2018年12月01日

12月の営業日は現在調整中となっております。

12月の店頭営業日は現在調整中となっております。
ただいま修繕作業が立て込んでおりますので
今月は店頭営業は行なえないかもしれません…。
予定が決まり次第、店頭・BLOG・HPにてご案内させて頂きます。

店主

ampersandand at 23:08|Permalink お知らせ 

2018年11月25日

壊れすぎていないオールデンを治してみる。 ハーフソールかオールソール、どちらにするか問題。

前回のオールデンの修理と比較するとだいぶ軽症ですが
軽症なのでオールソールするか、部分補修(ハーフラバーソール)とするべきか
判断に悩む状態の今回のオールデン。
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前回のオールデンはこちら
「壊れすぎたオールデンを治してみる。 分解篇」
「壊れすぎたオールデンを治してみる。 裂け補修篇」

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悩みどころは革底が剥がれてこないかどうか。
特にウェルテッド製法の場合は特にそうなのですが
底縫いの糸が切れていると革底が剥がれてき易い場合があります。

ウェルテッド製法の場合は、中央にはコルクが充填されており
この部分は接着強度は求められません。
ですので革底との接着されている部分は実質
ウェルト部分の幅、1.0cm幅程度の面積となっているのが
剥がれ易いその理由となります。
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つま先はすでに他店でラバー補修されていましが、
ダブルソールのオールデンですので、履き始めは特に靴底が返らず
つま先が極端に摩耗したので早々修理されていたのでしょう。
貼られていたラバーを取り除くと…
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糸も完全に擦り切れていますので、ぱっくりと。

当店で底縫いの糸が擦り切れた状態でラバーや革素材で
つま先の補修をする場合は、補修部材を取り付ける前や、または
補修部材と一緒にビスでベース部分に固定するようにしています。
糸が完全に切れた状態の土台に補修部材を貼付けても
ベースになる部分がウェルトから剥がれてしまえば意味がありませんので。
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つま先部分の糸切れについては、ビスで固定できるので切れていても
部分補修という手段はとれるのですが、それ以外の部分、
特に屈曲部分の糸切れについては判断に悩みます。
上画像では周囲に縫われている糸目が擦り切れて見えなくなっています。

下画像はちょうど接地する部分の境目に糸が
擦り切れてなくなっているのが分かるかと思います。
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この状態からハーフラバーソールを取り付けるとなると
糸が切れている状態ですので、徐々にだったり何かのタイミングで
貼付けた土台となる革底が、先程のつま先部分のように
本体(ウェルト)から浮いてきてしまう場合があります。

ハーフラバーソールを貼付けたから剥がれたというよりは、
すでにある程度履き込まれている状態(糸が切れている)ですので、
貼っても貼らなくてもその時期だったという感じでしょうか。

また後ほど触れますが、オールデンの場合は新品の状態でも
本底、ミッドソール、ウェルトとの間が浮いてきている(ずれている)
場合が多く、底縫いでそれぞれを固定し、接着は底縫いを行なう際の
仮固定という位置づけの仕上げのようです。

では底縫いの糸が切れているからすぐに剥がれてくるかというと、
剥がれてくるものもあればこないものもあったりなかったり…。
また底縫いが擦り切れて、糸の断面がまだあるような状態ですと
その状態でハーフソールを貼付けると、糸の断面がハーフソールの
接着面に固定されますので、案外そのまま固定できるという場合もあります。

いずれにしても、このような場合によくお客様に尋ねられるのは
「どうですかね、剥がれてしまいますかね?」と。

店主の答えとしては、
「糸のみぞ知る…」
とはぼけられませんが、「どうでしょうかね〜」としか
お答えができません。

で、今回は…
まだまだ履き続けたいので「確実なオールソールで。」
ということになりました。
その場合は革底で行なうと、今回のように悩ましい経過を辿ってしまうので
ハーフソールビンテージスチール併用仕様(現役最強仕様)で
始めから万全の体制を敷くことになった次第であります。

それでは分解。
前回の瀕死のオールデンと違い、イレギュラーな事故も起こらず
いつもの手順とおりに。
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トップリフト(ダヴリフト)を外して
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積上げと下ハチマキを外して革底がでてきましたが、
ほぼ接着剤は塗布されていない状態です。
その代わりに、それぞれの段階で数種類の釘が使用され固定されています。
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老舗のメーカーの靴に多いのですが、ウェルテッド製法という作りは
そもそもオールソールし易いように考案された作り方ですので、
なのでオールソールの際にばらし易いように仮固定程度の
接着で済ませるという考えもあるかと思います。

また、昔は接着剤の効果が低くそれだけではそもそも固定できないので
革底は底縫いで固定し、かかとの部分は釘(木釘)で一段一段
固定するという考えがメーカーのよっては現代でも脈々と受け継がれて
いっているのかもしれません。

1884年にオールデンが誕生した頃のような路上が土ではなく
アスファルトで舗装された現代の路面では、底縫いの糸も
擦り切れ易いので、そろそろそんなメーカーは接着剤の使い方については
再考の余地はあるのではないでしょうか。

本底を剥がすとダブルソールですのでミッドソールがあります。
本底とミッドソールもほとんど接着されていない状態です。
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ミッドソールを剥がすと充填されたコルクが見えてきます。
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前回の瀕死のオールデンと異なり雨水の侵入も見られず
シャンクも錆びておらず鈍色の綺麗なままです。
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この後は、底縫いの糸を一目一目抜き、コルクを入れ直し、
ミッドソール、革底を取付けて出し縫いし、かかとを積上げていきましたら…

三分クッキング的な感じですが、完成となります。
AFTER
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ハーフソールビンテージスチール併用仕様で
リフトもVIBRAMラバーリフトですので
耐久性とランニングコストを踏まえた現代最強仕様となっております。
この仕様であれば、底縫い糸が擦り切れると云う事は無いので
革底が剥がれてくる事もありません。

