2015年10月20日

丈詰めの季節 その壱 ファスナータイプ篇

シーズン前にご依頼頂けるとありがたいのですが、
やはり必要に駆られないと、
なかなかその気にもならないのが
人間ですもの。

シーズンになるとバタバタとご注文頂きます丈詰め。
そんな季節が今年もやって参りました。
今回は仕様が異なる丈詰め事例を二点ご案内です。
before
まずは定番のロングブーツファスナー仕様の丈詰め。
1012-361012-35
サイドに美錠付きのバックファスナータイプ。
ファスナーや飾りの有無で費用は変わります。

今回は長さが、5から6cm長くて膝裏に当たるとの事。
靴のサイズは選べても、筒のサイズは選べませんから
難しい買い物です。
1012-331012-30
丈詰めで一番難しくて、時間が掛かる作業はどの行程かといいますと、
カットする位置を決める段階が一番時間が掛かります。
画像を見て頂くとお分かりの様に、だいたい左右で高さが異なります。
ご依頼のブーツはほぼ新品ですが、およそ10mmほど異なっております。

ブーツの場合、5.0mm前後の誤差は新品でも当たり前のように
既成品ではあるようです。
これは、実際に高さが狂っている場合と、ブーツですので
皺がよりますと、高さが違って見える様になってしまいます。

革が大きいので、その為、場所により革の質は異なっていたりしますと
右足だけ皺がより易いなどが起ったりも致します。
1012-24
また、ソールやヒールの取付具合でもロングブーツですので
簡単に左右に傾きが生じまして、それにより高さも違って見えます。
しばらく履いた状態のブーツですと、
それらの症状は顕著に現れますので厄介です。
1012-32
1012-38
実際に狂っているのか、それらの歪みなのかでカットの長さを
左右で変更しなければなりません。

ただ、実際に足を入れていない状態で計測しておりますので、
合わせて仕上げてみても、
実際に足を入れて筒が膨らんだり皺が伸ばされたりしますと…
また違って見えてきてしまう可能性もありますので、
基本は、左右とも同じ分だけカット致します。
1012-3761012-25
カット後に再度確認しますと、やはり誤差が目立ちます。
ブーツの場合は、足の弓なりの形状に合わせて、
内側より外側のラインが高くなっております。
(そうじゃないデザインのブーツもたくさんあります)

その為、履き口のラインが微妙に変化してゆくのですが
それが釣り込みの際の引き加減で違ってしまっているようです。

ラインの変化する位置が左右で異なるので
高さが違って見えているようです。
このまま進めるか、または微妙なラインを合わせつつ再度カットするか…。

先ほどもお伝えした様に、実際に足を入れて変化することを考慮しますと
なかなか判断が難しいので、
お客様にもろもろメールにてご説明を(今回は郵送依頼品になります)。
「合わせてカットしてください」と云う事に。
1012-28
それと、今回は6.0cmカットしますと、
飾り金具の位置が飛び出てしまうので
この部分も一旦分解し、下にずらします。

このような飾りがある場合も、筒の高さを合わせると、
途中についている飾りの位置が、左右で違って見えるように…
などの関係性が生じてしまう場合もあります。
ようやく、縫製、縫製、カタカタカタ…。
1012-10
after
左右の高さも気にならない程度に収まりました。
1012-27
1012-401012-39
before画像と比べて頂くと、金具の位置が切り替えしの下側まで
移動しているのが確認出来るかと思います。

ご返却後、ご連絡頂きまして…

「ばっちりです」と。

ほっ。

それでは次回は、
丈詰めの季節「編み上げブーツタイプ篇」となります。






ampersandand at 00:11│ 靴修理