2011年11月26日

 今日紹介するのは、ある意味で以前書いた「中国の「短命橋」」の続きのような記事です。『中広網』が報じていた「郑州“亚洲第一立交桥”开通6年现多处裂缝」(鄭州”アジア一の立体交差橋”開通から6年で多くの亀裂発見)という記事がなかなか興味深かったのでこれについて少し。


1 おから工事

 記事の内容そのものはある意味極めて単純で、河南省鄭州市にある「アジア一の立体交差橋」で多くの亀裂が見つかり、ここ1年位大規模な補修工事を行っているが、これは「おから」(手抜き)工事ではないのかと批判が寄せられているというものです。

立体交差橋

           鄭州市立体交差橋資料図(上記HPより)


 この「おから工事」ですが、2008年の四川大地震の際に、周りの建物が無事なのに一番安全なはずの中学校が倒壊した結果、中学生が生き埋めとなり、多数の死傷者を出したことで日本でもかなり有名になった言葉かと思います。

 「おから」は粘りけがなくて、もろいことからこうした名前が付けられています。何でも90年代に長江の洪水だかどこかの視察を行った朱鎔基が被災状況を見た際に、明らかな手抜きとわかる工事に怒り「おから工事だ」と怒鳴ったのが由来と聞いたことがあります。

 実際恐いことに、中国ではいきなり道路に穴があいたりする事案が多発しております。また四川大地震の際も最初は手抜き工事があったかどうか徹底的に追究するという話だったのが、いつの間にか立ち消えとなり、遺族にもいろいろな圧力がかかり、何も言えなくなってしまったので、こうした災害に巻き込まれると、本当に死に損です。


2 交通庁への取材

 さて、今回のケースですが、付近の一般住民からの亀裂があるという訴えを受けて記者が河南省交通庁に取材の申し込みをしました。当初24日の午前中ということで了解をもらったのですが、時間になると、会議中だということを理由に取材を拒否され、急に午後に変更となりました。

 また、その際当初約束していた録音も禁止で、文書による説明と言われたそうです。そこで、午後に再度連絡をとると、今仕事で外に出ているからと言われ、ようやく終業時間まぎわになって、500字ほどの文書を受け取ることができたとあります。

 その文書によると以下のとおりだったそうです。

 2009年に0.1~0.2ミリの亀裂が発見されていたが、検証した結果その原因は過積載で、あまりに多くの車が過積載をしているので、こうしたことがおきたということがわかった。運行に支障ははないものの、事故の未然防止のため、鉄板を貼るなどの補修工事を行った。

 2010年5月に予防のために維持工事を行った。現在のところ当該立体交差橋の運行状況は良好で、橋の強度も設計時の要求を満たしている。 


3 専門家の話


 記者は文書にある0.何ミリといった亀裂が今回通報して来た付近の住民の申し出ともあわないし、文書には水が凍結した場合等の天気の影響について言及がないので、鄭州大学を訪問し、専門家の意見を聞くこととしました。

 その専門家の話によると、この立体交差橋は300トンの重さに耐えることができるようになっているはずで、単なる過積載で大きな亀裂が生じるなら、それは国が求める強度を満たしていないことを現しているそうです。

 また、鉄板で補強しているというのは、維持工事ではなく、補修工事であり、既に通常の維持工事の範囲を越えていると指摘しました。彼によると、いわゆる維持工事というのはペンキを塗ったりするを指すとのことです。

 記事はこれで終わっているわけですが、中国は既に車社会となっており、多くの方が毎日この道路を利用しているかと思うと、大きな事故が起こらないことを祈るだけです。



このエントリーをはてなブックマークに追加
凜amuro001 at 10:11│コメント(0)トラックバック(0)中国品質問題 │

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字