摩耗した段階でそれぞれ、ハーフソール、スチール、ラバーリフトを
部分交換していって頂きますと、オールソールの必要は今後ないかと思います。

オールソールの段階だけではなく、新品の段階で
ハーフソールスチール併用仕様を行なえば同様の仕様になります。

今回はアッパーの状態もよく、履き皺の割れや小指部分の裂けなどは
見受けられませんでした。
(かかと内側の擦り切れはありましたが、補修対応で改善)
例えば、履き皺のひび割れ、革の硬化などアッパーの痛みが見られた場合は
オールソールはあまりお勧め致しません。
(なので前回のオールデンはお勧めしなかった訳のですが…)

底周りをオールソールで新品状態に戻しても、後に
アッパーが裂けたりしてしまうと、補修できても縫目が目立つところに
出来たりと見栄えが悪くなりますし、修理できない場合もあります。

ですのでそのようなアッパーの状態が悪い場合には、
オールソールではなく、部分補修で応急処置し、
「履けるところまで履く」というアドバイスになると思います。

ということは末永く愛用するには、日々のアッパー(本体の革)の
お手入れが重要と云う事なのですが(履き始めの時から)。
面倒であれば、屈曲部分(指回り)だけでもいいので、定期的に
保湿を行なってみて頂ければと思います(雨で濡れて乾いた後には特に)
*保湿といってもミンクオイルは使用しないでください。

面倒くさがりやさんにはレザーローションがおすすめです。
無色なので色を気にせず使用できます。

当店でも乾燥気味の修理靴には、乳化性クリーム(色付き)で磨く前に
こちらで保湿を行なってから磨いています。
この製品のみの使用でも、乾拭きすると程よく艶がでますのでいい商品です。

汚れ落としと保湿が同時にできるので面倒くさがりやさんには
もってこいです。
*使用には説明書をよくお読みになってお使いください。

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ampersandand at 23:26|Permalink オールソール 

2018年11月17日

壊れすぎたオールデンを治してみる。 裂け補修篇

前回までのあらすじはこちら。
「壊れすぎたオールデンを治してみる。 分解篇」

今回は本体の裂け補修を行ないます。
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閂(かんぬき)部分から小指側面にかけての裂け…

閂の部分は負荷が掛かる部分ではありますが、
履く際には靴ひもが下段部分に通っておりますので
緩めていたとしても完全に羽が開ききるような状態にはならないはず。

ですので壊れるとすれば靴ひもを緩めて
立った状態でつっかけるように足を入れて履こうとする状態ですと
ベロの部分がぐっと爪先側へ倒されるので、閂部分に
一点集中で加重が加わり壊れてしまう場合があります。

靴を履く際には靴ひもを緩め、腰を掛けて履いて頂く事を
お勧め致します。
また立った状態で突っかけて履こうとすると、
かかとを踏んづけて潰してしまいがちですし。
今回のオールデンも軽く潰れています。

今回のように完全に断裂してしまうと、裂け目を合わせながら
縫製することはこの状態のままではできません。
元の位置に状態を固定したいのですが、固定するべき土台がありません。
また靴底の反発もあるので、ぐっと手で靴底を曲げていれば
合わさり目は近づくのですが、手を離してしまうと遠ざかってしまいます。

まずは比較的柔らかい裏革のみを手縫いで縢りながら
元の位置(状態)に縫合していきます。
アッパーのコートバンを押し広げ、その隙間から見える裏革のみを
たぐり寄せながら縫合します。

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隙間から指を突っ込み縫製しているので綺麗に縫えませんが
この縫製は表革のコードバンを元の位置関係に貼り合わせる為の
仮固定という具合です。
最終的にこの痛んでいる周辺には内側から革を宛てがい
それぞれ縫製し固定します。

これでベースとなる土台ができました。
アッパーを貼り合わせる前に、裏革と表革の間にナイロンを挟み込みます。
閂部分から裂け目に掛かるようにセットします。
ナイロンを挟み込みまとめて縫製する事で伸び止めの効果が期待できます。
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次にかんぬき部分を補修します。
かんぬき部分は、爪先側とかかと側のパーツの交差点です。
爪先側の表と裏革、かかと側の羽の表と裏革の合計四枚が
それぞれ互い違いに重なり合って縫製されています。

今回はそれに加えてナイロンなどの補強材も新たに挟み込んでいますので
スクランブル交差点状態です。

まずは下層のベロとのつながり部分をかがり縫い合わせ固定致します。
そして部分的に分解しておいた羽の付根を合わせ、仮固定しておきます。
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最後に内側から革を宛てがい補強致します。
小指側面部分から閂までを覆うようにセットし、
裂け目と閂と羽部分をそれぞれ縫製致します。
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加わる荷重をそれぞれの点ではなく、
革で補強した側面全体で受け止められるようなイメージです。

次にかかと内側の擦れ補修。
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かかとにはカウンター(月形)という芯材が固められて入っています。
(婦人靴では柔らかい芯材のもの、または入っていないものもあります)
これは不安定なかかと部分をホールドし、左右のぶれなどを制御してくれます。

ですので、かかと部分を踏みつけて潰してしまったり、
今回のように擦り切れて割れてしまう状態になってしまうと、
靴のホールド感は40%ぐらい低下してしまうことでしょう…。

わたし的には「かかとを踏んづけてしまう」というのは
あり得ない行為なのですが…。
iPhone Xを購入した日に、わざわざ軽く画面を割るような感じでしょうか。
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程度によって補修方法や使用する素材は異なります。
今回は摩耗が酷いのでえぐれている部分にまずは革を一枚宛てがいます。
状態によっては部分的に芯材を追加する場合もあります。

