鞄と小物修理

2018年10月05日

ロンシャン修理専門店ではないのだけれど… 角擦れ篇

ロンシャンのル・プリアージュは、現在恐らく5種類ありまして

・ナイロン素材の ル・プリアージュ ナイロン
・ストラップが付いたナイロン素材の ル・プリアージュ ネオ
・レザー素材の ル・プリアージュキュイール
・ナイロン素材でロゴの刺繍が入った ル・プリアージュ クラブ
・シーズンコレクションの ル・プリアージュ コレクション

これ以外にもそれぞれのシリーズでカスタマイズできるので…

お問い合わせの際は、「ロンシャンの角が擦れて…」と
どれもロンシャンという括りでまとめられてしまうのですが、
ル・プリアージュナイロンシリーズ以外は、
角の補強に使用する革の色が本体で使用されている革に
似た革のご用意できるかどうか分かりませんので
郵送でのご依頼の場合は必ずお問い合わせ願います。
ロンシャン180903

今の時点で、レザーシリーズのル・プリアージュキュイール以外は
すべて取り扱いをしていると思います。
キュイールは本体がレザーなので補強することもないので
当分こないと思いますが。

それではここ最近のプリアージュコレクションのご紹介。
最新?のル・プリアージュクラブシリーズ。
革の断面、コバの色が刺繍の色に染められているのが特徴です。
ロンシャン180917
すでに完成している鞄の角部分に革を縫い付けるのは、
モーターのミシンでダダダダッとはいきませんので、
場所が場所だけに一目一目、車輪を手回しで回しながら
針を落として縫製しています。
使用する糸もオリジナルと太さを合わせ、
色もそれぞれ取り寄せて使用しています。

AFTER
ロンシャンクラブ01
ロンシャンクラブ00
ロンシャンクラブ02
コバの色はレモンイエローなので、四隅の角補強の革もレモンに染めます。
使用した革は「芯通し」といって革の内部までネイビーに染まっている
革を用いたので断面もネイビー。

ネイビーの下地に直接レモンイエローを塗布しても
色が透けてしまい沈んだ黄色になってしまうので、
始めにホワイトで染めてからレモンイエローを塗布します。

レモンイエローと云っても同じ色はないので、イエローとキャメルなどを
混色して色を合わせています。
1001ロンシャンクラブ03
郵送でのご依頼でしたので到着するまでどんな色なのか
分かりませんでしたが、近い雰囲気の革がご用意できました。
色物というのは、画面上で確認しても実物と異なる場合がほとんどなので
現物確認するまで取り扱ったことがないカラーについては
同じ雰囲気の革がご用意できるかご案内できません。

続いて猫、シーズンコレクションでしょうか。
写真を撮っていると、なんだか帽子をかぶったやんちゃな雄猫に
見えてきました。
こちらのお客様は前回ナイロンシリーズのレッドを同じく
角補強されて今回は猫も。

すでにプリアージュを使われている方は、すぐに角が擦れる事を
経験済みなので、新しく購入した段階で新旧合わせて
革補強をご依頼頂く事が多いです。
AFTER
ロンシャン180921ロンシャン180922ロンシャン180920

続いて定番のル・プリアージュナイロンシリーズ。
革がブラウンでコバはブラックに統一されています。
オーダーでカスタムされています、ナイロンのコンビカラーにイニシャル刺繍。
取り扱いが多いので、わたしもだんだんロンシャン通になってきました。
AFTER
ロンシャン180923ロンシャン180924ロンシャン180925
ナイロンコンビ・イニシャル刺繍無しタイプ。
ロンシャン180918ロンシャン180919ロンシャン180916
こちらはナイロンコンビにエッフェル塔の刺繍モデル。
ロンシャン180911ロンシャン180910ロンシャン180912
そしてこちらが定番のベーシックなモデルとなります。
ロンシャン180909ロンシャン180908ロンシャン180905ロンシャン180906ロンシャン180907

