2012年12月16日

編集Kのニーハイブーツの丈カット

先週号で技術協力させて頂きました「an an」掲載の修繕事例の詳細になります。
次号が発売されましたので、掲載してもよいかなと(ダメなのかな…)
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長いですね、身長が高い方なのでしょう。
位置の指定は特になく、「この辺かしら、ブーティーみたいな」というご指定。
指定されないと逆に困ってしまう(厳密に指定されるのも…)のですが。
ブーティー風な高さにと。

今回は、時間の関係もありファスナーは取付けておりませんが、
こういったフィットタイプのブーツは、ファスナーを取付けないと
履き難くなる場合があります。
ブーティーはスッと履けるように、もともとが履き口が広く作られて
いますので、高さだけを合わせても、なかなか同じような感じとまでは
難しい場合がありますので、と前置きしまして。
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カットする位置を決めてカッティング。
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とその前に、一発勝負ですので、切れ味を高めなくてはなりません
研ぎ磨ぎ…。
二本しか使いませんが、他のもまとめて研いでおきます。
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片足をカットしましてもう片足に合わせてみます。
しかし、こういったブーツの丈カットの場合は、革の皺が入りますので
例えば、ピンッと伸ばして合わせたとしても皺の縮み具合で
差異が生じますし、また現状の状態で合わせたとしても
履いた際には、また新たに皺がでますので差異が生じます。
ですので、100%左右でピッタリと合わせるのは難しいです。
(新品の状態ですでに数ミリ狂ってたりしますし…)

また、今回の品もそうですが、婦人靴ですと、華奢な作りですので
すでに履かれている靴ですと、靴底が捻れたように変形しておりますので
垂直をどこで設定するかにもよって、その見え方も変わってしまいます。
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今回の靴は、特に左足の足首部分の革の質が悪く、皺がひどく入っております。
ここまで皺が酷いと高さが合わなすぎるので、
表と裏地の間に補強を施し、皺を伸ばします。121215-58

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内側がサテンのような生地で、ヒラヒラ…。
裏地がこの素材ですとフチ周りがまとめられません。
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上画像はもともとの状態。
鞄もそうですが、ブーツなどもフチ周りが表革と同じ革が
のれんのように施されております。

「のれん」と勝手に呼んでおりますが、なぜこうなっているのか
というのは、聞いたことがありませんが、
補強と見栄えと仕様の関係だろうと思っております。

スーツの上着の裏もそうですが、フチ周りは表生地があって
キュプラ生地が繋がっているようになっています。
裏になった際に、ワンクッション切り返しがあった方が、
見栄えがよろしいのではないかと思います。

また、裏地が生地の場合は履き口の補強や、生地端の処理の
関係で革を宛てておいた方が都合が良かったりもします。
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ですので、まずは型取りです。
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そしてカットして余っている筒部分から
裏宛のパーツを裁断します。
で、再度ブツ合わせして微調整…。121215-48

通常、出来上がっている状態の靴を縫うには、八方ミシンを使用しますが、
八方ミシンは、上送りでして均等な間隔で素材を送り難いので、
まっさらな状態(縫い穴が無い状態)ですと、ステッチのピッチが
狂い易いと云う欠点があります。
尚かつ重い靴等は、縫っている最中もぐらつきますので余計狂い易くなります。
で、今回はピッチも細かく縫いたいのでどうしようかな…と
作業中もずっともやもやと思案しておりましたが…
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いつもblogをご覧頂いていらっしゃる方であれば、ミシンの腕が
ちょっと違うのでは…と気付かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、
画像に写っておりますミシンは、blog初登場の17ミシンになります。
同じ形状の腕で右向きのミシン、18ミシンは時々登場しておりますが121215-65
ちなみにこれが18ミシンの腕の向きです。
左から右に出ています。
八方ミシンはまったく仕様が違うのですが、17ミシンと18ミシンは
腕の向きが違うだけでその他は殆ど同じになります。

一般的には、17ミシンは鞄用で、18ミシンは靴用と云われておりますが、
どちらでもとりあえず鞄も靴も縫うことはできます。
(今回の靴を、18ミシンでも縫うことはできますが、
 縫い目が端から1.0cmぐらい離れた位置でないと縫えません。
 針の位置と、丸い車輪の抑えの位置関係から想像して頂けると、
 なんとなく理解して頂けるかと思います)

ですので、17ミシンがなければないで、八方ミシンもあることですし、
どうにかなるのですが、あったらいいなぁと数年前から思っておりまして
たまたま程度の良い17ミシンがあったので夏頃に購入。
しかし、忙しくていじっている暇がなく、二階の作業部屋に
放置しておりました。
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が、この度初登板に。
ブーツの筒のサイズが、ぎりぎり腕が入る径でしたのでカタカタカタと…。
ミシンの程度は良かったのですが、糸と針の番手の相性やら
糸調子やらが、今のデジタルなモノと違って、一台一台ミシンの癖が
ありますので、放置しながらも、時々いじって自分仕様に合わせていた
甲斐があり、緊急登板でも問題なく中継ぎとして活躍してくれました。


ちなみに、これが「のれん」裏当てをしない状態の見え方。121215-49
で、これが宛てた見え方。121215-43
見ての通り、「のれん」があったほうがよいですね。
after
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完成です。
以上、詳細ご報告でした。



ampersandand at 23:35│ 靴修理 

この記事へのコメント

2. Posted by 店主   2012年12月17日 14:19
どうぞどうぞ〜。
1. Posted by みの   2012年12月17日 11:33
FBに載せても良いですか〜??