knife

2018年06月30日

しびれる手縫い。

ときどき業者の方から外注を受ける事があるのですが、
こちらは家具や文化財などを修理されている方からのご依頼品。
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100年とか200年とか前の?古い木製のトランクに付いていた
持ち手の製作になります。
両サイドの窪んだところに金具や革ベルトでトランクに固定される
仕様となっています。

歪んだ形状からもとの寸法を推測し製作していきます。
厚みが8.0mm程度あるので、このような持ち手は裏表に銀付き革を用い
間には床革などが用いられております。
現在販売されているトランクや厚手の持ち手のものは、
芯材には圧縮した紙を用いられていることが多いいようです。

今回は私が持ち手を製作し、取付ける際には本体の経年変化に合わせて
ご依頼の職人さんがエイジングを行うという段取りになっていますので
紙の芯材を用いてしまうと、エイジング処理の際に始末が悪くなりそうなので
すべて革を用いて製作する事にしました。

まずは失敗…。
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何年か前に他の業者さんからこのタイプも持ち手の製作を30本ほど
ご依頼頂いた事があったので
、製作に当たって問題点は
特になかったのですが…製作してみるとなんだか柔らかい…。
こんな硬さだったかしら?と。

その時の持ち手30本
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使えなくもないのですが、トランクの大きさが浴槽ぐらいあるので
ちょっと頼りない感じも致します。
で、作り直しです。

作り直しでの仕様は、裏表の革は変えずに
栃木レザーさんのタンニン鞣しのオイルレザーを用い
芯材には靴底に使うベンズを採用する事にしました。

ベンズは牛のお尻部分の革で一番繊維が詰まっている部分になり
靴底用ですのでプレスを掛けて硬く仕上っています。

この組み合わせが採算を考えなければ、最硬なんじゃないかと思われます。
オイルレザー裏表/3.2mm
芯材ベンズ/5.2mm
合計8.4mm

しかし最硬なだけに縫うのが大変なことに。
以前30本製作した際は、厚みは10mmでしたが八方ミシンでぎりぎり縫えたので
今回もミシンでさくさくと…。
しかし縫ってみると縫えない…、縫えないというか針は貫通するのですが
繊維がつまり過ぎていて、針が革に挟まったまま抜けないという状態に。

そんな時はこのミシン。
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あまり出番のないこのドイツのミシンで縫ってみると、表面のオイルレザーに
ミシンの抑えの跡がくっきりと残ってしまうので見栄えが悪く断念…。

このミシンは、サドルレザーとかベンズなどの表面が硬い革や
抑え跡が目立たない革を縫製するのに適しているのかもしれません。
表面にオイルレザーを貼り合わせている今回の革の縫製には
不向きなようです。
しかし靴底を縫うミシンではこの不定形は綺麗に縫えないので
残すは手縫いということに。
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まずは穴開け。
菱目打ちでは8.0mm以上ある厚みは当然貫通できないので
一目一目菱切りで貫通してゆきます。

不定形なので穴あけの際は、左手で持ち手を抑えながら
裏面に垂直に針がでるようにちらちら裏面を確認しながら
右手で菱切りをくりくりと貫通していきます。
二本目を穴開けし終える頃にはおのずと手や腕がじんじん…。
逆に硬過ぎて取付けが心配になります。

これは以前製作した別の持ち手の試作品の画像になりますが
こんな感じで少し中央をたわませて取付けます。
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穴開けし終えたところをひと穴ずつ麻糸で縫っていきます。
縫いの行程は同じテンポと力加減で、
ひたすらシュルシュルとシュルシュルと…。
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縫い終わる頃には程よいだるさがありますが、
手縫いには達成感があるので嫌いではないのです。
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手縫いだと糸を引く強さで縫い目の締り具合がかわり、
それによって縫い目のぽこぽこ感が違って見えます。
強く引けば縫い目がよりぽこぽこしていきます。

