篇

靴のお手入れにはミンクオイル使われている方、いらっしゃいますよね。
どうですか靴の調子は、しっとりというかべったりしていませんか。
なんだか艶もでなくなったかな…。
皺のところが白くなっているのは何故…。
と思い当たるところはありませんでしょうか。

BEFORE
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店主調べでは、靴のお手入れにミンクオイルを使われている方は
24%くらいはいらっしゃるようです。
(35%くらいは何もお手入れはしない派なのですが)

ミンクオイルを使うような靴というのは、ワークブーツのような
革の厚みが2.5mmとか3.0mmあるようながっしりとした靴かと思います。
そのような靴は履き始めは特に堅いので、ミンクオイルを一時的に
使ってみてもいいのかもしれません。
(ミンクオイルより適したものが今現在ありそうですが)

通常の靴の場合は、あえてミンクオイルを使う必要はないかと思います。
日頃のお手入れには乳化性クリームや、ぱさついている場合は
レザーローション系やトリートメントを併用すれば宜しいかと思います。
余白30





ミンクオイルを使い過ぎると油分(脂分)が強すぎるので、
通常の革靴では革の繊維がふやけてしまいすぎてしまい、コシがなくなり
革の強度も低下し、必要以上に伸び易くなってしまいがちです。

使い続けると常に表面は濡れたように色が沈み、触った感じも
しっとりというよりはべったりとしてしまい
磨いても艶がでなくもなってしまいます。
(ミンクオイルも商品によって違いはあるかと思いますが)

また、靴棚など湿気がこもり易い環境でその靴を保管していると
栄養になる脂を塗布しているので、カビの発生確率も高まってしまいます。
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今回のブーツもミンクオイル漬けでした。
伺ってみると裏表両面からオイルを塗布されているとのこと。
ご依頼品は全体に裏革はなく、かかと部分のカウンターと
履き口の補強のみ裏革が付いている状態です。

丁度裂けている部分にはカウンターポケットに添って
ステッチが掛けられています。
この部分はカウンター(芯材)を入れる為に裏面に革が宛てられ
それを縫製している縫い目になります。

ですので、裂け目というのは芯材が入っている堅い部分と
入っていない柔らかい部分の境目で裂けた状態となります。
もともとこの部分は足首で屈曲を繰り返すので痛み易い部位ではあるのですが。

そのような構造的な原因もありますが、飽和状態になるくらいの
オイルが加脂され革がぐずぐずになり、
履く際に革を引っ張った拍子に縫い目が切り取り線のような
役割になりそこで裂けてしまったのかもしれません。
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細かな皺部分に脂が白く浮き出ています(オイルの飽和状態)

補修方法は、裂けているアキレス腱部分にレザーパーツで補強する
方法をご提案致しましたが、お客様から裂け目に添って全体に
パーツを宛ててしまって下さいというご希望をいただき、
またご希望のイメージを生地で作成して頂いたので補修を行い易かったです。
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このような外観が変わってしまう補修の場合、どこまでがOKラインなのかが
判断し難いので、このように分かり易くお伝え頂けると有り難いです。
なるべくご希望に添ったかたちで可能な仕様にて補修させて頂きます。
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まず裂け目を閉じる為に内側に革をあてて補強しようと思いましたが、
油分が強く接着剤がほとんど効かないので、脱ぎ履きの際に
革の端がめくれてきてしまう可能性もあり、また補修箇所がしっかりし
過ぎると今度はその境目で同じように負荷が掛かる可能性もあります。

ですので、裂け目をフランケンの傷口のようにジグザグに縫製して
閉じていき、部分的に薄いナイロンテープを挟み込んで縫製します。
(挟み込んだナイロンテープはレザーパーツで見えなくなります。)
次に表面に頂いたパーツサンプルをもとにラインを決め、
レザーパーツを作成致し縫製していきます。

