2011年04月03日

 中国では4月3日から5日まで「清明節」のお休みとなります。「清明」というのは、1年を24等分した「二十四節気」の1つで、そろそろ春風も吹きはじめ、花が咲き始める頃とされています。

 中国では一部の地方で「清明節」を「鬼節」ともいわれているように(中国語で「鬼」は死人の魂の意)、この時期に墓参りをする習慣があります。家族総出で墓を掃除したり(そのため、「掃墓節」という呼び名もあります)、供え物をしたり、「紙銭」と呼ばれる紙の紙幣を焼いたりして先祖の霊を供養します。

 そして、テレビ・新聞では「清明節」関係の記事を報道するわけですが、この時期、毎年恒例行事のように「墓不足」のニュースが取り上げられます。中国のインフレについては、かなり日本でも報道されており、不動産価格の高騰やそれに伴う政府の対策などが記事になっております。

 しかし、不動産価格が値上がりしている以上、自分たちの住むマンションだけでなく、死んでから入る墓を入手するのも大変になってきており、この時期よくその話題が取り上げられることとなります。

 例えば『南方日報』に「炒墓地堪比炒房 均价3万每平米价格直逼别墅」(墓に投資するのは家に投資するのと同じ、1平方メートルあたり平均3万元という価格は別荘に匹敵)という記事http://bnchina.news.huanqiu.com/finance/roll/2011-03/1600606.htmlが掲載されておりました。

 この記事によると、広州市の墓の価格はどれも3万元(45万円位)以上で、価格は6万~13万元の間といったところで、1平方メートル当たりの価格でみると既にマンションの価格より高いそうです。そして、中国のインフレを裏付けるものとして、ある会社によると墓の価格は会社が設立されてからの12年間で5倍になったという発言も紹介しております。

墓
              (中国の墓、上記HPより)

 こうした状況を受け、入院している老人は、生きている時は、医療費等が高く、生きることができないが、いざ死ぬとなると、墓も買うことができず、死ぬこともできないと嘆いているそうです。
 
 こうした状況を受けこの記事では、墓を買うことできない者が多いため、公共墓地の提案などをしております。上記のように毎年の恒例記事で、政府もこのことはよくわかっているため、遺灰を海など自然に帰す「散骨」(自然葬)などの推進を提唱しています。

 政府の言い分としては、墓をつくるとなると木材や石など、いろいろな資材が必要となり、限りある資源を有効に使うためにということがあるようですが、やはりそう簡単に割り切れないのが、難しいところです。また、中国の風水思想や、隣近所に対する見栄などから大きな墓をつくりたがる人もいる様でそうした面からもなかなか難しいようです。

 実際、鄧小平の散骨などは記憶に新しいところです。ただ、彼の場合は万が一、今後政変が起こった場合、墓を暴かれて辱めをうけるのを恐れてという話もありますし、当然経済的理由から散骨を選択したとは思えませんが。

 自然葬は何も海へ散骨する「海葬」だけでなく、散骨地に木や花、芝などを植える「樹葬」「花葬」「草葬」もあると聞いたことがあります。また、最近ではネット上の墓に葬ったことにして、ネット上で参拝するネット供養などもあるようです。

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凜amuro001 at 17:04│コメント(0)トラックバック(0)中国インフレ │

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