補強革でえぐれを補修し、このブーツのかかとの反りに合うように
型採りして作成した腰革で覆います。
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当店ではかかとの内側補修の際は通常履き口部分の縫い目は
見えなくなるように仕上げています。
かかとの内側を擦り切ってしまう方ですので、
縫い目は擦り切れないように隠してしまったほうがいいのでは?
という考えです。

画像は次回ご案内する予定の「壊れすぎていないオールデン」の
かかと補修のBEFORE/AFTER画像になります。
こちらは短靴ですので縫い目が見えない補修方法で行なっています。
BEFORE
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AFTER
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ブーツの場合は履き口部分が擦れる事は無いので、
また縫い目を隠す方法ですと、裏返しに縫製した革を
ひっくり返して内側に倒すので、ブーツでこの方法をとってしまうと
覆う面積が広く、内外の関係でひっくり返した内側に
皺がたくさんよってしまいます…って云われても??
と云う感じかと思います、その状態の画像があるはずなのですが行方不明…。

ですので今回は、少し仕上りの位置から革をはみ出しておいて、
縫製後にあまった革を縫い目の1.0mm隣りで、いちきりという道具で
さらう(切り落とす)方法で行ないました。

AFTER
レザーソール/レザーミッドソール/チャネル仕様/積上げ/ダヴリフト
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側面部分の補強革は黄色の範囲で取付け、かかとの補修は水色の範囲に
なっています。
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裂けていた部分はこんな感じ、ややピンぼけ。
黒い被写体は難しいです、ピントや露出が合わないな…。
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傷口は極力目立たないように塞がったのではないでしょうか。
遠目にはあまり目立ちませんし、日頃こまめに磨いて頂ければ
コートバン特有の照りで、補修の縫い目より輝く履き皺の艶が
先に目に入りますので。

裂け目は部分的に黒いコートバンで覆う方法も考えたのですが、
画像では分かり難いのですが、微妙にダークブラウン的な色合いにも
見える時があり、エイジングとお手入れのしなさ過ぎにより
色が不思議な感じに変化しています。
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ですので、仮にブラックのコートバンで被せても色がちぐはぐに
なってしまうかなというのと、今回はチャッカブーツですので
周辺にパーツを固定するのに利用できる縫い目がないので、
貼り合わせたそのパーツを囲うような縫い目がぐるっとできてしまいます。
そもそもブラックの在庫がないし、用意しても補修費用は
ぐっと跳ね上がってしまいます。
ボルドーのコートバンなら在庫はあるのですが。
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ソールはダブルソールですので、靴底が返り難く爪先が
摩耗し易くなりますので、ビンテージスチールをお勧め致しましたが、
「レザーで。」ということで。
リフトも当然耐久性の高いvibramラバーリフトではなくダヴリフトに。

当店としては持ち込まれた際の瀕死の状態からして、
日頃のメンテナンスを考えますと、ハーフソールスチール併用仕様で
VIBRAMラバーリフトをお勧めしたいところですが…。

ちなみにお渡しの際に履いて頂き、具合を確認して頂いたところ
とてもフィットして履き易くなったとのことで
そのまま履かれてお帰りになられました。

すくい縫いが切れたり緩んでいた状態でしたので、
裂けが無くても、それらの影響で外側へと広がっている状態
だったのだろうと思われます。

次回「壊れすぎていないオールデンを治してみる」篇に続く…。

ampersandand at 18:35|Permalink オールソール 

2018年11月16日

壊れすぎたオールデンを治してみる。 分解篇

今回の患者さんはこちら。

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ざっくりと…。
ソールもコルクが流出し始めていて瀕死の状態…。
コルクが流出している状態で履いてしまうと、
中底が陥没、そして割れが発生してしまいますのでご注意を。
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かかと内側部分もだいぶやられていますね。
(修理された箇所がまた擦り切れて壊れていますね…)

修理店を渡り歩いてすでに三度オールソールをされているとのこと。
あと10年ぐらいは履きたいということですが…。

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かんぬきから小指側面への裂けは、革の硬化が原因です。
履き皺が段々によっていますが、あまり伸びずにこの状態で硬化しています。
(シューキーパーを使われていないとこのように皺が深くなってしまいます)

ということは、歩行の際の屈曲に革の収縮が追いつかないので
結果、羽の付根部分の閂に負荷が掛かりますので、
そこを軸に硬化し弱っていた小指側面部分にかけて
裂けてしまったのかと推測されます。
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コートバン(馬のお尻の革)は繊維の密度が高く強靭といわれていますが、
牛革と違い繊維方向が一定方向のようで
その方向へ負荷が掛かった際には裂け易いという傾向があるようです。
また革の仕上げ行程により水に弱いのですが…

今回は水に濡れて、乾燥してを繰り返し硬化してしまった革なので
余計に裂け易い状態にあったかと思います。
他にも定番の小指の腹部分と先芯との境目にも
亀裂が入っている部分がちらほら…。
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このような状態ですので、修理はあまりお勧めできない事と、
修理しても、今後アッパーの何れかの部分で再度壊れてきてしまう
可能性もありますとお伝え…諦められるかと思いきや
悩まれるご様子もなくご依頼頂いた次第であります。

まずは靴底を分解していきます。
底縫いの糸をグラインダーで削り切り、ソールを剥がしていきます。
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ウェルトとソールのあいだからナイフを入れ、出し縫いを切って
剥がすやり方が職人ぽいのですが、そのやり方ですと
出し縫いがすくい縫いの糸を貫通してしまっている場合が
既製品でちょくちょくありますので、カットしてはいけない
すくい縫いの糸も一緒にカットしてしまう危険性があるので、
底面を削って出し縫いの糸を削り切ってしまったほうが確実です。

コルクから中底まで水が侵入してしまっています。
中底まで濡れてしまうと中底の割れにも繋がってしまうので
コルクが見える前にソール交換が必須です。
(コルクはウェルテッド製法の靴にしか基本入っていません)
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シャンクも浸水してしまい錆び始めています。
スチールのシャンクですとだいたいオールソール時期の靴では
錆びているものが多いのですが、錆びて折れているものというのは
1割程度でしょうか。