今回は適度な力加減で縫った感じですが、
最後に糸目を叩くかどうかしばし悩みます。

糸目がふっくらとしている感じもレトロな感じでいいかなとも思うのですが、
ちょっと主張し過ぎかなとも。
100年経過した持ち手なら、糸目も落ち着いて見えてきているはずでは、
ということで糸目を軽く木づちで叩いてふっくら感を
落ち着かせて完成となります。
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今回はトランクの内装交換もご依頼頂いたのですが、
その過程はご依頼主さんのご希望により、今回は公開NGとなっております。
外注でご依頼頂く案件は面白いものが多いのですが、
しばしば大人の事情で公開NGがつきものです。

こちらは先程の30本の持ち手をご依頼頂いた際に、
実際に使用されているところの画像提供して頂いたものとなります。
(もちろん許可は頂いております)
UNITED ARROWS 京都店にて。
鞄の持ち手ではなく店舗の什器の引き出し?の引手として使用されております。
6年前なのでそれから改装されていなければまだあると思いますが…。
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「外注 その後…」 UNITED ARROWS 京都店にて。

ちなみに外注だとこんなものも以前製作していました。
ナイフケースの製作依頼です。
一般のお客さんからは流石にご依頼はない事例です。
ご家庭でこんなナイフは使わないですからね。
これは確か工場でタイヤだったか、なにかゴムをカットするナイフと
伺った記憶があります。
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作れそうなものは承っておりますので
ご依頼お待ちしております。
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2013年03月04日

sheath knife case

大田区の工場さんからのご依頼です。
刃物を裸で持ち歩いているので危ないからケースを作って欲しいと。
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刃渡り40cm、全長60cmとなかなかの武器ですね。
曲がり角で出会い頭にぶつかろうものなら… 一撃必殺と云った感じです。
いままでご無事でなによりです、ケースは必須ですね。
ちなみに隣のちっこいのが、私が愛用しております製甲用の革包丁になります。
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刃物のケースの場合は、通常のように革を合わせて縫う構造ですと、
中に仕舞う際等に刃で縫い目の糸を切ってしまいますので、
スペーサー的なもの、シースケース業界では中子というみたいですが、
当て革的なパーツを挟み込みます。
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黒く縁取られた部分が中子になります。
刃物の厚みが3.0mmありますので、3.0mmほどの段差がつけてあります。
サンプルのナイフが一本お預かりしたのですが、
当初は現物のナイフ無しで、ナイフをトレースした
図面で製作ということでしたが、それはちょっと寸法などが心配なので
工場で使用している一本ををお持ち頂きました。

しかし製作は二鞘。
それぞれのナイフのサイズ誤差が分からないので、
キモチ余裕を持たせて製作してあります。
作り直しは時間的に厳しい状況ですので…。
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金具の皿で傷がつかないようになどで裏革をあてたりして、
本体部分の革の厚みは8.0mmほどとなり、17ミシンで縫えなければ、
八方ミシンでコトコト(手動)と縫製しようかと思っておりましたが、
ぎりぎり17ミシンでダダダダだー(電動)と。

意外といけるんじゃんっ!と発見であります。
ミシン購入後にちまちまと調整していた際には、4.0mm厚ぐらいで
根をあげていたのですが、その後の微調整で
実力が発揮できるようになっていたようです。
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革を6から8枚貼り合わせておりますので、コバの部分を
削ってツラに整えます。
工場内で使用する実用本意のものですので、装飾品のように
トゥルトゥルに磨き上げる必要はないのですが、一応ツヤっとするぐらいには。

そーして完成です。
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自立するぐらいのしっかりものです。
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これで出会い頭のバトルは防げるのではないでしょうか。

そういえば昨日、3月3日で2周年目を迎えることができました(祝)
今年もなにもイヤーズモデルを作ることが出来ずに… 
来年こそは、3周年で3月3日ですから何としてでも
何かしらとは思っております今日この頃… 。

追加注文分

<業務連絡>

しばらくの間、業務多忙により営業日が

金 / 土 / 日 のみとなっております。

ご迷惑をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。

ampersandand at 17:34|Permalink