裂け目をまたぐように革を配置していますので、
可動域の屈曲部分(堅さの異なる境目)も補強できています。
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縫い付けている革の色が本体と合っていませんが、
本体はオイルと靴クリームで複雑な色になっていますので
似た雰囲気の革がありませんでした。
ですのでブラウン系の革を縫い付け、後でえんじ色に染色し色を合わせます。
今回の補修は両足とも同様に裂けていましたので同じように
両足ともパーツを縫製してあります。
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AFTER
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しばしばお手入れについて尋ねられますが、
日頃のお手入れには乳化性の靴クリームを用いて下さい。
乾燥が激しくぱさついている時には、まずは水分の多いいデリケートクリームや
ローション、トリートメントで水分や油分を与え保湿を行ってから
色付きの乳化性クリームを塗布すると、色むらになり難いですし
表面も落ち着きます。

色付きと書きましたが、無色であればどの色の革にでも使えるのですが
それだと補色効果が期待できません。ですので黒には黒、茶系には茶と
それぞれに合わせた色の乳化性クリームを使った方が宜しいかと思います。

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余白30
ブラック、ブラウン系、キャメル系、ボルドー系、ニュートラル(無色)
と五色あれば一般的な革の色はカバーできるかと思います。
あとはご自身の靴のレパートリー次第で増やしていく感じでしょうか。
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「よかれと思ってリムーバー」
という記事も書けそうですが、
お手入れの度にステインリムーバー(汚れ落とし)は使わなくても大丈夫です。
大丈夫というか、そんな頻度でステインリムーバーを使用してしまうと
かえって革を痛めてしまいます。
油性のクリームも落とすほどの有機溶剤配合ですので、革を痛めてしまいます。
(アンティーク仕上げなどはリムーバーで色落ちしてしまう可能性もあります)

わたしの8年くらい履いている靴ですが、ステインリムーバーは
確か数回使った程度です。(これはこれで極端かと思いますが…)
使用目的も汚れを落とすというよりは、鏡面に磨いている
つま先の油性ワックスが、ぶつけたり擦ったりしてムラになってきたので
それを均一に磨き直す為、すっぴんに落とすことに使用した程度です。

古い乳化性クリームは、新しい乳化性クリームを塗布する際に
それにも有機溶剤が配合されていますので
その成分で古いクリームはとれる(置き換えられる)というイメージです。

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ですので毎回ちゃんとブラッシングしないとダメな訳ではありますが。
布切れでもいいのですが、それだと皺の谷部分にクリームが残ってしまったり
飾り穴が詰まってしまったりとしますので、手も汚れませんし
磨きも早いので断然ブラシは使った方がよいです。
余分なクリームをちゃんと落とさないと硬化して
ひび割れの原因になりますので。

革は一度劣化してしまうと、もとのレベルまで戻せませんので
日々のお手入れが大切です。

面倒であれば、屈曲部分だけでもよいので行ってみてください。
でも「お手軽!塗ったら艶が出るこれ一本」みたいなリキッド状の
メンテナンス用品は、表面に強制的に皮膜を塗り重ねるだけだったりと
革の劣化にも繋がる場合もありますのでお気をつけ下さい。

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ampersandand at 18:09|Permalink 靴修理 

2018年02月13日

戦力外通告された靴。 二軍生活篇

目の前でときどきですが、戦力外通告が行われます。
わたしの戦力分析によってオーナーから戦力外通告される事もあれば、
すでに戦力外にされていて野村再生工場ならぬ、アンパサンド再生工場にて
復活をかけてトレーニングを行う場合もあります。

今回はそんな中でも早々一軍では活躍できないと判断され
二軍生活を余儀なくされた靴の再生ヒストリー(短編)になります。

戦力外時点
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つま先部分はラバーにて温存治療されていますが、まだまだ活躍できる右腕です。
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リフト部分は、交換が必要とされる時期にきています。
あの夏の甲子園で酷使されすぎたのが影響でしょうか。
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ただいずれも今回の戦力外の主な原因ではありません。
オーナー曰く、片足の屈曲部分にクラックが生じ始めているとのこと。
確かに細かなクラックらしき皺がちらほらと散見。

これはメンテナンスの問題というよりは、もともとの革質が
左右の靴で違いがあるようでした。

クラックが生じている側の革は、多少繊維が荒い様子でコシが弱めです。
靴の裁断の際に、一番いい革の部位をつま先に使用するとされていますが
日々修理をしていると、この屈曲部分に一番いい質の部位を用いた方が
いいのではないかと思います。

靴が傷むのはだいたいこの屈曲部分ですので、この部分に
状態のよい革を用いると長い目で見るといいのかもしれません。
つま先というのは、芯材で硬化しているので履いていて革が
伸びたりなどは起こりませんし。

