クラークス

2017年06月15日

クラークスの修理専門店ではないのだけれど… その弐

「Although it is not a repair shop specializing in Clarks…」no.2

前回までのあらすじ

履き込んで中底が馴染んできますと、自分の足型に中底が沈み
凹凸がついてゆきます。
沈むということは、靴内部の容積が増えるという事なので
サイズが緩んでしまうと云う事にもなります。

それと同時に、本体の革も伸びていますので、
オールソールの頃にはゆったりめになっている場合が多いようです。
ですので、インソールを入れて履かれていたり、
羽が完全に閉じてしまっている靴も見受けられます。
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画像は革中底表面にバフ加工を行い、靴内部の湿気が吸湿され易いように
表面処理を行っております。

よく、革底から湿気が抜けると思われている方が多いようですが
実際は、中底が革の場合にはその部分へ吸湿されたり、
またはライニングが革の場合もその部分に吸湿されます。
もちろん、履き口からも放出されてゆきます。

靴は、一日履いたら休ませる事が必要と云われますが、
それはそのお休みの間に、それらに吸湿された湿気が
今度は排出されると云う訳です。
これが、革のすぐれた性質である吸排出効果というわけです。

この間もお客さんとそんな話しておりましたら、
「わたしも底から湿気が抜けるというのはおかしいなと思っていました」と。
であれば、「履いた後で靴底を触ると湿っていなければなりませんしね」と。
「確かに〜」ですね。
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ソール交換の際には、元の中底から型取りしまして
中底を革にて交換しますので、新品時のように中底面はフラットに戻ります。
またしばらく履き込んで頂ければ、足型の凹凸に癖がついてゆきますが
オリジナルのようなフェルト中底より素材強度があります。
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革中底を取り付け、底縫いを掛けましたら
それぞれご指定のソールを取り付けまして完成となります。
AFTER
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DESERT TREK
#2021/サハラカラー
スポンジ素材によりかなり軽量化され、クッション性があります。
ブラウン系のアッパーと合わせますと、クラシカルな雰囲気に。
ソールカラーは、ブラック/ダークブラウン/サハラより選択可能です。
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DESERT BOOT
#4014/アイボリーカラー
スポンジとラバーが混ざったような素材で
耐摩耗性と弾力性のバランスがとれています。
ソールカラーは、ブラック/アイボリーより選択可能です。
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DESERT BOOT/DESERT TREK
vibram #2060/サハラ(サンド)カラー
2021とほぼ同じですが、こちらはヒール部分に段差がついています。
2021より若干色味が濃い感じです。
ソールカラーは、ブラック/ダークブラウン/サハラより選択可能です。
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DESERT BOOT
クレープソール/ブラック染め
オリジナル同様の天然クレープ素材です。
この独特の履き心地は快適なのですが、ねちゃねちゃ症候群さえなければ…。
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DESERT BOOT
vibram #1136/アメ色
硬質なラバー素材ですので、耐摩耗性は他の素材に比べ
もっとも優れています。
ソールカラーをアメ色にすることで、アッパーのベージュと
相性が宜しいかと思います。
ソールカラーは、ブラック/ダークブラウン/アメ色より選択可能です。

それぞれソールの特性がありますので、ご自身の使用状況により
カスタマイズされてはいかがでしょうか。
以上、「クラークスの修理専門店ではないのだけれど…」でした。
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ampersandand at 21:25|Permalink

2017年06月09日

クラークスの修理専門店ではないのだけれど… その壱

「Although it is not a repair shop specializing in Clarks…」no.1
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続々と毎月ごとに集合してくるクラークス…。
なので、現行品と20年選手が一緒に並ぶ事も。
中底や中敷きの仕様が現行品と違っています。
右/20年選手
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はたまた、新品のデザートブーツをソール交換するというのもあったり。
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クラークスといえばクレープソールですが、
これはソールでは唯一かと思いますが天然素材となります。
ゴムの木の樹液から抽出したものから、天然ゴムを作り出して
使用しています。