補修費用などについてはHPをご覧下さい。
ロンシャンHPリンク


ampersandand at 14:04|Permalink

2018年07月04日

続 • TUMI 祭り 黒い悪魔とリュック篇

残念ながら赤い悪魔のベルギーに負けてしまったサムライブルー…。
録画したのでまだ観てはいないのですが、ロスタイムでって…くぅ〜。
ブラジルとベスト8とで戦って西野監督が再び勝ってしまうという
マイアミの奇跡は、奇跡ではなかった的なストーリーを考えていたのですが。

ではここからは、黒い悪魔と私との絶対に負けられない戦い篇となります。
TUMIをお使いの方なら誰しも一度は戦った事がある黒い悪魔…。
それはじわじわと攻撃を仕掛けてくる、そう、あれです…。

それは合皮、劣化した合皮が粉となって
ロスタイムに次から次へと波状攻撃を仕掛けてくるのでした…。

「あれなんか汚れているよ背中…」

なんて同僚に指摘されたりするのでしょうか、
はたまた帰宅後にジャケットを脱いでみると、
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「なんじゃこりゃ」と、

松田優作バリの「なんじゃこりゃ」を吐いたりしたのでしょうか。

今回のご依頼品はTUMIのリュック。
何処を治すかというと、ストラップの裏地部分。
ストラップの裏地部分にわざわざそこだけ合皮が使われているんです。
「なんじゃこりゃ」ですよね、わざわざ身体と直接触れる部分で
湿気を帯びやすいところに合皮を用いるのなんて。
でもTUMIにしたらこれはいつもの仕様なんです。
ビジネス鞄のモデルでも、付属のストラップの肩当ては何故か裏面が合皮。
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肩当てならその部分だけ合皮を剥がして革に交換してしまえば
容易く交換できるのですが、リュックのストラップとなると…
ストラップの下側はメッシュのナイロン生地なので
そのまま上側もメッシュにしとけばいいじゃんかと。

そこを謎のこだわりで合皮を使いたがるTUMI。
そのこだわりを変えないが為に、修理と称してしばしば当店を
ご利用頂けているという利益相反な文章になってしまうのですが…。
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表面はいつものように革を使っています。
しかもわざわざ斜めに切り返しをいれている。

さぁどうしたものか…。
普通に考えたらストラップを外して新しいものに差し替えるという方法と
合皮部分の面に革で覆ってしまうと云う感じでしょうか。

ちなみに合皮部分だけを外して交換というには、
このストラップはわざわざ、革と革とナイロンメッシュと合皮の
四パーツを斜めに切り返しで縫い合わせてあるので、これを一度分解して
再度、縫製し直すというのは現実的ではありません。

そしてそれを行うには、ストラップを本体から分離しなければ
ならないのですが、本体の部分にファスナーやら蓋のパーツやら
側面パーツ、胴パーツなどと一緒くたに縫い合わせられているので
この部分を分解するのもちょっと現実的ではないかなと。
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「現実的ではない」というのはできないという事ではなく、
やってやれない事はないが、分解、組み立て費用のほうが
掛かってしまったり、また素材的に再縫製すると解れやすい
同じ位置で縫製できない可能性があるなど、
補修部位以外のことで費用や問題がでてしまうという状態になります。

お客さまとどうしましょうかね〜なんてお話ししておりましたら
お客さまが、カバーみたいなものをつけられないかと。
始めは、合皮部分にくるっと革のカバーで巻いて、ホックボタンで
固定という感じから、それでは靴下のように革のカバーをストラップに
通す感じでということで話が盛り上がり、その方向で進める事に。

しかし盛り上がったはいいが、実際に不定形のストラップに
ぴったりと靴下を履かせられるのだろうか…
と、お客様が帰られてから、やや心配になる店主なのでした…。
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そういう時は、頭で考えていても私の右脳では処理能力の限界があるので
アナログに手を動かしてみるのが結局は手っ取り早いですね。
ストラップの型採りを行って裁断型をつくり、
試作用に革でまずはあたりをつけようかと。
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水色のリザード型押しの革なので、使い道がないので試作用になっています。
縫い割り縫製したら、くるっと脱いだ靴下を戻すように裏表反転。
断面が電話のマークみたいです。
それでは恐る恐る通してみます…
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どんぴしゃなんですねぇ。by じゅんいちダビッドソン。

