2019年03月24日

よろず修理店 ゆずれない時計のベルト篇

引き続き今回もよろず修理篇。
作れるものであれば何でもお受け致します、よろず修理店。
というわけではないのですが、作れるもの、作ってみたいものは
承っている次第であります。

今回はお母様から譲り受けたというWGの腕時計。
ベルトの裏面が合皮でべろべろと劣化、付根は接着のみで外れている状態。
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なぜ身体に接する、しかも蒸れそうな裏面をわざわざ合皮で
製作するのでしょうか…。

しかしケースがホワイトゴールドなのにベルトが合皮って…。
似たような案件ですと、20万円くらいするグッチの革の鞄、
しかし内装が合皮でしばらく使うとべろべろ…。
ブランドはそうなることを承知で製造しているからあくどいですよね。

時計のベルトは本体に通している部分のバーがバネになっていて
ベルトが外せるようになっているのですが、今回の品は
バーのバネ部分が錆び付いて緩まない、無理に外してバーが
使用不可になってしまうとベルトを付けられなくなってしまいます。

そもそもオリジナルは、本体は接着のみで組み立てられていて
バーを通すベルトの輪っかの固定も接着のみでしたので、
そもそもバーは外れない仕様なのかも知れません。

かといって同じように接着で、というのは同様に壊れてきて
しまいますので縫製はしたいのです。
そうなると、本体のケースと留め金をベルトに組んだ状態で
ベルトを縫製していかなくてはなりません。
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幅が狭い…。
幅が狭いとミシンで縫製する際に、抑えが載らない可能性があります。
なので部分試作、綱渡りな感じですが縫製はできそうです。
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恐る恐る…。
なんとか抑えが落ちずに縫製できましたが、あとはケースと留め金部分
のコーナーリングが問題です。
エンド部分はコの字に折り返してくるのですが、
その際に抑えの車輪が先に本体ケースや留め具にあたってしまうので、
接触しないように気をつけながら縫い進めてUターンします。

AFTER
表面/エナメル革
裏面/牛革
エナメルが黒光りするので露出が合わず画像が暗いですね…。
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ご相談の際にははじめ、ヨドバシカメラの時計売り場などで
安くベルトのみが販売されているので、そちらをお勧め致しましたが、
それだとエンド部分の装飾された美錠が変わってしまうので…
ということでオーダー頂いた次第であります。

こういった一品製作ですと、その品に合わせて型紙から製作して
試作、本番とありますので時間がかかる分、
費用はそれなりに掛かってしまいます。
ですので既製品で販売されているモノがあれば、そちらの方が
安上がりかと思います(ベルトであれば種類も豊富でしょうし)

しかし今回の品はお母様から譲られた時計、ということでしたので
エンドパーツが変わってしまうという事は
譲れない部分だったのだろうと思う次第であります。
「モノより思い出」、といいますか、「費用よりモノ」といいますか。

こちらに少しよろず修理品がまとめてありますので
よろしければどうぞ。
ampersand HP
よろず


ampersandand at 00:01│ 鞄と小物修理