量産品はどうしても無駄なく革を裁断しようとしますので
適していない部分がパーツに掛かってしまうことはあるかと思います。
またはあまり考慮せずにテトリスのようにパーツを配置していき
綺麗に無駄なく採れるだけ採ってということもあるかと思います。

それがいけないことかというと、ある程度(使用に問題ない程度)は
目をつぶらないと靴の価格自体が上がってしまいますのでバランスですね。
数十万するようなオーダー靴は、一頭で一足なんてこともありますし。

ブーツなどのシャフト部の(筒部分)パーツは、
一枚が大きいので、質が少し悪い部位が部分的にはいりがちです。
ですので、履いていると皺の入り方が左右で極端に違うなど
といった事が生じ易くなります。
(もちろん足のフィット具合によっても皺の入り方は必然的に異なりますが)

AFTER
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こちらのオーナーさんは、いつも通常の2.0mmのハーフソールを
装着されていましたが、今回は戦力外ということでいつもと違った趣向で
コマンドタイプがご希望。

vibram#2333のハーフソールと#1205のコマンドリフト仕様となりました。
ハーフソールは、5.0mm厚でリフトが9.0mm厚。
交換前のオリジナルのリフトが6.0mm厚となります。

9.0 - 6.0 = 3.0mm

5.0 - 3.0 = 2.0mm

ハーフソールが5.0mmと厚いので、差し引き2.0mm前側が
元の設定より高くなってしまいます。
しかし、2.0mmですと通常のハーフソールを取付ける際の設定ですので
違和感のでない許容範囲となりますし、すでに取付け面の革底も
数ミリ摩耗しているので、結果とんとんと云う感じでしょうか。

これが2.0mmでなくて3.5mm差となると、1.5mmの差なのですが
これが違和感のでるボーダーラインです。

以上の計算分かりましたでしょうか。
簡単に云いますと、ハーフソール5.0mmを付けるのであれば
その分リフトも5.0mm増やさなければなりません。

ですので、交換前のリフトが6.0mmでしたので
計算上は11.0mmのリフトが必要となりますが、
今回は9.0mmを付けている訳です。
11.0mmのコマンドリフトもありませんし、2.0mmは許容範囲ということで。
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一見ごつく見えますが、凹凸があるので屈曲性もいい感じです。
配合されているラバー素材も、グリップ効果も高く悪路にも効果的です。

黒いゴムは皆同じだと思われがちですが、その配合により
グリップ効果が高いもの、硬質なもの、弾力に富むものなど様々です。
言い換えれば同じような黒いゴムでも安価な素材はすぐに減ってしまいます。

厚みも5.0mm(リフトは9.0mm)ありますので、
一般的なラバーソールが5.0mm程度ですので、
この vibram#2333ハーフソール(3.500円)でオールソール
1回分の保ちとなります。
(通常のvibramハーフソールは、2.500円です)
摩耗したらまた交換できますので、ランニングコスト面でも優れております。

ちなみにときどきこの vibram#2333のようなコマンドタイプのハーフソールを
底縫いでまとめて革底へ縫い付けている仕様がありますが、
それですと、摩耗した時にはハーフソールのみ交換できず
オールソールとなってしまうのでコスパの悪い仕様かと思います。

ブーツではこのコマンドタイプのハーフソール仕様はしばしば行いますが、
短靴でもかっこいいんのではないでしょうか。
鳩目と平紐の組み合わせがコマンドソールと相まって、
ややアーミーな雰囲気も醸し出している今日この頃…。
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ampersandand at 20:44|Permalink 靴修理 

2018年02月09日

ご入力のメールドレスをご確認ください。

お問い合わせフォームからご連絡頂いたお客様で、
4.5日経過してもこちらから返信がない場合は、
ご入力頂いたアドレスが間違っている可能性があります。
または迷惑メールアドレスに振り分けられている場合などもあります。

*2月8日お問い合わせ分
<ロンシャンの角補強/付け根補強/底鋲取付け>でお問い合わせされたお客様
アドレスが間違っております(送信エラーになってしまいます)。

こちらをご覧頂けましたら、再度ご連絡を頂ければと思います。
なお、電話番号も入力して頂けますと再度エラーの場合もこちらから
ご連絡が可能ですので宜しければご入力をしてみてください。