三回くらい試作しないと合わないだろうなと思っていましたが
わたしもそれなりに腕が上がっているようです。

長さも筒径もジャストなんですねぇ。
筒の太さが変化して尚かつうねうねしているので、ちょっとこの方法は
無理かも(お客様には駄目な場合もあるということで)と思っていたのですが、
やってみると、

どんぴしゃなんですねぇ。

では本番なんですねぇ。
試作より本番の革の方が0.6ミリ厚いので、黒革を同じ厚みに
漉き機で漉いていきます。

0.6mmでも直径にすると、左右で合計1.2mmになるので
直径×3.14だと、4.0m弱円周が増える事になってしまうので
ぶかぶかになってしまいます。
実際は内寸になるので問題ないかもしれませんが、
作り直しは嫌なので、試作と同じ設定で。
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この抑えの金具と下で回っているドラムの刃の隙間を通ると
その隙間の分だけ革が薄く漉かれていきます。
あまりこのぐらいの大きな革をこの漉き機では漉かないのです。
通常は、革と革が合わさる10mm幅だったりとか端の部分を漉くのが
メインな機械ですねぇ。
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試作と同様に革の靴下を履かせていきます。
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根本まで通したらあとは縫製して固定になります。
固定は付根部分で通常とおり横にたたたと縫い目をいれて
しまおうと思ったのですが、リュックのストラップの付根部分は
一番負荷が掛かりやすい部分となります。

荷物の重量もありますが、荷物を取り出そうと片側で背負ったり、
背負う際にもう片側をぐっとひっぱられたりなど。

ですのでリュックの付根部分でストラップが裂けてきて
修理ということもしばしばあります。
(修理は構造的に難しい場合もあるのですが)
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ですので、その付近に新たに縫い目を入れてしまうのがちょっと怖い。
縫うと云っても、針で穴をあけて貫通させている訳なので
見方を変えれば切り取り線みたいなものです。

なのでしばしば鞄のストラップの根革や、持ち手の付根部分の
縫い目で負荷に耐えられずに革が裂けてしまうということを
実際に経験されていらっしゃる方もおいでかと思います。

ですので、あとあとの包まれたストラップのメンテナンスが
必要になった場合のことや、それらの縫い目の負荷も考慮し、
根本とエンド部分にはステッチをワンポイントで入れる事で
固定する方法に致しました。
結局、この革の靴下が下がってこなければいいだけなので。

こういった靴下を履かせるようなお初の補修事例は、
これまでデータがないので、何が良いのかが
その他の経験値から判断して決めていくしかありません。

ですので、通常とおりに付根に横一列縫製してしまっても
問題ないのかもしれませんが、ここは後々問題が起こったとしても
挽回ができる仕様で補修しておく事がベターなんですねぇ。

AFTER
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背負って持ち上がると、後付け感がでないように
付根が本体に入り込んで見えるようになります。
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薄々お気づきかもしれませんが、途中から語尾が
じゅんいちダビットソン風になっていたんですねぇ。
ワールドカップウィークなのに、あまりTVで見かけない
じゅんいちダビットソン。

本田選手も代表引退ということなので、ダビットソンはこの先
大丈夫なんでしょうかねぇ…と思う今日この頃。
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関連記事
TUIMI 祭り(トゥミフェス) 2018 梅雨明篇はこちら。

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ampersandand at 21:23|Permalink

2018年07月03日

ロンシャン ル プリアージュの角擦れ補強。 ご依頼が多いので抜き型つくっちゃいました篇

LONGCHAMP LE PLIAG

角、すぐ擦れちゃいますよね…。
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最近は新品の段階で革にて角補強をする方も増えてきました。
軽くて使いやすいので何度もリピート購入される方が多いようで
その為、すぐに角が擦れるのも周知の事実。
であれば、始めに補強してしまおうという事のようです。

