2011年10月25日

 『京華時報』に「深圳拒绝参加省农运会 称没有农民不搞形式主义」(深セン省農民運動会に参加を拒絶、農民がいないので形式主義に参加しないと主張)という記事が掲載されており、興味を引かれたのでこれについて少し。


1 農民運動会

 「百度知道」によると、「中国は世界で唯一農民運動会を定期的に行う国家」で、1988年以来4年に一度北京や上海などで行われております。なんでも開催する目的は「三農問題」(注)に対し政府が重視しているからで、中国の9億の農民対する関心からだそうです。

(注)農業に関係する以下の3つの問題を指します。1農民問題:農民の収入が少ないこと、2農村問題:農村の発展が遅いこと、3農業問題:農業の低生産性。

 他にもいろいろ書いてあるのですが、簡単にまとめると中国で最も多い農民に対する政府の関心を示すためと、農民の健康増進のためで、彼らにハレの舞台を用意してあげるところといったところでしょうか。種目ですが、農民運動会なので、農業に関係したもので、水稲苗投げや、食糧(米俵みたいなものか?)運び等だそうです。

 これの省レベルの大会があるわけですが、広東省では1988年に第1回が開催されて以来、諸般の事情(記事には具体的な理由は記載されておりません)で行われていなかったものが、23年ぶりに開催されることとなりました。


2 深センの不参加

 そこで組織委員会が各都市に参加を要請したところ、深センと珠海を除く20の都市が参加を決めました。しかし2つの経済特区が参加しないので恰好がつかないとして、8月30日まで申し込み期間を延長したものの、深センは最後まで参加を拒否したというのが今回の事件です。

 大分知られているかと思いますが、中国には農村戸籍と都市戸籍の2つがあり、就職や社会福祉などの面でかなり異なった対応がとられております。深センの言い分は既に皆が都市戸籍を取得しており、深センには農民がおらず、そんな形式主義のものに参加しないということでした。

 それに対し組織委員会は、都市戸籍を持っていても農業を営んでいれば参加資格があるし、実際中には医者や教師も参加しているので、問題ないので参加してくれないかという説得を繰り返し行ったようです。

 最終的には農業企業が開会式に参加し競技を観覧したものの、競技そのものには参加しないという形で両者の妥協が成立したようです。そして、主催者は「深センは観覧という態度で今回の農民運動会に参加した」と宣言しました。

 それに対し深センは確かに小さな漁村があり、ここだったら参加資格を有するが、あくまで少数に過ぎず、代表団を組織する条件を満たしていない。深センは既に近代都市で、農民大会に参加するのはふさわしくないと述べていたそうです。


3 アンケートの結果

 おもしろかったのが、この記事に対し『環球網』が実施していた深センの不参加表明を支持するかどうかというアンケートです。それによると9割の者が支持を表明しておりました。

 その理由としては、「真実に基づくのが原則だ」「中国は形式主義に基づくものが多すぎる」という深センの提示した理由に基づくものだけでなく、「農民がいなくなってしまえば三農問題も解決するし、都市と農村の差別もなくなるのだから、ささっと農民がいなくてなってしまえば良い」というものまでいろいろありました。

 しかし、中には明らかに政府批判につながる「中国は様々な会議が多すぎる、なおかつみな嘘っぱちだ、両会(人民代表大会と政治協商会議)もそうだ、開かなくてもよい」「社会主義のくそったれ」、「奴隷社会」といったコメントも書き込まれており、いろいろ中国の方も不満が多いのだなと思った次第です。



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凜amuro001 at 23:00│コメント(0)トラックバック(0)中国について │

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