以上、業務報告でした。

店主

ampersandand at 22:16|Permalink お知らせ 

2018年02月02日

2月の営業日のお知らせ。

2月の営業日は

25日 日曜日 となります。

別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。

お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。

*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
 作業の都合上行っておりません。
 HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。

スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。

営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。

店主


ampersandand at 15:27|Permalink お知らせ 

2018年01月22日

本日、凍結防止剤にご注意ください。

今日明日と積雪で交通機関が混乱しておりますが、
本日ニュースでも流れておりましたが、凍結防止剤(融雪剤)が
公共交通機関周辺などに撒かれておりました。

凍結防止剤の成分は、色々と撒く環境に応じて異なるようですが
主に塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどです。

これらは雪と反応して熱を発生し路面を凍結させないという薬剤です。
凍結により滑って転ばないように、歩道橋、駅周辺やショッピングモールなど
人が集まる場所に撒かれています。

とても有り難いのですが、この薬剤が溶けた雪が革靴に付着しますと
白シミになったり、革の強収縮を生じさせてしまいますので
くれぐれもご注意ください。
ちなみに変質してしまった状態からは元に戻す事はできません。

今日明日は、合成素材の靴で出かけられた方が宜しいかと思います。
取り急ぎのご連絡となります。
0123

ampersandand at 22:28|Permalink お知らせ 

2018年01月18日

永遠に擦り減らないスニーカーのカカト。

スニーカーって履き潰すしかないのでしょうか…。
こちらの靴はおよそ1.5年経過していますが、元のかかとは減っていません。
リンク記事の靴とは色違いですが、素材違いで確か
3足同じ頃にご購入されております。
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Dannerのスニーカーですが、新品の段階でリフト(黒い部分)を
一段取付けているので、ソール自体の摩耗は生じておりません。
おそらくリフトを取付けていなければ、今頃は「Danner」のロゴは
跡形もないかもしれませんね。
BEFORE(リフト取付け済み)
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で、今回そのリフトも擦り減りましたので新しく交換にやって参りました。
同じようにリフトを取付け完了となります。
つま先はどうかというと、スニーカーなのでソールが柔軟で屈曲がよく、
凹凸がほぼ残りあまり擦れないようです。
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このような靴の周囲を白いラバーで覆っているタイプ、コンバースなどは
ある程度履き込むと、巻いているラバー部分が剥離してきたり、
屈曲部分のフチがで割れてきたりしますが、そこはDanner、
ラバーの割れもなく、覆っているラバーもちゃんと本体と縫製されていますので
浮きや剥がれもなく問題ない状態です。
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AFTER
このリフトを取付ける際のポイントは、ソール外形より
2.0mm程度内側に設定した大きさで取付けることです。

そうすることでより後付けのリフトが目立たなくなります。
そもそも、人の靴底ってあまり気にしていませんので、
ほとんど気づかないかとは思いますが。

またこのようなフラットタイプのソールですと、インソールで
ヒールの高さを補っていますが、それでも低い場合もあります。
ですので、一段リフトを取付けた方が歩き易くなる場合もしばしばあります。
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ampersandand at 11:30|Permalink 靴修理 

2018年01月17日

痛いのと、きついの。 Don't think. Feel! 篇

きついので履かずじまいだったけど、新婚旅行で訪れたイタリア?で
購入した靴なので棄てるには忍びない…。
どうにかならないかということでご来店。
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革はトカゲ柄の型押しの革。
表面が硬めの革に型押ししているので、伸びも少ない堅い革に仕上っています。
きついと感じられる部分は、親指部分。

履いて頂いてどこがきついのか触診。
アッパー自体に浮きもあり、そんなにきつきつの感じでもない。
でもきついと。

「きついのはここじゃありませんか?」

「そうです」

これは、「きつい」のではなく「痛い」という状態でした。
一緒ではないのかと思われそうですが、痛い場合は改善できない場合が
しばしばあります。

きつい、と云う状態は、足に対して革の容積が足りていないので
革を伸ばしてやれば改善の見込みがあるのですが、
痛い、と云う状態は締め付けられているのではなく
何かが当たっていたいと云う状態になります。
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主な原因としては、何重も重なった革の継ぎ目や縫い目や飾り部分、
履き口部分、金具部分などなど。
これらの部分はコリコリだったりと堅い状態になっています。