新品の段階でも、すでに穴が開いてしまった場合でも
費用は変わりませんし、見栄えも変わりませんので
お好きなタイミングでご依頼頂ければと思います。

ちなみに角の補強ではなく、内側から少しつまんで縫製する事で
穴が開いた部分は塞がりますが、結局はまたすぐに穴が開いてしまうので
繰り返しているとどんどん鞄が小さくなってしまいます…。
のでロンシャンの場合はおすすめしておりません。
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ご依頼が多くなると一つのプリアージュにつき、四箇所補強パーツが
必要になるので裁断も大変です。
しかも正円にカットするのって案外難しいので。
40個くらいカットすると気に入らないのが3個くらいでます。
私の腕のせいなのですが…。
カットしましたら断面にオリジナル同様にブラックで塗装を行います。
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次に三角に縫製してとんがりコーン状態にします。
これをプリアージュに縫い付けていきます。
もともとの縫い割りの位置に合わせてセットし縫製していきますので
後付け感は全く感じられない仕上りになります。
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そうしまして完成となります。
革の色はブラックとブラウンのご用意があります。
それ以外でも対応できますのでご相談下さい。
プリアージュ 角擦れ補強
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ナイロン生地ですと擦れればそのままいずれ穴が開いてしまいますが、
革の場合はメンテナンスを日頃から行うことで現状維持が可能です。

メンテナンスというと「ちょっと面倒くさいな」思われそうですが、
皮革用の保湿クリームをささっと塗布するだけですので簡単です。
お勧めのクリームは、コロンブス社のブリオクリームです。

保湿成分には化粧品にも添加されている、ホホバオイルが配合され、
ビーズワックスとヒマワリワックス天然成分も配合されています。
有機溶剤は使われていませんので安心してお使い頂けると思います。

無色なので爪の間に入って汚れる心配もありません。
というか、手につくと手もすべすべになっています。
もちろん今回の角補強にも仕上りの際に保湿で使用してあります。
*店頭でも僅かではありますが販売しております。

[コロンブス] columbus ブリオクリーム BRILLO (ムショク)



付属のコットンを使用するより、Tシャツの端切れなどの生地を
使用した方が塗布し易くクリームも無駄にならないかと思います。

今回は間に合いませんでしたが、抜き型、届きました。
これで無駄なく裁断することができる今日この頃…。
それにしても硬い鋼を図面と寸分の狂いもなく成形する技術は凄いなぁ
と思う今日この頃…。
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ampersandand at 20:19|Permalink

2018年07月01日

TUIMI 祭り(トゥミフェス) 2018 梅雨明篇

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TUMIの持ち手革交換は何かの法則なのか、急にまとめて
どさっとご依頼が集中することがしばしばございます。
わたしはそれを「トゥミフェス」としてひとり盛り上がっている
次第であります。

TUMIのナイロンは防弾チョッキの素材だけあってか
通常であれば持ち手がこんな状態になっていれば底の角は
おのずと擦り切れているのが通常ですが、いまのところ毛羽立っている
鞄はよくありますが、擦り切れて解れている状態のTUMIは
まだお目にかかっておりません。

BEFORE
ナイロンのベースに革を巻いているタイプ。
ベースのナイロン部分は、時代によって織り目が異なっているみたいです。
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BEFORE
革に革巻きタイプ
手に触れる部分がカリカリに変質ってしまうのは分かるのですが
付根部分までどうしてカリカリになってしまうのでしょうか…。
汗がじわじわ浸透してしまっているのでしょうか。
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革に革を巻いているので剥がしても革がでてきます。
革に革巻きタイプは、ナイロンベースに比べて革に革を巻いているので
その分、手に持つ部分の厚みはかなりしっかりとしています。
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分解して新たな革を縫い付けていきます。
鞄が重いのでTUMIの革巻き交換は指先がつりそうです。
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* * * * * * * * * * * * * * * * * * 

AFTER

TUMIの持ち手交換で使用している革は、タンニン鞣しの革を用いております。
ですので、使い込む程にしっとりと手に馴染み艶が増していきます。
厚みはオリジナルより若干厚めの革を用い、適度にオイルを含んでおりますので
通常より乾燥し難くなっています。