ですので、天然素材ゆえに気温によってベトベトしたり
カチカチになったりと変質し易い素材です。
また、素材の入荷時期によっては色合いや堅さにブレがあります。

しかも、接着するにもちゃんと表面を溶剤で処理しなければ
接着不良になるので、余計に手間が掛かったり、知識不足だったりと
修理店によってはあっさりと修理不可の塩対応を
される場合もあるようです。
*普通に修理できますのでご安心を。

では分解。
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クラークスは、ほとんどステッチダウン製法ですので、
底縫いを解きますと、アッパー(本体)とソールにぱかっと分かれます。
クレープソールの汚れ具合のグラデーション。
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分かれますと…
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こんな感じで抜け殻状態です。
ちなみにダナーのステッチダウン製法ですとこんな感じ。
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通常はソールを剥がしてもこのような感じで中底と
アッパーは一体化していて、中底はソール交換でもそのまま残ります。

これらのクラークスの場合は、中底兼ミッドソールとなっております。
ミッドソールと云う名の中底になっていますので、
ソール交換の際には中底も交換になります。

現行品のクラークスは、中底がフェルト状の素材でできておりますので
ソール交換の際にはほとんど亀裂が入ってしまっております。
亀裂部分から底縫いが解けてしまい、ぱかっとなってしまう場合も。
ですので、当店では丈夫なショルダー部分の革中底にて交換を行っています。
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なお、クレープソールはソールの中で恐らく一番柔らかい素材ですので
履き込んでいきますと、徐々に足型に潰れてゆきます。
一般的な靴でも履き込みますと潰れるのですが、クレープソールの場合は
柔らかいので沈み込み方も半端ないのです。
ちょうど、新品と20年ものがありますので沈み込みを比べてみましょう。
左/20年 右/新品
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これでは分かり難いので、定規を宛てて沈み込みを見てみます。
定規の影に注目してみてください。
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影がなみなみになっているのが分かるかと思います。
これは踏みつけ部分と親指部分が歩行の際に
強く踏みつけられているので、ソールが凹んでいるという事です。
最深部は、5.0から9.0mmぐらいは凹んでいるのではないでしょうか。
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右足の親指部分は、ミッドソールも貫通してしまい
クレープソールにまで浸潤しています。

これだけ中底が凹んでいるということは、どういう状態かといえば
いい意味では、「馴染でいる」と云えますし、
悪く云えば「緩くなっている」とも云えます。

ですので、中底が凹むという事は…

眼がしょぼしょぼしてきましたので、今日はこの辺で。
「その弐」に つづく…。

ampersandand at 23:32|Permalink

2016年11月15日

クレープソールの移籍結果 オールソール篇           (革底は蒸れないのか論争、が一部含まれます)

前回までのあらすじ

まだ完全移籍できていない選手もおりますが
冬の移籍結果報告となります。

やはり多いのはイングランドの名門クラブ、クラークス。
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クレープソールは柔らかくて履き良いのですが、
移籍理由の一番は、やはり汚れが付き易い&べとべとしてくる。
これは唯一でしょうかソールでは、天然のゴムで出来ておりますので
夏場はネチョネチョ、冬場はカチカチ…
(この現象発生は天然素材ですので、季節や症状にも個体差があります)

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ソールが柔かいので履き込まれたソールを剥がしてみますと、
そこには足裏の形がくっきりと。
オリジナルは、中底にはフェルト素材が使用されていますが
これはほとんど摩耗や劣化により割れてしまっています。