ですので、それらの箇所が皮膚の薄い間接の骨に当たってしまう位置に
該当してしまうと「痛い」となってしまいます。
革が幾重にも縫い合わさったり、履き口だったり留め金具だったりというのは
取り除いたりという事はできません。

今回は親指の間接部分に、履き口の境目(トップライン)が
丁度乗り上げている状態でした。

ですので、きついのではなくトップラインが骨にコリコリあたってしまって
痛いという状態ですので、革を伸ばしてもトップラインは
当たりますので改善されない可能性が高いのです。

革が柔らかければまだよかったのでしょうが、型押しの硬い革で
折り込み(フチが折り返され二重になり伸び留めテープも挟まっている)されて
いるのでなおさら堅い…。

この場合は、ストレッチ(機械で圧を掛ける)をやってみて…、
という感じでダメもとでお預かりするしかありません。

伸び易くなるようにストレッチャー液を散布し、該当の箇所にコブの
アタッチメントを付けてハンドルを回してじわじわと圧を掛けます。
伸び難いので小指側も伸ばして全体的に広げるようにします。
数日この状態で放置して様子を見ます。
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例えば今回のような「痛い」ではなく、サイズがきつい場合でも
ストレッチを行い革を延ばすと、今まで狭い部分(指周り)が広がるので
ハイヒールの場合は、ずるずると足が前に前につま先の狭い部分に
入り込んでしまい、またきつい…という繰り返しになってしまう場合もあります。

パンプスなどの甲に抑えがないデザインは、そもそも靴が脱げないように
実際の足の容積より12%とか小さく作って脱げないようにしていますので
きつくて当たり前の履物なのです。

靴を購入される際には、どうか感じてください。
それが「痛い」のか「きつい」のかを。

きついのであれば履いていくうちに多少伸びていきますし、
ストレッチで改善できる場合もあります。
「痛い」場合は、残念そこまで…ということにもなってしまいますので。

売り場スタッフの営業トークに惑わされず、
「Don't think. Feel!」
by Bruce Lee

追記
ストレッチ後に履いて頂くと、とりあえず大丈夫そうですと。
まずは履けるようにさえなれば、今回の靴は履き込みつつなんとか、
と云う感じでしょうか。
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ampersandand at 11:30|Permalink 靴修理 

2018年01月16日

赤は嫌い。 余儀なくされる持ち手の色変更篇

プレゼントした鞄ですが、赤は嫌っ。ということで
赤い革のパーツを茶色に変更をご希望。

BEFORE
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変更はできるのですが、補修費用ももったいないですし
新品ですので、これはこれで使われてみてはとご案内しましたが
構わないという事で製作となりました。

ただ、持ち手の取付け方法が縫い割りという仕様で
交換後、同じように縫製するには本体部分を広範囲に一度分解しないと
できないですし、ナイロン素材ですと分解すると縫い目が解れてきます。
使えるようになれば大丈夫という事で、外縫いになる事でご了解頂きました。
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赤い引手や根革も交換しないとです。

プレゼントというのは何を貰うかというよりは、
贈ってくれた人が、あれやこれやと自分の為に考えてくれて、
作ってくれたり探してくれたり、そういう自分の事を思ってくれた時間を
贈られるもの、とはいいますが…

しかし、そんなことはいってられません。
モノより思い出、いや、現代は思い出よりモノでありますっ。
AFTER
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そんな間違いを犯せない婚約結婚指輪を贈る方法として、
最近は、まずダミーの指輪を渡し、相手にOKをもらってから
女性が気に入ったデザインの指輪を作るというサービスもあるようです。
プロポーズはOKだけど、この指輪は嫌っ、なんて困っちゃいますしね。
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ampersandand at 11:30|Permalink 鞄と小物修理 