ナイロンに革巻き
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革に革巻き
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革に革巻き
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冒頭でナイロン生地のTUMIは持ち手がボロボロでも底の角は
まだ問題がない事が多いとお伝え致しましたが、
それではオールレザーのTUMIではどうかといいますと…
BEFORE
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そこはTUMIでも革は革ですので、他の革製品同様に擦り切れております。
そして本体も擦れが目立つ鞄が多いです。
持ち手交換の際には、角や全体の色褪せなどを確認されてみてください。

全周パイピングを交換するという方法もありますが
痛んでいるのは底の角部分だけですので、部分的に交換致します。
TUMI以外でもそうですが、このようなブリーフタイプのパイピングは
革が何重にも重なっている部分があったりしてフチの厚みが
変化しているのでちょっと厄介です。
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上から二重に被せてしまう方法もありますが、今回は痛んでいる部分を
切除して巻き直します。
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巻き直すと擦れて色褪せている周囲と新しく巻き直した黒革で
色の差が出てしまうので、境目や周辺は補色をして色も馴染ませておきます。
全体的な補色については別途補色費用が掛かります。
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AFTER
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底の角を痛めない為には、なるべくざらざらした路上には
置かないぐらいの対処法しかありません。

それとなにより日頃からのメンテナンスがとても重要になります。
持ち手部分はどうしても、手汗や手垢で革自体が変質しやすいので
仕方がありませんが、底の角部分や全体の乾燥は日頃の保湿ケアで
かなり寿命が違ってきますのでぜひ行ってみてください。

と、毎回力説しておりますが恐らくほとんどの方は
やらないんでしょうね…。
それでも一応メンテナンス商品をご紹介しておきます。
お勧めのクリームは、コロンブス社のブリオクリームです。

保湿成分には化粧品にも添加されている、ホホバオイルが配合され、
ビーズワックスとヒマワリワックス天然成分も配合され表面の
保護も行えます。
有機溶剤は使われていませんので安心してお使い頂けると思います。
使い方はいたって簡単、薄く塗布してから軽く
乾拭きするとほどよく艶がでます。

完全に白くしらっちゃけてるような擦れは別途補色が必要ですが、
軽く擦れた程度であれば、このクリームで保湿することでしっとりと
目立たなくなります。

*店頭でも僅かではありますが販売しております。

[コロンブス] columbus ブリオクリーム BRILLO (ムショク)



付属のコットンを使用するより、Tシャツの端切れなどの生地を
使用した方が、塗布し易くクリームも無駄にならないかと思います。
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ampersandand at 22:58|Permalink

2018年06月30日

しびれる手縫い。

ときどき業者の方から外注を受ける事があるのですが、
こちらは家具や文化財などを修理されている方からのご依頼品。
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100年とか200年とか前の?古い木製のトランクに付いていた
持ち手の製作になります。
両サイドの窪んだところに金具や革ベルトでトランクに固定される
仕様となっています。

歪んだ形状からもとの寸法を推測し製作していきます。
厚みが8.0mm程度あるので、このような持ち手は裏表に銀付き革を用い
間には床革などが用いられております。
現在販売されているトランクや厚手の持ち手のものは、
芯材には圧縮した紙を用いられていることが多いいようです。

今回は私が持ち手を製作し、取付ける際には本体の経年変化に合わせて
ご依頼の職人さんがエイジングを行うという段取りになっていますので
紙の芯材を用いてしまうと、エイジング処理の際に始末が悪くなりそうなので
すべて革を用いて製作する事にしました。

まずは失敗…。
180606009
何年か前に他の業者さんからこのタイプも持ち手の製作を30本ほど
ご依頼頂いた事があったので
、製作に当たって問題点は
特になかったのですが…製作してみるとなんだか柔らかい…。
こんな硬さだったかしら?と。

その時の持ち手30本
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使えなくもないのですが、トランクの大きさが浴槽ぐらいあるので
ちょっと頼りない感じも致します。
で、作り直しです。

