ヒールの傷

2018年05月31日

できればヒールは外さないでおく。

ハイヒールってどうやって固定されているかご存知でしょうか。
知っていれば走らないとは思いますが…。

アジア圏生産の靴なんかは、ホチキスみたいなのでぽちっと
留めてあるだけのものなんかもあります、恐ろしい…。
階段降りている最中にハイヒールがはずれてしまった時には…
ダッシュしている時にぽきっと…

足首をやられる程度で済めばいいのですが…。
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ハイヒールは基本的には釘が5本と真ん中に太めのネジで固定されています。
上画像のようなピンヒール系で付根も小さめのヒールの場合は
打ち込むスペースが無いので、釘2本とネジ1本だったりもします。
今回のヒールが外れてしまった靴は、ネジが3本で固定されていました。
固定方法としてはしっかりとしていますが…
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それでも3本中2本のネジが折れてしまっています。
前側が2本が折れているということは、極端に後ろに体重が
掛かったのかと思います。

この場合は新たにネジで固定するのですが、
ネジの位置というのはほぼずらせません。
ずらして打ちたいのですが、ずらすとヒールを貫通して外観に
でてしまう可能性が高いです。

ヒール付根部分が小さいので、その中で収まるように
ネジを打ち込むとなるとネジの角度や深さは限られています。

ちなみに中央部分に打てそうですが、この部分にはヒール内部に
鉄パイプが貫通されていますのでネジが当たって入りませんし、
中底面にはシャンクという鉄のプレートも施行されていますので
太さのあるネジを貫通させることが難しい状態となっています。

木材でもそうですが、一度開けられた穴に再度ネジを固定すると
当初よりは若干締まりが劣ります。

今回は元の太さより気持ち径が太めのネジを使用し
ネジの食い付きを良くした状態で固定することにしました。

ただヒール固定をご依頼頂く際にはお伝えしておりますが
一度外れてしまったヒールの場合は、以上の理由で
元の強度で固定できない場合が多いいので、
走ったりと階段を駆け下りたりなどの極端な負荷が掛かるような
使用はお控えくださいと。
(万が一外れてしまって、怪我をしてしまっても一切保証はできませんので)

なお、ヒール交換、オールソールなどでヒール自体をを新しく交換して
取付ける場合は問題ありません。

以上の理由でできればヒールは外したくないのでありますが
ヒールに巻かれている革を巻き替える際は、外さなければなりません。

スムース革の場合は、本体の下に巻き込まれていますし、
スタック革巻きの場合は、表面を削って整えるのでヒールを
本体から外さなければなりません。
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ただ画像のようなスタック巻きという革の場合は
下側であればヒールを外さずに部分的に巻き直して補修することが可能です。

だいたいヒールが傷つく場合は下側が多いかと思います。
路上の側溝や階段などの何気ない溝や段差にヒールが挟まったり…

まずは傷ついてる範囲でスタック革のスジに添ってカットします。
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このスタックと云う革は、板状の革を縦に重ねて
それを薄くスライスして作っているのだと思います。
箱根寄木細工は横方向にスライスしていますが、
これは縦方向にスライスしている感じです。

わざわざなんでこんな素材があるのか、ですが、
もともと紳士靴でみられるような積上げを表現する為なのだと思います。
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婦人靴でも大昔はこのように革を一段ずつ重ねて作っていた
時代もあるようですが、製作は大変ですしヒールが細いと
革を積んだ構造では耐えられないので形状に限界もあります。
その名残が現在のプラスチックヒールに巻き付けるこの仕様なのだと思います。
では巻き付けます。
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製品もプラスチックのヒールにスタック革を巻き付け
表面を綺麗に削って整えているので、革の厚み合わず段差ができます。
段差を合わせつつ削り、革の表面を整えていきます。
革の表面は削ったままだと毛羽立っていますので、
コテなどを使って絞めてゆきます。
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あとは茶色に染めてリフトを付けたら完成となります。
すでに染まっている部分も軽く染めて小傷を目立たなくさせ、
合わさり目の色が合うように色を重ねる回数を調整します。
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巻き直しても、初日に階段ぶつけてしまったら…悲しいですね。
ですので部分補修、巻き替えの場合はかなり痛んでからの
ご決断でも宜しいかと思います。

ぶつけて表面がめくれてしまったような状態の場合は、
めくれた革がきれいに残っていれば、その部分を接着して
少し目立たなくもできます。

ちなにみ少し前にテレビで紹介されていた
不死身のパンプスといわれる、FAMZONの付け替え出来るパンプス。
これだとヒールが傷ついたらヒールごと交換できるのでいいかもしれません。
ヒールの固定はワンタッチでカチッとできるようなので簡単みたいです。


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FAMZON HPより
固定強度は問題ないということですが、例えなリフトが擦り減って
土台部分まで斜めに減ってしまった状態で、歩かれるご婦人方は
多数いらっしゃいますが、そのような本来の角度とは違う接地角度で
歩行してしまっている場合でも強度保証の想定内なのかとちょっと心配です。
ワンタッチ構造って、本来と異なる角度で負荷が掛かると
割合簡単に外れてしまったり、割れたりするものですから。

また詳細は分かりませんが、HPを見る限り8.0cmヒールと6.0cmヒール
どちらの高さでも本体に共用で取付けられる?ようですが
2.0cm高さが違うのに大丈夫なのだろうか…

2.0cm違うと踏みつける位置が前後するので、本体がどちらの設定で
設計されているかによりますが、どちらかの高さのヒールでは
歩行の際に履き口が広がって足が抜けやすくなってしまわないのだろうか…
などなど気になる部分がありますが、ヒールと本体で色や素材の組み合わせが
できるので面白そうです。

ただヒールは付け替えて不死身かもしれませんが、
肝心の減りやすいつま先が不死身ではないので、
当店にて不死身のハーフソール仕様にして頂ければと思います。
なお、このFAMZONの靴のリフト交換は出来ないかもしれません。
内部の構造が通常とは異なりますし、ピンの太さも特殊な感じがしますので。
または交換できても、他店にてリフト交換した場合は
ヒール固定強度の保証外なんてこともあるかもしれませんので。
HPアイコンロゴアウトライン


ampersandand at 13:05|Permalink