ですので、オールソールの際には、繊維が詰まっていて適度に柔らかい
ショルダー部分の革中底へすべて交換を行っております。

革中底のメリットは耐久性もそうですが、革の特性である
吸排出機能、湿気を吸い、排出してくれるところかと思います。

よく革底は蒸れにくい、と都市伝説的に云われますが
これは革底が蒸れないのではなく、革中底だと蒸れにくい
というほうが適切かと思います。

また、ライニング(裏革)が革の場合も同様です。
例えばライニングが合皮の場合は湿気は吸いません、
逆にその湿気で合皮が劣化し皮膜がべろべろ…に。

よく婦人靴のライニングには合皮が使われていますが、
一番適していないところにわざわざ合皮を使用していると思います。
(表素材は革なのに裏素材は合皮って… 矛盾しています)

またライニング素材も、牛革ではなく豚革のほうが
より通気性がよいというレポートもあります。
豚革は、その表皮に特徴的な三つ穴模様があります。
この三つ穴は毛穴であり、毛穴が多いい=通気性がよいという
考え方での使われ方をされている感じでしょうか。

革靴はお休みさせる(履かない日)が必要と云われたりします。
これはその湿気を排出させる期間という捉え方もできます。
またその際に、生地仕上げの木製のシューキーパーを入れておくことで
その排出された湿気を素早く吸いつつ、靴の皺を伸ばしたり、
形状を保持する効果もあったりします。

革が湿気を吸っている状態というのは、革の形状の変化が起こり易く、
繊維が弛んでいる状態ですので、その際にシューキーパーを
入れることで効果的なんだと思います。

靴を作る際にも、革が硬かったり、釣り込みにくい革の場合などは
メーカーによっては、アッパーを蒸し部屋に入れて蒸してから
木型に釣り込んだりする場合もあるようです。
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ちなみに、東京都の皮革機関のレポートにも、靴内部の湿気の
60%は靴の履き口から蒸発、残り40%は靴内部に残っているとあります。
(革底から蒸発するという記載はありません)

その40%を、革中底や革のライニングが吸収してくれれば
靴内部は蒸れにくいということになるかと思います。
この吸収された湿気が、お休みさせている時に蒸発してくれる
と云う感じでしょうか。

この「革底は蒸れないのか論争」については
検証を踏まえ、後日レポートに出来ればと思います。

ではでは、ソール交換の詳細については以前の記事を
参考にして頂きまして移籍結果となります。

vibram#4014 /ivory
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こちらはほとんど新品状態ですが、ソールが気に入らないということで交換。
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vibram#4014 /ivory
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こちらはカビが生えたり、ソールが硬化しているので交換。
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vibram#4014 /black
1115-61115-5

レザーソール(伊)/ハーフソール(仏)3.5mm/ラバーリフト(仏)9.0mm
1115-41115-31115-21115
それと、カカト部分の腰革が摩耗しておりカウンター(芯材)が
剥き出しに(矢印部)になっていましたので革にて補修を行っています。1115-24
ソールを剥がした際に、革を底辺まで巻き込んで宛てがいます。1115-10
縫製はすでにある元の縫い穴に針を落として縫製。1115-11

以上、途中で話が逸れましたが、移籍結果となります。

ampersandand at 18:34|Permalink

2014年11月01日

Clarksそれぞれの選択 オールソール*vibram篇

こちらは前回の記事と同モデルのvibram仕様モデルとなります。
こちらは、そこそこ劣化が始まっておりまして、クレープソールも
ぐずぐずになっておりますので、オールソールは相応の処置だろうと思います。
0907-700907-69
0907-73
他のモデルもご一緒にご依頼。
0907-710907-72
クレープソールから多素材へ変更される場合の原因としては
「重いので」というご意見もよく伺います。
今回は、軽量なスポンジ素材のvibram#2021と#2060を
それぞれご選択されました。
0907-780907-79
クレープソールは、底縫いを切ればさくっと離れてくれる場合もありますし
これでもかというぐらい、ねちゃねちゃと本体にくっ付いて
離れてくれないものもあったりと、なんなんでしょうかこの違いは。

