2015年10月08日

重すぎて、すぐに廃盤になってしまう靴。 ライザップ篇

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婦人靴です。
摩耗して891gですから900gはあったでしょうか…。
ここまでよくがんばられました、お疲れ様です。
欧米人で体格のがっしりされた方ならばいけるのか?もしれませんが
ご依頼頂いたお客様は通常サイズの日本人の女性ですので
まずこの靴を履きこなすのは無理でしょうと思います。

で、軽量化出来ないかとご来店。
同じブランドのサイドゴアと同じぐらいなれば、
なんとか履けるのでと。
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で、サイドゴアはというと、688gとなります。
688gでも女性の靴ですとかなり重いですが。
vibram#2021のスポンジソール仕様です。
ちなみにこのサイドゴアはゴム交換でご依頼となっております。

それでは分解してゆきます。
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あれ?底縫いの縫い目は飾りでした。
そしてなにやらまた縫い目が??
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左右で縫い目のあるのとないのと??
なに製法かが不明ですので、恐る恐るソールを剥がしてゆきます。
必要のある底縫いやソールを剥がしてしまうとまずいので。

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しかし結局すべて剥がす事になりました。
中底に縫い目がないのでマッケイではないし、ウェルテッド製法にしては
アウトステッチの位置が内側過ぎるので???
なんだろうと思っておりましたが、
結果、なに製法かといいますと、「ビスで固定しました製法」とでも
いうのでしょうか、正式な名前は分かりません。

以前雑誌で、ウェルトを縫わずにペイス(木釘)で固定している画像を
見た事がありますが、これは本底からミッドソールまですべて
釘で固定しております。

ドイツのメーカーでウェルテッド製法にミッドソールを出し縫いして
そこに本底を釘で固定するメーカーがあったような気が致します。
それはオールソールを行いやすくする為だという事ですが、
今回の「ビスで固定しました製法」は、
完全にビスのみで固定する(接着もなし)アメリカンな製法
と云う感じです(確か、アメリカのメーカーだったか)。
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ウェルテッド製法の場合は、ウェルトの厚みでソールが厚く見えますが、
それは周囲だけで、中はコルクが充填されておりますので
見た目よりは実際の厚みはないのですが、
今回は、完全に無垢材の厚みですのでかなりやばいソールでした。
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ビスはスクリュー加工されておりますので、抜けない様になっています。
ですのでネールピンサーという電圧でビスを加熱する機械で
焦がしまして抜いてゆきます。

中底面にはビスの頭は全く見えていないので、
製作の際に靴型の底面に鉄板が施されている靴型を使用し、
尚かつ貫通しない様に設定されたビスを、機械でガシガシと
数十本打ち込みまくっております。
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全部集められていないのですが、恐らくビスだけで100gはあります。
スポンジソールだと一枚分ぐらいに値しますね。
全周金属のビスで固定しておりますので、底はかなり屈曲し難くかったのでは
ないかと思います。
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本体片足だけでは300gなので、片足のソールだけで600gあったということです。
たしかALDENのダブルソールモデルが片足で総重量600gだったので
ソールだけでALDEN片足分ということになります。

vibram#2021は、220gでここから靴のサイズに合わせて削り込みますので
もっと軽くなります。
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直接はつけられないので、レザーミッドソール3.5mmを底縫いで取付けます。
ヒールの高さが5.0mm足りないので、ヒールを一段追加致します。
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目標重量は688g以下ですので、計算上は間に合うということですが
はたしてその結果は…
AFTER(ここで、ライザップの効果音が欲しいですね)
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616g。
結果にコミット!!
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靴の重さというのは軽ければ良いという訳ではないのですが、
サイズが合っていれば、ある程度の重量があったほうが
振り子運動が働き、その重量が逆に歩行を助けてくれますので良いのですが、
ここまで重量が重く、ソールの返りも期待出来ない仕様ですと…。

ご依頼の方は、セレクトショップ?の方で
お店で販売されている靴を購入されたということでしたが
やはりこの重さではすぐに廃盤になってしまったということでした。
そうでしょう、そうでしょう… 履けないですこの仕様では。

で、こちらが重量サンプルのサイドゴア、ゴム交換です。
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縫い付けている部分で裂けはじめております。
原因は、重さもさることながら、仕様がまずいかと思います。
通常は、サイドゴアのゴムは、表と裏革の間に挟まれて縫製されておりますが
今回のモデルですと、裏革がなく剥き出しで縫製されております。
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ですので、加重が掛かりゴムが引き延ばされますと
縫製の糸がゴムに食込んでいきますので、裂けてしまったかと思います。
補修にはこの状態から裏革を新調する事はできませんので、
(周辺であれば出来ない事も無いですが、費用が高くなります)
必要な部分のみ革を宛てがいましてゴムを交換して縫製致します。
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新しいゴムに革をポイントで補強します。
加重が掛かり伸ばされるのはこの部分ですので必要最低限に行い
補修費用も抑えます(他にオールソールもありましたし)
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長文、最後までお読み頂きましてありがとうございます。
最後に靴の重さですが、ソールが軽くても例えば何層も薄いソールを
重ねたような仕様ですと、軽くても曲がり難くなりますので
結果、靴が重く感じられることもあります。

また、靴が重くてもサイズ、フィッティングがよければ
その重さはあまり感じられないということもあります。
ただ、靴は履き始めは本体の革、ソールともに癖がついておりませんので
なかなか試着でコミットするのは難しいかとも思います。

ampersandand at 00:21│ オールソール