クロケットジョーンズなどの老舗の靴で多いのですが、
木材のシャンクを使っている場合が多く、内部まで浸水していると
木材ですので腐ったりして6割くらいは折れています。
(浸水していなくてもやはり折れてはいますが)

浸水と云っても、水たまりにずっぽり浸らなくても、
革は繊維構造ですので、路面の水を毛細管現象で
内部まで吸い上げてしまいます。

またこれがひどいとアッパー側面まで水を吸い上げてしまい
小指側面あたりに雨シミ跡が日本刀の刃文のように
波波にでてしまったり致します(この部分で革が割れ易くなります)
ハーフラバーソールを施行する事で底面からの
雨水の吸い上げを予防できます。

昔の国産の靴ですと、竹を使っていた時期もあるようですが
竹は撓りもあり丈夫で適材ではないかと思いますが、
木材のシャンクはあきらかに強度不足な気がします。
折れている場合は、丈夫なスチールシャンクに交換しています。

ちなみにこのシャンクですが、どういいった役割があるのかというと、
土踏まずの部分を支えるように取り付けられています。
ヒールに少し載っていて、土踏まずの浮いている部分を
上に持ち上げるようなイメージでしょうか。
別のオールデンですがこんな感じで入っています。
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ソールを剥がすと、ここで新たに損傷箇所を発見…。
すくい縫いが前側ほぼ切れていました…。
そして一緒に縫い付けられているアッパーの革も縫い穴部分までも
硬化していて割れてしまい、糸が外れてしまっている状態です…。
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こうなってしまうと、すくい縫いもやり直さなければなりません…。
何度かオールソールをされているとの事ですので、
出し縫いをする段階で、その都度すくい縫いの糸を貫通してしまい
糸が徐々に切れてきてしまったのかと。

また、かかと部分もだいぶ斜めに摩耗した状態で履かれていたので、
外側へ靴が傾斜する格好になり、体重が外側に掛かりすぎて、
ウェルトが押し出されるような感じになったのも糸切れの
要因の一つかと思われます。
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すくい縫いとは中底部分に貼付けられたリブの段差から
(グットイヤーウェルテッド製法の場合)外側に付いているウェルトに
すくい上げるように針を通すのですが(上画像)、

この靴にはウェルト部分にボコボコとなにやら跡が多数ついています…。

恐らく以前の修理店でもオールソールの際に同様に
すくい縫いの糸が切れていたので、縫い直したようですが、
針をウェルト側(下画像)から差し込んでいたようです。
181105blog41
ですので針で押し付けられた跡がぼこぼことウェルト部分に
凹みを作ってしまい、ソールを貼り直した際にコバ断面に
この隙間が影響しやしないかと心配です。

恐らく、残ったコルクかすなどで中底側から針を通す穴位置が
分かり難かったので、ウェルト側から針を指してしまったのだと思われます…。
針の跡がついてしまっているけどー。
こういう事されると困るんだけどー。

とほほ…の状態から気持ちを切り替えて、まずは針の加工。
すくい針の曲がりに合わせて針をライターであぶってなまし、
同じ曲がりに加工します。
181105blog18

次に9本撚りの麻糸を一本ずつにより戻し、その一本ずつの
毛先を細く漉き、4本と5本のグループにまとめたのを、
またもとの9本組の一本に撚りまとめます。
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そうしますと毛先がうんと細く加工できます。
細く加工する事で、針に繋げた部分が針と同じ太さに絡み付けれるので
小さな穴を通す際に、針の付根が穴にひかかってイライラせずに縫えるのです。

すくい縫いが出る位置と出し縫いの穴の位置が近すぎるー。
しかしすくい縫いの穴をずらす事はできないので(元の穴を通しているので)
出し縫いの際に可能であれば少し外側を縫えれば…という感じでしょうか。
もともとのメーカーの設定が悪し。

すくい縫いの位置と出し縫いの位置の設定が宜しくない靴は
既製品でもちょくちょくあります。
値段に関係なく10万円クラスの靴でもちらほら見かけます。
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中底面からの画像。
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この段差部分から外側のウェルト側にすくいあげて縫っています。
縫い終わったので、中底部分にコルクを充填。
コルクは板コルクを使用しています。
粒コルクを練って充填する方法もありますが、それですと充填具合に
ムラができ易いので、板状に圧縮成形されたコルクを敷き詰めた方が
全体に均一の密度で敷き詰める事ができます。

またコルクの粒も細かな番手を使用する事で、履き込んでいった際の
中底面の沈下を適度に抑える事ができるのではないかと思います。

オールソールですので履き込まれてすでに中底面は
充分に足の形に凹んでいますので、これ以上の中底面の沈下は
必要無いかと思われます。

ウェルテッド製法の靴は、特にグットイヤーウェルテッド製法の場合
コルクが5.0mm厚程度、中底と本底の間に充填されています。
履き込んでいくと中底面からの加重で敷き詰められたコルクが
徐々に自分の足型に押し潰されることで
いわゆる「足に馴染んでくる」のひとつの要素にもなっています。

ただその場合、中底面が押し下がり靴内部の容積が
広がるということですので、サイズも必然的に緩くなって
しまうということです。

ですので羽ものの靴を購入する時には、
羽がある程度開いた状態のフィッティングで購入しないと、
後々に紐をそれ以上絞める事ができず、ゆるゆるに
なってしまいますのでご注意を。
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コルクを敷き詰める際も厚めに盛ってから、高い部分を基準面まで
削り落としていきます。
そうする事で、すでに中底面に記憶された足型をあまり損なわずに
その凹凸を再現する事ができるのではないかと思います。
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ウェルト面に針の跡(前回の修理店の仕業です)、
ぼこぼこ… まったく…。
仕上りに影響しそうなので軽く削って修正しておきます。

