2017年09月06日

悲しくなるけど磨きます… オールソール*カラス仕様

確か、こちらはEnzo Bonafeだったと思います。
BEFORE
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ヒドゥンチャネル仕様でしたので、底縫いは見えてきていますが
完全に擦り切れてはいない状態。
ですので、もう少し履けそうに見えますが…。

まずはぞれぞれのピースを分解してゆきます。
ソールを剥がします。
矢印の白と黒のだまは、底縫いの上糸と下糸になります。
この糸も一つずつ抜いてゆきます。
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まれに、不届きな修理店ではこの糸を抜かずにそのまま
底縫いを掛けてしまう輩もいるようです。
それ、次に修理する人が困りますから〜。
そしてウェルトも痛みますから〜。

この状態でも糸が効いていますので、白い下糸を
だまからちまちま引き抜いていかないと、
上糸の黒い糸が抜けないようになっています。

この出し縫いの糸が、漉い縫いの糸を貫通していると
なかなか抜けないのでイライラ…イライラ… 
設定が悪いな〜なんてぼやいてみたりします。

こちらは、ハンドソーンウェルテッド製法のようです。
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ちなみにこちらがグットイヤーウェルテッド製法。
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矢印部分の段差が確認できると思います。
だいたい5.0から6.0mm程度あります。
白い綿テープのようなリヴと云われるパーツを中底面に
接着するので段差ができます。
このリヴを取り付けることで機械でウェルトが
縫製できるようになっています。

上段画像のハンドソールの場合は、
ほぼフラットになっているのが分かると思います。

実際は2.5mm程度の段差があったかと思うのですが、
履き込んでいくうちに革中底が沈み込んで
よりフラットに近くなっています。

昔、ハンドソーンの靴が日本に入りたての頃は、
履き古された海外の靴を分解すると、このように中底加工面が
へたっていますので、これがもともとの設定だとしばらく勘違いしていた、
みたいな話を何かで読んだ事があります。
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ハンドソーンはその名の通り、ウェルトを手縫いにて革中底に
漉い縫いされています。
革中底を加工して直接縫っていますので、ウェルトとの
段差が余りできない為、分厚いコルクを敷き詰めるスペースはありません。
ですので、オリジナルは申し訳なさ程度に
薄いスポンジが施行されておりました。

コルクがたくさん入っている方が凄い!と思われている雑誌編集者の方が
ときどきいらっしゃるようですが、コルクをたくさん入っているという事は
柔らかい分厚いマットレスで寝ているようなものです。
当店では、コルクを再度敷き詰める際には、目の細かいコルクを使用し
適度な堅さを保つように一応考慮して施行しております。

コルクが厚いという事は、それだけ履き込んでいくとコルクが圧縮され、
その分、中底面が沈み込みますのでサイズの弛みなどの変化が
起こり易くなる場合があります。

ですので、靴を購入される際には、始めの段階で羽が完全に閉じきった
サイジングで購入されてしまうと、後々中底が沈み込んだ時に困ってしまいます。
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履き込んだソールは通常、踏みつけ部分の中央が一番薄くなっています。
そこでカットしてみますと、中心部分は残り1.0mm程度。
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この靴はハンドソーンですので、中底とソールとの空間が僅かですので
ソールに穴があいてしまうと、ダイレクトに中底面が痛んでしまいますので
このタイミングでのオールソールがベストかと思います。
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先日のクロケットジョーンズの記事でもありましたが、
ウェルトを削り過ぎ…矢印部分の縫い穴に亀裂が…。
すでに今の状態でウェルトに亀裂は入っていますし、
端からの距離も一部で1.0mmを切っています…。

このような現象は意外と高級靴に多い傾向があるように思います。
それだけ仕上げを攻めているということか、やり過ぎているという事か…。

ではではソール交換に。
今回はヒドゥンチャネル仕様(革を起こして底面に縫い目が見えない仕様)。
ヒドゥンチャネルはオプションですので、私としてはオプションするならば
ハーフソールビンテージスチール仕様のほうが費用も安く、
耐久性もメンテナンスも優れているのでお勧めでありますが、
こちらのオーナーさんは、いつもヒドゥン。

Hidden/隠された チャネル/溝? と云う感じでしょうか。
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そして今回は底面がカラス仕様
「カラス」は烏なんだと思います、真っ黒ですから。
こちらは半カラス仕様、半分黒いバージョン。
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半カラス仕様の記事こちら。

全面真っ黒に染めてゆきます…。
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染めますと、塵やインクの気泡や刷毛跡などなどのムラができますので
それを#800や#1000番手の紙ヤスリで研いでゆきます。
そして最後にメンチュウロウを溶かし込み、気が済むまで磨きましたら
完成となります。
AFTER
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がんばって磨きましたので、いつもより多めの靴底ショット。
黒く染めますと、通常は気にならない凹凸も目立ってしまいますので
仕上げるには、いつもよりも手間が掛かります。

そしてこの磨き上げました靴底も、
ひと足アスファルトに踏み出してしまえば…。
そんな悲しみを堪えつつ、黒く、そして黒く…黒のその向こう側へ…
と磨く、今日この頃…。
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ampersandand at 11:49│ オールソール