2011年09月11日

 やはり今日は9月11日で、あれから10年といったような特集がいたるところで目にしたので、アメリカ同時多発テロと中国という感じで少し。

 『人民網』や『環球網』は特集頁を開設するような力の入れようで、かなりの量の記事が掲載されております。本来であれば斜め読みでもある程度読んで書けばよいのでしょうが、さすがにこれだけあると、とても全部は読み切れないというのが正直なところです。

 そのためやはり読んでいて面白い『環球網』を基にブログを書かせていただきます。特集の標題からして興味深く「”9.11”から10年、世界に何をもたらしたか。 国内外の専門家・海外特派員が読み解く”変わったところ”と”変わらないところ”」となっております。

 先に当時の世界情勢を少しだけ振り返っておくと、当時アメリカはブッシュ大統領で、チェイニー副大統領やラムスフェルド国防長官といった「右派」が外交を仕切っておりました。更に、1999年の中国在ユーゴスラビア大使館がNATO軍によって誤爆されたことの影響や、2001年8月に海南島でアメリカの偵察機と中国の戦闘機が空中衝突するという事件があり、かなり米中関係は悪化しておりました。

 それを一挙に変えたのが9.11です。「テロとの戦争」を訴えたアメリカに対し、国内に民族問題を抱える中国やロシアがそうした過激な分離独立派をテロとして弾圧することをアメリカが認める代わりに、アメリカはアルカイダ組織などに対する国際協力を取り付け、関係改善をはかりました。

 相変わらず長い前置きですが、”9.11”によって何が変わったかというと、皆いろいろなことを書いております。テロの影響で多くの者がニューヨークを離れることとなり、経済に悪影響を与えたという者もいれば、アフガン、イラクと立て続けに「戦争」を行うこととなり、結果アメリカは「パンドラの箱」を開けてしまったという者もおります。

 当然、あれだけのことが起こったので、海外派兵の増加とか、飛行場での安全チェックの強化とか様々なことが行われました(変わりました)。ただ私がこの記事の中で一番興味を引かれたのが、「価値観以外は皆変わってしまった」として、変わらないものとしてアメリカの価値観を挙げているところです。

  アメリカ人の価値観はずっと変わっていない。彼らは、米国の先進的な民主という価値観はおくれている過激派は受け入れられないと考えている。政府がどのように変わろうとも、アメリカの長期核心戦略はすべてアメリカの民主的な価値観を推進することだ。
 
 この核心戦略はずっと変わっていない。全てはこの戦略のための道具(手段)にしかすぎず、だからこそ、反テロはアメリカにとってアメリカが覇権を維持するための新しい道具(手段)となっている。


 所詮アメリカと中国の関係が改善したのは、反テロという点で利害が一致したからに過ぎず、その他の点は何一つ変わっておりません。そのため、アメリカは人権問題などでは相変わらず中国を批判し、中国はそれに対して反論し、アメリカ的価値観を押しつけるな、覇権主義を棄てろとアメリカを批判するわけです。

 もう1つ興味深かったのが、『環球網』で「過去10年、アメリカは戦略の中心を反テロに置いてきた、現在情勢が少しづつ変わりつつあり、中国が次ぎの目標ではないかという意見がある、どう思うか?」というアンケートを行っていたことです。

 9月11日22時現在、この見方に賛成する者が83%、反対するものが17%となっております。中々興味深いのが、その中に書き込まれた意見で、「アメリカの野心は大きく、中国はアメリカに平和的態度で臨むが、アメリカはそのように中国に対しない。」という如何にも中国政府の公式見解をそのまま書き込む者もいれば、「戦争を希望する。戦後は新しい時代がやって来る。」タカ派的意見を述べる者もいます。

 だた、その一方で最近の『環球網』における望ましい変化だと思うのですが、結構中国政府に対する批判を書き込む者も出てきております。実際、「汚職官吏を殺すことを手伝ってくれ」とか「アメリカを支持する」といったものもありました。

 ただ、個人的に一番受けたのが「NATOが部屋を提供してくれること、仕事と自由で幸福な生活を探してくれることを期待する。」というものです。笑っては失礼になるのでしょうが、住宅の問題を真っ先に持ってくるなど、中々うまい現代中国(政治)に対する批判となっているなと感心してしまいました。



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凜amuro001 at 22:13│コメント(4)トラックバック(0)中国外交 │

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この記事へのコメント

1. Posted by 高田 亨   2011年09月12日 16:07
今回のエントリも、いろんな意味で面白かったですね。
私は9/11の時にちょうどボストンに居たのでいろいろと個人的にも思い入れがあります。
(ブログにも今日、少し書きました)

しかし、中国から見ると9/11 は米中関係を変えた契機として見えるわけですね。
まあ、それはそうなのでしょうね。
彼らとしてはまたアメリカの敵意の的になってくれる新たな存在を欲しているということでしょうか。
ロシア専門家の端くれだった私としてはロシアがその標的になりつつあるのも感じます。

環球網のアンケート結果も非常に面白いですね。
住宅問題が出てくる所がいかにも中国人らしいプラクティカルさというかw 素直と言うかw

まあ、ただ9/11のようなことは、もうほとんど起こらないでしょうし、米国が中国に向ける視線の厳しさが今後強くなるのは変えようがないかもしれませんね。

2. Posted by    2011年09月12日 21:06
>高田 亨 様

 そうですか、ボストンにおられたのですか、後でブログ拝見させていただきます。 

 確かに、反テロという共通の敵がいる内は問題ないのですが、それが弱まると、いろいろ対立が起こるというのは、いつの時代でもあることかと思います。

 さすがにこうしたアンケートの書き込み1つ1つまでは政府の検閲も及ばないのか、いろいろ面白い書き込みが増えており、楽しみではあります。
3. Posted by taka   2011年09月13日 03:51
ライブドアのニュース欄から飛んできました。
なかなか興味深いエントリでしたがライブドアでは『「戦争を希望」と主張する中国人』というタイトルを付けられて煽られてますね。

『アメリカは人権問題などでは相変わらず中国を批判し、中国はそれに対して反論し、アメリカ的価値観を押しつけるな、覇権主義を棄てろとアメリカを批判するわけです。』というのはその通り。
そこにライブドアのような存在も加わり、より問題をを複雑化させてるのでしょうね。
4. Posted by    2011年09月13日 22:09
>taka 様

 ハンチントンは文明の対立を訴えましたが、アメリカと中国との対立は、文明というより、もっと表面的な政治(構造の)対立、もしくはこうした政治(構造)に直結している自分の利害を守るための対立のような気がしてなりません。

 ブログのタイトルはいろいろな意見があるかと思います。私自身多くの方に見てもらいたいという意識はどこかにあり、そのためにはという思いもないわけではありません。

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