次回、「コートバンの裂け補修篇」へと続く…。

ampersandand at 00:26|Permalink オールソール 

2018年11月10日

エルベ・シャプリエもやっぱり角は擦れるのです。悲しき角擦れ補修篇

Herve Chapelier repair

当店のロンシャン角擦れ補修記事をお読みになられて
そんな修理ができるのか、ということで
ご近所(静岡)の修理店で修理を出されたら…
とてもとても仕上りが残念なことに…

「ただただ修理に出した事を後悔している…」と、お客様。

そちらでやり直してもらえないかとのこと。
とりあえず画像を送って頂いたのですが…

革の形は指でちぎったの?というぐらいにラインはガタガタ…
もちろん縫い目もレロレロ… 
糸も細いし色もちょっと違うし… 
革も全然合っていないし…

残念…というか巧い下手ではなく、いい加減過ぎるという感じ。
逆にこの腕で仕事をしていて怖くないのだろうかと…。
ぜったいクレームになるだろうにと。

どれだけ酷いか気になるかと思いますが、酷すぎるので
載せない事にしました。
というのは、その画像をみて当店が補修を行なったと
勘違いされるのが怖いからでもあります。

文章を読まずに画像だけさささーと、流す方もいるでしょうし、
画像検索でそれだけ見られて判断されても怖いので。

どんな感じだったかというと、小学生ががんばって修理した感じ、
といえばいいのでしょうか、こういうと小学生ハラスメント
なってしまうかもしれませんが。
小学生の器用なお子さんだったらもっと上手かもしれませんが。

まずは修理されたお店のパーツを取り除いてみますと…
四隅の角にあてられたパーツのサイズがそれぞれ違うー!
これって巧い下手という以前の問題ですよね…
大きさぐらいは小学生でも揃えられますからね。
そう、いい加減すぎるんです。

なので、通常ロンシャン(左端パーツ)で使用している角パーツでは、
前の縫い目がパーツからはみでてしまい間に合わないので
ひと回り、ふた回りとサイズを大きくしてみて
覆い隠せるサイズを検討、結果、ふた回り大きな右端のサイズになりました。
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AFTER
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前の修理店ではこの縫い合わさり目も一箇所も本体と合っておらず、
四隅であっちゃこっちゃいろんな向きで取り付けられていました…こわっ。
この補修は、本体の縫い合わさり目に補修パーツの縫い合わさり目を
合わせるのがポイントでしょうが〜。

お客さんに
「これ向きがあっちゃこっちゃしてませんか?」
といわれたらどう答えるのでしょうか…。

実際に前回の修理店で、ご依頼主さんが修繕された鞄を受け取った際に
仕上りがあまりに酷いので、もっとどうにかなりませんかと怒ったら、

「これ以上は無理です。」

と、いわれたとの事…(費用は前払い…)。
いやいや、無理じゃないでしょうがー(心の声)、…ご帰宅。

しかしあまりにも酷い仕上りですので、これ以上何かされても…
という不安もお客様にはあったかもしれませんね。

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革の色も通常ロンシャンで使用しているものではないのですが、
ちょうど持ち手の色と合う、いい感じの革がご用意できました。

わたしもすべての修理ができるわけではありませんし
仕上りに自信がもてないものもあります。

仕上りに自信がもてない修理に関しては、
(見栄えだけでなく、その後の強度が心配な事も含めて)
お客さんに、「これ、あっちゃこっちゃしてませんか?」
と、怒られたくはないので、
そのような可能性がある修理品の場合は、受付の際に
「当店ではできません」とか、
「ここがこのようになってしまいますが、宜しいですか?」と
デメリットや構造上の問題をご案内し、ご理解の上で受付しています。

こういう仕事をしていると、できればなるべく断りたくはないのですが、
お客様にご迷惑を掛けてしまうので、
ときには「断る勇気」も必要だと思う、今日この頃…。

ロンシャンHPリンク

ampersandand at 17:51|Permalink 鞄と小物修理 

母親のセリーヌはどれもカサカサ案件。

若い頃に母親が使っていた鞄を見つけて、
娘さんが使われるパターンはよくあるようで、
しばしば修理に持ち込まれます。

20年、30年くらい経過しているのでしょうか、革は乾燥していて
パサパサですし、当時痛んでそのまま使わなくなっていた
という場合も多いのだと思います。
BEFORE
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ですので往々にしてメンテナンスしなければ
使えない状態だったりしますが、
それでも母から娘へと引き継がれて使われ続けるというのは
皮革製品の魅力の一つかもしれません。

確か以前ブログで書いたかと思いますが、祖父の鞄を
お孫さん(20代くらいの方)が使いたいということで持ち手の製作と、
補色と保湿メンテナンスを行なったブリーフケースの事例もあったかと思います。
そうなると半世紀以上に渡り使われ続けるという感じでしょうか。

今回は同じタイミングで二件ご依頼頂きましたが
どちらも娘さんが引き継ぎました、かさかさセリーヌ案件。

まずはこちらのショルダー鞄。
ストラップベルトの付根が裂けているので補修希望という事でご来店。
しかし状態を見てみますと、やはりストラップ全体が乾燥し
ささくれたり、ひび割れたりしてきていますので
使い続けるにはストラップの製作が宜しいのではということに。
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ストラップの厚みが薄いなぁという印象。
今の時代ですと、この厚みの設定のストラップというのは
あまり見かけません。

製作にあたっては孫の代まで大丈夫な?ようにしっかりとした
厚みの革を使用し補強も行い製作致します。
今回使用する革は、栃木レザー社のバケッタ製法の革が色味も近く、
本体で使用されている革と同じように、エイジングされていく
タンニン鞣しの革ですので歳月の経過とともにより馴染んでいくと思います。

