2013年06月20日

オールソール  その壱 • 分解篇

今回は、雨の日用のEnzo Bonafeと、履き込まれた Edward Greenの
オールソールとなります。
こちらは、Enzo Bonafe
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このEnzo Bonafeの特徴は、前側がハンドソーンウェルテッド製法で
踏まず部分は、マッケイ製法を用いられております。
なかなか厄介な製法でありますね…。

こちらは、Edward Green。
すでに、中敷き/すべり革/ひび割れ宛革補修/つま先アタッチ…などなど
色々と修理されております。
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こちらのEdward Greenは、グットイヤーウェルテッド製法になります。
つま先に革で補修されておりますが、すでに底縫いの糸が切れてから
革で補修されていますので、ウェルトの部分から剥がれてしまっております。

まずは、それぞれ分解していきます。
積上げをバラして、底縫いを削り切ってしまいます。
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底縫いは、ウェルトと本底の間からナイフを入れ、
だし縫いの糸を切っていってもよいのですが、
しばしば、掬い縫いの糸に、出し縫いが掛かってしまっている靴があります。

ですので、間からナイフを入れ、出し縫いの糸をカットしてるつもりが
掬い縫いの糸までカットしてしまう恐れもありますので、
削る方法をとっております。

削り採った画像は、Enzo Bonafeのものになります。
前側のステッチと踏まずのステッチのピッチが異なるのが
確認できると思います。
ウェルテッド部分は、2.5mmピッチぐらいで、マッケイは8.0mmピッチぐらい。
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ハンドソーンウェルテッド製法と、グットイヤーウェルテッド製法の
違いについてですが、まずその名前の通りハンドソーンとは、
手縫いでウェルトを掬い縫い付けていく方法です。

グットイヤーとは、ウェルトを機械で縫い付けていく方法です。
19世紀後半の製靴機を発明した、チャールズ・グッドイヤーさんに
由来しているようです。

その構造は、似て非なるものですが、ざっくりとした違いは、
ハンドソーン
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グットイヤー
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ハンドソーンは、中底からアッパーを貫通し、ウェルトを掬い縫うので
中底には、段差があまりありません。
一方、グットイヤーは、掬い縫うかわりに…と文章で書いても
伝わらないような気がします。
簡潔にいいますと、画像から分かるように、段差が5.0mmぐらいできます。
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カカトから踏まずを支えるシャンクも、それぞれです。
Enzo Bonafeは、華奢なスチール、
Edward Greenは木片です、ちなみにシャンク部分には、
飾りで革のシャンクも入っております。
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これは、仕上げた際に、踏まず部分に緩やかな丘陵を形作ります。
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左がEnzo Bonafeです。
踏まずの手前でウェルトが終わっているのが確認できると思います。
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カカト部分の仕様も異なります。
左のEnzo Bonafeは、ウェルトがないのでそのまま本底が付きますが、
Edward Greenのように、シングルウェルテッドの場合ですと、
カカト周りには、ハチマキと云われる馬蹄形のパーツが
ウェルトの延長で取付けられます。

この馬蹄形のハチマキを取付けることで、カカト部分の丸み、
凸形状を和らげる役割にもなっております。
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あとは、だし縫いの糸をちまちま引き抜いていきます。
この際、掬い縫いがだし縫いに掛かっていますと、
なかなかだし縫いの糸が抜けません。

そんな時は、少し耐えてはみるのですが、徐々にイライラしてきまして、
すぐ隣を走る、JR東海道線の通過音に合わせ、
ウゥラァァアラァ〜 と叫んでみたりしています。

以上、「ウゥラァァアラァ〜 分解篇」でした。
次回は、「下準備篇」から「組み立て篇」になると思います。

「分解篇」はこちら
「したごしらえ篇」はこちら
「組み立て篇」はこちら
「お化粧篇」はこちら

ampersandand at 22:00│ オールソール