2016年05月14日

ALDENのリジェクト品を正規品に…。

リジェクト品とは、生産工程などで傷がついたり、
革の状態が良くなかったり、仕様が異なっていたりしている靴を、
併設のファクトリーショップや通常とは異なるルートで
お値打ち価格で販売されている品になります。

今回のリジェクト品はこちら
0501-31
どこが間違いかお分かりでしょうか…











正解はこちら
0501-30
ベロにあたる部分の長さが左右で違っております。
左足が正解?のようですが(少し短いような気もしますが)
右足のベロが10mmほど長〜い!。
これをどうにかならないかというのが今回のお題となります。

いったいどうやったらこんな間違いをしでかすのでしょうか。
そしてこれをリジェクト品として販売する商魂、
個人事業主としては見習らわなくてはならないかとも思います。

リジェクト品といえども数万円致しますので、
購入するにも勇気が必要です。

伺いそびれましたが、どのようなモチベーションで購入されたのか。

「ズボンで隠れるからあり、なし… 」

「目の錯覚ということで、万が一の時は誤摩化せるか… 」

「大っきくなちゃった!…という感じでどぅ…」

などなど、店頭でしばし自問自答されたのかもしれません。
私は迷った時は買わない方が、正解率が高い傾向があります。
0501-28
底面には「R印」リジェクト品の印です。
しかし、これがないものもあるようです。
先日もALDENのハーフソールビンテージスチール併用仕様の
施工を行った際に、つま先に傷があるALDENがありましたが、
底面にはR印なし。

お客さんに確認したところ、購入の段階で確認されていた模様。
箱には「R印」が記載してありました。
なので製造段階ではなく、この場合は店頭や試着の際に
傷が付いた品なのかもしれません。
0501-29
では今回のお題になりますが、思いつく方法は2通り。
長い部分をカッティング。
しかし、このALDENの場合、フチ部分をパイピング処理して
おりますので、パイピングが途切れてしまい見栄えがダメ。

次に、根元部分でカッティングし、短くしてから
元の位置に差し込んで縫製。
これでいけそうですが、繋がる部分の段差の問題や
再縫製が行えるかどうか…が問題です。

一発勝負なので、いくつかの案を右脳の中でシュミレーション。
分解して組み立て、分解して組み立て…
最後まで辿り着ける最良の案を検索…検索…。

ときどき店頭受付で私がだまっている時は、
この作業を右脳で行っており、外観がフリーズしている状態と
なっておりますので、検索結果がでるまで、
少しそっとしておいて頂ければと思います。
0501-36
そんなこんなでようやく検索が終わりましてまずは分解。

はじめはこの部分、触った感じ段差があったので
ベロを途中で継いでいるかと思ったのですが
ベルト部分を外してみますとワンパーツになっています。
0501-40
予想とは異なりましたが、逆に好都合です。
ちらっと見えている文字は、「GENUINE LEATHER」
「本物の革」という表記で革の裏面に印字されているロゴが
ちょうどベロの部分になっております。

ここでようやくカッティングになるのですが、
カット前に一応左右の形状の確認。
作業前からうすうす気付いておりましたが、
ベロの外形が左右で違っておりましたが、型採りして比べてみると… 
結構違ぅ〜。
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修正する側のベロは角部分に丸みを帯びております。
これですと、ベロが縦に10mm長いのですが、そのまま10mm
縮めますと、角が丸い分、今度は短縮した側が短い印象になってしまいます。
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といっても、これを改善する方法がないのでとりあえずカット。
(同様のコートヴァンがあれば、型採りに合わせ、
新しくベロを製作すればいいのですが、手持ちがありません)
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カットしたベロを本体と重ねてみてどのくらいカットすれば
左右の印象が合うのかを確認。
結果9.0mm短くする事で、左右の表面積を合わせるイメージで行います。

次に重なる部分を斜め漉きします。
これと重なる本体側の部分も同様に漉いておきます。
こうする事で互い違いに重なり合うと、段差がなく同じ厚みになります。
当初この部分を触った際の段差は、この部分に補強の芯材が
張合わされておりましたので、その感触でした。
0501-50
そしてカットせず残しておいた裏革を貼り戻し
縫製してから余分な部分を攫います。

この縫製も、右脳で靴をぐりぐり回転させていると、
はたしてぐるりと縫製出来るのかどうかが曖昧でしたが、
受付の際に、実際にミシンにあてて確認したところ、
大丈夫でしたのでこの方法で行う事が出来ました。
ここから縫い始めて… かんどめをぐるっとして…
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もうすぐゴールです。
もとの縫い穴にひと針ひと針縫っていきます。
糸も同じ太さを使い、元通りの縫い跡になります。

そうしまして完成です。
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これで、人前でも目の錯覚とか大っきくなちゃった!とかで
誤摩化さずに、堂々と履いていられるかと思います。

今回はリジェクト品でしたが、ALDENの場合は正規品でも
リジェクト品?と思われるような仕上りの靴も多々ありますので
どうゆう検品基準なのかが疑問ではあります。
良く云えば「アメリカン」ということなのでしょうか…。

ampersandand at 00:30│ 靴修理