2018年01月15日

見捨てはしないよ、ラバーソールのつま先も。

ラバーソールの場合は、ヴィンテージスチールを固定する
ネジがしっかりと効かないので、取付けは当店では行っておりません。

「じゃあ、ラバーソールのわたしは見捨てるというのか!」

いやいやご安心ください、耐久ラバー素材で部分補修が可能となっております。
*底面に凹凸が無いソールの場合は、ハーフラバーソールでの
 補修も検討できます。

こちらは確か、JOHN LOBB。
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つま先部分がミッドソールすれすれまで摩耗しています。
そしてウェルトまで擦り減らしてしまうと、何の為にウェルテッド製法の靴を
購入したのかという感じになってしまいます。

JOHN LOBBは、ダイナイトソール使用するのは嫌だったのか、
オリジナルのダイナイトソール風のソールが取付けてあります。
二本線があるのは、始めは手前の線でしたが、面積が少なすぎるかなと
いうことで、凹み部分ぎりぎりまで広げた感じです。
2.0mmぐらいの差なのですが、これによって傾斜板の厚みや
削る深さ(残るラバーソールの厚み)が変わってしまいます。
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この部分を補修する際に使用するには傾斜板という
楔状の素材を使用するのですが、埋め込む分と同じだけ
ソールを凹ます必要があります。

擦り減っている部分は丸みを帯びて削れていますが、
その状態で無理矢理素材を添わせて接着すると、
のちのち素材が元に戻ろうと反発して剥がれや易くなってしまうので、
硬質素材の場合は、接着面は傾斜状にぱしっと加工する必要があります。

ですので、底縫い部分がそれだけ擦り切れてしまいますので
できるだけ必要最小限の面積を加工しています。
ただ、画像でも分かるようにもともと擦り切れていない底縫いまで
切れてしまうのが、悩ましいところです。
かといって、このまま補修しないでウェルトまで削れてしまうのは…。
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当店では傾斜板を取付ける前に加工した面にビスを打ち込んで
中底面と残ったラバーを固定するようにしています。

接着で固定されてはいますが、残ったソールがウェルトから
剥がれてしまうと、その上に取付けた傾斜板の意味がなくなってしまうので。
AFTER
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こちらはダイナイトソール。
つま先以外の部分も底縫いが完全に擦り切れている状態で
かなり摩耗しています。
加工後の残ったラバーも薄かったので、傾斜板を取付けてから
まとめてビスで中底面に届くようにカシメてあります。
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つま先部分はソールがひしゃげて上に持ち上がっていましたので
きもち厚めの設定でつま先補修してあります。

ダイナイトソールの場合は、凸部分が数ミリですがピンのようにでています。
つま先部分はその凸部分が、つま先を蹴り出す際にシーソーの支柱のような
役割になってしまい、よりつま先を摩耗し易い構造に
なっているような気がします。

また凸部分が数ミリでているので、その分ベース部分のソールの厚みは
通常のソールより薄めの設定になっていますので、つま先のベース部分は
比較的すぐにウェルトまで到達し易いのかもしれません。

ですので、当店ではダイナイトソールでオールソールする場合は、
ミッドソールを追加し、ベース部分の厚みを増す設定を推奨しています。
市販の靴でもやはりそういう見解なのか、ミッドソールが追加されている
仕様が多く見受けられます。

以上「見捨てはしまいよ、ラバーソール篇」でした。
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ampersandand at 19:30|Permalink 靴修理 

2018年01月14日

仕事納めと始めは、ヴィンテージスチール。

昨年もたくさん取付けました、ヴィンテージスチール。
年末は仕事納めのまとめてオールデン。
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オールデンも色々と素材違いであるんですね。
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靴底面はそれぞれ、左右でも膨らみ方が異なるので、
それに合わせてスチール自体の反りを微妙に調整したりしています。
しなくても取付ける事は出来るのですが、調整できる範囲で。

オールデンの場合は、比較的底面形状がフラットなので、
元々少し反りが付いているスチールを、逆にそれぞれに合わせ
フラットに調整して取付けています。
なので、取付ける靴を間違えないように、同じ番手のスチールでも
裏面に番号を入れてあります。
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マッケイ製法の靴だったり、コルクがてんこ盛りに入っている
ウェルテッド製法の場合は、底面形状がかなり丸いので、ハーフソール無しで
スチールを取付ける場合は調整が厄介だったりします。

新年の仕事始めは、やはりオールデンへのヴィンテージスチール取付けから。
今年もオールデン祭りな予感のする今日この頃…。
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ampersandand at 11:30|Permalink 靴修理