剥がれない場合は、ある程度グラインダーで削りとるのですが、
削りますと、亜麻仁油のような匂いがふわっと漂ってきます。
after
vibram#2060/サハラ色
0907-890907-900907-88
vibram#2021/ダークブラウン
0907-910907-92
この二つのソールの違いは僅かなのですが、ヒール部分に繋がる形状が
フラット気味か、または少し窪んでいるかといった感じになります。

フラット気味の#2021のほうが窪んでいない分、印象としては
ソールのボリュームがあるように見えます。
ソール色はどちらも、ブラック/ダークブラウン/サハラ(サンド)
とあります。

なお、デザートブーツは前回のレザーソール仕様事例と
比べてみますとソールの仕様で、デザインが同じでも印象が違って
見えるのが分かるかと思います。
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0907-89


ウェッジソール系で似たようなvibramソールですと
「Tricker's は、我慢が必要。 軽量化篇その2」
記事で使用しましたvibram#2668があります。
こちらはGUMLITEという、ラバーとスポンジを配合した素材となりまして
ラバー素材の耐久性を保持しつつ、重量はラバー素材と比較しますと、
およそ40%軽量化がされております。

他にも似た形状ですと、vibram#4014などなど…いろいろと選択肢が
ありますので、カスタムする場合は悩まれるところであります。
0907-100
ちなみに、こういった明るい色の起毛素材は、汚れが気になります。
重要なのは履く前のケアと日常のケアです。
まずは、おろす前に防水スプレーや汚れ防止系のスプレーを
施し、起毛に汚れが絡み付くのを予防することです。
起毛素材は、汚れてしまうとなかなか汚れは落ち難くなりますので。

そして、日々少しでも汚れがついたのならば、
その日のうちに落とすことです。
時間が経過する毎に汚れは落ち難くなりますので。

ちなみに、こういいった明るい色の起毛素材の汚れ落としは
当店では基本的に行っておりません。
今回は、落ちそうな汚れでしたのでチャレンジしてみた限りです。

それでは次回は「Danner それぞれの選択篇」となります。


ampersandand at 11:02|Permalink

2014年10月28日

Clarksそれぞれの選択 オールソール*Alden風篇

クラークスのオールソール交換も、オールソールのなかでは
カンペールに継いで上位のメーカーとなります。

カンペールの場合は、すでにこのブログではおなじみの劣化による割れで
再起不能な状態での致し方ないソール交換ですが、
クラークスの場合は、まだまだ履ける状態でのソール交換の
ご依頼が多いいというのが特徴ではあります。
BEFORE
1028-21028
ソールのご希望は、Alden風でナチュラルな仕上りでということに。
クレープソールは独特の弾力のある生ゴムが素材となりまして
履き心地も味わいがあるのですが、それ以上にデメリットを感じられる方が
多く、今回も十分厚みは残っている状態からの交換となります。
1027-161027-15
1027-60
ミッドソールは交換となります。
オリジナルは、フェルト状の素材となりますが、しばしば割れていますので
私としては耐久性に信頼がおけませんので、中底に使われるショルダーを
ミッドソールに用いて交換しております。
(ショルダーとは、牛の肩部分の革です、ちなみに本底はお尻の部分、
 ベンズになります)

AFTER
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つま先部分は、当店サービス仕様の強化ラバー埋め込みになります。
底縫いの段階で強化ラバー厚み分を凹ましてから、底縫いを掛けてあります。
ですので、履いていくうちにつま先の糸が擦切れ、
パカッと開いてしまうことはありません。
1027-181027-50
ちなみに、底縫いは一列しか見えませんが、ステッチダウン製法ですので
一旦、ミッドソールを取付けた段階で一度底縫いを掛けてあります。
ですので、底面に見えている縫い目は、本底を取付けてから縫いました
マッケイ製法の縫い目となります。
縫う順番が逆ですが、ブラックラピド製法風な底縫い仕様となります。
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次回、「Clarksそれぞれの選択 オールソール*vibram篇」となります。

ampersandand at 23:55|Permalink