AFTER
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続きましてはこちらの革紐の巾着鞄。
(中にショルダーストラップが隠れています)
本体のモノグラムの柄と、使われている革が同じですので
先程の鞄と同年代のシリーズの鞄でしょうか。

こちらも本体の革が乾燥してきているので保湿が必要ですが
やはり開け閉め時に引っ張る革紐のダメージが大きいです。
所々でひび割れてきてしまっています。
BEFORE
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80cmの革紐を二本製作します。
まずは紐の太さの設定と革選び。
今回も先程のストラップで使用した栃木レザー社のバケッタ製法の革を
使用しようと思いましたが、革紐状に二つ折りすると色が逃げて
ちょっと色味が薄いかなという印象に。
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ですのでもう少し色が濃い、同じ栃木レザー社のプルアップレザーを
使用することにしました。
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革紐を製作する場合、完成の幅より太い状態で縫製しています。
17ミシンで縫製していますが、抑えの部分が車輪といって
5.0mm幅の車輪(丸いパーツ部分)で抑えて縫製していきますので、
完成の幅では抑えが革に載らないので縫製する事ができないからです。

ですので幅広にしておいて縫製してから余り(チリ)部分を
断つという行程になります。
メーカーなどでは上下送りミシン等を使い、細い革紐でもそのまま
縫製できるように、平抑えに段差がついているものを製作物に合わせて
専用抑えを用意しています。

修理の場合は、その都度ご依頼がある製作物に合わせて
それらの多数の専用の抑えを用意しておく事はできないので、
専用パーツが無くても製作できるように工夫しています。
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当店にも上下送りミシンはあるのですが、私自身が車輪の抑えに慣れすぎていて
この平たい抑えが使いづらく出番があまりありません。
(上下送りミシンは10年くらい後になって導入したので)

車輪抑えは面で抑えないので安定はしないのですが、
その代わりに小回りが利くので、靴のアッパーなどで急なカーブが
ある箇所だったり、きわきわを縫製したり、ダブルステッチだったりなど
0.5mm,1.0mm単位で縫製するような場合は車輪抑えが使い易いです。

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上下送りミシンも使い易くなるように、抑え部分を削ったりして
カスタムしてみてはいるのですが、抑えと針の位置関係が見えづらく
手が遠のいています。
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ちなみに当店の上下送りミシンは、YAKUMO社製を使用していますが、
すでにこのメーカーは無くなってしまったようです(JUKI社に吸収?)。

このミシンは製造から50年以上経過しているようですが
中古で購入しているので、私で何代目なのかなと。
50年経過していても代々メンテナンスされていたようで
とても綺麗な状態です。

ちなみに私が所有しているミシンで一番古いミシンは
SINGER社の八方ミシンになりますが、HPのアイコンで登場しているあれです。
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100年ぐらい前に英国か米国辺りで製造され、色々な職人さんに
使われ続けて今は私の手元におります。
使えなくもないのですが、すぐに調子が悪くなるので
自宅押し入れにひっそりと隠居して頂いております。

当店で現役で活躍している八方ミシンは、国産のSEIKO社のものが
(国産の八方ミシンはSINGER社の八方ミシンを手本に国産されたようです)
受付の後ろに鎮座していますがこちらの数十年ものになり。
ときどき「オブジェですか?」と間違えられますが、現役です。
確かこちらは何年か前に製造終了になったかと思います。

靴を製作する道具もそうですが、昨今どんどん製造終了している次第です…。
靴の道具は製造終了というよりは、作れる職人さんが
ぞくぞくと高齢の為に引退してしまっている、というほうが
正しいかもしれません。

ミシン話に話が逸れてしまいました、すみません。
AFTER
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革の余り部分を裁断後、カット面は角が立っていますので
縁を磨いて断面の繊維を絞めて仕上げています。
革の太さが適正になったので、革紐のアジャスターパーツも効くようになり
入り口部分をくしゅっと絞る事ができるようになりました。

革製品全般にいえる事ですが、一旦表面にひび割れが生じてしまいますと
その状態で保湿しても、元の状態まで復活させる事は難しいので
日頃からの保湿メンテナンスが重要となりますので、
痛んでからではなく、日々のお手入れを心掛けて頂ければと思います。

といっても、ミンクオイルは使わない方が宜しいかと思います。
レザーローションなどの保湿製品をご使用ください。
以下の製品が使い易いかと思います。


[コロンブス] columbus ブリオクリーム BRILLO (ムショク)



ampersandand at 00:13|Permalink 鞄と小物修理 

2018年11月06日

11月営業日のお知らせ

11月の営業日は、

24日 土曜日 
25日 日曜日 となります。

*お休みではなく営業日ですのでお間違いなく。

なお業務状況によっては追加営業日がある場合があります。
その際は店頭、ブログなどでご案内させて頂きます。

別途、ご返却日をすでにお伝えしております場合は、
その日程でお渡しが可能ですのでご来店ください。

お受け取りのご都合が合わない場合は、
HPのお問合せからご連絡頂けましたら
お渡し日の調整をさせて頂きます。

*営業日以外の電話応対は、申し訳ございませんが
 作業の都合上行っておりません。
 HPよりメール(またはFAX)にてお問い合わせ願います。

スタッフが店主の私のみですので、お手数をお掛け致しますが
何卒、ご理解を頂けますと有り難いです。

営業日が限られておりまして、ご迷惑をお掛けしておりますが
どうぞ宜しくお願い致します。

店主

ampersandand at 01:35|Permalink お知らせ 

2018年10月30日

ショルダーバックをリュックにカスタマイズ篇

ときどきトートバックやショルダーバックをリュックでも
使えるようにカスタマイズできないかとお問い合わせ頂きますが
仕様や費用面などで折り合いがつかず、なかなかご成約には
至らない事が多いのですが、
今回は紆余曲折ありましたが、なんとかご希望の感じに仕上げる事が
できましたのでご紹介させて頂きます。