作り直しでの仕様は、裏表の革は変えずに
栃木レザーさんのタンニン鞣しのオイルレザーを用い
芯材には靴底に使うベンズを採用する事にしました。

ベンズは牛のお尻部分の革で一番繊維が詰まっている部分になり
靴底用ですのでプレスを掛けて硬く仕上っています。

この組み合わせが採算を考えなければ、最硬なんじゃないかと思われます。
オイルレザー裏表/3.2mm
芯材ベンズ/5.2mm
合計8.4mm

しかし最硬なだけに縫うのが大変なことに。
以前30本製作した際は、厚みは10mmでしたが八方ミシンでぎりぎり縫えたので
今回もミシンでさくさくと…。
しかし縫ってみると縫えない…、縫えないというか針は貫通するのですが
繊維がつまり過ぎていて、針が革に挟まったまま抜けないという状態に。

そんな時はこのミシン。
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あまり出番のないこのドイツのミシンで縫ってみると、表面のオイルレザーに
ミシンの抑えの跡がくっきりと残ってしまうので見栄えが悪く断念…。

このミシンは、サドルレザーとかベンズなどの表面が硬い革や
抑え跡が目立たない革を縫製するのに適しているのかもしれません。
表面にオイルレザーを貼り合わせている今回の革の縫製には
不向きなようです。
しかし靴底を縫うミシンではこの不定形は綺麗に縫えないので
残すは手縫いということに。
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まずは穴開け。
菱目打ちでは8.0mm以上ある厚みは当然貫通できないので
一目一目菱切りで貫通してゆきます。

不定形なので穴あけの際は、左手で持ち手を抑えながら
裏面に垂直に針がでるようにちらちら裏面を確認しながら
右手で菱切りをくりくりと貫通していきます。
二本目を穴開けし終える頃にはおのずと手や腕がじんじん…。
逆に硬過ぎて取付けが心配になります。

これは以前製作した別の持ち手の試作品の画像になりますが
こんな感じで少し中央をたわませて取付けます。
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穴開けし終えたところをひと穴ずつ麻糸で縫っていきます。
縫いの行程は同じテンポと力加減で、
ひたすらシュルシュルとシュルシュルと…。
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縫い終わる頃には程よいだるさがありますが、
手縫いには達成感があるので嫌いではないのです。
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手縫いだと糸を引く強さで縫い目の締り具合がかわり、
それによって縫い目のぽこぽこ感が違って見えます。
強く引けば縫い目がよりぽこぽこしていきます。

今回は適度な力加減で縫った感じですが、
最後に糸目を叩くかどうかしばし悩みます。

糸目がふっくらとしている感じもレトロな感じでいいかなとも思うのですが、
ちょっと主張し過ぎかなとも。
100年経過した持ち手なら、糸目も落ち着いて見えてきているはずでは、
ということで糸目を軽く木づちで叩いてふっくら感を
落ち着かせて完成となります。
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今回はトランクの内装交換もご依頼頂いたのですが、
その過程はご依頼主さんのご希望により、今回は公開NGとなっております。
外注でご依頼頂く案件は面白いものが多いのですが、
しばしば大人の事情で公開NGがつきものです。

こちらは先程の30本の持ち手をご依頼頂いた際に、
実際に使用されているところの画像提供して頂いたものとなります。
(もちろん許可は頂いております)
UNITED ARROWS 京都店にて。
鞄の持ち手ではなく店舗の什器の引き出し?の引手として使用されております。
6年前なのでそれから改装されていなければまだあると思いますが…。
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「外注 その後…」 UNITED ARROWS 京都店にて。

ちなみに外注だとこんなものも以前製作していました。
ナイフケースの製作依頼です。
一般のお客さんからは流石にご依頼はない事例です。
ご家庭でこんなナイフは使わないですからね。
これは確か工場でタイヤだったか、なにかゴムをカットするナイフと
伺った記憶があります。
sheath knife case
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作れそうなものは承っておりますので
ご依頼お待ちしております。
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ampersandand at 11:46|Permalink