BEFORE
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A4サイズぐらいでマチが5.0cm程度の薄い紙袋のようなショルダー鞄。
(実際に素材は紙を加工したものらしいのですが)
上部についているストラップを外してリュック仕様にできないかと
ご依頼頂きました。

いわゆるリュックサックのようなスポンジ入りの
ストラップがご希望とのこと。
参考になる商品の画像を添付して頂き、実際に今使われている
リュックのストラップの長さを計測して頂きました(郵送依頼)。

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リュックのストラップの取付けに都合のいいように
背面上部にはナイロンベルトが縫い付けられております。
すでに取り付けられているショルダーストラップを取り外し
その部分にリュックのストラップを取り付けます。

肩当部分には太いベルを使用する予定でしたが
カーキ色はあまり需要がないようで太いサイズの展開がなく
丁度在庫でストックしていた倉敷帆布を使用して製作する事にしました。
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鞄自体はボリュームのあるものではないので、ストラップはあまりごつく
ならないように、5.0mmのスポンジを帆布で包む事にしました。
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鞄に縫い付けられる部分にはナイロンを挟んで補強しておきます。
帆布は折り込んで尚かつ両面重なるので強度は充分かと思いますが
念の為の補強です。

リュックの修繕で多い事象はこの上部の付根部分になりますので。
生地が避けてきたり、縫製が解れてきたりと。
このあたりは修理業務で得た知見を製作に活かしています。
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今回の製作で一番心配だったのが、スポンジ入りの肩当パーツに
ナイロンベルトパーツを合わせてクロスに縫製する部分でした。

8号帆布生地2枚/スポンジ5.0mm/ナイロンベルト3重
これだけ重なっている部分で、尚かつ間にスポンジが入っていますので
縫製の際にはスポンジが沈んでいきますので、
糸調子が狂っちゃうよなーと心配でした。
リュック003

本番を縫製する際には同じ条件の重なりパーツを用意して
試しに縫製し問題が無い事を確認してから縫製致しました。

新規での製作ですとこんな感じで、形状の試作サンプルはもちろん
糸調子や縫製可能位置かどうかなど、部分的に試作確認する必要が
ありますので手間もかかりそれなりに費用がかかります。

いちいちの試作は手間ですが、綺麗に仕上るかどうかは
このような見えない手間が重要となります。
AFTER
リュック01リュック02リュック00

ご郵送後
「気に入って家の中で背負っていたら、息子にいつまで背負ってるのと
 笑われてしまいました 」

とのこと。
通常は息子がランドセルを背負って…という感じですが
喜んで頂けたようでよかったです。

リュックにする場合は、製作の可否や費用などは本体の形状が
大いに関係してきますので、どれでもできるという訳ではありません。

今回も下側の本体取り付けベルト部分については
マチが狭くミシンが届かない為、ビスにて固定しています。
最終的な可否は現物判断になると思います。

ここ数年、冬場以外はリュック生活を送っています。
両手があくのでいいのです。
使っているのは15年くらい前に購入した吉田鞄ですが
やはり私の職業柄、知人にそれ作ったの?といわれる事があります。

知人に気まずい思いをさせない為にも、
リュックを作ろうかな…と思う今日この頃…。

ampersandand at 19:13|Permalink 鞄と小物修理 

2018年10月15日

運転させないホワイツブーツ。 丈詰めとソール交換篇

White's Boots
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ワークブーツはおおむね重いのですが、その中でもヘビー級に
君臨しているのが、White's Boots になるのでしょうか。
1.0kgまで量れる測定器でもEEEE表示、いったい階級はどこなのでしょうか…。

ソールが厚く、車の運転ができないのでレザーソールでシンプルな
感じにされたいとのこと。また丈も長過ぎですと。

ご依頼品はすでに一度他店でソール交換されており
現在は、vibram#2021 ソールが取付けられている状態です。

ちなみにもともとのオリジナルソールはこんな感じ。
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レザーソールにごついコマンドソール仕様。
画像から判断しますと恐らくオリジナルのヒールの設定より
#2021ソールでは10.0mmくらいかかと側が低くなっているのではないか
と思われます。

違和感が無いかお客さまに確認したところ、逆にこのぐらいのほうが
ヒールの高さはいい感じですと。

ちなみに同じタイミングでオールソールでお預かりしていた
レンガ色のWESCOブーツ。
こちらは摩耗した状態ですが片足で約940gにて軽量をパスしています。
WESCOも一度すでにオールソールされているようです。
camper2726
camper3837

この二足の底付けの仕様について今回主に書こうと思ったのですが
長くなりそうですし、図式を作成しないと文章では伝わらないだろうな…
ということで、業務の兼ね合いで詳しくは割愛させて頂く事にしました。

WESCOは前側が通常のステッチダウン製法(かかと側は中底にビス固定)
ホワイツブーツは複式ステッチダウン製法といいましょうか…。
camper3433camper3231camper3332camper3130

分解して思った事は、ホワイツブーツはなんでこんな
面倒くさい仕様なのだろうかと。
この仕様について手間が掛かる割にはなにか
メリットがあるのだろうか…と。
ソール交換し難いだけではないのか…。

なので前回修理されたお店でも手こずったようで、だし縫いは
ウェルトから外に縫い外れてしまった部分があったり、
コバを削りすぎていて(または始めからぎりぎりだったのか)、
今回オールソールする際に、縫い直すスペースがほぼ無い部分もちらほら…。
これ困るですよね…。

それにひきかえWESCOについては至って合理的な仕様になっているなぁと。
縫うところは縫って、必要の無いところはビス固定で手間を省くという感じ。

ではではホワイツブーツにもどりまして、
ソール交換はいつものレザーソールでの交換と同じですので
行程は割愛いたしましてブログ映えし易い丈詰めをご紹介。
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丈はくるぶし丈にカット。
この長さが紐靴では足首も固定でき、脱ぎ履きもそこまで面倒ではないので
お勧めな丈であります。

カット断面はオリジナルと同じようにパイピング処理を行ないます。
縫い割って展開して落としミシンを掛けます。
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このブーツは取り外しできるベロが、確かなにか名前があるのですが
思い出せませんのでベロと云う事で進めますが、このベロも
丈詰めに合わせてカットします。
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そして完成となります。
レザーソール/ハーフソールスチール併用仕様
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レザーソールはダブルのように見えますが、もともとこの靴にはミッドソール
というには厚いものですが、ミッドソールがベースにあるので
その部分に新たにレザーソールを取付けているので、
結果ダブルソールのようになっています。

ヒールの高さはお客様のご希望とおり、ソール交換前の高さの設定で
製作しています。(ですのでおおもとのオリジナルよりは低くなっています)
ハーフソールもごついものではなくシンプルなVIBRAMソールでフラットに。
丈詰め部分はループは必要ないという事でしたので取り除いております。

革底周りの色は、ブラウンカラーに染色。
オリジナルはごついコマンドソールが縫い付けられていますが、
今回はレザーソールを本体と縫い付けてからハーフソールを取付けていますので
底縫いの糸切れの心配もなく、ハーフソールが摩耗した時には、リフト同様に
部分的に交換可能な仕様となっています。
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お渡しの際に履いて頂くと、運転できそうですということで
そのまま履かれてお帰りになられました。

誤解のないように追記致しますが、
「vibram#2021は重くて曲がらないソールなの?」
まったくそんなことはなく、逆にこの手のフラットソールの中では
最軽量の部類に属しますし、軽量で屈曲性もよく
クッション性に富んだソールになっています。
ですので女性の方からスニーカー系の靴まで幅広くお勧めできる
ソールとなります。

今回の靴は、本体の革も厚く、ミッドソールも通常のレザーソールと
同じ5.0mm程度あり、またウェルト周りの設定も屈曲しづらいような
硬くなっているような靴ですので、ソールうんぬんというよりは
本体側の影響が大きい靴となります。

ampersandand at 12:25|Permalink オールソール 

2018年10月05日

ロンシャン修理専門店ではないのだけれど… 角擦れ篇

ロンシャンのル・プリアージュは、現在恐らく5種類ありまして

・ナイロン素材の ル・プリアージュ ナイロン
・ストラップが付いたナイロン素材の ル・プリアージュ ネオ
・レザー素材の ル・プリアージュキュイール
・ナイロン素材でロゴの刺繍が入った ル・プリアージュ クラブ
・シーズンコレクションの ル・プリアージュ コレクション

これ以外にもそれぞれのシリーズでカスタマイズできるので…

お問い合わせの際は、「ロンシャンの角が擦れて…」と
どれもロンシャンという括りでまとめられてしまうのですが、
ル・プリアージュナイロンシリーズ以外は、
角の補強に使用する革の色が本体で使用されている革に
似た革のご用意できるかどうか分かりませんので
郵送でのご依頼の場合は必ずお問い合わせ願います。
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今の時点で、レザーシリーズのル・プリアージュキュイール以外は
すべて取り扱いをしていると思います。
キュイールは本体がレザーなので補強することもないので
当分こないと思いますが。

それではここ最近のプリアージュコレクションのご紹介。
最新?のル・プリアージュクラブシリーズ。
革の断面、コバの色が刺繍の色に染められているのが特徴です。
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すでに完成している鞄の角部分に革を縫い付けるのは、
モーターのミシンでダダダダッとはいきませんので、
場所が場所だけに一目一目、車輪を手回しで回しながら
針を落として縫製しています。
使用する糸もオリジナルと太さを合わせ、
色もそれぞれ取り寄せて使用しています。

AFTER
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ロンシャンクラブ02
コバの色はレモンイエローなので、四隅の角補強の革もレモンに染めます。
使用した革は「芯通し」といって革の内部までネイビーに染まっている
革を用いたので断面もネイビー。

ネイビーの下地に直接レモンイエローを塗布しても
色が透けてしまい沈んだ黄色になってしまうので、
始めにホワイトで染めてからレモンイエローを塗布します。

レモンイエローと云っても同じ色はないので、イエローとキャメルなどを
混色して色を合わせています。
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郵送でのご依頼でしたので到着するまでどんな色なのか
分かりませんでしたが、近い雰囲気の革がご用意できました。
色物というのは、画面上で確認しても実物と異なる場合がほとんどなので
現物確認するまで取り扱ったことがないカラーについては
同じ雰囲気の革がご用意できるかご案内できません。

続いて猫、シーズンコレクションでしょうか。
写真を撮っていると、なんだか帽子をかぶったやんちゃな雄猫に
見えてきました。
こちらのお客様は前回ナイロンシリーズのレッドを同じく
角補強されて今回は猫も。

すでにプリアージュを使われている方は、すぐに角が擦れる事を
経験済みなので、新しく購入した段階で新旧合わせて
革補強をご依頼頂く事が多いです。
AFTER
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続いて定番のル・プリアージュナイロンシリーズ。
革がブラウンでコバはブラックに統一されています。
オーダーでカスタムされています、ナイロンのコンビカラーにイニシャル刺繍。
取り扱いが多いので、わたしもだんだんロンシャン通になってきました。
AFTER
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ナイロンコンビ・イニシャル刺繍無しタイプ。
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こちらはナイロンコンビにエッフェル塔の刺繍モデル。
ロンシャン180911ロンシャン180910ロンシャン180912
そしてこちらが定番のベーシックなモデルとなります。
ロンシャン180909ロンシャン180908ロンシャン180905ロンシャン180906ロンシャン180907

補修費用などについてはHPをご覧下さい。
ロンシャンHPリンク


ampersandand at 14:04|Permalink ロンシャン